アパート経営・利回りのチェック方法と計算方法は?利回り高めるコツを紹介
不動産投資をおこなう上で、不動産の利回りは非常に気になるポイントです。
利回りは、アパート経営だけでなく、不動産投資にとって重要な値です。アパート経営に興味がある方もない方も、利回りについて知っておくと、不動産投資を始めるのに役立ちます。
本記事では、利回りや計算方法も合わせて詳しく解説していきます。
この記事の目次
アパート経営の利回りとは?
利回りとは不動産投資だけでなく、株式投資なども含め、さまざまな投資をするときの年間の利益率のことです。投資に投入した資金に対して発生した利益の割合のことを指します。
ただし、購入後には売却まで基本的に追加費用がかからない株式投資などとは異なり、不動産投資は、維持費などの費用が発生します。築年数が経過すれば、物件の価値が下がり、連動して家賃も下がる傾向にあることから、利回りが低下しやすいともいえるでしょう。
ほかにも、不動産投資は、物件の購入費用が高額になることから、金融機関から購入資金を借り入れる方も多いです。資金の借り入れには金利がかかりますので、金利の上昇・下降によって返済金額が大きく変わる可能性があります。
変化が生じやすい不動産投資は、利回りの確認をしながら、運用していくことが重要です。特に、アパート経営をするなら、利回りの確認は重要です。一棟全体の購入費用や維持費などを確認して、複数の部屋の家賃を決める必要があるからです。
不動産会社などが表示しているアパート経営の利回りは、アパートの購入費用に対して、家賃として得られる収入の割合です。例えば、経営するアパートの価格が1,000万円、利回りが10%だとすると100万円の家賃収入が見込めるということです。
アパート経営の利回りは一定ではない
不動産会社の物件の広告に「利回り10%」と記載があれば、必ず購入費用の10%に当たる利益を生み出せるとは限りません。アパートの入居者がいなければ家賃収入を得ることはできませんし、逆に何らかの影響で物件の価値が上がれば、利回りは15%となる可能性もあるのです。
利回りの表示は、収益が保証されているものではなく、あくまで目安です。目安ではありますが、この数値がなければ指標を立てることができませんので不動産投資は難しくなります。利回りの計算方法を把握し、正確に利回りの数値を算出できるようになると良いでしょう。
アパート経営の利回りの計算方法
アパート経営に必要な指標である利回りですが、実は想定利回りと表面利回り、実質利回りの3種があります。不動産投資に少し興味がある方のほとんどが利回りという言葉を知っているのではないでしょうか。しかし、3種あるのです。3種の利回りの違いと計算方法について紹介します。
想定利回りを計算する方法
まずは、想定利回りの計算方法を紹介します。想定利回りとは、物件の購入費用に対して、空室が出ないと仮定し、1年間の家賃収入の割合を計算したものです。アパート経営をしようと考えている方にとって、一番シンプルで簡単に出せる数値です。
【想定利回りの計算式】
想定利回り=年間家賃収入(空室なし)÷物件購入価格×100
アパートの居室が空くことなく常に埋まっている状態と想定しているので、現実的ではない数値が算出される傾向にあります。複数の物件を比較するときにこの利回りの数値を参考にすると、物件を絞り込みやすいかもしれません。
表面利回りを計算する方法
表面利回りは、物件の購入費用に対し、1年間の家賃収入の割合を算出するものです。想定利回りよりも現実味のある割合になるといえます。
【表面利回りの計算式】
表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格×100
不動産会社が物件情報と共に示している利回りの多くは、表面利回りの数値です。しかし、複数の居室を備えるアパート経営の場合、大きく維持費がかかってくる場合があり、維持費を含めて計算しないと誤った運用計画を作成してしまう可能性があります。
実質利回りを計算する方法
ここで登場してくるのが、維持費などの経費を含めて計算する実質利回りです。実質利回りは、物件の購入費用に加えて購入時の諸経費を足し、1年間の家賃収入から物件の維持にかかる諸経費を差し引いた額の割合です。
【実質利回りの計算式】
実質利回り=(年間家賃収入−年間経費) ÷(物件購入価格+取得時諸経費)×100
より現実に近い割合が算出されることが分かります。
アパート経営の利回りの最低ラインとは?
アパート経営の利回りの最低ラインを検討するときには、実質利回りの数値を参照します。理想的だといわれている実質利回りは5%で、最低ラインの値は3%以上が目安とされています。
例えば、新築アパートの場合、実質利回りは約5%から2%が一般的です。アパートの立地条件や物件の購入額などにより、算出される実質利回りの値は異なりますが、おおよその目安とされています。
利回りが変動する要因は?
アパート経営の実質利回りを算出するには、家賃収入だけではなく初期費用や維持費(ランニングコスト)を確認して計算式に載せないといけません。計算式に載せる各項目について、具体的に紹介します。
アパート経営の家賃収入やその他共益費
実質利回りを計算するために、まずは年間の収入を計算してみましょう。アパート経営の主な収入は家賃収入ですが、賃貸をするときには、そのほかにも収入が発生する場合があります。
賃貸アパートやマンションを借りたことがある方なら記憶にあるかもしれませんが、入居時に家賃として入居者が支払う敷金や礼金もオーナーにとっては収入です。また、駐車場や駐輪場を有料で貸している場合、共益費を受け取りますが、これも収入となります。
さらには、物件の賃貸契約の更新時には更新料が発生しますが、これもオーナーにとっての収入です。家賃収入が主な収入とはお伝えしましたが、賃貸契約に付随してさまざまな収入も見込めます。
アパート経営の初期費用
初期費用は、アパート経営の開始時にかかるもので、大きな出費となるのは物件購入費です。既に建築されている新築アパートを購入するのか、中古アパートを購入するのかによって、物件の購入費用が異なるので、初期費用は大きく異なります。
また、所有地にアパートを建築する場合や、土地の購入から始めてアパートを建築するかによっても、初期費用はだいぶ変わってきます。既存のアパートで経営するのか、新たに一から建てるのか、どちらにメリットがあるのか、利回りを計算しながら検討してみましょう。
アパート経営におけるランニングコスト
維持費(ランニングコスト)は、アパート経営をするために定期的に支払う費用です。支払う相手先と共に、主な費用を紹介します。
- 修繕費やメンテナンス費用:家賃収入の約7%をメンテナンスの委託会社などに支払う
- 固定管理費や清掃費:家賃収入の約5%程度を不動産管理会社に支払う
- 資産税/都市計画税:固定資産税評価額の1.7%を自治体に支払う
物件を所有しているだけでもかかる費用や、空室となった場合にかかる費用があります。
アパート経営で経費として計上できるもの
アパート経営で経費として計上できる費用は、初期費用や維持費(ランニングコスト)など、負担する費用のほぼ全てです。保険会社や司法書士、建築士などに支払った費用だけでなく、物件の取得時にかかった税金も費用として計上可能です。
確定申告時に注意したいのが、初期費用です。耐用年数などから計算式を利用して減価償却ができますが、中古物件の場合、耐用年数を超えたものについてはわずか数年しか減価償却費として計上できない場合があります。そのような点も加味して、できれば数年間の利回りを計算してみましょう。
利回りをチェックするときの注意点
アパート経営をするとき、物件選びに役立つのが利回りの値です。ここからは、利回りをチェックするときに気を付けておきたいことをピックアップして紹介します。
実質利回りで計算しているか
まずは、実質利回りで計算しているかどうかです。利回りは3種ありますが、アパート経営の運用計画を検討するのに必要な利回りは実質利回りです。
不動産会社が提示している利回りが実質利回りであるのか、しっかりチェックしましょう。購入費用や利回りなどをチェックし、気になる物件がある場合は、不動産会社に詳細を尋ねるのがおすすめです。
修繕費を差し引いているか
修繕費は、アパート経営において、さまざまな維持費の中でも高額になりがちです。この修繕費を加味せず計算されている利回りの場合、実際の利回りとは大きくかけ離れてしまいます。
アパート経営の運用計画を誤ってしまう可能性があるので、チェックが必要です。また、修繕計画もあわせて確認しておき、何年後に修繕費がいくらくらいかかるのかを加味した利回りも計算しておきましょう。
空室を想定して計算しているか
空室を想定して計算されている利回りかどうかもチェックしましょう。どんなに魅力的な物件であっても、複数の居室を運用している場合、空室期間がゼロになることはまれといえます。
なぜなら、入居者が退去した後には清掃やリフォーム、修繕などが必要になることがあるからです。修繕を担当する事業者の工期スケジュールや入居者の都合などにより月をまたいだ入居スケジュールになる場合もあります。
金利が上がることを想定する
現在は、空前の低金利状態が続いているといえます。これ以上、低金利にできない以上は、今後の金利は上がっていくことを想定しておいたほうがいいでしょう。金利が上昇することを想定し、上がった場合の利回りの計算もしておくと、いざ金利が上がったときに悲観的にならず、冷静に対処できるでしょう。
家賃の下落も想定しておく
人気エリアや駅近くのアパートを購入したとしても、オーナーの力の及ばない出来事で、家賃が下落する場合があります。例えば、学生街の中に物件があったのに、学校が移転してしまい需要が減り、家賃を下げざるを得ない場合もあります。また、アパート内で事件や事故が起きてしまうと、入居者が減ってしまい、家賃を値下げしないと入居者が埋まらなくなってしまう可能性もあります。
家賃の下落を想定した場合の利回りも計算しておくと、いざ、そのような事態に陥ったときにも慌てずに済むでしょう。そもそも、アパートなどの建物は、経年劣化を回避することはできません。築年数が建っていくと緩やかに家賃が下落していきます。その点も考慮して利回りを計算しておきましょう。
高利回り物件が「買い?」
利回りに注目して物件をチェックしていくと、高くても約5%の利回りが多い物件の中で、30%以上の利回りの物件に目を奪われることもあるでしょう。高利回りの物件の代表格に駐車場経営があります。
駐車場がなぜ高利回りかといえば、駐車場向けに土地を整地するなど、初期費用が低く抑えられるからです。しかし、駐車場の賃料は住居の賃料と比較すると多くの場所で低く抑えられているのではないでしょうか。高利回りであっても、1台あたりの賃料は少ないため、収益はさほど上がりません。
物件の広告に掲載されている利回りだけに注目してしまうと、高利回りの物件を選びたくなりますが、初期費用や賃料なども確認して、高利回りの値に踊らされないようにしましょう。
利回りをアップさせるコツ
利回りをアップさせるコツは、単純にいうと「収入を増やして維持費を減らすこと」です。収入を増やす方法は、いくつもあります。収入と維持費に分けて例を示します。
【収入を増やす方法】
- 新たにアパートを建てるのなら、居室数を増やせるように小さめの部屋にする
- アパートに駐車場などを設置し共益費をもらう
- 通り沿いに建つアパートであれば、敷地内に自動販売機を設置して収入減を増やす
【維持費を減らす方法】
- アパートの新築やリフォーム時に建築業者から相見積もりを取り、価格を抑えて施工する
- 物件の管理を任せる不動産会社の手数料を数社比較し、安価で質のいいサービスにする
上記は一例です。複数の方法を組み合わせれば、大幅に利回りをアップさせることも可能となるでしょう。
まとめ
利回りには想定利回り、表面利回り、実質利回りの3種がありました。それぞれの特徴や計算方法もマスターできたでしょうか。想像していたほど難しい計算式ではないと感じられた方も多いことでしょう。
しかし、重要なのは計算式に入れる項目です。できるだけ正確に収入や維持費を代入し計算をすることが、的確なアパート経営につながっていきます。
不動産会社の物件広告に掲載されている利回りに惑わされず、理想のアパートを見つけてアパート経営を始めましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久
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