不動産投資
2023.05.09

不動産投資ローンの金利相場とは?借入先ごとの相場や低金利で融資を受けるためのポイントを解説

不動産投資ローンの金利相場とは?借入先ごとの相場や低金利で融資を受けるためのポイントを解説

不動産投資を行う上でおそらく避けては通れないのが、「融資」です。
大きな額の借入を伴うため、その「金利」に不安を感じている方も多いでしょう。
ただし、「融資」をうまく活用すれば、「自己資金」で投資した場合以上の利益を得られるチャンスがあります。
「不動産投資ローン」の種類から「低金利」でローンを組むポイントなどを確認してみてください。

この記事の目次

不動産投資には、金融機関から融資を受けることで、自己資金以上の投資ができるメリットがあります。融資を受けて不動産投資をはじめたいと考えている人にとって、気になるのが融資を利用する際の金利ではないでしょうか。金利は金融機関や個人の属性によって大きく変動します。不動産は金額が大きく、金利はキャッシュフローに大きな影響を与えるため、不動産投資において重要な指標とも言えるでしょう。

 

この記事では、不動産投資ローンの金利について、借入先ごとの相場や低金利で融資を受けるためのポイントを解説します。

不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、アパートやマンションといった投資用物件を購入する際に、金融機関から受けられる融資のことを言います。不動産投資ローンを活用することで、少ない自己資金で大きな利益を得られる、いわゆる「レバレッジ効果」が得られます。

不動産投資には住宅ローンが使えない?

住宅ローンはその名の通り、住宅を購入する際に低金利で利用できるローンです。ただし、住宅ローンが使えるのは、土地や建物を自宅として購入したり、リフォームしたりするケースに限られます。つまり、不動産投資目的でアパートやマンションを購入する場合には、一般的な住宅ローンは利用できません。

不動産投資ローンの種類

不動産投資で使えるローンには、アパートローンとプロパーローンの2種類があります。それぞれ見ていきましょう。

アパートローン

アパートローンは、個人の不動産投資家向けのものです。金融機関によってさまざまな商品があります。審査が早く、比較的低金利で融資を受けられるメリットがあります。年収が高いほうが融資を受けられる金額が伸びやすい反面、融資の額には上限があることに注意が必要です。

 

プロパーローン

プロパーローンは事業者向けのローン全般のことで、融資対象は不動産に限りません。アパートローンのようにパッケージ化されておらず、それぞれの事業者に応じて融資の条件が決められます。融資の額に上限はなく、事業者のこれまでの実績が良いほど融資の額が伸びやすいのが特徴です。一方で、融資の審査に時間がかかることや条件が厳しいことも知られています。中規模~大規模の事業者向けと言えます。

住宅ローンとの違い

住宅ローンと不動産投資ローンの大きな違いは、不動産を購入する目的です。住宅ローンは、自分が住むための不動産を購入する際に利用されます。一方、不動産投資ローンは、投資用物件を購入する目的で利用されます。また、住宅ローンの多くは固定金利なのに対し、不動産投資ローンでは多くの場合、変動金利が選択されます。住宅ローンよりも審査が厳しく、金利も高めに設定されています。

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不動産投資ローンで選べる金利

金利には固定金利と変動金利の2種類があり、不動産投資ローンではどちらかを選択できます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握し、自分に合った金利を選びましょう。

固定金利

固定金利は、ローンの借入時から満期まで金利が変わらない金利のことを言います。金利固定期間が5年・10年・全期間などに設定されています。その間の返済額が一定なので事業計画を立てやすいでしょう。ただし、将来的に金利が下落した場合でも、融資を受けた時点の金利で返済しなければならないデメリットもあります。

変動金利

変動金利とは、市場に連動して変動する金利のことです。固定金利に比べて金利が低く設定されることが多く、不動産投資では変動金利を選択するのが一般的です。変動金利の場合、金利が低い時に融資を受けて短期間で完済できれば、返済額を抑えられるメリットがあります。ただし、将来的に金利が上昇した場合には、返済額が高くなってしまう可能性がある点に注意しましょう。

属性(家族構成や職業)による融資の審査基準

属性とは、金融機関が審査を行う際の基準となることです。たとえば、家族構成や職業のほか、年齢や年収、負債の有無などから総合的に判断されます。一般的には、景気の影響を受けやすい職業の人や医師や弁護士など独立開業して働いている人よりも、安定的な職業に就いている人のほうが審査が通りやすいとされています。

不動産投資ローンの金利相場

不動産投資ローンを組もうと考えている人の中には、金利の相場が気になる人もいるでしょう。結論から言うと、不動産投資ローンの金利相場は1.0〜2.8%程度です。しかし、ローンの金利は各金融機関によって大きく異なっています。不動産投資ローンの金利相場や特徴について理解し、ローンを有利に組みましょう。

 

借入先ごとの特徴と金利相場

金融機関と一口に言っても、全国に展開するメガバンクから地方銀行、信用金庫などさまざまです。ここからは、借入先ごとの特徴や金利の相場についてご紹介します。それぞれの特徴や金利相場を確認し、今住んでいる場所や審査基準から、自分に合った金融機関やローンを見つけましょう。

メガバンク・都市銀行の金利相場

金融機関と聞いて一番に思い浮かべるのが、メガバンクや都市銀行かもしれません。都市銀行とは全国規模で展開する銀行のことを言い、みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行の4つがあります。みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行の3行を三大メガバンクと呼ぶこともあります。

 

これらの金融機関は全国各地に支店があり、日本全国の物件が投資対象になる点がメリットと言えるでしょう。金利は約1%と超低金利で魅力的ですが、審査が厳しいのが特徴です。

ノンバンク系の金利相場

ノンバンクとは銀行以外の金融機関を指し、信販会社やクレジットカード会社、消費者金融などが挙げられます。一般的な金融機関が実施する預金受け入れなどは行わず、貸付業務に特化しているのが特徴です。融資の審査が通りやすくスピードも早いため、急いでローンを組む必要がある場合におすすめです。ただし、不動産投資ローンの金利相場は1〜7%程度と高めで、担保を多く要求される可能性がある点に注意しましょう。

地方銀行の金利相場

地方銀行(地銀)は各都道府県に本店を置く、地域密着型の銀行です。同じ地方銀行でもエリアによって大きく特徴が異なり、不動産投資に力を入れている銀行とそうではない銀行に分かれます。

 

銀行によって融資条件や金利が異なります。また、投資対象のエリアを限定している場合もあるため、確認が必要です。もちろん幅はありますが、一般的に金利は1〜4%と低めに設定されています。地方銀行の場合、メガバンクに比べて審査に通りやすい点もメリットと言えるでしょう。

信用金庫・信用組合の金利相場

信用金庫や信用組合も、地方銀行と同じく地域密着型の金融機関です。ただし、信用金庫が営業できる地域は、信用金庫法により金融庁で定められており、エリアがより限定的と言えます。

 

金利も1〜4%と地方銀行と大差ありませんが、申込者の住んでいる地域によっては融資を受けられない場合もある点に注意しましょう。比較的審査が通りやすく、低金利で融資を受けられるので、エリアを限定して不動産投資を行う方にとっては魅力的とも言えます。

日本政策金融公庫の金利相場

日本政策金融公庫は財務省所管の金融機関で、申込者の属性よりも事業性を重視して審査されるのが特徴です。不動産投資ローンとしては「新規開業資金」「シニア・若者・女性向け開業資金」「一般貸付」の3種類があります。

 

「新規開業資金」や「シニア・若者・女性向け開業資金」の対象となると、金利の優遇や返済期間の延長などの優遇が受けられるメリットがあります。金利相場も1.2〜2.0%と低いため、ぜひご検討したい不動産投資ローンと言えるでしょう。

低い金利で不動産投資ローンを組むための6つのポイント

不動産投資を行うのであれば、なるべく低金利でローンを組みたいと考えるのは当然のことです。ローンの金利は金融機関によって大きく異なり、申込者の属性や対象となる物件によっても変動します。ここからは、どうすれば低い金利で不動産投資ローンを組めるのか、融資を受ける際の6つのポイントをご紹介します。

ローンの返済をしておく

不動産投資ローンの審査を受ける前にまず行っておきたいのが、現在あるローンの返済です。ローンの審査で指標となるのが年収や資産などの属性ですが、これらをすぐに変更するのは難しいかもしれません。そこで、おすすめなのがカードローンや住宅ローンの繰上げ返済です。融資に先立ちローンを返済しておくことで、審査に通りやすくなるでしょう。

綿密な事業計画を立てる

金融機関に不動産投資ローンの審査を申し込む際に必要なのが、事業計画書です。事業計画書には物件概要のほか、初期費用や運営コスト、投資の収支計画などを記載します。不動産事業としての収支やローンの返済見込みなど、綿密な事業計画を立てることで、金融機関に事業の収益性をアピールでき、金利面で優遇される可能性もあります。

複数の金融機関を比較する

不動産投資ローンの金利は金融機関によって大きく異なります。融資を受ける際は、複数の金融機関を比較し、なるべく低金利かつ好条件で融資を受けられる金融機関を選びましょう。金利だけでなく、事務手数料や保証料、返済期間などを比較し、総合的に判断することも大切です。メガバンクから地方銀行まで、3〜5行ほど比較することをおすすめします。

利用したことのある金融機関に相談する

新規で取り引きをはじめる金融機関よりも、すでに口座を開設していて取引経験のある金融機関のほうが、ローンの審査が通りやすい傾向があります。すでに金融機関との信頼が築けている場合、審査に通りやすかったり、有利な条件で融資を受けられたりする可能性もあります。つながりのある金融機関の担当者に不動産投資ローンについて相談した上で、ほかの金融機関と比較すると良いでしょう。

融資に強い不動産会社を選ぶ

個人投資家が、過去に取引のない金融機関に融資を依頼するのは難しいものです。その際に力になってくれるのが、融資に強い不動産会社です。不動産会社には、それぞれ独自に提携している金融機関や信頼関係を築いている金融機関があります。融資に強い不動産会社を通してローンを申し込むと、優遇金利が適用される場合もあります。

 

金利は引き下げ交渉することも可能

不動産投資ローンの金利には同じ金融機関の中でも幅があり、利率は属性や物件によって決定されます。金利は、場合によっては引き下げ交渉することも可能です。個人で交渉するのは難しいため、信頼できる不動産業者を通して金利の交渉を行いましょう。事業計画を作り込んだり、属性を上げたり、自身でできることは事前に行っておきましょう。

不動産投資ローンを組む際の注意点

不動産投資ローンは自己資金以上の物件を購入できるメリットがある反面、リスクもつきものです。知識のないまま不動産投資ローンを組んでしまうと、金利の高いローンを選んでしまったり、無茶な融資を受けてしまったりする可能性もあります。ここからは、不動産投資ローンを組む際に気をつけたいポイントを5つご説明します。

頭金を用意しておく

頭金は、ローンを組む際に先払いするお金のことを言います。頭金なしで融資を受けられる「フルローン」という選択肢もありますが、昨今金融機関の審査が厳しくなり、頭金の用意を求められるケースがほとんどです。不動産投資ローンを組む際は、物件購入価格の1〜3割程度のお金を頭金として準備しておきましょう。

自分に合ったローンを選ぶ

不動産投資ローンには、金融機関によってさまざまな商品があります。固定金利なのか、変動金利なのかによっても返済の仕方が変わってきます。融資を受ける際は、審査基準や融資額、返済期間などを総合的に判断しましょう。どのローンが自分に合っているかわからない場合は、金融機関に相談するのもひとつの方法です。

具体的な返済計画を立てる

審査に通ったからといって、余裕のない返済計画ではローンの返済ができなくなってしまう恐れもあります。不動産投資を行う場合は、滞納することなく計画的に返済できるよう、事業計画と合わせてローンの具体的な返済計画を立てましょう。余裕を持った借入期間でローンを組むとともに、あらゆるリスクを想定して厳しく見積もることも重要です。

金利の変動リスクや空室リスクを考慮する

不動産投資には、空室や滞納、災害などのリスクがつきものです。変動金利でローンを組んだ場合は、金利の変動リスクも想定されます。これらによる不利益を被った場合、当初の計画通りに返済できない可能性もあります。不動産投資ローンを組む際は、リスクも織り込んで返済計画を立てるようにしましょう。

超低金利時代、今後の見通しは?

1990年代半ばのバブル崩壊以降、日本では超低金利時代が長く続いています。超低金利とはつまり、ローンの金利も低くなっており、不動産投資には有利と言えます。日本では今後も低金利が続くと予想されています。とはいえ、社会情勢は急激に変化することもあるため、国内のみならず他国の経済状況も注視するようにしましょう。

自分の状況や返済計画に合ったローンを選ぼう

不動産投資には不動産に関する知識のみならず、金利についての知識も必要です。各金融機関がさまざまな不動産投資ローンを用意しており、融資を受ける人の属性や物件によって審査基準や融資額、返済期間などの条件が異なってきます。なるべく多くの選択肢を比較して、自分の状況や返済計画に合ったローンを選びましょう。

まとめ

不動産投資には専門用語も多く、難しく感じる人も多いかもしれません。しかし、不動産投資ローンは便利な反面、内容をよく知っておかないと、失敗してしまうリスクも当然あります。不動産投資を行う場合、多くの人は不動産投資ローンを活用することとなりますが、その際に重要なのが金利です。不動産投資ローンを利用する際は、信頼できる不動産会社や今までに付き合いのある金融機関に相談し、無理のない返済計画を立てましょう。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由

誠実がモットー。これまでのお客様との出会いが投資不動産領域での私自身の見識を高めることに繋がっており、お客様への感謝を胸に、いかに皆様のお役に立てる情報を発信できるかが重要と思っております。こんなことをもっと知りたい等、お気軽にお声掛けいただけると嬉しいです。 著者の記事一覧はコチラ
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