マンション経営に必要な資金の目安とは?初期費用と資金調達の方法を解説
一棟のマンションを経営するときは、大きな収益が期待できる一方で、マンションの購入費用や維持費用、税金などさまざまな支出が伴います。
失敗を防ぐために、マンション経営で発生する初期費用や資金調達の方法などを把握し、堅実な資金計画を立てておきましょう。ここでは、マンション経営にかかる費用や資金調達の方法などを詳しく解説します。
この記事の目次
マンション経営で必要な自己資金の目安
マンション経営で必要な自己資金の目安は、マンション価格の約10~30%といわれています。
例えば、マンション価格が1億円のときは自己資金として1,000万円~3,000万円ほどが必要になるでしょう。マンションの価格は新築で建てるか、中古物件を購入してオーナーチェンジするかで変わります。
新築(一棟)、中古(一棟)、区分所有(一部屋)で、それぞれ購入価格の目安は以下のとおりです。
木造マンション(首都圏)
| 新築 (一棟 10~20戸) |
中古 (一棟 10~20戸) |
区分所有 (一部屋) |
|
|---|---|---|---|
| 価格相場 | 2億円~4億円 | 8,000万円~2億万円 | 800万円~2,000万円 |
| 自己資金の目安 (10%~30%) |
2,000万円~1億2,000万円 | 800万円~6,000万円 | 80万円~600万円 |
鉄筋コンクリート造マンション(首都圏)
| 新築 (一棟 10~20戸) |
中古 (一棟 10~20戸) |
区分所有 (一部屋) |
|
|---|---|---|---|
| 価格相場 | 3億5,000万円~10億円 | 2億5,000万円~5億円 | 2,000万円~1億円 |
| 自己資金の目安 (10%~30%) |
3,500万円~3億円 | 2,500万円~1億5,000万円 | 200万円~3,000万円 |
マンションの価格は立地条件や築年数などによって変わり、条件次第で価格は上記の相場より増減する可能性はあるでしょう。自己資金に余裕があるほど、資金調達のときに金融機関などの審査に通りやすくなります。
マンション経営に必要な費用の内訳
マンション経営にかかる費用は、主に初期費用、維持費、税金などがあります。それぞれの費用の詳細を確認していきましょう。
初期費用
初期費用は、マンション経営を始めるときに必要になる支出です。マンション経営に関する費用でも特に高額になりやすく、主に以下のような費用項目があります。
土地の取得費用
土地の取得費用は、一般的に取得コスト全体の30%~50%を占めるケースが多く、大きな出費になります。具体的な土地の取得費用は、主に地域と土地面積によって決まります。
例えば、首都圏のケースでは1㎡あたり20~40万円ほどが相場になるでしょう。立地条件は将来的な資産価値にも大きく影響するため、土地の地域は慎重に選択するのがおすすめです。
建物の取得費用
マンションの購入にかかる費用は、土地とともに初期費用の大部分を占めるケースが多いでしょう。
例えば、首都圏の中古マンションでは1㎡あたり60~80万円ほどが平均的な相場になるでしょう。
登記費用
マンションを購入後、法務局で不動産の所有権移転登記をして名義人とならなければ、第三者に物件の所有権を主張できません。不動産登記は専門家である司法書士に依頼するのが一般的であり、報酬として約8万円~15万円ほどかかります。
法務局で登記申請するときは、登録免許税を納付し、領収証書を登記申請書に貼り付けて提出しましょう。登録免許税の額は、以下のように算出します。
<所有権>
不動産の固定資産税課税標準額に以下の税率を乗じる。
- 新築マンション(所有権保存登記):税率0.4%
- 中古マンション(所有権移転登記):税率2%
<抵当権>
ローンの借入額に以下の税率を乗じる。
- ローンの借入れ(抵当権設定登記):税率0.4%
不動産会社への仲介手数料
物件の購入後、不動産会社へ報酬として支払う仲介手数料は、宅地建物取引業法によって以下のように上限が定められています。
| 購入価格(税別) | 仲介手数料の上限 |
|---|---|
| 200万円以下 | 5%+消費税 |
| 200万円~400万円以下 | 4%+消費税 |
| 400万円を超える場合 | 3%+消費税 |
不動産会社は上限以内の額で仲介手数料を設定できますが、上限に近い金額が設定されているのが一般的です。
各種税金
マンション経営で納付が必要となる税金には、主に以下のものがあります。
| 種類 | 納付方法 | 金額 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 売買契約書などに印紙を貼る | 1万円~3万円ほど |
| 不動産取得税 | 不動産の取得後に送付される納税通知書で支払う | 固定資産税課税標準額の3% (0円になる場合もあり) |
| 固定資産税 | 毎年1月1日時点で所有する不動産について発行される納税通知書で支払う | 固定資産税課税標準額の1.4% |
| 所得税・住民税 | 賃料収入について毎年2月16日~3月15日に確定申告する | 所得税:税率5%~45% 住民税:所得割(課税所得金額の10%)+均等割(5,000円前後) |
修繕費・修繕積立金
マンションは経年で壁面や内装などが劣化していくため、定期的な修繕が必要です。一般的には、物件価格の1~2%ほどが毎年の修繕積立金として必要であるといわれています。
修繕費を抑えるには定期的なメンテナンスなどを行い、大きな亀裂など大がかりな修繕工事が必要になるのを防ぐのが効果的です。
管理費(委託費用)
マンションの管理を委託会社に依頼するときは、管理費が発生します。委託会社は、建物の日常管理から設備の点検、防災対応などを行ってくれます。
委託費用の相場は、月額で数万円ほどのケースが多いでしょう。マンションのグレードや規模などによっては、より高額になる場合もあります。
マンション経営の資金調達の方法
マンション経営を始めるときは、購入資金のために借入れをするのが一般的です。ここからは、資金調達の方法を紹介します。
投資用ローンで借り入れる
投資用ローンとは、投資用のマンションなどを購入するための借入れです。個人が住居を購入するための住宅ローンとは異なる制度であり、主に以下のような違いがあります。
| 投資用ローン | 住宅ローン | |
|---|---|---|
| 目的 | 不動産投資によって収益を得るため | 契約者本人が居住や増改築をするため |
| 返済原資 | 主に家賃収入 | 主に給与収入 |
| 融資額の目安 | 年収の10倍~20倍ほど | 年収の5倍~10倍ほど |
| 金利の目安 | 年利1.5%~4.5%ほど | 年利0.5%~2.0%ほど |
| 審査基準 | 個人の属性と物件の収益性 | 主に個人の属性 |
| 名義人 | 法人、個人 | 個人のみ |
投資用ローンは主に事業として借入れを行うため、融資額は住宅ローンより高くなりますが、金利などの返済も高く、審査基準も厳しくなります。
住宅ローンの借入れ後、金融機関に無断で投資用のマンション購入に利用すると、契約違反として一括返済を求められる可能性もあるため注意しましょう。
フルローンで借り入れる
フルローンとは、頭金なしでマンションを購入するときのローンを借り入れる方法です。フルローンには、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・初期費用を抑え、手元資金を残せる ・頭金をためる前に物件を購入できる ・住宅ローン控除の効果が大きくなる |
・手元資金が不足し、急な出費に対応できなくなるおそれ ・ローンの審査が厳しくなる ・ローンや利息の毎月の返済額が高くなる ・諸費用は別途かかる可能性がある |
フルローンを組むときは事前に返済シミュレーションを行い、無理のない資金計画を立てられるかどうかを確認しておきましょう。
親族や知人などから借り入れる
マンション経営に協力的な親族や知人などがいる場合、借入れをお願いするのもひとつの方法です。
相談次第では、金利や返済条件も柔軟に対応してもらえるケースもあるでしょう。一方で、返済が滞ると信頼関係が悪化し、修復が難しくなってしまう可能性もあるため、信頼関係を大切にしながら事業を進めていきましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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