不動産投資ローンと住宅ローンは両立できる?順番や利用条件、併用の注意点
不動産投資ローンと住宅ローンは、そもそも利用目的や審査基準が異なります。そのため、どちらを先に組むかによって、その後の借入可能額や資金計画に大きな影響を与える可能性があります。
資産形成のために不動産投資を進めながら、同時に自宅の購入も検討している場合、2つのローンを無理なく両立できるかが重要です。返済負担を抑えながら計画的に進めるためには、それぞれの特徴や注意点を事前に理解しておきましょう。
この記事の目次
不動産投資ローンと住宅ローンは両立可能?
不動産投資ローンと住宅ローンは、条件次第で両立できます。2つのローンは返済原資をはじめ、目的・審査基準・金利など多くの点で異なるため、それぞれの仕組みをしっかり理解したうえで進めることが重要です。
以下は、不動産投資ローンと住宅ローンの主な特徴をまとめたものです。
| 項目 | 不動産投資ローン | 住宅ローン |
|---|---|---|
| 融資目的 | 賃貸収益を得るための投資用物件の購入 | 本人・家族が居住するための住宅の購入 |
| 返済原資 | 家賃収入 | 申込者の給与や事業収入 |
| 金利(目安) | 1.5〜3%程度 | 0.8〜1.5%程度 |
| 融資上限額 | 数千万円~数億円 | 年収の5倍~8倍 |
| 返済期間目安 | 10年~50年 | 20年~30年 |
| 審査の主な対象 | ・申込者の属性 ・物件の収益性 ・物件の担保価値 ・立地など |
・申込者の年収 ・職業・勤務先 ・勤続年数 ・信用情報など |
| 審査の難易度 | 比較的厳しい | 比較的通りやすい |
住宅ローンは申込者や家族が居住する不動産を購入するためのものであり、月々の返済は給与から支払われます。一方、不動産投資ローンは事業用のローンのため、申込者の属性に加えて物件の空室率や利回りなども踏まえて審査されます。
物件の収益性が高ければ前向きに評価される可能性はありますが、収益性だけで借入可否が決まるわけではありません。
2つのローンを同時に組む場合、それぞれの審査において互いの借入状況が考慮されます。借入額が大きければ月々の返済額も高額になるため、審査の結果、希望額どおりに借りられない、あるいは融資自体が難しくなる可能性があるためです。
不動産投資ローンと住宅ローンはどちらを先に利用すべき?
不動産投資ローンと住宅ローンは、どちらを先に組むかによって、借入余力(追加で受けられる融資額の目安)や将来の資金計画に違いが出ます。年収や資産状況、今後のライフプランによって適した順番は異なるため、それぞれの進め方の特徴を確認しておきましょう。
住宅ローンを先に利用するケース
住宅ローンを組んでから不動産投資を始めるケースでは、住宅ローンの低金利をフルに活用できるメリットがあります。
住宅ローンの金利は不動産投資ローンと比べて低く設定されているため、毎月の返済額を抑えられます。また、生活の基盤を先に確保することで、資産形成の計画も立てやすくなるでしょう。
特に結婚や出産などのライフイベントを見据えている場合、住居の安定を先に整えておくことで、投資の判断がしやすくなります。
ただし、住宅ローンの残債があると、追加で借入れる不動産投資ローンの金額が制限される可能性があります。金融機関は融資審査の際に既存の借入残高を確認するため、住宅ローンの残債が多いほど、投資用ローンで組める金額が少なくなるのが一般的です。
不動産投資ローンを先に利用するケース
不動産投資ローンを先に組んでから自宅を取得する場合、住宅ローンの残債がない状態で投資ローンの審査を受けられるため、追加融資の確保が期待できます。毎月の返済負担や借入残高の面で不利になりにくく、希望する条件で融資を受けられる可能性があるのです。
審査では、物件の収益性に加えて、申込者の属性や既存借入の状況なども対象となります。不動産投資で安定した家賃収入が得られていれば、その実績が住宅ローンの審査でプラスに評価されることもあるでしょう。
ただし、不動産投資ローンの残債が多い状態で自宅を購入すると、住宅ローンの審査が厳しくなる場合があります。投資が赤字続きの場合や、年収に対して残債が重い場合は、住宅ローンの審査に深刻な影響を与えることもあるため注意が必要です。
不動産投資ローンと住宅ローンを両立させるための条件
2つのローンを同時に利用する際は、申込者の属性や物件の収益性のほか、年収に対する年間のローン返済額の割合も見られます。金融機関によっては、多くの条件を満たすことが求められるでしょう。
片方のローンだけでも審査を通過するのが容易ではないなか、2つのローンを維持するハードルは決して低くありません。両立を目指す場合は、以下の条件を事前にしっかり確認しておきましょう。
安定した収入・属性がある
不動産投資ローンと住宅ローンを同時に維持するうえで基本となる条件が、安定した収入と良好な属性です。
ここでいう「属性」とは、金融機関がローン審査の際に申込者の返済能力を判断するための個人情報のことで、年収・勤続年数・雇用形態・勤務先・家族構成・信用情報などが含まれます。
年収700万円以上の安定的な収入が目安とされることもありますが、必要な年収水準は借入額や返済期間、家族構成などによって異なるため、一律に判断することはできません。勤続年数は長いほど評価されやすく、転職直後や勤続年数が短い場合は審査で不利になることがあります。
自営業や歩合給の職種など収入が不安定な方は、たとえ年収が高くてもローン審査に通りにくい場合があるでしょう。特に住宅ローンは申込者の属性を重視するため、年収や勤続年数が基準を下回ると希望額の融資を受けられないことがあります。
一方、不動産投資ローンは物件の収益性が審査の中心となるため、属性だけで判断されるわけではありませんが、ローンを両立させるうえでは良好な属性を維持しておくことが重要です。
頭金を用意できる
2つのローンを同時に利用する場合、それぞれの物件に対して一定の頭金を用意することが大切です。頭金を入れるほど借入総額を抑えやすくなり、融資審査でも前向きに評価されることも少なくありません。
住宅ローンでは物件価格の10〜20%、不動産投資ローンは物件価格の10〜30%程度の頭金を用意している方が多く見られます。両立を前提とするのであれば、どちらか一方に頭金を集中させるのではなく、両方の物件購入に備えた資金計画を立てておくことが必要です。
投資する物件の収益性が高い
不動産投資ローンでは「購入する物件がどれだけ収益を生むか」も重要な審査対象です。
金融機関は、家賃収入からローンを安定して返済できるかどうかを判断するため、物件の立地や築年数、稼働率や利回りなど総合的に評価しています。一般的に、空室リスクが低いエリアや、管理体制が充実した物件、新築の物件も融資審査で評価を得やすい傾向があります。
収益性の低い物件を購入すると、融資額が希望よりも低くなる可能性があるだけでなく、そもそも審査が通らないこともあるでしょう。そのため、不動産投資ローンと住宅ローンを両立させたい方は、高い収益性の物件を見つけることが大切です。
与信枠(借入可能額)に余裕がある
不動産投資ローンと住宅ローンを両立させるには、両方の借入額をカバーできるだけの与信枠があるとよいでしょう。与信枠とは、金融機関が個人に対して貸し出せると判断した、借入の上限を指します。
与信枠は一般的に年収を基準に算出されることが多く、住宅ローンでは年収の5〜7倍程度、不動産投資ローンでは年収の10倍程度が目安とされています。ただし、これはそれぞれ単独で借りたときの目安であり、ローンを両立する場合は合計の借入残高が与信枠の範囲内に収まるか確認が必要です。
たとえば、年収500万円の方が年収の10倍(5,000万円)を借り入れる場合、不動産投資ローンで3,000万円を借りていれば、住宅ローンで借りられる金額は残り2,000万円程度が目安となります。どちらかのローンが与信枠を大きく占めてしまうと、もう一方の融資が難しくなる可能性があるため注意しましょう。
なお、不動産投資が順調で安定した家賃収入がある場合、その収益が収入として評価され、与信枠が広がるケースもあります。判断基準は金融機関によって異なるため、事前に相談しておくと確実です。
返済負担率が基準内に収まる
不動産投資ローンと住宅ローンを同時に利用する場合、両方の返済額を合計した返済負担率が基準内に収まるか確認が必要になります。
金融機関や商品によって基準は異なりますが、フラット35では、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下としています。不動産投資ローンも含めた返済額がこの基準を超えると、審査で不利になったり、希望する借入額を確保できなくなったりすることがあるでしょう。
住宅ローンと不動産投資ローンの合計返済額が返済負担率の範囲に収まるよう、借入額や返済期間を事前にシミュレーションしておくことが大切です。
参考:フラット35|【フラット35】ご利用条件
不動産投資ローンと住宅ローンを両立するときの注意点
2つのローンを同時に維持する場合、片方のローンに問題が発生すると、もう一方の返済に波及するリスクがあります。2つのローンを両立するときの注意点について見ていきましょう。
投資物件のキャッシュフローを意識する
不動産投資ローンと住宅ローンを両立するためには、投資物件のキャッシュフローが安定していることが重要です。キャッシュフローとは、家賃収入からローン返済、管理費や修繕費など支出を差し引いた手残り資金を指します。
キャッシュフローがプラスであれば余剰資金が生まれ、住宅ローンの返済や次の投資に活用できます。一方、マイナスが続くと給与収入で不足分を補う必要があり、住宅ローンと合わせて家計を圧迫するおそれもあるのです。
物件を購入する際は空室期間や管理費、修繕費なども考慮した、現実的なシミュレーションを行うことが大切です。特に築年数が古くなるほど修繕費は増えやすいため、長期的な視点で収支を確認しておきましょう。
住宅ローンを投資目的で利用しない
住宅ローンは、「本人または家族が居住するための住宅」の購入・建築・改修に限定して利用できるローンです。投資目的での利用は契約違反となります。
購入目的を偽って融資を受けた場合、金融機関に発覚した時点でローンの一括返済を求められるリスクがあります。事業者から投資目的で利用することを提案されたケースもあるため、犯罪に巻き込まれないためにも覚えておきましょう。
なお、転勤や家族構成の変化などのやむを得ない事情で、住宅ローンを利用して購入した自宅を一時的に賃貸に出す必要が生じた場合は、借入先の金融機関に相談して承諾を得る必要があります。無断で賃貸物件として転用した場合、契約違反として判断される可能性があるため注意してください。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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