不動産投資
2026.04.27

マンションを建てる費用相場|条件別シミュレーションでわかる目安と高くなる要因

マンションを建てる費用相場|条件別シミュレーションでわかる目安と高くなる要因

マンション一棟を建てる費用は、構造や階数、延床面積、設備などさまざまな要素によって大きく変動します。そのため、単純な坪単価だけで判断することはできません。土地活用や不動産投資を検討している方のなかには、建築費を重視する方も多いでしょう。

資材価格や人件費の高騰が続くなか、建てる費用が高くなる要因や建築費の相場を事前に把握しておくことが、無理のない事業計画につながります。

この記事の目次

マンションを建てる費用の相場

マンションを建てる費用は、建物の構造や階数、延床面積などによって幅がありますが、一般的な5階建てRC造では2億〜5億円前後が目安です。マンションは高額な建築費用が生じるので、予算計画を立てる際に、費用を「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つに分けて考えることが重要です。

本体工事費とは、マンション建築にかかる費用のうち最も大きな割合を占める項目です。建物の基礎・躯体・外壁・屋根・内装・建具など、建物本体に関わるすべての工事費が含まれます。

付帯工事費とは、建物本体以外の工事にかかる費用の総称です。外構工事や給排水工事、ガスや電気の引き込み工事、地盤改良工事、空調設備工事などが含まれます。

諸費用とは、工事費以外に発生するさまざまな費用のことです。設計監理費、建築確認申請費、融資手数料、火災保険料のほか、工事請負契約書にかかる印紙税や、新築建物の登記に伴う登録免許税、不動産取得税などが含まれます。

坪単価だけに注目していると、最終的な総費用を大きく見誤るおそれがあるため注意しなければいけません。予算を立てる段階から諸費用まで含めたトータルコストで計画することが、後のトラブルを防ぐポイントです。

【条件別】マンション建築費シミュレーション

マンションの建築費は、建物の構造や敷地面積、階数などの条件によって大きく異なります。

なお、以下でご紹介する費用の目安は、主に建物の建築費と付帯工事費・諸費用を中心としたものです。土地を新たに取得する場合は、土地取得費が別途必要になるため、あくまで概算としてご活用ください。

構造別

マンション建築で採用される主な構造は「S造(鉄骨造)」「RC造(鉄筋コンクリート造)」「SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)」の3種類です。構造によって使用する建材や工法、工期が異なるため、建築費に差が生じます。

S造は工期が比較的短く、施工コストも抑えやすいのが特徴で、3階建てなどの中低層の賃貸マンションで採用されています。RC造は優れた耐火性・遮音性・耐久性を持ち、賃貸マンションで広く採用されている構造です。

SRC造は強度が高いため、高層マンションや大規模建築物の建造に適していますが、建築費は最も高くなるのが特徴です。

下の表は、総務省(e-Stat)「建築着工統計調査」(2025年)の構造別の床面積と工事費予定額をもとに算出した、坪単価の目安です。

構造 坪単価の目安 ㎡単価の目安
S造(鉄骨造) 100〜120万円/坪 30〜36万円/㎡
RC造(鉄筋コンクリート造) 110〜130万円/坪 33〜39万円/㎡
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) 130〜155万円/坪 39〜47万円/㎡

※上記はあくまで目安です。地域・施工会社・設計内容によって大きく異なります。

このように、建物の構造によって建築費は大きな差が生まれるのです。さらに建材価格は市場の変化や経済状況などの影響を受けるため、建築するタイミング次第では上記の坪単価よりさらに高額になる可能性もあるので注意しましょう。

土地の面積(延床面積)別

マンションの建築費は、敷地面積に加え、建ぺい率や容積率によって建てられる規模が変わります。建ぺい率と容積率は用途地域によって異なり、上限を原則として超えることはできません。

たとえば、同じ敷地面積150㎡の土地であっても、容積率が200%の地域では延床面積の上限は300㎡ですが、容積率300%であれば450㎡まで建てられます。(自治体の条例などにより上限は異なります)

延床面積が大きくなるほど建築費の総額も増加するため、土地を取得する前に必ず建ぺい率と容積率を確認しなければいけません。エリアによっては、そもそも中高層のマンションを建てられないケースも存在します。

そのため、広い土地であっても大きな建物を建築できるわけではない、ということを覚えておきましょう。以下は、RC造(㎡単価36万円)を基準に、容積率300%と仮定した場合の敷地面積別の目安です。

敷地面積 延床面積の目安 建築費の目安(RC造・諸費用込み)
100㎡(約30坪) 約300㎡(約91坪) 約1.3億〜1.5億円
150㎡(約45坪) 約450㎡(約136坪) 約1.9億〜2.3億円
200㎡(約61坪) 約600㎡(約182坪) 約2.5億〜3.0億円

※付帯工事費(本体工事費の約15%)・諸費用(約10%)を含む総費用の目安です。

建ぺい率・容積率は用途地域によって異なります。上記の金額は、あくまで目安として考えてください。

なお、容積率が高い地域では同じ敷地でもより多くの住戸を設けられるため、高い収益が狙えます。ただし、建築費の総額も大きくなるため、収益計画と資金調達の両面でバランスを考慮することが大切です。

土地の形状が複雑な場合や角地の場合は、適用される建ぺい率が通常と異なるケースがありますので、設計士などの専門家に確認してから建設を進めましょう。

階数別

マンションの階数が増えるほど延床面積は拡大するため、建築費の総額がかさんでいきます。さらに、建物の高さが一定の水準を超えると、建築基準法や消防法の追加規制が適用され、必要な設備や仕様が増えるため、コストが上昇する点にも注意しなければいけません。

建築基準法34条2項では、建物の高さが31m(10階程度)を超える場合は、原則として「非常用エレベーターの設置」が必要と明記されています。また、マンションの階数や延べ面積によっては、排煙設備や防火設備などの設置が求められます。

15階以上の高層建築になると、免震・制震対策や大型重機の使用が必要となることも多く、坪単価が上昇する可能性があります。以下の表は、1フロアあたりの床面積を60坪と想定した場合の階数別建築費の目安です。

階数 延床面積の目安 S造の建築費目安 RC造の建築費目安 SRC造の建築費目安
5階建て 約990㎡(300坪) 約4.1億円 約4.5億円 約5.1億円
10階建て 約1,980㎡(600坪) 約8.3億円 約9.0億円 約10.1億円
15階建て 約2,970㎡(900坪) 約12.4億円 約13.5億円 約15.2億円

※付帯工事費(本体工事費の約15%)・諸費用(約10%)を含む総費用の目安です。

15階以上の高層マンションは、RC造またはSRC造が採用されることが一般的です。実際の費用は地域・施工会社・設計内容等によって異なりますが、10階建て以上を計画する場合は、建築費の総額が大きくなるため融資審査のハードルも上がります。

高層マンションの事業計画を進める際は、建築費の見積もりと合わせて収益シミュレーションを早い段階で行い、収支が成立するかどうかを慎重に確認することが大切です。

マンションを建てる費用が高くなる要因

マンションを建てる費用は、構造や規模だけでなく、仕様や立地、市況など多くの要因によって変動します。費用が想定を超えないよう、コスト上昇につながりやすい原因を確認しておきましょう。

性能の高い建材や設備を採用する

性能の高い建材や設備を採用すると工事費は増加します。特に、断熱材やサッシ、フローリングの素材、キッチンや浴室などの水回り設備は、グレードの差が費用に直結しやすい部分です。

高品質な設備はマンションの付加価値を高め、入居率の向上や高い家賃設定を可能にします。

一方で、初期投資が膨らむことで投資の回収期間は延びるおそれがあります。いくら高性能な設備を取り入れたとしても、20年後や30年後には古い設備になり、家賃が下落する可能性があるためです。

そのため、地域の入居者層や競合マンションの設備水準を調べたうえで、費用対効果を意識して選定することが重要です。

立地条件の良い土地を取得する

都市部や交通利便性の高い地域は地価が高く、土地取得費用が事業コスト全体を圧迫します。加えて、建物が密集したエリアでは大型重機の搬入が困難なケースがあり、作業効率の低下から工期が延びて人件費が増加することも珍しくありません。

立地のよさは賃貸需要の安定に直結するため、コストを理由に避けるべきではありませんが、土地取得費を含めたトータルコストと収益性を丁寧に試算したほうがよいでしょう。

建設工事費や人件費が高騰している

近年、マンションを建てるコストは継続的に上昇しています。その背景には、資材価格の高騰と建設業界における人手不足による人件費の増加があります。

資材面では、コロナ禍以降のサプライチェーンの混乱や国際情勢の影響を背景に、鉄筋や鋼材、生コンクリートなどの主要建材価格が上昇しました。

さらに、円安の進行が輸入建材のコストを押し上げており、国内調達コスト全体に影響を与えています。人件費では、建設技術者や職人の高齢化、若手の入職者不足により、熟練工の確保が難しくなっており、賃金水準が上昇しています。

今後も建築コストの高止まりが続くとみられていることから、建築のタイミングや資材調達の方法も、コスト管理において重要な検討事項となっているのです。

設計が複雑になる・特殊な工法を採用する

建物の形状や設計内容が複雑になるほど工事の難易度が上がり、施工コストが増加する傾向があります。L字型や凹凸のある変形プランの建物は、シンプルな四角形に比べて構造計算や型枠工事、外装工事が煩雑になるため、本体工事費が割高になります。

免震工法や制震工法を採用する場合も、通常の耐震設計に比べて費用が上乗せされます。免震装置や制震ダンパーの設置にかかる費用は規模によって異なりますが、数千万円から億単位のコスト増になるケースが多いのです。

近年、地震リスクへの対応は入居者の安心感につながる一方で、初期投資の増加を伴うため、地震リスクや市場ニーズを踏まえたうえで免震・制震工法の採用を検討しましょう。

地盤改良や造成工事が必要になる

建築予定地の地盤が軟弱な場合は、建物の重みに耐えられるよう地盤改良工事が必要になります。

地盤改良の工法は地盤の状態によって異なりますが、マンションの場合は数百万円から数千万円、場合によっては億単位に及ぶケースもあります。そのため、土地を購入する前に地盤調査で状態を把握しておくことが大切です。

また、傾斜地などにマンションを建築する場合には造成工事なども必要になります。切土や盛土によって土地を平坦に整える工事や、発生した残土の搬出や処分にかかる費用を考慮しなくてはいけません。

できるだけコストを抑えたい方は、土地を購入する前に地盤調査や設計士による現場確認を実施し、追加工事の有無と概算費用を把握した上で事業計画を立てましょう。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典

小田急グループの総合力を活かしながら、これまで幅広く不動産実務を経験して参りました。現在は、本社営業センターの責任者を務めております。私たちの発信が人生100年時代の選択肢を広げるきっかけになれれば大変うれしく思います。 著者の記事一覧はコチラ
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