アパートを高く売りたい!投資家がこだわる売却ポイントを解説
予期せぬ相続や高齢化による経営リタイアなどを理由に、所有しているアパートを売りたいと考えている方は少なくありません。ただし、売り方を誤ると、本来より安い価格で手放す可能性があります。
そのためには、買い手である不動産投資家が重視するポイントを知っておくことが大切です。売却価格に差がつくポイントを押さえ、納得のいく条件での売却を目指しましょう。
この記事の目次
アパートを高く売る5つのコツを解説!
アパートを高く売却するためには、物件の収益性と安全性を買い手に証明することが不可欠です。投資家は購入後のキャッシュフローを重視するため、これらを裏付ける具体的な準備が査定額に直結します。
修繕履歴を明確にする
アパート売却において、過去のメンテナンス記録は建物の信頼性を示す証拠となります。修繕履歴が詳しくわかることで、買い手は購入後の突発的な出費をある程度見積れるためです。
一方、履歴が残っていないと、将来的な修繕リスクを懸念され、値下げ交渉の材料にされる可能性があります。修繕履歴では、外壁塗装や屋根防水、給排水管の更新、各室の設備交換(エアコンや給湯器など)といった内容を整理しておくことが大切です。
適切に管理されてきた物件であることが伝われば、買い手の不安を和らげやすくなります。修繕内容は、実施時期・箇所・費用がわかる形で一覧表(修繕履歴台帳)にまとめておきます。領収書や施工報告書と一緒に提示すると、適切に管理されてきた物件であることを伝えやすくなるでしょう。
満室の状態で売り出す
アパートの売却価格は、収益性を重視して査定されることが多いため、収益還元法が用いられる傾向があります。実際は、積算法や周辺の成約事例などと組み合わせて価格が判断されます。
空室が多い状態で売り出すと、実際の家賃収入ではなく想定賃料を前提に収益性を評価されることがあります。その結果、「入居付けが難しい物件ではないか」と判断され、買い手から指し値(値引き交渉)を受けやすくなるため注意が必要です。
高額売却のためのもう一押し
空室がある場合は、入居率を改善してから売り出すことで、買主に与える印象がよくなり、高値での売却につながる可能性があります。たとえば、仲介会社への広告料を調整したり、一定期間のフリーレントを活用したりする方法があります。
ただし、条件を付けすぎると「通常の募集では入居者が集まりにくい物件ではないか」と見られるおそれがあるため、注意が必要です。アパートの空室が多い場合は、まず物件の需要や賃料相場を見直したうえで、募集条件の調整を行いましょう。
フリーレントはやみくもに実施するのではなく、費用対効果を見ながら慎重に判断することが大切です。
費用対効果の低い大規模な修繕は避ける
特別な事情がない限り、建物の外観をきれいに見せようと売却前に数百〜数千万円単位の大規模修繕を行う必要はありません。修繕費用をそのまま売却価格に上乗せできるケースは少なく、回収できないコストが増えるおそれがあるからです。
| 修繕の種類 | 優先度 | 判断基準 |
|---|---|---|
| 小規模な修繕 | 高 | 壁紙の張り替え、ハウスクリーニングなど比較的安い金額で見た目が大きく変わるもの。 |
| 設備の不具合 | 高 | 雨漏りやシロアリ被害など、放置すると「契約不適合責任」を問われる致命的な瑕疵。 |
| 大規模修繕 | 低 | 外壁塗装や屋上の防水処理。100万円単位の費用がかかるため、売却価格とのバランスが崩れやすい。 |
基本的には「現状渡し」を前提とし、大きな修繕が必要な箇所は「そのぶん価格を調整する」ほうが、早期売却につながるケースが多いです。
エリアの需要や地価動向から「高く売れる時期」を予測する
不動産市場には波があります。特にアパートなどの収益物件は、地価動向だけでなく金利や金融機関の融資姿勢に強く影響を受けます。
【売りどきのサイン】
- 近隣で再開発の計画が発表された
- 周辺の地価が上昇傾向にある
- 投資用ローンの金利が低水準で推移している
- 2月〜3月の引越しシーズン前(買い手が賃貸需要を実感しやすい時期)
こうした動きが見られたときは、すぐに売却を決めるのではなく、まずは不動産会社に査定を依頼し、現在の相場を把握しましょう。そのうえで、近隣の成約事例や募集状況、投資家の動きなども確認し、自分の物件が今売りやすい状況なのかを見極めることが大切です。
アパートの査定額が想定より低い場合は、急いで売るのではなく、空室の改善や修繕履歴を整理しながら、より条件のよいタイミングを待つ方法もあります。市場の変化を見ながら準備を進めることで、高値売却につながる可能性を高められます。
所有期間が5年を超えるタイミングで売却する
アパートを売却して利益(譲渡所得)が出た場合、物件の所有期間によって税率が大きく異なります。所有期間による税率の違いは以下のとおりです。
| 分類 | 所有期間 | 所得税・住民税率・復興特別所得税 |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
※参考:国税庁|土地や建物を売ったとき
売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えているかどうかを確認してください。税率がほぼ倍近く違うため、5年経過のタイミングを待つだけで、手残りのキャッシュを大幅に増やすことができます。
早く、高く売れるアパートの特徴
市場で高く評価されるアパートには共通点があります。ご自身の物件がどれだけ当てはまるかチェックしてみましょう。
立地がよくて周辺設備が充実している
アパートの価値は、立地や周辺環境の影響を大きく受けます。特に、最寄り駅から徒歩10分以内で、近隣にコンビニやスーパー、病院などの生活利便施設がそろっている物件は、入居者に選ばれやすく、投資家からも評価されやすい傾向があります。
また、大学や大手企業の工場、オフィス街などが近くにあり、安定した賃貸需要が見込めるエリアも有利です。ニーズに合わないアパートは空室率が高くなり、売却価格を押し下げる要因になるのです。
立地条件が良い物件は空室リスクを抑えやすく、将来的な売却のしやすさも期待できます。売却時には、単に所在地を伝えるだけでなく、周辺施設や駅距離、地域の賃貸需要などもあわせて整理し、買主に物件の強みとして伝えることが大切です。
立地に合った人気の間取りになっている
アパートを高く売るには、そのエリアでどのような人が住まいを探しているのか、物件の間取りが合っているか意識することが重要です。
たとえば、学生や単身者が多いエリアでは、ワンルームや1Kなどのコンパクトな間取りが好まれやすく、無料Wi-Fiや宅配ボックスといった設備が重視されます。一方、ファミリー層が多いエリアでは、2LDK〜3LDKの間取りに加え、駐車場や追い焚き機能などが評価されやすい傾向があります。
地域のニーズに合わない間取りは空室リスクを高め、売却価格を下げる要因になりかねません。結果として高値での売却にも影響するため注意しましょう。
最低限の修繕が行われている
建物全体の劣化が進んでいるように見えると、買い手は「購入後に修繕費がかさむのではないか」と不安を抱きやすくなります。
反対に、共用部の廊下や階段の清掃が行き届いており、ゴミ置き場がきれいに掃除され、集合ポストにもチラシが溜まっていない状態であれば、物件の管理状況に対する印象は好意的なものに変わるでしょう。大規模な修繕ではないので改善がしやすく、売却前に整えておきたい基本的なポイントです。
見た目の印象がよくなることで、買い手に「きちんと管理されてきた物件」という安心感を与えやすくなります。
築年数が20年以内である
築年数は、アパートの売却価格に影響しやすい要素の一つです。一般的には、築浅の物件ほど建物の修繕に対する不安が少なく、買主が融資を利用しやすい傾向にあります。アパートローンの融資期間は20〜35年ほどですが、法定耐用年数を目安として審査するケースも少なくありません。
築年数が古いアパートは、金融機関の審査で融資期間が短くなったり、自己資金を多く求められたりすることがあり、買主の幅が狭くなることがあります。しかし、築古物件であっても、立地がよく、入居状況や収益が安定していれば売却は可能です。
築年数だけで判断するのではなく、物件全体の収益性や管理状態もあわせて評価されると考えておきましょう。
参考:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表
家賃滞納などの入居者トラブルがない
アパートの売却では、家賃滞納や入居者トラブルの有無も重要な判断材料になります。投資家は、購入後の管理負担や家賃回収リスクをできるだけ避けたいと考えるためです。
家賃滞納者がいないことに加え、法的・社会的なトラブルにつながるような入居者がないことも、買主の安心感につながります。日常的な管理が行き届いている物件ほど、投資家にとっても引き継ぎやすく、購入を検討しやすい物件といえるでしょう。
オーナーチェンジをスムーズに進める方法
オーナーチェンジ(入居者がいる状態での売却)は、通常の居住用不動産の売却とは異なる手続きが必要です。トラブルを避け、スムーズに引渡しを行うためのポイントを解説します。
正確なレントロール(賃貸借条件一覧表)を作成する
レントロールは、アパートの履歴書のようなもので、家賃明細表とも呼ばれることがあります。以下の情報を正確に記載し、買主が一目で入居者の情報を把握できるようになるのが理想です。
- 号室や間取り
- 現行賃料・共益費
- 敷金の預り金額
- 契約開始日・更新日
- 入居状況や保証会社利用の有無など
入居者情報を開示する際は、個人情報に配慮し、氏名などの特定情報は原則として伏せたうえで、賃貸借条件や属性を提示しましょう。
賃貸借契約書の内容を精査・準備する
オーナーチェンジで売却する場合は、全世帯分の「賃貸借契約書」をそろえたうえで、契約内容を事前に確認しておくことが重要です。退去時の特約の有無をはじめ、更新料の設定、ペット飼育の可否、楽器使用の制限などは、買主が管理上のリスクを見極める際の判断材料になります。
万が一、契約書を紛失してしまった場合は、管理会社に控えが残っていないか早めに確認しましょう。契約内容を把握できないまま売却を進めると、引き継ぎ後のトラブルにつながるおそれがあるため、慎重に対応する必要があります。
敷金や修繕費の引き継ぎを明確にする
オーナーチェンジでアパートを売却する場合は、入居者から預かっている敷金の返還義務があるため、決済時の精算方法をあらかじめ明確にしておくことが大切です。一般的には、預かっている敷金の総額を考慮して、売買代金を調整しながら決済を行います。
あわせて、過去の退去時に発生した未精算費用や修繕に関する積立金がある場合は、売主と買主のどちらが負担するかを売買契約書に明記しておきましょう。こうした点を曖昧にしたまま引き渡すと、売却後のトラブルにつながる可能性があります。
入居者へ丁寧な通知を行う
オーナーチェンジで売却が決まったときは、入居者に対して「オーナー(賃貸人)変更のお知らせ」を送付しましょう。通知は、原則として引き渡しの完了後、できるだけ速やかに行います。
案内する内容としては、新しいオーナーの連絡先や賃料の振込先変更の有無、今後の管理窓口などが挙げられます。急なオーナー変更は入居者に不安や混乱を与えやすいため、管理会社とも連携しながら、わかりやすく周知することが重要です。
特に、管理会社や支払い先が変わる場合は、案内不足がトラブルにつながりやすいため注意しましょう。
アパートの売却は投資物件に強い不動産会社に依頼する
アパートを売却するときは、投資物件の取り扱いに強い不動産会社を選ぶことが大切です。
分譲マンションの売却を得意とする会社と、投資用アパートの売却を得意とする会社では、抱えている買主層(顧客リスト)や販売ノウハウが異なるためです。
投資物件に強い会社かどうか調べるときは、次のような点を確認するとよいでしょう。
【投資物件に強い会社の見分け方】
- 投資家向けポータルサイトへの掲載実績が多い
- 金融機関のアパートローンの動向や融資事情に詳しい
- 税金や相続に関する知識が豊富な担当者がいる
- 収益物件の売却実績があり、オーナーチェンジ案件も対応している
- レントロールや修繕履歴など、投資家向け資料の見せ方に慣れている
上記の特徴を持つ不動産会社であれば、収益物件を探している買主へ適切な訴求ができるため、所有するアパートの強みを踏まえた提案を受けやすくなります。少しでも有利に売却したい方は、投資物件の実績がある会社を選ぶことが重要です。
不動産会社選びが重要になる理由
建物自体の価値が低くても、立地が良ければ土地として高く評価される場合があります。また、築古物件でもリノベーションを前提にしている投資家であれば、高く評価される可能性があるでしょう。
アパートの売却は、適切なタイミングと準備次第で、手元に残る金額が数百万円から一千万円単位で変わります。まずは、現状の物件価値を正しく把握することから始めましょう。
実際に売るときは、収益物件の売却経験が豊富な不動産会社を選ぶことが大切です。プロならではの視点で、オーナーの希望と物件の条件に最適な提案を受けられるでしょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典
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