一棟マンション売却相場はいくら?価格を左右する6要素も解説

マンション一棟の売却を考えたとき、「いくらで売れるのか?」という相場は、誰もが真っ先に気になるポイントでしょう。
とはいえ、一棟ごとに立地や築年数、賃貸状況などの条件が異なるため、単純に「〇〇万円」と言い切れるものではありません。それでも、過去の売却データをもとにすれば、おおよその相場感をつかむことは可能です。
マンション一棟の売却相場の目安に加えて、価格に大きく影響する6つの要素についてもわかりやすく解説します。
この記事の目次
一棟マンション売却相場
一棟マンションの売却を検討中のオーナー様にとって、一番気になるのは「自分のマンションはいくらで売れるのか?」ということではないでしょうか。
一棟マンションの価格は、さまざまな要因によって大きく変動するため、正確な価格を知るには個別の査定が不可欠です。
しかし、地域ごとの売却相場の平均値を知っておくことは、自身のマンションの価値を把握するうえで役立ちます。
そこでここでは、首都圏、関西、その他の地域における一棟マンションの売却相場について、具体的なデータにもとづいて詳しく解説していきます。
首都圏
首都圏の一棟マンション平均(表面)利回り、価格、築年数
西暦年月 | 2024年 3月 |
2024年 4月 |
2024年 5月 |
2024年 6月 |
2024年 7月 |
2024年 8月 |
2024年 9月 |
2024年 10月 |
2024年 11月 |
2024年 12月 |
2025年 1月 |
2025年 2月 |
2025年 3月 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
首都圏 | 利回り(%) | 6.77 | 6.76 | 6.88 | 6.73 | 6.86 | 6.78 | 6.71 | 6.84 | 6.82 | 6.89 | 6.82 | 6.70 | 6.48 |
価格(万円) | 20,576 | 20,589 | 20,552 | 21,742 | 20,243 | 20,831 | 20,527 | 19,464 | 20,213 | 20,094 | 20,170 | 20,944 | 21,317 | |
築年数(年) | 28.5 | 29.0 | 29.4 | 28.8 | 29.6 | 29.4 | 29.4 | 29.5 | 30.1 | 29.9 | 30.6 | 30.1 | 29.2 |
出典:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや ) 「収益物件市場動向マンスリーレポート2025年3月期」
首都圏の一棟マンション市場は利回り6%台で推移しており、全国平均の7%台と比較すると、低水準となっています。
地域別に見ても、首都圏の平均利回りは際立って低いのが現状です。背景には、首都圏への人口集中による高い賃貸需要や、地価の下落リスクが低いといった要因が挙げられます。そのため、相対的に利回りが低い物件でも取引が成立しやすいと考えられます。
また、物件価格は平均2億円台と、全国的に見ても非常に高額です。地価が高いことに加え、低い利回りでも取引される状況が影響していると考えられます。
ただし、「首都圏」と一括りにしても、東京都心部と埼玉・千葉の郊外では、物件価格や利回りに大きな差が見られます。特に東京都心部の物件は高額になる傾向が強く、首都圏全体の平均価格を押し上げている要因といえるでしょう。
関西
関西の一棟マンション平均(表面)利回り、価格、築年数
西暦年月 | 2024年 3月 |
2024年 4月 |
2024年 5月 |
2024年 6月 |
2024年 7月 |
2024年 8月 |
2024年 9月 |
2024年 10月 |
2024年 11月 |
2024年 12月 |
2025年 1月 |
2025年 2月 |
2025年 3月 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
関西 | 利回り(%) | 8.18 | 8.23 | 8.28 | 8.17 | 8.23 | 7.79 | 7.95 | 8.01 | 7.92 | 7.99 | 7.82 | 7.66 | 7.77 |
価格(万円) | 14,662 | 13,565 | 13,653 | 14,616 | 14,443 | 14,884 | 16,369 | 15,754 | 16,566 | 15,212 | 16,593 | 15,081 | 14,581 | |
築年数(年) | 32.0 | 32.2 | 32.1 | 31.4 | 32.5 | 31.6 | 31.8 | 32.9 | 31.2 | 31.5 | 32.2 | 31.7 | 32.4 |
出典:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや ) 「収益物件市場動向マンスリーレポート2025年3月期」
関西エリアの利回りは2024年前半は8%台だったのに対して、2025年3月には7.77%と低下しています。
利回りが低下している一方で、物件価格は1.4億円前後で安定的に推移しており、利回りの動きとは比例していません。家賃水準が低下しているか、物件価格(グロス)の低い物件の取引が増えているかのどちらかが考えられます。
しかし、全国的に家賃水準が上昇傾向にあることを考慮すると、グロスの低い物件の取引が増えている可能性が高いといえるでしょう。
さらに、関西エリアで取引されている一棟マンションの平均築年数は約32年と、全国平均の約30年と比較して、やや築年数が経過した物件が多いという特徴があります。この点も、物件価格や利回りに影響を与えているかもしれません。
その他、地方都市
地方都市の一棟マンション平均(表面)利回り、価格、築年数
2025年3月 | 北海道 | 東北 | 信州・北陸 | 東海 | 中国・四国 | 九州・沖縄 |
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利回り(%) | 9.30 | 9.92 | 16.23 | 9.53 | 11.82 | 9.13 |
価格(万円) | 16,920 | 14,793 | 8,303 | 13,115 | 12,450 | 17,116 |
築年数(年) | 26.5 | 30.2 | 37.4 | 31.5 | 32.0 | 29.2 |
出典:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや ) 「収益物件市場動向マンスリーレポート2025年3月期」
地方都市の一棟マンション市場は、エリアによって多様な様相を見せています。特に信州・北陸エリアの平均利回り16.23%という数字は、他の地域と比較しても際立って高いといえます。
一方、物件価格に目を向けると、北海道(1億6,920万円)や九州・沖縄(1億7,116万円)など、首都圏や関西と比較すれば抑えられているものの、決して安価とはいえない水準のエリアも存在します。
また平均築年数も、地域によってばらつきが大きいのが特徴です。首都圏や関西の高額な物件の購入が難しい投資家にとって、地方都市の物件は相対的に高利回りかつ手頃な価格帯に感じられるかもしれません。
一棟マンションの売却価格を左右する6要素
一棟マンションの売却価格は、さまざまな要因が複雑に影響して決まります。
ここでは、特に重要な6つの要素に焦点を当て、価格が変動する理由と具体的な例を掘り下げて解説します。
これらの要素を理解することで、自身のマンションの適正価格をより深く把握する一助としてください。しかし、より正確な売却価格を把握するためには、不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
立地
一棟マンションの価値を大きく左右する「立地」は、収益性、将来性、購入希望者のニーズに直接関わるもっとも重要な要素のひとつです。「立地が良い」といっても、さまざまな側面があります。
ここでは、特に重要な3つのポイントに分けて解説します。
交通アクセス
駅からの距離は、入居希望者にとって便利で人気が高く、家賃設定や空室リスクに良い影響を与え、売却価格も高くなる傾向があります。
また、ターミナル駅へのアクセスが良い、通勤・通学に便利な路線沿いの物件は、需要が高く、価格に大きく反映されます。
住環境
交通アクセスが良いだけでなく、生活しやすい環境が整っていることも重要です。スーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどが近くにあると、日々の生活に便利です。
また、病院、学校、公園、図書館などが近くにあると、幅広い層にとって魅力的な住環境となり賃貸需要や賃料に反映されます。
将来性
将来的な発展の可能性も、物件の価値を高める要素となります。駅周辺や地域全体の再開発が進むエリアでは、利便性向上や地価上昇が期待できます。
また、大型商業施設の建設予定があると、周辺地域の活性化が見込まれ、物件の価値も上がる可能性があります。
築年数
一般的に、築年数が新しいほど建物の劣化が少なく、最新の設備が備わっているため、購入希望者にとって魅力的な物件となります。
また、築浅の物件は、比較的高い賃料設定が可能であるため、収益性の面でも有利です。
一方、築年数が経過した物件は修繕費用などの維持費がかさみ、収益性が低下する傾向があるため、売却価格は低くなるのが一般的です。
さらに、金融機関からの融資という観点で見ても、築浅の物件ほど融資を受けやすく、借入期間も長く設定されることが多いです。
築年数が古くなり、建物の耐用年数が短くなると、融資を受けられる期間が制限されるなど、条件が厳しくなる場合があります。
修繕履歴・管理状態
大規模修繕の実施状況も、一棟マンションの売却価格を大きく左右する要素です。
外壁塗装、屋根の防水工事、給排水管の更新といった大規模修繕が計画的に行われている物件は、将来的な修繕リスクが低いと見なされ、購入希望者からの評価が高くなります。
反対に、修繕やメンテナンスが十分に行われていない場合、購入後に多額の修繕費用が発生するおそれがあるため、売却価格は低くならざるを得ません。
さらに、管理状態の良し悪しも重要なポイントです。管理が行き届いていない物件は、建物の機能面だけでなく、共用部分の清掃が行き届いていないなど見た目も悪くなります。
そのような物件は、入居者の質が低下しやすく、空室が増えるなど入居率の悪化にもつながります。結果として物件の収益性が下がり、売却価格にも悪影響を及ぼすでしょう。
入居状況
入居状況は、一棟マンションの収益性をダイレクトに反映するため、売却価格を大きく左右する重要な要素です。
高入居率の物件は、購入後すぐに安定した賃料収入が見込めるため、不動産投資家にとって非常に魅力的で、売却価格は高く評価されます。
一方、低入居率の物件は、十分な収益を上げることが難しく、安定した不動産投資とはいえません。
空室が多いほど、購入後の収益に対する不安が大きくなるため、売却価格は低く評価されます。また、単に入居率が高いだけでなく、入居者の質や過去のトラブルの有無も重要なポイントです。
家賃の滞納が多い、騒音などの迷惑行為が多いといった質の低い入居者が多い場合、購入後の管理運営に手間がかかることが予想され、売却価格にマイナスの影響を与える可能性があります。
売却時期
不動産市場全体の動向や近隣の売却物件の状況も、一棟マンションの売却価格に影響を与える重要な外部要因です。例えば、金融緩和政策が実施されたり、景気が回復したりすると、不動産投資に対する意欲が高まり、購入希望者が増加する傾向があります。
このような市場の活況期には、売り手市場となりやすく、一棟マンションを比較的高値で売却できる可能性があります。しかし、景気が後退したり、金融の引き締めが行われたりすると、不動産投資への意欲が低下し、購入希望者が減少する傾向があります。
このような時期には、買い手市場となりやすく、売却価格が下落する可能性があります。
また、自身の物件の近隣に、類似した一棟マンションが多数売りに出されている場合、購入希望者は多くの選択肢の中から物件を選べるため、価格競争が起こりやすくなります。その結果、希望価格よりも低価格での売却を余儀なくされるおそれがあります。
逆に、近隣に競合となるような売り出し物件が少ない場合は、需要と供給のバランスが売り手側に有利に働き、想定していたよりも高価格で売却できる可能性も出てきます。
金利市況
市場金利の動向は、不動産投資ローンの借入コストに影響を与え、購入希望者の購入意欲を左右します。
金利が低い時期には、購入希望者は比較的低コストで資金を調達できるため、不動産投資が活発になり、物件価格も上昇する傾向があります。
多くの投資家が物件購入に動きやすくなるため、売り手にとっては高値で売却できるチャンスが広がります。さらに、金利の水準だけでなく、金融機関の融資条件も重要です。
金利が低いことに加えて、融資の審査基準が緩やかであったり、借入可能額が大きかったりする時期は、購入希望者が資金調達を行いやすいため、物件の需要が高まり、結果として売却価格の上昇につながる可能性が高まります。
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この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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