マンション経営のメリットとリスクとは?失敗しないためのポイントを徹底解説

土地を有効に活用し、副収入を得る方法として挙げられるのが「マンション経営」です。
労働を伴わない「不労所得」が得られることでも注目されています。「将来的にマンション経営をしたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。毎月一定の家賃収入が得られる「マンション経営」ですが、気をつけるべきデメリットやリスクもあります。この記事では、マンション経営の基本から、知っておきたいメリット・デメリットについて解説します。マンション経営で失敗しないためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
マンション経営とは?
マンション経営とは、購入したマンションを賃貸として運営し、家賃収入を得ることです。不動産投資の中でも、比較的安定した収益が得られる方法として人気があります。とはいっても、どのような仕組みでマンション経営が成り立つのかくわしく理解できていない方もいるでしょう。
ここでは、マンション経営に必要な初期費用やランニングコスト、得られる収入について解説します。マンション経営を始める前に、まずは仕組みについて正しく理解しておきましょう。
マンション経営の仕組み
マンション経営は、オーナーが所有するマンションの部屋を希望者に貸し、家賃収入を収益として受け取るというシンプルな仕組みです。毎月の家賃収入以外に、礼金や更新料といった収入も不定期に発生します。とはいえ、そのすべてが収益になるわけではなく、初期費用やランニングコストなどの支出が発生することも理解しておく必要があります。
マンション経営の初期費用
マンション経営をスタートさせるには、下記のような初期費用が必要です。
- 物件取得費用
- ローン諸費用
- 不動産取得税
- 登記費用
- 印紙税
- 各種保険料
ひとつずつ解説します。
物件取得費用
物件取得費用は、経営するマンションを取得するためのお金です。マンションを新しく建てる場合は新築工事代金、購入する場合は購入費用がかかります。立地条件やマンションの構造、広さなど条件によって異なりますが、数千万〜数億円の費用がかかると考えておきましょう。所有している土地がない場合は、土地の取得費用も必要です。
ローン諸費用
マンション経営を目的とする物件を取得するためには、数千万〜数億円と多額の費用がかかるため、ローンを組むことが一般的です。ローンを組んだ場合は、利息だけでなく、保証料や事務手数料もかかります。借り入れる金融機関によって異なりますが、保証料や事務手数料は、借入額の1〜3%ほどが相場です。
不動産取得税
マンションを取得した場合、不動産取得税を納めなくてはなりません。不動産取得税は、毎年支払う税金ではなく、不動産取得時に一度だけ納める税金です。土地と建物の両方にかかりますが、建築年数などの一定の条件を満たしている場合は軽減措置が受けられます。
登記費用
マンションを取得した場合、「建物表題登記」と「所有権保存登記」を行う必要があり、登録免許税が課せられます。登記を司法書士に依頼する場合は、司法書士への報酬や手数料なども必要です。
印紙税
印紙税とは、工事請負契約書や不動産の売買契約書など、契約書を作成する際に課税される税金です。課税対象となる文書に収入印紙を貼り、その収入印紙に消印を押すことで納付します。
各種保険料
各種保険料とは、具体的にいうと火災保険や地震保険などです。毎年保険料を納める方法や10年分を一括で支払う方法があります。基本的にはまとめて支払う方が総額は安くなりますが、一回で支払う額が大きくなるため収支を考えて決めた方が良いでしょう。
マンション経営のランニングコスト
マンション経営には、経営を維持するために下記のようなランニングコストがかかります。
- 管理会社への手数料
- 借入金の返済
- 固定資産税・都市計画税
- 所得税
- 修繕費
それぞれ見ていきましょう。
管理会社への手数料
マンション経営を行う上で、入居者や建物の管理は必要不可欠です。もちろん、これらすべての業務をオーナーが行うことも可能です。しかし多くの場合は、手数料を支払い不動産会社や管理会社に委託します。手数料は家賃の5%程度が相場です。
借入金の返済
マンション購入のためにローンを組んだ場合、毎月返済しなくてはなりません。元金はもちろん、利息の支払いも必要です。返済していく期間によって利息が異なるため、収入とのバランスを見ながら調整すると良いでしょう。
固定資産税・都市計画税
固定資産税とは、毎年1月1日の時点で所有している不動産にかかる税金です。税率は固定資産税評価額に対して1.4%となっており、毎年納める必要があります。
一方、都市計画税とは、都市計画事業や土地区画整理事業の費用にあてるための税金です。毎年1月1日時点で、市街化区域内に土地や建物を所有している場合に支払います。自治体によって異なりますが、都市計画税の上限は0.3%です。固定資産税と都市計画税の通知書は一緒に届きます。一括払いも可能ですが、年4回の分割払いが一般的です。
所得税
マンション経営で家賃収入を得た場合、所得税を納める必要があります。家賃収入から経費や控除額を差し引いた「課税所得」をもとにして、所得税が算出されます。
修繕費
マンションが経年劣化した場合、修繕費用が必要です。それに加え、退去後には原状回復のためのリフォーム費用もかかります。管理会社などが策定した修繕計画に沿って、修繕費として積立ておきましょう。
マンション経営の収入
マンション経営で得られる収入のうち、大半を占めるのが入居者からの家賃です。また、入居者が支払う管理費や共益費、新しい入居者が決まった際に支払われる礼金も収入となります。駐車場や自動販売機を設置している場合は、それらによる収入も得られます。
ただし、家賃以外の収入は金額としてあまり大きくありません。あくまでもマンション経営の主な収入は家賃と考えておきましょう。
マンション経営のメリット・デメリットとリスク
マンション経営は安定した収益が望めることから、人気が高い不動産投資です。魅力的なメリットに目が行きがちですが、もちろんデメリットもあります。マンション経営を成功させるには、メリットだけでなくデメリットについても正しく理解しておくことが大切です。ここでは、マンション経営のメリット・デメリットとリスクについて解説します。
マンション経営のメリット
マンション経営のメリットには下記の6つがあります。
- 安定収入が期待できる
- 空室リスクを分散できる
- 管理の手間を減らせる
- 資産が残る
- インフレや景気変動に強い
- 節税効果が期待できる
安定収入が期待できること以外にもさまざまなメリットがありますので、確認しておきましょう。
安定収入が期待できる
マンション経営の最大のメリットは、安定した収入が得られることです。毎月の収入差が大きい店舗経営に比べ、マンション経営は入居者さえいれば毎月安定した家賃収入を得られます。株価のように、短期間で価値が下落することもありません。
とはいえ、家賃を高く設定しすぎてしまうと、入居者がなかなか見つからず、家賃収入が得られない場合もあるので気をつけましょう。家賃は地域ごとにおおよその相場が決まっています。適正家賃に設定すれば、長期にわたって空室が続く可能性は低くなるでしょう。
空室リスクを分散できる
部屋数が多いマンションを経営する場合、空室リスクを分散できることもメリットのひとつです。部屋数が多いマンションの場合は、たとえ1〜2部屋が空室になったとしても、ほかの部屋からは家賃収入が得られます。
もちろん空室が多く、その期間が長い場合は収入も大きく減ってしまいます。しかし、空室が少ない場合や空室期間が短い場合は、さほど収入が減ることはないでしょう。
管理の手間を減らせる
マンション経営に必要不可欠な入居者や建物の管理は、不動産会社や管理会社に委託できます。委託すれば、入居者の募集はもちろん、家賃の回収やクレーム対応、劣化箇所の修繕など管理に関わるすべてを一任できるのです。
また、管理の手間がかからないため、ほかの仕事をしている方でもマンション経営が可能です。何かトラブルがあった場合も、管理会社が駆けつけてくれるため、自宅から離れた遠方にある物件も安心して所有できます。
資産が残る
マンション経営はローンを組む場合がほとんどですが、ローンの返済が終了すると、マンションや土地が自分の所有物となります。最終的に資産として残せることも、マンション経営の大きなメリットと言えるでしょう。
マンション自体は年数が経つほど劣化してしまうため、価値は下がってしまいます。一方、土地の価値は基本的には維持され、大幅に下がることはありません。
インフレや景気変動に強い
物件や土地を保有するマンション経営において、インフレなどの景気変動に強いこともメリットです。インフレとは「インフレーション」を略した言葉で、物やサービスの価格が上がり、お金の価値が下がることを意味します。
現金資産を所有している場合、インフレになると価値が下がってしまいます。それに対し、マンションなどの現物資産は物そのものに価値があるため、インフレの影響を受けにくく、価値が下がりにくいと言えるでしょう。
節税効果が期待できる
節税効果が期待できることも、マンション経営の人気が高まっている理由です。マンション経営により節税効果が期待できる税金には、相続税や固定資産税・都市計画税、所得税の3つが挙げられます。
相続税
子どもなどへ資産を相続する場合、現金よりも土地やマンションを相続する方が税金が安くなります。現金の場合は全額に対して相続税が課せられます。一方、土地やマンションの場合は相続税評価額に対して相続税が課税されます。評価額は不動産の時価よりも低く評価されるため、現金を相続する場合に比べて節税になるのです。
固定資産税・都市計画税
土地を更地の状態で持っている場合、その土地にマンションなどを建てることで固定資産税・都市計画税が節税できる可能性があります。ただしこの場合、建物部分の固定資産税が増えることは覚えておきましょう。地価の高い土地を保有しているにも関わらず有効活用できていない方は、マンション経営をすることで節税効果が期待できます。
所得税
賃貸物件を保有している場合、建物の取得費用の一部を「減価償却費」として経費に計上することが可能です。マンションは経年劣化によって価値が減ると考えられているため、マンションの法定耐用年数で分割し、経費として計上します。経費に計上できれば、不動産取得税が減少することになりますので、所得税の節税につながります。
マンション経営のデメリット
マンション経営のデメリットには下記の2つがあります。
- 初期費用とランニングコストが高い
- 共用部の修繕費用が発生する
マンション経営のデメリットによって、収支計画が狂ってしまうことも大いに考えられます。マンション経営を成功させるためには、デメリットを考慮したシミュレーションが必要不可欠です。
初期費用とランニングコストが高い
マンション経営のデメリットとして、初期費用とランニングコストの高さが挙げられます。初期費用もランニングコストも、マンション経営には欠かせないものであるため、ゼロにすることは不可能です。
とはいえ、初期費用やランニングコストゆえに経営が行き詰まっては元も子もありません。経営を成功させるためには、信頼できるハウスメーカーなどを見つけ、しっかりと収支シミュレーションをすることが大切です。
共用部の修繕費用が発生する
新築で建設したマンションも、築年数が経過するとともに老朽化が進み、いずれは修繕が必要となります。規模の大きいマンションの場合、この修繕費が高額になることも十分に考えられるでしょう。マンションを購入した当初から、修繕費を計画的に積み立てておくことで、想定外の修繕にも対応できます。初期費用やランニングコストと同様に、管理会社などにシミュレーションをしてもらうと良いでしょう。
マンション経営のリスク
マンション経営には、さまざまなリスクがあることも忘れてはいけません。リスクを恐れるのではなく、リスクに対して適切な対策を取ることが、マンション経営を成功させるカギとなります。物件を購入する前に、想定されるリスクについて確認しておきましょう。
空室や家賃滞納のリスク
安定した家賃収入が魅力のマンション経営とはいえ、入居者が見つからず、空室状態が続いてしまうと収入を得られません。空室状態が長引いている場合は、リフォームや家賃の見直しなどを行い、なるべく早めに対応しましょう。
また、入居者がいる場合でも家賃滞納のリスクがあります。管理会社に委託している場合は、家賃滞納のトラブルも管理会社が対応するのが一般的です。家賃滞納が起きた場合はどのように対応するのか、管理会社に確認しておくと良いでしょう。
家賃の下落リスク
新築マンションは人気があるため、多少家賃を高く設定しても入居者が見つかることが多いです。しかし、築年数の経過とともに、家賃は下落していく傾向があり、いつまでも新築時と同じ家賃設定で経営できるとは限りません。特に、新築でマンションを建てて経営をスタートした場合、年月の経過とともに家賃の下落幅が大きくなります。このように家賃が下落するリスクも頭に入れておきましょう。
金利上昇リスク
低金利時代が続いている今、不動産投資を始めるには良いタイミングと言われています。ですが、今後もずっと低金利が続くとは考えにくく、長期的に見ると金利上昇は避けられないと考えた方が良いでしょう。
マンション購入後に金利が上昇すると、ローンの返済額が大きくなります。場合によっては、家賃収入より返済額が大きくなることもあるかもしれません。金利をコントロールすることはできないため、自己資金を残すことや繰上げ返済をするなど、金利上昇リスクに備えた対策も必要です。
災害リスク
マンション経営を行う上で、大型の台風や集中豪雨、地震など、いつどこで起こるかわからない災害は避けることが難しいリスクです。災害の発生率は高いとは言えませんが、可能性はゼロではありません。
万が一、災害によりマンションが被害を被った場合を考え、きちんと備えておくことが大切です。火災保険や地震保険への加入は、災害リスクに対する代表的な対策のひとつです。加入した保険は、定期的に見直すようにしましょう。マンションの建築時またはマンション購入前には、そのエリアのハザードマップで災害リスクを確認することも、リスク回避につながります。
マンション経営で失敗しないための3つのポイント
堅実なマンション経営に必須となる3つのポイントは下記の通りです。
- マンションの立地を考える
- マンションの物件タイプを考える
- 利回りで考える
マンション経営で失敗しないためにもしっかりと確認しておきましょう。
マンションの立地を考える
マンション経営で安定した家賃収入を得たい場合、いかに空室リスクを下げられるかどうかがポイントになります。空室リスクを下げるためには、利便性などの条件に加え、マンションの間取りや規模がその地域にあっているかどうかも大切です。
例えば、小中学校の周辺であればファミリー向けマンション、大学周辺であれば学生向けのワンルームマンションというように、その地域ごとに需要が高い物件は異なります。立地や人口、今後の開発予定などの情報をリサーチし、立地にあったマンションを建てるようにしましょう。
マンションの物件タイプを考える
マンション経営の物件タイプは、大きく分けて2つあります。
- ワンルームマンション:分譲マンションの1部屋を購入して貸し出すタイプ
- 一棟マンション:マンションをまるごと所有し、複数の部屋を貸し出すタイプ
自分がどのようなマンション経営をしたいかによって、物件タイプを決めると良いでしょう。
ワンルームマンション
不動産投資初心者に人気なのが、分譲マンションの1部屋を購入し、第三者へ貸し出すワンルームマンション経営です。ワンルームマンションの経営は、一棟マンションに比べ、比較的安価で始められます。初期費用を抑えてマンション経営をしたい方におすすめです。
一棟マンション
安定した家賃収入を期待できるのが、一棟まるごとを所有するマンション経営です。複数の部屋を所有するため、ワンルームマンションの経営に比べて、収入が安定しやすい特徴があります。一棟マンションの経営を始めるには、土地を購入してマンションを新築するほか、所有している土地にマンションを建設する、すでに完成している新築または中古マンションを購入するなどの方法があります。初期費用はかかりますが、大きな収益を安定的に得たい方におすすめです。
利回りで考える
マンション経営は、どのくらいの収益が見込めるかを判断する「利回り」で考えることも大切です。利回りには、大きく分けて「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。
表面利回りは、1年あたりの表面的な収益率を表す数字です。年間の家賃収入と物件購入額のみで簡単に算出できますが、管理費や固定資産税などの変動する可能性がある諸経費はまったく含まれていません。
それに対し、実質利回りは家賃収入や物件購入額に加え、ランニングコストなどの年間を通してかかる諸経費を考慮した数字です。表面利回りよりも、具体的な収益を知りたい場合に用います。
投資用の物件情報で見かける利回りは、表面利回りが使用されている場合がほとんどです。しかし、マンション経営の利回りを知るためには実質利回りで考えましょう。より現実的な収益率を推測することが、マンション経営で失敗しないポイントです。
まとめ
マンション経営は、安定した収入が得られることや資産として残せることなど、さまざまなメリットがある一方で、デメリットやリスクがあることも事実です。
マンション経営を失敗しないためには、メリット・デメリットを正しく理解することが大切です。事前のリサーチや収支シミュレーションを立て、安定した収益が得られるマンション経営を目指しましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典
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