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2022.09.12

不動産投資の「利回り」エリア別の平均相場とは?物件ごとの特徴と注意点

不動産投資の「利回り」エリア別の平均相場とは?物件ごとの特徴と注意点

不動産投資をする上で重要なのが「利回り」です。不動産に興味がある人なら、その言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。しかし中には「聞いたことはあるけれど、くわしくは知らない……」という人もいると思います。不動産投資で少しでも多くの収益を得たいと考えている人は、利回りについての基礎的な知識をしっかりと身につけておきましょう。この記事では、不動産投資においての「利回り」について解説します。基本的な考え方から平均相場までわかりやすくお伝えしていきます。さらに物件を見極めるポイントや注意点もあわせて紹介しますので、ぜひご一読ください。

この記事の目次

不動産投資の「利回り」とは

投資の世界で頻繁に登場する「利回り」は、「投資金額」に対する「収益」の割合を意味します。不動産投資では、「投資した物件」に対して「1年間で得られる収入や利益」の割合のことを「利回り」と呼んでいます。投資した物件によって、いくらぐらいの収益が見込めるかを読み取るための大切な数字です。物件の良し悪しを判断するには、利回りの数字だけで判断するのでは不十分です。利回りから読み取れる情報についても知っておくと良いでしょう。

不動産投資における利回りの種類

不動産投資の利回りには複数の種類があります。中でも「表面利回り」と「実質利回り」は、どちらも物件を判断するための重要な指標ですので覚えておきましょう。さらに「返済後利回り」と「自己資金投資利回り」についても説明しますので、あわせてチェックしてください。

表面利回り

不動産投資の利回りの中でも、最もシンプルなのが「表面利回り」です。別名「グロス利回り」とも呼ばれており、収益の目安を把握できる指標として知られています。不動産の物件情報に記載されている利回りは、表面利回りがほとんどです。表面利回りは以下の式で計算できます。

    1年間の家賃収入÷物件価格×100

数式からもわかる通り、物件を購入するための経費や管理費などが一切含まれていないのが特徴です。

実質利回り

「実質利回り」は不動産物件の実質的な利回りを示す数字で、別名「ネット利回り」とも呼ばれています。物件を購入するための経費や、不動産運用を続けるための管理費なども考慮されていることが、表面利回りと異なるポイントです。

実質利回りは以下の式で計算できます。

    (年間の家賃収入ー年間の諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

シンプルな計算式だった表面利回りと違い、計算式が複雑ですね。このようにさまざまな経費を含めて計算するため、現実的な利回りを算出できるのです。

その他の利回り

より具体的な利回りを知りたい場合は「返済後利回り」を用いると良いでしょう。実質利回りに含める年間経費に、ローンの返済額も加えたものが「返済後利回り」です。不動産を購入する際、多くの人がローンを組みます。ローンの返済額は大きな支出でもあるため、考慮して利回りを算出することで具体的な数値を確認できるのです。また、不動産に投資した自己資金が、利益にどのくらい反映されているかを知るためには「自己資金投資利回り」を計算しましょう。不動産投資では、ローンの組み方によって自己資金投資利回りの高い投資が可能です。不動産投資の魅力を活かすためにも、自己資金投資利回りは重要な数字と言えるでしょう。

表面利回りと実質利回りの考え方

物件の情報などで使用される表面利回りは、収益がどのくらい得られるのかを、大まかに把握できる指標です。例えば購入時に満室だったとしても、その後空室となる可能性もあり、毎年その利回りを維持できるかはわかりません。そういった事情を踏まえた上で、表面利回りはあくまでも目安として考えるようにしましょう。実質利回りは、固定資産税や都市計画税などの経費や、賃貸管理費などのランニングコストを差し引いて計算するため、表面利回りより正確な収益性を確認できます。不動産投資の収支プランを立てる場合、表面利回りを指標とするのは適当ではありません。実質利回りを指標に、不動産投資のプランを考えましょう。表面利回りと実質利回りは、不動産投資の基本中の基本です。特徴や違いをしっかりと理解しておいてください。

不動産投資物件ごとの利回りの特徴

不動産投資の物件情報を見てもわかるように、利回りは物件ごとに異なります。利回りには、立地や物件の状態などが大きく関わっているのです。ここでは、不動産投資物件ごとの利回りの特徴をチェックしていきます。利回りが高い物件もしくは低い物件には、それぞれ理由があります。物件ごとの利回りの特徴を知っておくことで、投資物件を探す際に役立つでしょう。

立地ごとの利回り

利回りには物件の価格が大きく影響します。前述したように、利回りは1年間の家賃収入を物件価格で割って算出します。このことからも、利回りに物件価格が影響することは容易に理解できるでしょう。駅から近いなど好条件な立地にある物件は、物件価格の相場が高いことが多いです。そのため、利回りは低くなる傾向があります。反対に、駅から遠かったり地方都市にあったりする物件は、物件そのものの相場が低いため、利回りが高くなりやすいです。立地がすべてと言われることもあるほど、不動産投資において立地は重要です。立地による利回りの特徴は、必ず覚えておきましょう。

新築・中古物件の利回り

賃貸物件を探す場合、「新築物件のほうが人気がありそうだし、利回りが高いのでは?」と思っている人は多いのではないでしょうか。しかし実は、新築物件と中古物件を比べると、中古物件のほうが高い利回りであることが知られています。なぜかというと、新築物件に比べ中古物件は物件価格が安いからです。表面利回りは「1年間の家賃収入÷物件価格」で算出するため、物件価格が安い中古物件は必然的に利回りが高くなるのです。とはいえ、中古物件は築年数が経つほど管理費や修繕費がかかります。将来的には中古物件よりも新築物件のほうが利回りが高くなる可能性もあるので、見極めが大切です。

物件の構造ごとの利回り

木造やRC構造など、物件の構造によっても利回りに特徴があります。利回りが高いとされるのが木造の物件です。木造の物件はその他の構造に比べ、価格が安い傾向にあります。それに加え、法定耐年数が22年とされているため、毎年多くの減価償却費を計上できます。このような理由から、木造の物件は利回りが高くなるのです。一方、利回りが低いとされるのはRC構造です。法定耐年数47年と長いRC構造は、建設費用がかかるため物件価格が高くなる傾向があります。そのため、利回りは低くなってしまいます。木造とRC構造の中間に位置づけられるのが、鉄骨構造です。鉄骨構造の法定耐年数は種類によって差があり、重量鉄骨なら34年、軽量鉄骨なら27年となっています。鉄骨構造の利回りが木造とRC構造の中間に位置づけられるのは、法定耐年数からも理解できるでしょう。

不動産投資における表面利回りの平均相場と理想

不動産投資のための物件を探す際には、物件による利回りの違いに加え、表面利回りの平均相場を知っておくことも大切です。ここからは、ワンルームマンションと一棟物件の表面利回りの平均相場を紹介します。東京と地方都市の利回りの比較や、目指したい理想的な表面利回りについても解説します。

ワンルームマンションの平均利回り

不動産投資初心者から人気を集めるのが区分マンションです。中でもワンルームマンションは初期投資や空室のリスクを抑えられるため、不動産投資の第一歩として選ぶ人も多いようです。東京都心部のワンルームマンション(築年数20年以内)の場合、平均利回りは4%〜5%半ば程度。5%前後であれば高い利回りと考えて良いでしょう。新築のワンルームマンションの場合、利回りは3%後半〜4%前後と平均より低くなります。反対に、築年数20年を超えた築古のワンルームマンションの場合、利回りは7%〜10%と平均より高くなる傾向があります。

一棟物件の平均利回り

アパートやマンションを一棟丸ごと購入する一棟投資は、大規模な不動産投資です。ワンルームマンションなどの区分マンション投資に比べて、平均利回りが高いというメリットがあります。木造一棟物件の場合、中古なら平均利回りは6%〜8%程度、新築なら5%〜6%程度です。利回りが8%程度ある中古の一棟物件は、投資を検討する価値があるのではないでしょうか。リノベーションなどを行って賃料を上げることで、さらなる利回りの向上も期待できるでしょう。

東京とそれ以外の地方における利回りの比較と理想

利回りは地域によっても差が見られます。物件価格が高い東京都心部の利回り相場は4%後半であるのに対し、大阪や名古屋など地方都市の利回り相場は5%を上回ると言われています。利回りの数字だけを見ると、東京都心部よりも地方都市のほうが魅力的に感じる人もいるでしょう。しかし、地方都市は物件価格が安く空室リスクが高いため、利回りが高くなりやすいのです。一方、物件が高い東京都心部は一見すると利回りが低いため、「収益を得るのが難しいのでは?」と思うかもしれません。ですが、東京都心部は物件の借り手が多く、空室リスクが低いです。そのため安定した収益を得やすいと言えるでしょう。このように利回りだけではわからない情報もあるため、利回りだけに注目して不動産投資をすることはおすすめできません。とはいえ、利回りは不動産投資において指標となる数字であることは確かです。相場の1%〜2%プラスした利回りを理想として、物件を探してみると良いでしょう。

利回りが高くても避けるべき物件

利回りが高い物件は魅力的に感じるものです。そのような物件を見つけたらすぐに投資したくなる人もいるでしょうが、利回りの高さだけで物件を決定するのは安易過ぎます。利回りの高さだけで不動産投資をはじめてしまうと、思うような収益が得られない場合もあるため注意が必要です。たとえ理想の利回りより高かったとしても、避けるべき物件が存在します。ここからは見極めが必要な物件を解説していきます。

借地権物件

「借地権」とは、建物を所有することを目的に、土地代を払って他人の土地を借りる権利です。つまり不動産投資として建物は購入できますが、毎月地主へ土地代を支払う必要があります。借地権物件は物件を所有している間に限らず、物件を手放したいときにも手間や費用がかかります。売却する場合は、地主から借地権譲渡の承諾を得なければならず、名義変更料も必要となるのです。その上、借地権物件の場合、融資を受けられない場合も多く見られます。そのため売却時には、自己資金で購入できる程度の価格まで下げなければならない可能性もあります。
ランニングコストがかかる上に売却も難しい借地権物件は、利回りが高い場合でも避けるのが無難でしょう。

旧耐震基準で建てられた物件

日本では1981年6月に、建物の耐震基準が大幅に見直されました。それ以前の基準を「旧耐震基準」、それ以降の基準を「新耐震基準」と呼びます。旧耐震基準の物件は1981年6月以前に建てられているため、築年数が古いです。物件価格の安さから利回りが高くなる傾向があります。確かに高い利回りは魅力ですが、耐震性や耐久性に不安があるため人気物件になる可能性は低いでしょう。しかし中には、耐震補強工事を行っている旧耐震基準の物件もあります。そのような物件は需要が高いため、収益を得られる見込みがあると判断できます。旧耐震基準で建てられた物件は基本的に避けるのがおすすめですが、管理状況によって検討する余地はあるでしょう。

利便性が悪い

利便性が悪い物件はそもそもの物件価格が低いため、利回りが高くなりやすいです。「利便性が悪い」とは、駅まで歩いて30分以上かかったり、近くにスーパーや病院がなかったりといった条件を意味します。利便性が悪い物件はあまり人気がないため、空室を埋めるのに苦労します。不動産仲介会社に入居者を見つけてもらうこともできますが、手数料や広告費などでかえって出費がかさんでしまうこともあるでしょう。利便性が悪い物件は収益を確実に得ることが難しいため、避けるのが無難です。

空室が多いまたは空室率が高い

不動産投資を成功させる上で、大きな鍵となるのが空室状況です。いくら利回りが高い物件でも、空室ができてしまうと家賃収入はありません。空室になる原因としては、家賃が高い、設備が充実していないなど物件そのものに問題がある場合があります。また、周辺に魅力的なマンションがある場合も、空室ができる原因になり得ます。物件そのものだけでなくエリアや立地なども考慮し、空室率の低い物件を見極める必要があるでしょう。

管理費・修繕積立金が高い

管理費とは、マンションなどの共有部分を維持したり管理したりするためのお金です。また修繕積立金とは、大規模な修繕工事に向けて毎月積み立てておくお金です。物件情報で掲載されている利回りは表面利回りであるため、管理費や修繕積立金などの諸経費は考慮されていません。いくら利回りが高い物件でも、管理費や修繕積立金が高いと出費が多くなります。その結果、実質利回りが極端に低くなる可能性があるため、注意が必要です。

管理状態が悪い

価格が安い中古物件は利回りが高く、不動産投資でも人気があります。しかし、利回りの高い中古物件で気をつけたいのが管理状態です。管理状態が行き届いた物件なら問題はありません。しかし管理状態が悪い中古物件は、早々に修繕やリフォームが必要になる場合があります。そうなると収益が得られる前に、想定外の大きな出費となりかねません。管理状態は利回りなどの数字からは読み取れませんので、自分でしっかりとリサーチし、見落とさないようにしましょう。

利回りが低くても検討するべき物件

利回りが高くても注意が必要な物件を紹介しました。一方で、利回りが低いからといってすぐに選択肢から除外するにはもったいない物件があるのも事実です。ここからは、利回りが低くても検討すべき物件を紹介します。利回りだけでは見劣りしますが、条件によっては魅力的な物件もあります。賢く不動産投資をするなら、覚えておいて損はないでしょう。

立地条件が特に良い

駅から遠いなど立地に恵まれていない物件に比べると、立地条件の良い物件は利回りが低く、数字だけでは見劣りしてしまいます。しかし、主要鉄道沿いの場所や駅から近い場所など、立地が特に良い物件は人気があるため、空室率が少ないという大きな強みをもっています。利回りが低くても常に満室の状態を維持できれば、安定した収益が見込めるでしょう。地方なら大型ショッピングセンターや大学から近い物件は、立地条件が良いと言えます。利回りが理想より低くても立地条件が抜群に良い物件の場合は、検討してみても良いでしょう。

築年数が浅い

築年数が浅い物件は物件価格が高いため、利回りは低くなってしまいます。けれども、このような物件は、きれいで設備が充実しているため人気があり需要が高いです。空室率が低くなることが予想されるため、安定した収益も期待できます。築年数の浅い物件は、利回りが低くても検討する価値はありそうです。

上層階や角部屋等付加価値がある

同じマンションの中でも、眺望が保たれることや災害時に押しつぶされるリスクが少ないことから、上層階は人気があります。そのほか、3方向から採光できる角部屋も、日当たりが良く明るいといった理由で好まれやすいです。上層階や角部屋を好む人のニーズに応えるべく、賃貸物件サイトには、このような条件を設定して検索できる機能をもつものもあります。それほどまでに、上層階や角部屋の物件は付加価値があると言えるのでしょう。付加価値がある物件は探している人も多いため、空室率を下げる効果が期待できます。特にワンルームマンション投資をする場合は、利回りが低くても付加価値がある物件を選ぶことがおすすめです。

まとめ

利回りには複数の種類が存在します。不動産投資初心者ならまず、表面利回りと実質利回りについてしっかりと理解しましょう。これらは物件を見極める際の指標となります。ですが、投資物件を探す場合は利回りだけに注目するのではなく、立地条件やランニングコストなど、さまざま条件を含めて検討する必要があります。しっかりと物件を見極め、賢く不動産投資をしましょう。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
佐藤 元則

小田急グループの総合力を活かしながら、これまで幅広く不動産実務を経験して参りました。現在は、本社営業センターの責任者を務めております。私たちの発信が人生100年時代の選択肢を広げるきっかけになれれば大変うれしく思います。 著者の記事一覧はコチラ
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