気になる不動産投資の初期費用。実際にいくらかかるのか検証
長引く不況により、新しい収入源を確保したいと考えている方は多いでしょう。しかし会社が副業を禁止していたり、もう一つ仕事をすることは時間や体力的に難しいという方がほとんどです。そのような働き盛りの会社員の方でもできる、新しい収入源を増やす方法があります。それは「不動産投資」です。不動産投資なら自分の手をほとんど動かさずとも利益が発生し、税金対策にもなります。しかし不動産投資に興味はあるけれど、初期費用がどのくらいかかるのか気になり手を出せないという方も居るでしょう。そこでこちらの記事では、不動産投資の実際にかかる初期費用について説明していきます。これから不動産投資を始めようとしている方や、何か新しい収入源を欲しいと思っている方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
不動産投資には物件購入費以外の費用がかかる
いざ不動産投資を始めようと思った際、物件の購入費用さえ準備できていれば問題ないと思っていませんか。不動産投資には、物件の購入費用以外に初期費用が必要です。住宅ローンを組んだことがある方ならイメージしやすいと思いますが、さまざまな費用が発生します。不動産投資にかかる初期費用とは、どのような費用があるのでしょうか。詳しくご紹介していきましょう。
費用の目安は?
不動産投資の物件を購入する際にかかる初期費用の目安は、物件価格の約10%から30%かかると思っておきましょう。一概にいくらかかると言えるものではなく、個人の属性(年収や資産額など)や物件の属性(所在地や築年数など)によって変わってきます。良い物件があった際に、費用が足りずに購入を断念することになってしまってはもったいないです。そのため、初期費用は多めに準備しておきましょう。どの程度の初期費用が必要か、気になる物件をピックアップしてあらかじめ試算をしておくことが大切です。
不動産購入時の頭金
不動産投資用の物件を購入する際、頭金となる自己資金を準備しておきましょう。購入時に一括で支払うことができれば問題ないですが、ローンを組む場合は先に頭金を支払うことがほとんどです。頭金があればローンの審査も通りやすくなります。頭金の額は物件によってさまざまです。本人の所得や物件の価格、価値により頭金0円でフルローンを組める場合もあります。基本的には物件価格の最低5%から、多くて30%くらいの頭金を支払うことになると考えておくと良いでしょう。
ローンの事務手数料
ローンの事務手数料とは、不動産投資用の物件の購入時に「不動産投資ローン」を組む場合に支払う費用です。「不動産投資ローン」には「定額型」と「定率型」の2種類あります。「定額型」は借入金額に関わらず物件価格の3%から10%、「定率型」は借入金額に対して設定した割合の1%から3%を支払います。
融資保証料
融資保証料とは、ローンの返済が滞ってしまった際に立て替えてくれる保証機関へ支払うための費用です。ローンの金額が大きくなる不動産投資では、保証会社を利用することが一般的です。保証料は一括で前払いする方法、ローン契約時の金利に上乗せして払う方法の2種類があります。一括の場合はローンの2%程度が保証料の相場です。金利に上乗せする場合は1年あたりローンの0.2から0.3%と言われています。最近ではネット銀行から融資を受けた場合、この保証料が不要となるケースもあります。
印紙代金
印紙代金とは、不動産投資用の物件を購入する際に発生する書類に貼る印紙費用のことです。売主と買主の間で発生する「不動産売買契約書」と、ローンを受ける際に金融機関との間に発生する「金銭消費貸借契約書」に収入印紙を貼る必要があります。印紙代は、物件の契約金額によって異なりますが、例えば1,000万円以上5,000万円以下の場合、10,000円の印紙が必要です。書類を1通作成するごとに、印紙が必要となります。
火災保険料
不動産投資における火災保険は、ローンを受けるために加入が必須となっていることがほとんどです。火災保険に加入すると、確定申告の際に費用を経費として申告することができます。なお地震保険に加入するためには、火災保険へ加入する必要があります。いつどのような災害や人災が起こるか分からないので、保険に入っておく方が安心です。費用は保険会社によって異なるので、保険会社を選べる場合は金額、内容について比較検討しましょう。
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産投資用の物件を購入する際、仲介してくれた不動産会社へ支払う手数料のことです。不動産の売買契約が成立した際に成功報酬として、仲介業者に支払います。仲介手数料は宅地建物取引業法の第46条により定められた金額の範囲内で以下の通りです。売買代金が200万円未満の場合、仲介手数料はその5%と消費税で算出されます。200万円以上400万円未満の場合、仲介手数料は4%に消費税プラス2万円です。400万円以上の仲介手数料は3%に消費税プラス6万円となります。不動産会社によって、上記の範囲内の中で仲介手数料は異なります。物件によっては安価に設定されていたりキャンペーンで手数料が無料だったりする場合もあるので、不動産会社ごとの手数料は事前に比較検討しましょう。物件の売主が不動産会社自体である場合、仲介手数料はかかりません。
登記費用
登記費用とは不動産を取得時に、不動産の所有者を法律上明らかにするために行う「不動産登記」を行う際に国に納める「登録免許税」という税金のことです。不動産登記とは「所有権移転登記」「抵当権設定登記」「登記人名義住所・氏名変更」などさまざまな種類があります。登記に必要な申請書は法務局のホームページから確認することができ、オンラインでも申請が可能です。
登録免許税額=課税標準×税率の計算で、例えば1,000万円の物件の場合、10数万円程度となります。
司法書士への報酬
司法書士への報酬とは、上記の「不動産登記」について、法務局への手続きを司法書士に依頼する場合に発生する費用です。個人で登記手続きをすることも可能ですが、手続きが複雑なため司法書士に依頼する方法が一般的です。また「登録免許税」の納付も司法書士が代行してくれます。司法書士への報酬額は、依頼する司法書士や司法書士事務所によって異なりますが、相場としては10万から15万程度です。
不動産取得税
不動産取得税とは、取得した不動産に対して納める税金のことです。物件購入時には発生せず、購入してから半年程経ったころに各都道府県から「納税通知書」が届くので、それに伴い納税します。不動産購入時の価格ではなく、保有している不動産の「固定資産税評価額」×3%です。3%という数値は2024年3月31日までで、それ以降は4%となります。そのため、それまでに行動されることをお勧めします。
固定資産税・都市計画税の精算
固定資産税・都市計画税の精算とは、物件の売買によって所有者が変更された際に発生する支払い済みの税金を精算することです。毎年1月1日時点で物件を所有している人に固定資産税・都市計画税は支払い義務が生じるため、物件を譲渡した日からその年の12月31日までの費用を買主と精算します。精算は法律で定められたものではなく「不動産取引上の慣例」として行われるため、国に納めるものではありません。売主に清算金として支払う費用なので、一括で支払うことがほとんどです。精算は売買契約書に記載されていることがほとんどなので、支払えるように準備をしておきましょう。なお売買完了後の翌年に自身が支払う固定資産税は固定資産税評価額の1.4%、都市計画税は固定資産税評価額の0.3%です。
ほかの投資よりも初期費用がかかる
不動産投資は、多くの初期費用がかかることがご理解いただけたと思います。では、他の投資にはどのような初期費用があるのでしょうか。代表的な投資にかかる初期費用について見ていきましょう。
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・投資内容:株
・初期費用:買付手数料
・投資内容:投資信託
・初期費用:購入時手数料、運用管理費用、監査報酬、売買委託手数料など
・投資内容:外貨預金
・初期費用:為替手数料
・投資内容:FX・仮想通貨
・初期費用:取引手数料、スプレッド
・投資内容:金投資
・初期費用:売買手数料
いずれの投資も初期費用の種類が少なく、不動産投資と比べると初期費用がかからないことがわかります。
ランニングコストもかかる
ランニングコストとは、初期費用には含まれないが物件を所持していることによってかかる費用のことです。それぞれ説明していきましょう。
管理費
管理費とは、その名の通り物件の管理にかかる費用です。共用部分が清潔に保たれるための清掃費用や廊下や階段の電気、エレベーターがある場合はそれにかかる費用がまかなわれます。一般的にエレベーターの基が多いほど管理費は高くなると言われています。
広告費
広告費とは、購入した物件に居住してくれる人を探すために発生する費用です。仲介会社に依頼して入居者を募集するパターンと自身で広告を掲載して募集するパターンがあります。
修繕積立金・修繕費
修繕積立金・修繕費とは、物件の経年劣化や破損があった際に修繕するための積立金・その費用です。マンションを一室単位の区分所有をしている場合、積立金額は決まっているため購入時に確認できます。
修繕周期は12年で考えられていることが多く、その理由は建築基準法が築10年を経過した場合、外壁の貼り替えを3年居ないに打診調査する必要があることによるものと言われています。
賃貸物件の管理委託費
賃貸物件の管理委託費用とは、物件を賃貸として貸し出す際に仲介してもらう業者に支払う費用です。入居者の募集、家賃の回収、契約更新の作業などを行ってもらえます。管理委託費は家賃の3%から5%が相場です。
リフォーム費用
リフォーム費用は経年劣化や破損により物件の価値が落ちないように、元の状態に戻すための費用です。劣化や破損の具合によってかかる費用は異なるため一概にいくらかかるとは言えませんが、入居者が入れ替わるタイミングに劣化のしやすい水回りはリフォームされることが多いです。家賃収入よりリフォーム費用が高くなってしまっては意味がないので、コストパフォーマンスを考えながらリフォームをしましょう。
初期費用を低く抑えるコツ
不動産投資にはさまざまな初期費用やランニングコストがかかることがご理解いただけたと思います。しかし、初期費用がかかるからと不動産投資を断念する必要はありません。初期費用を低く抑えるためには無駄を省きましょう。そのためのコツをご紹介していきます。
諸費用を抑える
まずは諸費用を抑えることを考えましょう。費用を発生させないことはできませんが、数社で比較検討して低価格な仲介業者を探したり交渉をすることは可能です。仲介手数料に関しては、仲介業者を介さず不動産販売会社から購入することでカットすることができます。司法書士への費用、広告費、リフォーム費用など依頼先によって低価格で抑えられる場合もあります。相見積もりをとっても良いでしょう。
中古の区分マンションなら初期費用が抑えられる
マンションを一室単位で所有する中古の区分マンションへなら、初期費用は抑えられます。初期費用の目安は、物件の価格や購入方法によっても変わりますが比較的少ない50から100万円程度の資金と言われています。中古マンションは物件の価格が低いため、必要な初期費用も少なくなります。
頭金なしなら初期費用も少ない
頭金なしで不動産投資用の物件を購入する方法はあります。物件の売買価格の融資を受けられる「フルローン」を組むことです。これは年収が高かったり、預金が多かったりと金融機関からの評価が高い場合に組める可能性があります。フルローンで借りられる金額は一般的に物件の売買価格までです。事務手数料やローンの保証料、登記費用といったさまざまな諸費用にかかる費用は対象外となります。頭金なしなら、初期の持ち出し費用は少なくなります。しかし、空室期間があっても返済が滞らない程度の資金は事前に確保しておきましょう。基本的に頭金がない場合はローンの審査が通りづらい場合がほとんどです。できれば頭金を少額準備して、フルローンに近い金額を借り入れれば初期費用が少なくてすむでしょう。
ローンに初期費用を含めることが可能
フルローンは物件の売買価格以上を借り入れることはできませんが、初期費用を含めて融資を受けられるローンがあります。それが「オーバーローン」です。不動産投資に特化した金融機関で取り扱っています。しかし物件価格以上の融資を受けられるということは、毎月の返済額が頭金がある場合に比べると高額です。もし物件が空室で家賃収入がなくなってしまった場合、ローンの返済が滞ってしまう危険性があります。
オーバーローンで組む場合も、空室期間があっても返済が滞らない程度の資金は事前に確保しておきましょう。
まとめ
不動産投資にかかる初期費用についてご紹介しました。かかる初期費用は、購入する物件によって異なります。そのため、実際に物件を購入するタイミングにならないとわからないことも多いです。
自己資金が少なくてもローンが組める可能性があるからといって、不動産投資を気軽に始めるのはお勧めしません。しっかりと運用できる自己資金を準備し、無駄を省いて初期費用を抑えられるように比較検討をしながら投資を始めましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由
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