不動産投資 税金関係
2023.09.25

不動産売却の税金の計算の仕方は?節税のポイントをご紹介

不動産売却の税金の計算の仕方は?節税のポイントをご紹介

不動産を売却すると、どのような税金がかかるのでしょうか。不動産売買では大きな金額のやり取りが発生するため、税額も無視できない額です。おさえておくべき代表的な税金、計算や納付の方法についてくわしく解説します。具体的な納付事例も紹介するので、実践で役立つ知識になるよう理解を深めていきましょう。これから不動産の売却を予定している方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の目次

不動産売却にかかる税金は3種類

不動産売却にかかる税金には、納付順に「印紙税」「譲渡所得税」「住民税」の主に3種類があります。とくに「譲渡所得税」は、はじめて見るという方もいるのではないでしょうか。まずは「こんな税金がかかるもの」と概要をおさえてみてください。3種類の税金についてくわしく見ていきましょう。

1.印紙税

印紙税は、課税文書に課せられる税金です。不動産の売却においては、売買契約書がこの課税文書に該当します。収入印紙を各自購入し、売買契約書に貼付するという方法で納付しましょう。印紙税額は売買契約の額によって決定します。たとえば、契約金額が1,000万円より大きく5,000万円以下の売買契約の場合、1万円の収入印紙が必要になります。売却価格が500万円~1億円の一般的な不動産売買であれば、5千円~3万円程度に収まると覚えておけば良いでしょう。印紙税には軽減措置が適用されるため、法改正によって変動する場合があります。最新の額を知りたい方は国税庁のホームページから情報を入手しましょう。
(参考:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置 | 国税庁 タックスアンサー)

2.譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産売却で得た利益に課せられる税金で、所得税に分類されます。土地や家、マンションなどの不動産を売却、つまり譲渡することで得た利益を譲渡所得と呼びます。譲渡所得は給与所得や事業所得(以下、その他所得)と同じように、個人の所得とみなされるため確定申告が必要です。売却額が取得費用を下回るなど、譲渡所得が発生しなかった場合は支払う必要がありません。

計算方法が複雑で、売却額などの主に以下の項目の値に応じて納税額が計算されます。

  • 売却額
  • 不動産の取得費用
  • 譲渡費用
  • 譲渡所得額
  • 特別控除額
  • 保有期間に準ずる税率

譲渡所得の計算方法については後ほど説明します。

3.住民税

前述した譲渡所得には住民税も課せられます。譲渡所得の確定申告によって自動的に住民税が計算され、6月以降に課税されます。譲渡所得税と同じように、譲渡所得が発生しない場合は納付する必要がありません。住民税は地方税ですが、住んでいる地域や前年の所得額ではなく不動産の所有期間によって税率が変動します。所有期間が5年を超えるか否かによって、税率が5%もしくは9%のいずれかになると覚えておくと良いでしょう。くわしい計算方法については、譲渡所得の計算方法とあわせて説明します。

利益が出たときは「譲渡所得税」と「住民税」が必要

譲渡所得税の説明でも触れたとおり、譲渡所得を得た場合は、確定申告を行い譲渡所得税と住民税を収める必要があります。

おさえておくべきポイントは次の3つです。

  • 譲渡所得
  • 課税譲渡所得の額
  • 不動産の所有期間・特別控除の有無

基本的には、3,000万円より多く譲渡所得が発生した場合に納付する税金と覚えておくと良いでしょう。それぞれの計算方法を見てみましょう。

「譲渡所得」と「課税譲渡所得」の計算方法

譲渡所得のうち、課税対象となるものを課税譲渡所得と呼びます。はじめに譲渡所得を計算し、そこから特別控除額を差し引くことで課税譲渡所得が算出されます。課税譲渡所得に税率を乗ずることで、支払う税額が決まるという順序がポイントです。
譲渡所得税の計算式は次の通りです。
(1) 譲渡所得 = 譲渡価格 – 建物の取得費(※1) – 譲渡費用(※2)
(2) 課税譲渡所得 = 譲渡所得(1)- 特別控除額
(3) 譲渡所得税 = 課税譲渡所得(2)x 税率

※1 建物の取得費には以下の費用が含まれます。

  • 不動産の購入金額
  • 不動産購入で支払った納税額
  • 仲介手数料
  • 建築費用
  • 設備費用
  • 建物の減価償却費

※2 譲渡費用には以下の費用が含まれます。

  • 仲介手数料
  • 土地の測量費用
  • 住替え前の住宅に関する立退料
  • 建物の解体費用

たとえば、売却直前まで10年間住んでいたマイホームを売却したケースで見てみましょう。

(1) 譲渡所得 = 5,000万円(諸経費の計算は割愛)
(2) 課税譲渡所得 = 5,000万円 – 特別控除額3,000万円 = 2,000万円
(3) 譲渡所得税 = 2,000万円 x 税率20.315% = 406万円

複雑な計算式ですが、覚える必要はありません。

確定申告をする際に、国税庁のホームページから利用できる「確定申告書作成コーナー」を使うことでスムーズに申告書を作成することができます。

減価償却費の計算方法

前項で説明した計算式にある「建物の取得費」の算出には、建物の減価償却費の値が必要です。土地には経年劣化という概念がないため、減価償却費は建物を含む不動産の売却時にのみ算出します。所有期間が長ければ長いほど、減価償却費も大きくなるという点がポイントです。減価償却費の計算式は次の通りです。

・ 減価償却費 = 建物の取得費 x 0.9 x 償却率(1) x 経過年数(2)
※小数点以下は「1」にくり上げます。

(1)償却率
建物の主な建材によって変動しますが、代表的な以下2つをご紹介します。

・鉄筋コンクリート造の場合:0.015
・木造建築の場合:0.031

(2)経過年数
半年ごとに繰り上げされるので注意が必要です。

たとえば、所有期間が2年4か月の場合は「2年」、2年6カ月の場合は「3年」で計算します。

新築木造のマイホームを5,000万円で購入し、売却直前まで9年半住んで売却したケースで見てみましょう。

5,000万円 x 0.9 x 0.031 x 10年 = 1,395万円

この場合、9年半で1,395万円を減価償却したことになります。

不動産売却の税金を計算するときのポイントは?

不動産の売却に際して納付する税金の計算には、押さえておくべきポイントが3つあります。

  • 不動産の所有期間が5年を超えている。
  • 確定申告が必要な条件に該当している。
  • 特別控除が適用される条件に該当している。

ポイントを絞って知識を付けておけば、売却を進めるにあたっても安心です。それぞれについて見ていきましょう。

所有期間が5年超えているか

譲渡所得税は、課税譲渡所得に税率を乗じて算出します。

この課税譲渡所得には長期と短期の2つの区分があります。

売却年1月1日時点でその不動産の所有期間が5年以下の場合は短期に、5年を超える場合は長期に区分されます。それぞれの税率をまとめると次の通りです。

  • 短期譲渡所得の税率:39.63%(所得税30.63% + 住民税9%)
  • 長期譲渡所得の税率:20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)

※2037年までは所得税に対して復興特別所得税(2.1%)が加わります。

所有期間が5年を超えると税率が約半分になる点がポイントです。たとえば、課税譲渡所得が5,000万円の場合で見てみましょう。譲渡所得税は短期の場合は1,982万円、長期の場合が1,016万円となり、倍近い差が生じます。しかし、不動産価値の変動を加味すると、5年経過を待ってから売却することが必ずしも得策とは言えない点には注意が必要です。

会社員でも確定申告が必要

譲渡所得税は分離課税に分類されているため、その他所得とは別に確定申告をする必要があります。このため、会社の年末調整とは別に、自分で確定申告をする必要がある点に注意が必要です。確定申告の受付期間は約1か月間しかなく、例年、申告期日は3月15日に設定されています。不動産を売却した翌年の3月15日までに申告を終えられるよう、事前に準備を進めておきましょう。確定申告に必要な書類は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」から、案内に従って数値を入力していくことで作成できます。

手書き用の原稿書類もダウンロードができますので、手書きあるいは電子入力のどちらかで作成しましょう。
(参考:所得税の確定申告 | 国税庁ホームページ)

税額は条件によって大きく変動する

譲渡所得税は売却時の条件によって納付額が大きく変動します。売却額やその所有期間によって特別控除の適用範囲が異なるためです。譲渡所得の額に比例して納税額が高くなるといった特徴も影響しています。不動産を売却する際には、その時点で適用可能な特別控除について把握しておくようにしましょう。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」から、電子入力によって確定申告書のデータを作成できます。事前に作成して保存しておくこともできるので、事前に税額についてシミュレーションしてみるのも良いでしょう。

不動産売却の税金事例

実際の計算例を見ながらより理解を深めていきましょう。次に示すよくある2つのパターンについて具体的な計算例をご説明します。控除が適用されるか否かに注目してみてください。

住まなくなって5年経過した築12年の居住用マンションの売却

住まなくなって5年経過した築12年の居住用マンションの売却の場合、住まなくなってから5年経過しているため「3,000万円特別控除」が適用されません。売却額4,200万円でマンションが売れたことを想定して、譲渡所得税を計算してみましょう。

    (1)譲渡所得 633万4,000円
    計算式:譲渡価格 4,200万円 – 建物の取得費 3,427万円 – 譲渡費用 139万6,000円

    内訳:
    ・譲渡価格
    売却額 4,200万円 + 固定資産税清算金 10万円 = 4,210万円
    ・減価償却費
    建物の取得費 2,300万円(※)x 0.9 x 0.015 x 12 = 373万円
    ※マンション価格の建物部分の金額
    ・建物の取得費
    マンション購入価格 3,800万円 – 減価償却費 373万円 = 3,427万円
    ・仲介手数料
    売却額 4,200万円 x 3% (一般的な仲介手数料率) x1.1 (消費税) = 138万6,000円
    ・譲渡費用
    仲介手数料 138万6,000円 + 印紙税 1万円 = 139万6,000円

    (2)課税譲渡所得 633万4,000円
    計算式:譲渡所得 633万4,000円 – 特別控除額 0円
    (3)譲渡所得税128万6,000円
    計算式:課税譲渡所得 633万4,000円 x 20.315% (長期譲渡所得の税率)
    ※100円未満切り捨て

つまり、この場合の譲渡所得税は【128万6,000円】ということになります。
※2022年7月時点の情報です。

所有期間4年、購入価格3000万円のマンションを5000万円で売却

所有期間4年、購入価格3,000万円のマンションを5,000万円で売却の場合「3,000万円特別控除」が適用されます。
譲渡所得が3,000万円を超えるのかに注目しながら計算してみましょう。

・譲渡所得 1,979万円
計算式:譲渡価格 5,010万円 – 建物の取得費 2,865万円 – 譲渡費用 166万円

内訳:
・譲渡価格
売却額 5,000万円 + 固定資産税清算金 10万円 = 5,010万円
・減価償却費
建物の取得費 2,500万円(※)x 0.9 x 0.015 x 4 = 135万円
※マンション価格の建物部分の金額
・建物の取得費
マンション購入価格 3,000万円 – 減価償却費 135万円 = 2,865万円
・仲介手数料
売却額 5,000万円 x 3% (一般的な仲介手数料率) x1.1 (消費税) = 165万円
・譲渡費用
仲介手数料 165万円 + 印紙税 1万円 = 166万円

つまり、譲渡所得が最大控除額3,000万円を下回ったため、課税譲渡所得が0円になり、納税する必要がありません。

※2022年7月時点の情報です。

不動産売却の税金を節税できるポイント4つ

不動産売却の節税には次の4つのポイントが欠かせません。

  • 3000万円特別控除
  • 軽減税率の特例
  • 買い替えの特例
  • 相続した空き家の3000万円特別控除

居住用の物件:3000万円特別控除

「3,000万円特別控除」は、マイホームを売却したときに適用できる特例です。賃貸物件には適用されません。

この特例を利用すると、譲渡所得から最大3,000万円が控除されます。

主な適用条件は次の通りです。

  • 過去2年以内に「3,000万円特別控除」を受けていないこと。
  • 住まなくなった日から3年目の12月31日を経過していないこと。
  • 家屋を取り壊した日から1年以内であること。
  • 契約者同士が親子や夫婦でないこと。

事例にもあったように、譲渡所得が3000万円以下であれば譲渡所得税を納付する必要がなくなります。

しかし、この控除を受けた場合は後3年間、住宅ローン控除が受けられなくなるため、マイホーム買い替えなどの場合には注意が必要です。

所有期間10年超の物件:軽減税率の特例

「軽減税率の特例」は、マイホームの所有期間が10年を超えている場合に適用できる特例です。

この特例を利用すると、課税譲渡所得のうち6,000万円まで軽減税率14.21%(所得税10.21% + 住民税4%)が適用されるため、大きく節税できるでしょう。6,000万円を超える課税譲渡所得には本来の税率20.315%が適用されます。

主な適用条件は次の通りです。

  • 過去2年以内に「軽減税率の特例」を受けていないこと。
  • 売却年の1月1日において、所有期間が10年を超えていること。
  • 住まなくなった日から3年目の12月31日を経過していないこと。
  • 家屋を取り壊してから1年以内であること。
  • 契約者同士が親子や夫婦でないこと。

その他条件については、国税庁のホームページで最新の情報を確認してください。この特例は、前述の「3,000万円特別控除」と重ねて受けることができます。課税譲渡所得が3,000万円を超える場合に利用しましょう。

特定居住用の物件:買い替えの特例

「買い替えの特例」は、買い換えたマイホームの金額が売却したマイホームより高い場合に適用できる特例です。この特例を利用すると、売却したマイホームの譲渡所得に対する納税を、買い換えたマイホームを売却するまで延期することができます。

主な適用条件は次の通りです。

  • 買い換えたマイホームが日本国内にあること。
  • 売却代金が1億円以下であること。
  • 家屋を取り壊した年の1月1日において所有期間が10年を超えていること。
  • 住まなくなった日から3年目の12月31日を経過していないこと。
  • 家屋を取り壊した日から1年以内であること。

その他条件については、国税庁のホームページで最新の情報を確認してください。

なお、売却したマイホームより買い換えたマイホームの金額が低い場合は、その差額が譲渡所得とみなされ税金が課せられます。

相続した空き家の3000万円特別控除

この控除は、相続した空き家を売却する場合に適用できる特例です。

この特例を利用すると、譲渡所得から最大3,000万円が控除されます。

主な適用条件は次の通りです。

  • 昭和56年5月31日以前に建築されていること。
  • 区分所有建物登記がされている建物でないこと。
  • 相続の開始直前において、被相続人以外に居住者がいないこと。
  • 相続の開始があった日から3年目の12月31日を経過していないこと。

売却時に一定の耐震基準を満たしていること。

その他条件については、国税庁のホームページで最新の情報を確認してください。

まとめ

今回は、個人が不動産を売却した場合に納付する税金について解説しました。不動産売却において、売却金がそのまま手元に残るわけではありません。正確な税額が知りたいという方は、不動産会社や税理士に相談することも考えてみてください。売却後に必要な作業や資金について事前に想定しておくことが大切です。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久

「一期一会」がモットーです。これまでの投資不動産の売却・購入・資産の入れ替えの実務を通じて得られた知見を、少しでも、皆様に、わかりやく、丁寧にお伝え出来たらと思っております。 著者の記事一覧はコチラ
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