不動産投資ローンと住宅ローンはどう違う?初心者でも挑戦できるか徹底検証
住宅ローンを組んだことがある方でも、不動産投資ローンを組んだことがある方は少ないのではないでしょうか。不動産投資を始めようとする場合、自己資金を十分蓄えていない方は、不動産投資ローンを利用しないと、投資用物件を購入できないかもしれません。不動産投資に興味のある方や不動産投資ローンを利用する可能性のある方は、あらかじめ知識を得ておきましょう。不動産投資ローンよりも身近な住宅ローンと比較しながら、その特徴を解説します。
この記事の目次
そもそも、ローンとは?
ローンとは英語単語「Loan」が語源の言葉で「貸し付け」や「貸付金」という意味を持ちます。日本人にはかなり浸透した言葉ですね。自分や家族が住む住宅を購入する時に組む住宅ローンのほかにも、自分で運転する自動車を買う時に設定するマイカーローンなど、耳にすることも多いでしょう。融資を受けた金額を返済月数で割った金額に加え、金利を毎月支払っていきます。住宅や自動車は価格が高いため、一括払いでなく、ローンを使う方が多いのです。ものの価格にどうしても目が行きがちですが、金利の額は金融機関によって異なるので、よくチェックしておく必要があります。住宅ローンの返済などは「金利分の返済ばかりで、なかなか本体価格の返済にたどり着かない」などという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。金利は小さな数字に見えますが、高額なもののローンを組むと、どうしても返済期間が長期間になるため金利分の返済額も大きくなります。
不動産投資ローンと住宅ローンの相違点
不動産投資ローンと住宅ローンは「住宅を購入する」時に利用するローンである点は同じです。そのほかに、不動産投資ローンと住宅ローン、ほかにどのような類似点や相違点があるのでしょうか。
不動産投資ローンの特徴
不動産投資ローンは、不動産投資を行って、収益を得るための物件に組むローンです。投資用の不動産を購入する際は、住宅ローンではなく不動産投資ローンを組む必要があります。購入した不動産を賃貸するなどして、入居者から毎月の家賃を得て、その収入からローンの返済をしていきます。不動産投資ローンで融資を受けられる金額は、年収の10倍程度、多い場合は20倍が上限といわれています。たとえ、不動産投資ローンを初めて組む場合でも、年収600万円の人が10倍なら6,000万円、20倍なら1億2,000万円の借り入れができるのです。不動産投資ローンには、さまざまな条件が付されています。賃貸経営をする物件の収益性や、サラリーマンの方であれば会社の給与や貯蓄も検討材料に加えられます。
不動産投資ローンの気になる金利は、年利1.5%から4.5%程度と、住宅ローンと比較すると高めの傾向です。なぜなら、購入した不動産物件で賃貸経営をする場合、入居者が常にいて満室状態を保てるとは限らないからです。空室のままで家賃収入がなかったり、家賃を下げざるをえない事態が生じたりすることがあれば、金融機関がローンを貸倒れしてしまうリスクが生じます。このため、需要の多いエリアにある築浅物件なら、常に安定した収益が見込める物件の場合、不動産投資ローンでも金利が低くなる傾向にあります。融資の審査を行う基準は金融機関により異なるため、同じ物件であっても金融機関によって審査が通ったり、逆に通らなかったりする可能性も高いです。さらに、不動産投資ローンの特徴として、住宅ローンとの大きな違いは、法人名義で契約をすることが可能なこと、さらに、物件内容によってはシニアの方でも融資をしてもらえる場合があります。
住宅ローンの特徴
住宅ローンによる借り入れを経験している方には、あえて説明不要かもしれませんが、不動産投資ローンとの大きな違いは「自分が住むため」の住宅の購入や増改築に使うためのローンです。返済のための原資は、サラリーマンの方であれば給与収入ですから、住宅ローンの融資金額は、年収の5倍から8倍が上限とされています。収入から融資金額を決めていくため、金融機関は貸し倒れのリスクが少ないといえます。
そのため、住宅ローンの金利は、年利0.5%から2.0%程度と、不動産投資ローンよりも大分低く抑えられています。ただし、住宅ローンの融資審査は、現在の収入だけでなく、会社の勤続年数のほか、貯蓄額、他社での借り入れの有無、金融トラブルなどがないかなど、細かく調べられます。個人の給与収入を原資にしたローンですので、借り入れ年齢の上限は、会社の定年退職制度と合わせて65歳から70歳未満程度に設定されています。
住宅ローンで投資用不動産を購入できるか
不動産投資ローンと住宅ローンの特徴を知った方は「金利の低い住宅ローンで投資用の不動産を購入できたらいい」と感じることでしょう。住宅ローン金利は年利0.5%から2.0%程度、不動産投資ローン金利は年利1.5%から4.5%程度と、条件によっては4%ほども開きがあるからです。しかし、住宅ローンで投資用不動産を購入することはできません。投資用物件の購入に住宅ローンを利用するのは、金融機関が定める住宅ローン規約を違反してしまう行為です。金融機関は、住宅ローン契約時だけでなく、住宅ローン契約後も継続して規約違反となっていないかチェックをしています。規約違反となってしまった場合、ローンの一括返済を求められたり、詐欺罪に問われたりする可能性もあります。くれぐれも「住宅ローンで投資用不動産を購入しよう」などと考えないようにしましょう。ただし、自分が住むために購入した物件であっても、何らかの事情で住めなくなって、他者に貸すといったこともあるでしょう。そのようなやむを得ない場合には許容されることもあるようです。
先に組むのはどちら?不動産投資ローンと住宅ローン
不動産投資ローンと住宅ローン、どちらも組みたいと考えている場合にはどちらを優先させればいいでしょうか。「自分の住まいもない状態なのに、誰かの住まいを優先させるなんて……」と不安に思う方もいるかもしれませんが、おすすめは不動産投資ローンを先に組むことです。なぜなら、金融機関は、投資用物件からの家賃収入を所有者の所得とみなす場合が多いからです。年収によって住宅ローン融資の上限金額は決まりますので、年収が増えれば、住宅ローンの融資金額も増額できる可能性があります。先に住宅ローンを組んだ場合は、個人の借り入れ金額に計上されてしまうので、不動産投資ローンの融資額が減額されてしまいます。金融機関によって審査内容が異なりますので、上記を念頭に置いた上で、融資の前に事前に相談をしてみましょう。
不動産投資でローンを組むといい理由3つ
投資用物件をローンで購入するには不動産投資ローンを利用することが分かったところで、今度は、ローンを組むメリットについて考えてみましょう。不動産投資でローンを組むといい理由はいくつもありますが、主なものを3つ挙げます。
住宅ローンと同様に団信に入れる
住宅ローンを組んだ経験がある方や住宅ローンを検討したことがある方は「団信(だんしん)」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。住宅ローンだけでなく、不動産投資ローンでも団信(団体信用生命保険)に加入できます。不動産投資においても、団信に入れることは大きなメリットがあります。団信とは、借り入れをした方が、ローンの完済前に病気や事故で亡くなった場合、ローン残債を弁済してくれる保険制度のことです。つまり、借り入れをした方が亡くなってしまったら、それ以上、ローン返済をしなくてもいいのです。不動産投資家が亡くなったとしても、投資用物件を維持して収入を継続的に得られるため、家賃収入で暮らしている場合などは、家族が路頭に迷わずに済むでしょう。メリットの大きい団信ですが、生命保険であるため、加入条件が定められていたり、告知義務などもあったりしますので、誰もが入れるとはいえません。健康状態に不安のある方は、特に注意が必要です。
手持ち資金を修繕費に当てられる
不動産投資ローンを使って物件を購入すれば、手持ち資金を修繕費に充てられます。築年数の経過した投資用物件の場合、経年劣化によりサッシや水回りなどの不具合が生じる場合があります。そのような時、大家は修繕をしなくてはならないため、手持ち資金が必要です。たとえ、新築物件や築浅物件を購入した場合でも、欠陥があったり、地震や風災害などの影響を受けたりして修繕しなくてはならない事態も全く起こらないとはいえないでしょう。全資産を投入して投資用物件を購入してはいけないのです。また、投資用物件を手にすれば、家賃収入がすぐに入ってくるイメージがありますが、入居者がいなければ、収入は入ってきません。不動産会社に管理を委託したり、物件情報を認知してもらうために広告費なども必要となったりする可能性もあります。手持ち資金の目安としては、自分の収入の3カ月分程度を用意しておくといいでしょう。
レバレッジ効果がある
不動産投資ローンを使えば、自己資金だけでは購入できない物件も、銀行からの融資を加えることで手に入れられるというレバレッジ効果も魅力です。誰もが住みたいと思うような魅力的な物件は、当然、安くはない価格設定となっていることが大概です。しかし、そういった物件だからこそ、安定的に大きな家賃収入も見込めます。レバレッジを効かせれば、魅力の高い物件の購入も可能です。ただし、レバレッジ効果を使うのなら、できるだけリスクを低く抑え、さらには高いリターンを望むことでしょう。そのような場合には投資物件選びや紹介をしてもらう不動産会社選びも大切です。
初心者は不動産投資ローンを組めるのか
不動産投資ローンを組んで物件を購入することにはレバレッジ効果もあり、魅力があります。しかし、誰でも不動産投資ローンを組めるのかという点が気になる方も多い様です。誰もが知りたい、不動産投資ローンの疑問に答えます。
年収いくらなら不動産投資ローンが可能?
まずは、年収いくらなら不動産投資ローンが可能かという点です。その答えは「金融機関によって異なる」です。年収ごとに融資が可能な金融機関を紹介します。
- 年収500万円以下
- 年収500万円以上
- 年収700万円以上
- 年収1,000万円以上
政府系の金融機関「日本政策金融公庫」や政府と組合の共同出資で設立された「商工中金(商工組合中央金庫)」などです。
民間の金融機関まで間口が広がり、地方銀行などでも融資の可能性が出てきます。
上記に加え、ネットバンクなどからの融資も見込めます。
厳しい基準を設けているメガバンクからの融資の可能性も高まります。
年収が500万円に満たない場合でも、融資を受けることは可能ですが、希望する物件に融資してもらえなかったり、融資の条件が良くなかったりする可能性があります。不動産投資ローンを組むには一般的には年収700万円以上の方が望ましいとされています。
年収の10倍が融資可能額
年収の10倍程度の融資が不動産投資ローンの一般的な融資額といわれていますが、金融機関の条件などによっても異なります。また、金融機関によって、借り入れる方の資産状況を重視したり、勤務先の知名度や規模を重視したりと、チェックするポイントはさまざまです。
住宅ローンのように頭金があるといい
住宅ローンと同様に、不動産投資ローンでも頭金があるといいとされています。その理由は、もちろん頭金を入れた分、ローン総額が減るため月々の返済額が少なくなる効果もありますが、融資が通りやすくなる効果もあります。頭金を提示すれば、自己資金を用意していることを示すことができ、完済する覚悟があることも伝えられます。また、頭金を入れることで、年収に対する返済額の割合を下げられるため、ローン審査が通りやすくなるという効果も見込めます。
個人や勤務先の信用が融資に色濃く影響
金融機関の中には、勤務先の知名度や規模を重視するところもあると伝えましたが、その理由は、倒産のリスクが低いことにあります。大手企業勤務をはじめ、地方公務員や教師、医師などは、勤務先が倒産するリスクが低いため、金融機関にとって融資を貸し倒れるリスクも少ないといえます。借り入れる方の収入や資産、クレジットカードの申し込みや請求、支払い情報などもチェックされますが、会社の勤続年数もよくチェックされるポイントです。
審査は住宅ローンより長くかかる
不動産投資ローンの審査は、住宅ローンより長くかかるのが通例です。事前審査から、融資を受けるまで早くて1週間、長い場合は数カ月間かかる場合もあります。まず、物件と借り入れ希望者の膨大な資料をチェックする事前審査が行われます。次に、物件と借り入れ希望者が銀行の条件と合うかを確認する本審査という流れです。本審査では銀行員との面談の機会もあり、物件の活用方法についてなどを確認されます。
事前審査と本審査をクリアしたら、ようやく融資が受けられます。2、3日で審査を通過する事例もあると耳にしたことがある方もいるかもしれません。
しかし、それは、ベテラン投資家の案件などで準備に手慣れていたり、複数物件の運用で信用があったりする場合の話です。初心者の方は、1カ月以上はかかると考えてもいいでしょう。
初心者が挑戦するならプロに頼るのもあり
初心者が不動産投資に挑戦するなら、その道のプロに頼ることをおすすめします。予算に合った物件選びから、融資が可能な金融機関のアドバイス、融資審査の資料準備まで、さまざまなサポートを受けられます。
最短コースで不動産投資を始められるでしょう。
まとめ
住宅ローンと不動産投資ローンの違いを確認できたでしょうか。住宅ローンと同じ感覚で不動産投資ローンを捉えていた方には目からうろこの情報ではないでしょうか。不動産投資ローンを上手に活用しながら、リターンの大きい投資物件の購入も検討してみましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久
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