初心者必見!マンション経営で赤字になる理由と儲かるコツ
マンション経営の赤字は、「対策が必要な赤字」と「問題ない赤字」に分けられます。
マンション経営における赤字の仕組みや、その対策方法などについて詳しく解説するので参考してみてください。
この記事の目次
マンション経営での赤字の定義と種類
マンション経営で赤字とは、収入よりも支出が上回ることで損失が発生している状態をあらわします。マンション経営を始めた当初は空室率が高かったり、物件購入で費用がかさんだりして赤字になりやすいです。
マンション経営を進めていき、定期的に得られる家賃収入などのインカムゲインと物件を売却するなどして得られるキャピタルゲインを合算して黒字経営ができると、マンション経営は成功したといえるでしょう。
ここでは、マンション経営における節税につながる赤字とつながらない赤字、マンション経営の収入・支出について詳しくみていきましょう。
節税につながる赤字
マンション経営で節税につながる赤字としては、不動産所得以外に給与所得などがあり、不動産所得が赤字になることで損益通算して所得税を節税できます。不動産所得が赤字になっても他の所得があれば合算して、他の所得を抑えられるので所得税が節税可能です。
例えば不動産所得で100万円の赤字があり、給与所得が700万円の場合、700万円から100万円を差し引いて、600万円に対して所得税がかかることになります。
給与所得の700万円だけの場合、所得税は下記のとおりです。
- 給与所得700万円×23%−636,000円=974,000円
不動産所得と損益通算した場合の所得税は下記のとおりで、給与所得よりも20万1,500円節税できます。
- 給与所得700万円−不動産所得100万円×20%−427,500円=772,500円
マンションを取得後に賃貸経営を始めた場合、毎年の確定申告の際に経費として「減価償却費」を計上します。「減価償却」とは、資産の価値は時間の経過とともに減っていくという考え方のことです。減価償却の考え方に基づき、マンションの購入費用を分割し、複数年かけて減価償却費として計上します。
減価償却費は実際に毎年支払っていないため、現金の動きには影響がありません。そのため帳簿上で減価償却費による赤字が発生していても、実質的には黒字になることがあります。
帳簿上の赤字を給与所得などと相殺することで、全体の課税所得を少なくできるため、節税が可能になります。
節税につながらない赤字
マンション経営で節税につながらない赤字としては、ローンを利用してマンションを購入したものの空室率が高い状態が続いた場合、キャッシュフローが悪化し赤字になりやすいです。
また、ローンの返済分は利息しか経費にならないので、節税にもつながらないといえるでしょう。ローンの返済額が不動産収入を大きく上回ると、資金が枯渇してショートしてしまう恐れがあるため、注意が必要です。
マンション経営の収入と支出
マンション経営では、さまざまな収入や支出が発生します。ここでは、おもな収入と経費計上できる支出について詳しくみていきましょう。
【おもな収入】
マンション経営のおもな収入としては、入居者から得られる家賃が大部分を占めています。家賃収入は、満室もしくは低い空室率を保つことで安定して得られる収入です。他にも、入居時に支払われる礼金・契約更新時に支払われる更新料・敷地内に設置している自動販売機や太陽光発電などの収入があります。
礼金は家賃の1〜2カ月分、更新料は家賃の1カ月程度が目安です。入居時に発生する敷金は退去時に修繕やクリーニングに充てられ、残金は入居者へ返金するため、収入にはなりません。
【経費にできる支出】
マンション経営で経費に計上できる支出としては、定期的に発生するローン返済の利息分・保険料・管理委託料などがあります。マンションをローンで購入した場合は原則として毎月返済しますが、経費に計上できるのは利息部分のみです。
また、火災保険や地震保険に加入する場合、毎月の保険料も該当します。マンションの管理を自主管理ではなく委託にする場合は、管理委託費も経費計上可能です。他に必要に応じて発生する支出としては、建物の修繕費・広告料・立退料などがあります。
マンション経営は儲からないのか
マンション経営では入居者から支払われる家賃が主な収入源であり、空室率を抑えることで安定した収入が得られます。しかし、マンション経営は儲からないといわれていますが本当にそうでしょうか。
ここでは、マンション経営の特徴やメリット、儲からないといわれる理由などを詳しくみていきましょう。
不動産投資におけるマンション経営の特徴やメリット
不動産投資におけるマンション経営とは、購入したマンションを第三者である入居者に賃貸することで毎月安定した収入を得ていく投資方法です。
投資を始めた頃は物件購入費用などの費用回収で赤字になりやすいですが、中長期的に家賃収入を得ることで次第に黒字化し、資産が積み重なります。マンション経営のメリットとしては、資産形成ができる点と相続税対策になる点が挙げられます。
【資産形成ができる】
マンション経営では、毎月の家賃収入により安定した収入が得られるため、資産形成の手段として用いられます。また、マンション自体も大きな資産の保有になり、将来的には売却することで売却益が得られる可能性があるでしょう。
加えて、マンションの立地が良いと建物自体の資産価値は減少するものの、入居ニーズが高まり、築古でも資産価値が下がりにくくなります。
【相続税対策になる】
マンション経営は資産形成だけでなく、相続税対策にも効果があります。相続発生時に被相続人の全財産が相続人が受け取れますが、現金や預金などよりも相続評価額が低い不動産で資産を保有することで相続税を節約できます。
マンション経営が儲からないといわれる理由
マンション経営が儲からないといわれている理由として、高額なローンを組まなければならない点や初心者では難しいと思われている点、すぐに儲かると勘違いしている点などが考えられます。
マンション経営で物件の購入は自己資産またはローンを組んで購入しますが、購入前に収支のバランスをシミュレーションしてローンを借入しても収入が上回るのであれば始めてみましょう。
また、難しい知識や経営のノウハウがないとマンション経営ができないと思われがちですが、不動産会社の担当者などの専門家と話したり、不動産投資のセミナーに参加したりすることで知識やノウハウは次第に身に付いていきます。
そして、マンション経営は始めた段階では初期費用の支払いなどで赤字になる時期が続くため、短期間には儲かりにくいでしょう。しかし、中長期的なスパンでみていくと、安定した収入が入ってくるので長い目でみていくようにしましょう。
オーナーの年収は増加傾向にある
以下の表は年収と所得の割合をまとめたものです。
| 所得階級 | 所得金額(億円) | 割合 |
|---|---|---|
| 100万円以下 | 456 | 0.8% |
| 100万円超200万円以下 | 2,957 | 5.1% |
| 200万円超300万円以下 | 4,414 | 7.7% |
| 300万円超500万円以下 | 9,932 | 17.2% |
| 500万円超1,000万円以下 | 17,090 | 29.6% |
| 1,000万円超2,000万円以下 | 12,553 | 21.8% |
| 2,000万円超5,000万円以下 | 7,355 | 12.8% |
| 5,000万円超1億円以下 | 1,854 | 3.2% |
| 1億円超 | 1,045 | 1.8% |
マンション経営のオーナーの年収は、近年増加傾向にあります。上記は国税庁が発表している令和5年の申告所得税標本調査で、不動産所得者の所得の割合です。500万円超1,000万円以下の割合が最も多く、1,000万円超の所得者が39.6%を占めています。
経営者の感覚がないと赤字リスクが高まる
マンション経営は、オーナー自身が経営者の感覚がなければ赤字リスクが高まる投資法です。マンションの管理を自主管理していると入居者との距離も近く、建物の状態なども把握しやすいので目にみえて経営に携わっている状態になります。
一方、副業でマンション経営していたり規模が大きかったりすると管理会社へ管理業務を全部または一部委託するケースが多くみられます。委託すると負担が軽減でき、専門的な知識がなくても問題ありません。
しかし、委託すると経営している感覚が薄れやすく、気付いた時にはキャッシュフローが悪化していて赤字リスクが高まる可能性があります。委託してもオーナー自身が経営している意識をもつことが重要です。
マンション経営で赤字になるリスクと対処法
マンション経営で赤字になるリスクとして、どのようなケースが考えられるのでしょうか。ここでは対処法とともにみていきましょう。
空室や家賃滞納
マンション経営では、安定した収入を得ることが重要です。入居者が集まらない空室の状態が続くと収入がないだけでなく、日々の管理や税金などの支出が重なり、赤字状態から抜け出せないこともあります。
また、家賃滞納する入居者がいるとその分収入が得られません。空室や家賃滞納者への対応を全てオーナーが行うのは困難です。物件の選定から運営までのサポートをしている、マンション経営に強い不動産会社を選ぶと、安定した収入が得られるでしょう。
資金不足
マンション経営で収入と支出のバランスがとれているうちは問題ありませんが、収入が減少する、もしくは支出が増加する状態が続くとキャッシュフローが悪化し、資金が不足します。
資金不足は赤字経営になるだけでなく、修繕が発生した際に対応できなかったり、ローン返済に遅れが出たりと深刻な事態になりかねません。
マンション経営を始める際には収支のシミュレーションを行い、どのくらい初期費用やランニングコストがかかるのかを把握しておきます。資金が足りなくなってきた場合は、自己資金で補填するのか、新たに借入するのかなども検討しておくと良いでしょう。
サブリース
マンション経営で赤字リスクへの対策法として、サブリースの活用も方法の1つです。サブリースとは、不動産会社がオーナーの物件を一括で借り上げて、入居者に転貸や又貸しするサービスを指します。
入居者探しや管理業務などを不動産会社に任せることができ、空室でも保証された家賃が入金になるメリットがあります。
ただし、サブリースの会社に支払う手数料が差し引かれるため、満額は受け取れない点や契約が見直され家賃が減額される点などに注意が必要です。
赤字になったら売却も検討する
マンションの経営で赤字が続き、収益が見込めない場合は、物件の売却も検討しましょう。
収益が見込めない原因として、立地や建物の老朽化などであれば、既存の物件を売却して新たな物件で経営を始めるのも対策法です。売却額によっては赤字を黒字化できる可能性もあり、新たな物件を購入する資金源にもなるでしょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久
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