マンション経営に役立つ資格は?成功に必要な知識と取得難易度も解説

マンション経営を成功させるには、物件選びや入居者対応だけでなく、法律や税金、建物管理など幅広い知識が求められます。こうした知識を効率よく身につける手段として、資格の取得が注目されています。
宅建士や賃貸不動産経営管理士など、実務に役立つ資格を持つことで、経営判断の精度が上がり、信頼性も高まるでしょう。
マンション経営に役立つ主な資格とその内容、取得の難易度、そしてどんな知識が経営に活かされるのかをわかりやすく解説します。
この記事の目次
マンション経営に資格は不要だが、あると役立つ
マンション経営は必ずしも資格が必要なわけではありません。しかし、資格を取得することで経営に関する専門知識が体系的に身につき、リスク管理や効率的な運営に役立つことが多いのも事実です。
特に、次のような知識はトラブル防止や収益最大化に直接つながります。
- 法律
- 税務
- 賃貸管理
取得をおすすめする資格は、マンション管理士や賃貸不動産経営管理士です。資格を取得するための学びは、法律面や賃貸管理の実務の正確な理解につながり、結果として適切な判断が下せるようになります。
そのため、不動産投資の失敗リスクが軽減できますので、資格は大きな強みとなるのは間違いないでしょう。
マンション経営で必要になる知識
マンション経営には、以下の4つの知識を習得しておくこともおすすめです。経営リスクを減らし、安定した収益確保が可能になります。
情報収集力
情報収集力は、マンション経営の成功に欠かせない要素です。不動産市場の動向や地域のニーズ、法改正などの最新情報を常に把握しておくことが重要です。
例えば、賃貸需要が高まるエリアのトレンドや、家賃相場の変化をいち早く知ることで、賃料設定やリフォームの判断に役立ちます。
効果的な情報収集には、信頼できる行政の統計データ(国土交通省の「住宅・土地統計調査」など)や不動産業界団体のレポートを定期的に確認することがポイントです。また、専門セミナーや業界ニュースサイトを活用し、幅広い情報源を持つことが推奨されます。
物件の選定力
マンションの選定は、経営成否を左右する最重要ポイントです。立地条件、建物の築年数、設備、周辺環境など、多角的に判断する必要があります。例えば、駅徒歩圏内の物件は賃貸需要が安定しやすく、築年数が新しい物件は修繕コストが抑えられます。
効果的な選定力を身につけるには、過去の賃貸成績や類似物件のデータ分析が不可欠です。具体的には、不動産流通機構のデータベースや地域の賃料相場を調査し、リスクとリターンを比較検討します。
専門家の意見も参考にし、複数の視点から評価することが成功への近道です。
法律や契約にかかわる知識
賃貸契約や建物管理には多くの法律が関わっており、これらを理解しておくことはトラブル回避に直結します。例えば、賃貸借契約に関わる借地借家法や建物の管理に関する区分所有法などは最低限押さえておくべき法律です。
効果的な学習方法としては、専門書籍の読破や資格講座での体系的な学習、そして実務経験者の意見聴取が挙げられます。特に賃貸不動産経営管理士やマンション管理士の資格勉強は、実践的な法律知識の習得に適しています。
資金調達法や適切な資金計画に関する知識
マンション経営は初期投資が大きく、資金計画が不十分だと経営継続が困難になります。住宅ローンや投資用ローンの種類、金利動向、返済計画の立て方など、金融知識も必要です。
具体的には金融機関の借入条件を比較し、無理のない返済計画を策定することが重要です。資金繰りの不安を減らすために、キャッシュフロー表を作成し、収支の見える化を行うことが効果的です。
金融機関のセミナー参加やFP(ファイナンシャルプランナー)資格を活用した知識習得もおすすめです。
【厳選】マンション経営に役立つ資格と取得難易度
マンション経営で役立つ資格は多くありますが、その中でも特に実務に直結し、経営効率やリスク管理に役立つ資格を厳選しました。これらの資格は取得難易度も異なるため、自分の目的や学習時間に合わせて選ぶことが大切です。
不動産実務検定
不動産実務検定は、不動産業務全般に関する基本的な知識を体系的に学べる資格です。マンション経営では、契約や取引の基礎知識を理解することで、トラブル回避や効率的な運営に活かせます。実務的な内容が多いため、初心者にもわかりやすいのが特徴です。
難易度
正答率70%が合格ラインで、合格率は2級が70%ほど、1級で45%と程とされています。合格の学習時間目安は約80〜100時間です。難易度は中級者向けで、実務経験がなくても独学や通信講座で十分合格可能です。
合格するための学習ポイント
出題範囲が広いため、各テーマごとに要点をまとめて学習することが重要です。特に不動産取引の流れや契約の基本、関連する法律の要点は繰り返し学びましょう。過去問題を活用し、出題傾向に慣れることも得点アップのカギです。
マンション管理士
マンション管理士は、マンションの管理組合の運営支援や管理に関わる専門知識を持つ資格です。マンション経営者が所有物件の適切な管理状態を把握し、管理会社や住民との調整をスムーズに行ううえで役立ちます。
難易度
合格率は約10%前後ですが、2024年度の結果をみると12.7%と平均よりも少し高い結果となりました。合格への学習時間は300時間程度が推奨されています。専門性が高く、独学では難しいため通信講座やスクールの利用が望ましいです。
合格するための学習ポイント
法令分野の出題比率が高いため、「区分所有法」「標準管理規約」「建築基準法」など重点科目に絞って学習を進めましょう。暗記だけでなく、事例に応じた実務的な判断力も問われるため、過去問と模試での演習が不可欠です。
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士は、賃貸経営における管理・運営のプロフェッショナル資格で、賃貸借契約や法令遵守、賃料管理などの知識を身につけられます。賃貸マンション経営の現場で、役立つ実務能力が得られます。
難易度
2024年度の合格率は約24.1%で、過去数年でもっとも低い結果でした。合格の学習時間目安は150〜200時間程度とされており、令和2年度から国家試験となり問題数が10問増えています。試験は実務的な内容が多く、実務経験者や不動産業界に関わる人におすすめです。
合格するための学習ポイント
試験範囲には建物設備、契約、法律、管理実務など多岐に渡るテーマが含まれるため、出題数の多い「賃貸住宅管理業法」「民法」「借地借家法」は重点的に対策すべきです。市販テキストの例題と過去問で理解を深めるのが効果的です。
管理業務主任者
管理業務主任者は、マンション管理業者の業務監督に関する国家資格です。管理会社との契約や管理業務の監督に詳しくなるため、管理業者との交渉力やトラブル防止に役立ちます。
難易度
合格ラインは38/50点で、2024年度の合格率は約21.3%でした。合格までの学習時間目安は200〜250時間です。内容は法律や実務知識が中心で独学でも合格可能ですが、計画的な学習が必要です。
住宅診断士(ホームインスペクター)
住宅診断士は建物の状態を診断し、修繕時期や劣化カ所を見極める専門資格です。マンション経営においては建物の維持管理計画や修繕費用の適正化に役立ちます。
難易度
2025年3月に実施された第7回の合格率は38.5%で、過去より低い結果となっています。合格目安の学習時間は100〜150時間程度で、実務経験があると有利です。初心者でも挑戦しやすい資格ともいわれているものの、合格率を見ると高いとはいえないため十分な対策が必要でしょう。
合格するための学習ポイント
構造・設備・劣化の兆候など、建物診断に必要な知識を体系的に学ぶのが合格への近道です。図解や写真付きテキストを使いながら、実物の建物に即した視点で理解を深めましょう。過去問題の出題傾向も把握し、実務的な判断力を養成してください。
宅地建物取引士(宅建士)
宅建士は不動産取引の専門家資格で、契約の適正な実施や法令遵守に役立ちます。マンション経営では売買や賃貸契約の理解に不可欠な知識を得られます。
難易度
2024年度の合格率は18.6%前後でした。この資格は、合格ラインではなく、合格割合が毎年15~17%に調整されている点に注意が必要です。学習時間は300〜400時間が一般的です。内容は法律中心で難易度は高めですが、不動産経営全般に最も役立つ資格です。
合格するための学習ポイント
「宅建業法」は出題数が多く得点源になるため、ここを重点的に対策することが重要です。また「民法」や「法令上の制限」も頻出項目で、条文の理解と適用力が問われます。インプットとアウトプットをバランスよく繰り返すことで、得点力を伸ばせます。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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