初心者でもわかる!不動産投資の節税効果
収入は増えないのに税金はどんどん上がっている、そう思っている方も多いのではないでしょうか。転職をして収入アップを目指したり、副業を始めたりして収入を増やそうとしても、収入に応じて税金は上がっていきます。ではどうすれば良いのかと言うと、収入を増やすのではなく節税をすれば良いのです。自分は会社員だから節税ができないと思っていませんか。実は会社員でもできる節税があります。それが不動産投資です。こちらの記事では、不動産投資で節税できる方法や、節税するために必要な確定申告の方法について説明していきます。節税方法を探している方、これから不動産投資を始めたいと思っている初心者の方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
不動産投資で節税できる
不動産投資を行えば節税することはできますが、投資自体が節税になるのではありません。「不動産所得」を確定申告し、会社員として納めている税金を抑えることで節税することになります。
適法で税金を低く抑えるのが節税
「節税」とは、控除や非課税制度を利用して支払うべき税金を低く抑えることです。税金を低く抑える方法は、法律の範囲内で行います。法律を無視して行った場合は「脱税」となり違法ですので、きちんとした方法で「節税」を行いましょう。
節税には税金の先送りも含まれる
「節税」には税金の支払いを先送りする意味も含まれますが、これは法人向けの節税です。代表的なものは「法人向け生命保険」です。社長や役員を対象にした保険商品で、支払った保険料を毎年最大半分まで損金計上できます。しかし保険を解約した場合、解約辺戻金に対して課税されます。そのため、結局は解約時に税金を支払うため「税金の先送り」にすぎません。結局税金を払うのなら節税ではないという意見もあるかもしれませんが、保険料を支払った年は節税できるので現金に余裕が生まれます。現金があればそれを元に投資を行ったり、運転資金として活用できます。会社経営をするうえでは、税金の先送りも間違いなく節税となります。
節税すると銀行の融資に悪影響?
節税のためにわざと赤字するという話を聞いたことがある方も居ると思います。しかし赤字にしてしまうと銀行から融資を受ける際に悪影響があるのでは、と不安に思う方も居るでしょう。実は「赤字」には2種類あり、悪影響になると思っている方は減価償却「後」のことです。銀行が評価するのは減価償却「前」の利益なので、そのキャッシュフローが黒字であれば問題ありません。
節税できる税金5つ
不動産投資で節税できる税金は5つあります。それぞれの節税できる仕組みについて説明していきましょう。
所得税
給与所得に応じて税率が変動する税金が「所得税」です。不動産投資では「減価償却」で赤字を作り「損益通算」で会社の給与と相殺できます。減価償却とは、不動産投資用の物件を購入した年に費用の全額を計上するのではなく、毎年少しずつ分割した金額を計上する仕組みです。損益通算とは、不動産投資の赤字額を給与所得と相殺できる仕組みのことを言います。きちんと確定申告することで、表向きの給与額を減らすことができ、所得を節税できます。
住民税
「住民税」も所得税と同じく、給与所得に応じて税率が変動します。正社員として雇用され、会社で年末調整を行っている場合、ほとんどの方が毎月の給与から差し引かれています。
不動産投資は投資の中では初期費用が多くかかるため、最初のころに赤字になってしまうことは普通です。しかし、赤字が発生してもきちんと確定申告を行えば、不動産投資は所得税や住民税を軽減できます。
相続税
「相続税」は相続するモノの評価額によって税率が変動する税金です。現金と不動産では、不動産の方が相続する税率が低くなります。例えば現金1億円を相続した場合、1億そのままが評価額となります。しかし不動産を相続した場合、評価額は1億に対して50%から60%となります。そのため、5,000万円から6,000万円に相続税がかかります。つまり現金で相続するより、不動産で相続するほうが相続税を抑えられるのです。
贈与税
他人から無料で財産を譲渡された際に発生する税金が「贈与税」です。1年間で110万円を超える財産を受け取った場合、課税対象となります。贈与税も贈与するモノによって税率が異なる税金です。こちらも現金より不動産の方が20%から30%税率を抑えられます。また、60歳以上の祖父母、父母などの親族から20歳以上の子や孫に贈与する場合に適用される「相続時精算課税制度」という制度があります。これは財産の評価額が2,500万円まで贈与額はかかりません。例えば3,000万円の不動産を「相続時精算課税制度」を使って贈与する場合の計算方法は以下となります。
不動産(3,000万円)ー控除(2,500万円)=500万円となるため、納税額は500万円で良いのです。
法人税
法人の企業活動により発生した所得に対して課せられる税金が「法人税」です。節税したい場合、法人化すると良いと聞いたことがある方も居るでしょう。法人化するメリットはもちろんありますが、その反面デメリットもあります。法人化するメリットは税率の違いです。個人の所得税と住民税は所得により税金が定められ、最大で55%の税率がかかります。法人税の税率は最大で33%です。所得が多い人は法人化した方が圧倒的にメリットがあるのがわかります。また不動産を法人で取得している場合、家族を役員にして家賃収入を役員報酬にすると良いでしょう。贈与税や相続税の節税ができます。しかし法人化にはデメリットもあるので、一概に法人化が良いとは言えません。例えば株式会社を立ち上げる際、少なくても20万円程の諸経費が発生したり、司法書士への依頼費用が必要だったりとさまざまな費用がかかります。また法人化すると社会保険への加入が必須となるため、国民年金や国民保険と比べて負担額が増えてしまいます。さらに法人では利益に関係なく、事業規模に応じて毎年一定の住民法人税がかかります。そのため、個人の住民税より高くなってしまうでしょう。
節税するには確定申告が必要
不動産投資で節税をするには、きちんと確定申告をすることが必要です。会社員の方は「確定申告」という言葉を聞いたことはあっても、実際に何を行うのか知らないという方も居るでしょう。確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得と税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までに税務署へ申告、納税することを言います。申告した際、税金を納めすぎていた場合は還付されることもあります。確定申告が必要な人は、年間の所得金額から控除額を差し引いた金額が上回る人です。例えば、所得が基礎控除額以上あるフリーランスや自営業の個人事業主で事業収入がある人は確定申告しましょう。他にも不動産所得や株取引の所得があり、譲渡益が基礎控除額以上ある人は確定申告の対象です。投資を非課税投資枠内で行っている場合、確定申告は不要です。他にも競馬の賞金や懸賞の賞金で一時所得がある人、退職所得があり年末調整を行っていない場合も個人で確定申告をする必要があります。反対に確定申告が不要な人は年金受給者です。しかし公的年金の収入が400万円以上あり、それ以外にも20万円以上の所得がある場合は確定申告が必要です。会社員は会社で年末調整をしてもえらえるので、基本的に確定申告は不要です。しかし給与額が2,000万円以上で給与所得が2箇所以上であったり、副業所得が20万円以上の人は確定申告を行う必要があります。
申告には青色と白色がある
確定申告は2種類あり、青色申告と白色申告があります。青色申告は、個人事業主や法人が確定申告を行う場合に利用します。事業所得や不動産所得などがある人が対象です。青色申告の方が節税効果が高いので、節税目的の不動産投資で確定申告を行う場合は「青色申告」にしましょう。青色申告における一番のメリットは、「青色申告特別控除」があることです。これは申告すると最大65万円の控除を受けることができます。他にも家事関連費用が経費化できたり、純損失の繰越控除を利用できたり、繰戻還付を受けられます。青色申告におけるデメリットは、手間がかかる、書類不備があった場合許可を取り消されてしまう可能性がある、事前の手続きが必要という点です。白色申告は、青色申告をしていない事業主が利用します。メリットは手続きが楽で、確定申告が初めての人でも申告のハードルが低いことです。白色申告のデメリットは特別控除が存在しない、赤字の繰越ができない、経費に限界があるという点です。特別控除がないため、青色申告に比べると節税効果は低くなります。
不動産投資で節税できるのは限られた人
不動産投資で収入を得ることと、節税をすることは異なります。収入は家賃収入を得ることができれば、誰でも得ることが可能です。しかし不動産投資で節税できる限られた人は、売却益を考えて投資を行います。売却できた場合、売却益に対して所得税と住民税が課税される「譲渡所得税」にメリットが生まれます。
課税所得900万円以上の人はメリット大
課税所得が900万円以上というのは、年収が1,200万円以上ある人のことです。この場合、不動産投資をして売却するメリットは大きくなります。所得税は累進課税のため、年収が高くなるほど税率が高くなります。課税所得が900万円以上になると、所得税と住民税の税率は33%以上です。物件の所有期間が5年未満は短期譲渡所得税率となり税率は39.63%、5年以上は長期譲渡所得税率となり税率は20.315%です。不動産を売却した場合、売却益に対して所得税と住民税が課税されます。つまり不動産購入から5年以降に売却すると低い税率で計算されるため、納税額を抑えることができます。
例えば課税所得が900万円の場合
税率33%−譲渡所得税率20.315%=約13%も差が生まれ、100万円近く節税できるでしょう。
課税所得900万円以下の人は少ないメリット
課税所得900万円以下の人は、それ以上の人に比べるとメリットは少なくなります。例えば課税所得が600万円の場合、税率は23%なので、5年以降に不動産を売約したとしても約3%しか利益がありません。それでは数十万円程度の節約しかできないため、課税所得が900万円以上でないとメリットが少ないのです。
課税所得900万円以下の人もできる節税
課税所得900万円以下の人でも、もちろん確定申告を行えば不動産投資で節税できます。そのためには、課税所得に関わらず青色申告を行いましょう。青色申告であれば「青色申告特別控除」が受けられ、不動産が少ない場合で10万円の控除を受けることができます。65万円の控除を受ける場合は、ワンルームマンション10室以上の事業的規模で不動産を所持している必要があります。
どんな物件を選ぶかで節税効果も変わる
不動産投資と一口に言っても、選ぶ物件により節税効果は変わります。どのような物件を選べば節税に効果的か、ご紹介していきましょう。
建物の構造で節税効果が変わる
物件の構造によって耐用年数がそれぞれ決まっています。耐用年数が短い物件の方が節税効果が高くなります。それは1年毎に計上できる減価償却費が多いため、短期間で大きな節税効果を得ることができるためです。
築年数でも節税効果が変わる
物件の築年数でも節税効果は変わってきます。新築物件の場合、以下の方法で計算できます。
- 減価償却費=物件本体の価格÷耐用年数
中古物件の場合は新築の計算方法と異なり、法定耐用年数ではなく、物件購入以降の使用可能期間を耐用年数として計算します。これを「見積法」と言います。
使用可能期間の見積りが難しい場合、以下の方法で計算します。これは「簡便法」と言います。
- 法定耐用年数内の場合
- 法定耐用年数を過ぎている場合
(法定耐用年数ー築年数)+築年数×20%
法定耐用年数×20%
1年未満の端数が出た場合は切り捨て、2年未満の場合は最低2年となります。
節税効果大:木造の古い物件
不動産投資で課税所得900万円以上の方に節税効果が大きいものは、木造の古い物件です。木造の古い物件は減価償却費が大きくとれるからです。木造の法定耐用年数は22年と他の構造に比べ短めです。また、法定耐用年数が過ぎている場合、法定耐用年数×20%の年数で減価償却ができます。そのため、同じ構造・価格の建物であっても木造で古い物件であれば大きな減価償却費をとることができます。
節税効果小:築浅区分所有マンション
反対に築浅の区分マンションでは、節税効果が低くなります。減価償却期間が長く、1年に計上できる減価償却費が少ないため、課税所得が増えてしまい節税の意味がありません。また、不動産投資を始めた年は諸経費もかかるので節税できたと思うこともありますが、2年目以降は初年度に比べると経費は低くなります。その結果、数年で黒字になってしまうと納税義務が発生してしまいます。一見、黒字になった方が儲けが出たように感じますが、節税のために不動産投資を行っている場合、納税する額が増えてしまっては意味がありません。「手元に残るお金が減ってしまった」とならないように気をつけましょう。
節税は不動産投資前から始まっている
節税する方法は不動産投資だけではありません。前もって大きなお金を準備しなくてもできる節税には、医療費控除とふるさと納税があります。医療費控除は医療費にかかった金額によるので、全ての人が対象とは言えません。自分が対象者になるかどうかきちんと確認しましょう。ふるさと納税は本来納める税金分を自治体へ寄付することで地域指定の名産品が返礼品として貰えます。節税にはなりませんが、返礼品にはさまざまな物があるので節約につながります。個人型確定拠出年金のiDeCoや少額投資非課税制度のNISAを行うことで節税ができます。節税になるから不動産投資をしようと思っても、手元に資金がない場合は結局何も始めることはできません。不動産投資にとらわれず、さまざまな節税をすることで不動産投資のための購入資金を貯めることから始めても良いですね。
まとめ
不動産投資を行うことで得られる節税効果と節税する方法についてご紹介しました。どれだけ節税できるかは、物件の条件や本人の所得によってさまざまです。相続税や贈与税も軽減できるので、条件の合う人は大きな節税効果を得られるでしょう。不動産投資をしてもあまり効果が得られないと思った方は、自分に合った投資方法を選ぶことが大切です。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久
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