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2023.09.25

収益物件とは?種類別の特徴と優良収益物件のポイントを紹介

収益物件とは?種類別の特徴と優良収益物件のポイントを紹介

「収益物件」という言葉をご存じでしょうか?収益物件は、主に不動産投資の中でよく耳にする言葉です。「『収益物件』といわれているから、ある程度の収入はあるのだろう」などのように、なんとなく言葉の意味は理解しているが詳細はわからない……という方もいるのではないでしょうか。本記事では、収益物件の意味や優良収益物件を確保するポイントなどについて解説します。

この記事の目次

収益物件とは

収益物件とは、個人や事業者に物件を貸し、毎月一定の収入(家賃収入)を得る目的で購入する不動産物件のことです。

購入者自身やその家族などの住居として使用するマイホームなどの不動産は、家賃収入が発生しないため、収益物件にはあたりません。

収益物件かどうかの区別は、不動産購入の際のローンにも影響します。

同じ居住用物件であっても、マイホーム用の不動産であれば住宅ローンを利用した購入が可能です。一方、賃貸目的の収益不動産を購入する場合は住宅ローンは利用不可となります。

収益物件の種類

収益物件には、以下のような種類があります。

  • 賃貸アパートやマンションなど、住宅として使用される不動産
  • オフィスビルなど、事務所に使用される不動産物件
  • 貸店舗や貸倉庫など、商業系の用途に使用される不動産物件

それぞれの収益物件には、特徴や利回りに違いがあります。くわしくみていきましょう。

住宅に使用される不動産物件

住宅に使用される不動産物件には、賃貸アパートやマンション、一戸建ての借家などがあります。最も一般的な収益物件で「住居系不動産」と表現されることもあります。

住宅に使用される不動産物件は、基本的に個人と契約することになるので、居住期間は契約相手によって短期から長期までさまざまです。

続いて、利回りについても知っておきましょう。以下に、東京都心部の一般的なマンションの利回り相場を紹介します。

【ワンルームマンションの場合】

  • 新築物件:3.5%~4.5%
  • 中古物件:5.0%~6.0%

【ファミリー向けマンションの場合】

  • 新築物件:3.5%~4.5%
  • 中古物件:3.0%~20.0%

ファミリー向けの中古物件の利幅は、リフォームやリノベーションの費用および頻度により大きく変わってきます。

事務所に使用される不動産物件

事務所に使用される不動産物件には、貸オフィスや貸事務所などがあります。「事務所系不動産」と表現されることもあります。

事務所に使用される不動産物件は、企業や法人との契約になることから、最低でも半期や年度末などで契約期間を区切ることが多いです。住居系不動産よりも長期契約を見込めるでしょう。

また住居系不動産と比べて、不動産物件の規模が大きい傾向にあります。規模に比例して購入時の初期費用も高額となるケースが多いため、不動産投資としては上級者向けといえるでしょう。

東京都心部の事務所系不動産の利回りは、3.0%~5.0%が相場とされています。住居系不動産と比べ、金融機関のローン審査が厳しい傾向がありますので知っておきましょう。

商業系の用途に使用される不動産物件

商業系の用途に使用される不動産物件とは、貸店舗や貸倉庫、駐車場など、サービスを提供し商売をする用途で使用する物件のことです。「商業系不動産」ともよばれ、前述の2種類と比べて不動産の用途は多岐にわたります。

商業系の用途に使用される不動産物件も、企業や法人、経営者などとの契約が多いです。契約相手の商売が軌道に乗れば、長期契約も期待できるでしょう。しかし契約相手が事業に失敗した場合は、早期撤退や賃貸料の未納といったトラブルに発展するリスクもあります。

以下に、商業系の用途に使用される不動産物件の利回り相場を紹介します。

【大型百貨店などの商業施設】

  • 東京都心部:4.0%~5.0%
  • 郊外の都市部:5.0%~6.0%

【駐車場(月極・コインパーキング)】

  • おおむね10%程度

駐車場は、商業系不動産の中でも特に立地によって賃料が大きく左右されます。いかにニーズの高い立地にある物件を購入できるかが、利益を出すための鍵となるでしょう。

商業系不動産も、住居系不動産に比べて金融機関のローン審査が厳しい傾向がありますので、費用には注意が必要です。

収益物件には優良収益物件がある

収益物件の中でも、収益性の高い物件は「優良収益物件」とよばれます。

収益性とは、利回りやランニングコストなど総合的な観点から決まるものです。優良収益物件とは、あらゆる面からみて収益につながる物件を意味します。

優良収益物件は利回りと空室状況が重要

優良収益物件かどうかを判断するには、「利回りが良いこと」「空室が出ないこと」の2点に注目しましょう。

利回りは以下のように計算できます。
【純利回りの場合】(年間の家賃収入ー必要経費)÷不動産物件の購入価格×100

たとえば以下のような場合の利回りを考えてみましょう。

  • 年間の家賃収入賃料:1,260万円(家賃7万5,000円/月・戸数14戸)
  • 固定資産税や管理費などの必要経費:200万円
  • 不動産物件の購入価格:1億円

この場合の純利回りは、以下のように求められます。
(1,260万円-200万円)÷1億円×100=10.6%

ただし、上記の計算は「14戸の入居者が12ヵ月間退去しなかった場合=空室が出なかった場合」を想定していたものです。空室が増えればその分だけ収入が低下するため、おのずと利回りも悪くなります。

メリットの多い優良収益物件を確保するには?

メリットが多い優良収益物件を確保することは、不動産投資における理想の形といえます。
しかし、優良収益物件となり得る不動産物件を選定するには、購入する側の情報収集力やリサーチ力などが必要です。

ここでは、優良収益物件を目指して不動産物件を選定する際に、確認しておきたいポイントを紹介します。

入居者のニーズを把握する

優良収益物件を確保するには、入居者のニーズを把握することが大切です。入居者のこだわりを把握することで、どのような物件に人気があるのかを判断できるからです。

ニーズを把握するときには、ターゲットによってこだわりが異なる場合があるため、どのような人をターゲットとするのかを検討しておく必要があります。

一例として、駅近の物件を考えてみましょう。一般的に、駅近の物件は便利で人気があります。一方で、交通量が多かったり商業店舗が集まったりする駅前の物件は、安全性を懸念する人もいるでしょう。便利な駅近の物件であっても、小さい子どもがいるファミリー層などにとっては、それほどニーズが高くない場合もあるのです。

地域や土地柄からニーズを想定する

優良収益物件を確保するには、購入する予定の地域や土地柄から入居者のニーズを想定することも大事です。

たとえば、駅から遠く一見するとへんぴな場所でも、近くに大学がある場合は大学生が入居する確率が高くなります。

優良収益物件になるためには、大学生のニーズにあわせ、おしゃれな内装にリフォームしたり、ウォークインクローゼットなどを備え付けたりといった工夫が必要です。Wi-Fiを無料にするなど、近隣の競合物件との差を打ち出すことができればなお良いでしょう。

また、日当たりの悪いワンルームマンションであっても、周辺地域のオフィス街に勤務する人にとってはメリットが大きいこともあります。

さらに、都市部から離れた地域でも、都市部へ通勤できる範囲でゆったりと生活したい人が入居を希望するかもしれません。

電車通勤のニーズを見込む場合は、最寄り駅の乗り入れ路線をチェックしましょう。それに加え、最寄り駅が快速電車などの停車駅であることなども入居者に好まれるポイントです。

車通勤のニーズを見込む場合は、周辺道路の走りやすさや主要な国道へのアクセスを確認しておきましょう。戸建て物件であれば1階部分にガレージを設置する、マンションやアパートなら駐車場もあわせて紹介するなどの工夫をおこなうと喜ばれます。

ハザードマップも確認する

優良収益物件を選定する際は、ハザードマップの確認も重要です。

近年、台風やゲリラ豪雨が増えており、停電や断水などの被害も出ています。過去には、住みたい町ランキングで上位にランクインしていた武蔵小杉のタワーマンションで、停電や断水などの大きな被害が出たことがあります。

武蔵小杉は交通の便も良く、周辺の商業施設なども充実した地域です。その一方で、国土地理院によるハザードマップを確認すると、武蔵小杉の浸水深(浸水した際の地面から水面までの高さ)はほぼすべてのエリアで0.5m~3.0mとなっており、浸水しやすい地域であることがわかります。

そのような立地にもかかわらず、被害を出したタワーマンションでは、低層階に電気系統が設置されていました。電気系統が浸水した結果、停電や断水が起こってしまったようです。

優良収益物件を選ぶときには、ハザードマップで災害の危険度とともに、浸水のリスクも確認しておく必要があります。浸水しやすい地域にある物件は、水害時の二次被害を防ぐために、電気系統や配水管などの仕様もあわせて確認しておくと良いでしょう。

購入前に現地リサーチをする

収益物件の購入を決める前には、現地に行って物件のリサーチをしておきましょう。

不動産物件は、インターネット上のデータや資料だけではわからないことが多いものです。実際に現地に行き、可能であれば各部屋の内見などもおこなうとさらに良いでしょう。

日当たりや遮音性、実際の部屋の広さなどはもちろん、中古物件の場合は物件の管理状態や建物診断もしておくと安心です。

特に、シロアリ被害の有無や害虫・害獣(ネズミなど)の侵入は、修繕だけでなく入居者の突然の退去につながるリスクが高いです。駆除と侵入経路の排除を徹底することをおすすめします。

デメリットが多い物件は、収益物件にならないおそれも

収益物件は「利益が出るもの」と考えがちですが、中にはデメリットが多く利益が出にくい「不良物件」とよばれる物件も存在しています。

デメリットとしては以下のようなことが挙げられます。

  • 相場よりも利回りが異常に高い
  • 物件に問題や欠陥がある
  • 周辺の住環境に深刻な問題がある

利回りが高い物件は「優良物件だから利回りが高いのでは?」と考えがちです。

しかし、不自然に高すぎる利回りは、「年間家賃収入÷不動産購入価格×100」で算出される「表面利回り」において、必要経費を含めずに算出されているケースや家賃設定が高額すぎるケースが考えられます。家賃設定が高額すぎると、入居者がみつからず実際の家賃収入が得られなくなることもあります。

利回りの表記に不安を感じたら、算出方法を確認したり、周囲にある同グレードの物件の賃料をリサーチしたりするなどして、念入りに確認しておくことが重要です。

収益物件に家主も住むことは可能?

結論からいうと、収益物件に家主が住むことは可能です。

収益物件に家主が住む場合、以下の2つの考え方があります。

  • 賃貸物件の1部屋に家主が住む
  • あらかじめ家主が住むための区画を物件内に設け、そこに家主が住む

あらかじめ物件内に設けた区画に家主が住む物件を「賃貸併用物件」とよびます。ここからは、賃貸併用物件の利点や注意点について解説します。

賃貸併用住宅の利点

賃貸併用住宅の利点として、以下のようなことが挙げられます。

  • 住宅ローンを利用できる
  • 自宅部分を自分好みにカスタマイズできる
  • 住宅設備の老朽化や設備管理の状況がすぐにわかる
  • 賃貸用の部屋は相続税がかからない

本記事前半で「賃貸目的の収益不動産を購入する場合、住宅ローンは利用できない」とお伝えしましたが、賃貸併用物件は住宅ローンを利用した購入が可能です。住宅ローンを利用できることで、家主が住まない場合に比べ費用負担を軽減できるでしょう。

賃貸併用住宅はここに注意

賃貸併用住宅の注意すべき点には、以下のようなことが挙げられます。

  • 住宅ローンで賃貸併用住宅を建てる場合、条件がある
  • 入居者のニーズの減少につながることがある
  • 物件の売却を考える際にリスクがある

まず、住宅ローンで賃貸併用住宅を建てる場合には、「建物の50%以上が自宅部分である」という条件があることを頭に入れておくことが必要です。

建物の半分を貸し出せなくなるため、純粋に賃貸収入が減少します。賃貸用の戸数も少なくなるため、空室が多いと住宅ローンの支払いの負担が大きくなるリスクもあります。

また「オーナーと顔を合わせたくない」と考える入居者は意外と多いようです。「オーナーが同じ建物に住んでいる」という点はニーズの減少につながる場合もあります。

さらに、物件の売却を考える際にもリスクがあります。売却と同時に自分の家も手放すことになるため、新しい自宅を探さなくてはなりません。自分の好みで自宅部分をカスタマイズしていると、物件の買い手がなかなかつかないこともあるでしょう。

まとめ

収益物件の特徴や優良収益物件のポイントについて紹介しました。不動産投資をはじめるからには、収益性の高い優良収益物件の確保を目指してみてはいかがでしょうか。

費用負担をおさえながら不動産投資をはじめたい人は、賃貸併用住宅による住宅ローンの利用も選択肢に入れてみましょう。この記事を参考に、より良い不動産投資をおこなってください。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典

小田急グループの総合力を活かしながら、これまで幅広く不動産実務を経験して参りました。現在は、本社営業センターの責任者を務めております。私たちの発信が人生100年時代の選択肢を広げるきっかけになれれば大変うれしく思います。 著者の記事一覧はコチラ
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