不動産投資
2025.12.24

10億円でマンション一棟買いする価値はある?必要な自己資金と投資判断のポイント

10億円でマンション一棟買いする価値はある?必要な自己資金と投資判断のポイント

10億円規模のマンション一棟買いでは、資金力が必要になるだけでなく、長期的な収益性やリスク管理能力が大切です。

どの程度の自己資金が必要なのか、どのような条件の物件であれば安定した家賃収入を見込めるのかなど、判断すべき要素は多岐にわたります。高額な初期費用がかかる一棟投資だからこそ、注意点や重要なポイントを整理し、投資判断に役立つ考え方を紹介します。

この記事の目次

10億円のマンションを一棟買いするのに必要な自己資金

マンションの一棟買いをする場合、物件価格だけで億単位になります。自己資金ですべてをまかなうのは現実的ではないため、ローンを利用するのが一般的です。

マンション購入における自己資金の目安は物件価格に一定の割合を乗じることで算出できます。この章では10億円のマンションを一棟買いするのに必要な自己資金について解説します。

用意する自己資金の目安

マンションの賃貸経営における自己資金の目安は、物件価格の10〜20%程度です。そのため、物件価格の10〜20%ほどの頭金を用意し、残りの80〜90%は投資用ローンを利用することになります。

なお、マンション一棟買いでは物件価格のほかにも諸費用の支払いが発生します。諸費用の目安は物件価格の8〜10%程度です。

10億円の一棟マンションの購入シミュレーション

前述のように自己資金の目安は10〜20%程度ですが、物件価格が10億円の場合、20%でも2億円と非常に高額です。自己資金は多く用意するのが理想ではあるものの、無理をすると購入後の経営が苦しくなるため避けるべきです。

以上の理由から、今回は頭金のみを自己資金でまかなうと仮定し、一棟マンションの購入シミュレーションを行います。

マンション購入の主な条件は以下の通りです。

  • 物件価格:10億円
  • 自己資金:1億円
  • 借入額:9億円
  • 返済期間:35年
  • 金利:年4.5%※固定・変動の種別は考慮しない
  • ボーナス返済は設定なし

今回の例の場合、毎月の返済額は420万円超のため、年間の返済額は5,100万円を超えます。物件価格が10億円と非常に高額なため借入額も高額になり、結果として毎月の返済額も大きくなります。

不動産投資で大切なのは、投資できる金額ではなく収入とのバランスです。マンション経営によって安定した家賃収入があれば問題なく返済できるでしょう。反対に、多くの自己資金を用意して返済額を最小限に抑えられても、家賃収入がなければ返済が厳しくなります。

自己資金を抑えて投資する場合の注意点

投資ローンは、利用者の状況や金融機関の条件によって、自己資金が物件価格の10%未満でも利用できるケースがあります。

ただし、自己資金を低く抑えるほど借入額が多くなり、返済額も高額になります。つまり、賃貸経営における毎月の支出が高額になるのです。

毎月の支出が高額の場合、少しでも家賃収入が下がるだけで赤字になるリスクがあるため、賃貸経営が不安定になる恐れがあります。また、返済に関するプレッシャーが重くなる点にも注意が必要でしょう。

10億円の一棟マンションを買うメリット

10億円のマンション一棟買いは高額の初期費用がかかるため、投資を躊躇する人は多いでしょう。確かに始めるハードルが高いのは事実ですが、高額のマンションは一棟買いならではのメリットが多く存在します。

10億円の一棟マンションを購入した場合、どのようなメリットがあるかを紹介します。

資産価値の上昇が期待できる

建物は年数の経過に伴い資産価値が下がるのが一般的です。しかし、マンション一棟買いの場合、以下2つの理由から資産価値の維持や向上を見込める可能性があります

マンション全体を自由に改修できるため修繕やリフォームを実施しやすい
土地の所有権も得られるため、地価が上昇すればマンション全体の資産価値が高くなる

区分マンションの場合は改修の自由度が低く、オーナー1人の意思で大規模な対策を行うのは難しいでしょう。また、土地の権利はあくまでも敷地権に過ぎず、土地の活用も行うことができません。

資産価値の上昇を期待できるのは、土地・建物の全体を所有する一棟買いならではのメリットといえるでしょう。

税制の優遇措置や減価償却で節税できる

区分マンションに比べて、一棟マンションによる賃貸経営のほうが、税制の優遇措置や減価償却による節税がしやすい傾向です。理由として、物件価格をはじめ賃貸経営で動くお金が高額である分、税額に与える影響も大きい点が挙げられます。

ただし、どれほどの節税効果を得られるかは、経営状況によって異なるため一概にはいえません。また、国の税制改正による影響も大きく、年度ごとに節税対策として適切な手法が異なる可能性もあります。

一棟マンション経営における節税対策については、不動産会社や専門家に相談すると安心です。

安定した家賃収入が見込める

マンション一棟を購入すると、多くの住戸から家賃収入を得られるため、リスクを分散しやすいのがメリットです。仮に一部の住戸で空室が発生しても、ほかの住戸の家賃収入でカバーできます。区分マンションを購入する場合に比べて、収入減少のリスクを抑えられます。

また、一棟全体を所有していることで、家賃設定や募集条件、修繕のタイミングなどを物件全体の収支バランスを見ながら調整できる点も強みです。結果として、入居率の維持や収益の安定化につながりやすく、長期的な賃貸経営を行いやすいといえるでしょう。

管理の手間を抑えられる

区分マンションを複数保有する場合、それぞれの物件ごとに管理が必要です。必要な手続きや確認すべき事項が多く、管理に手間がかかります。マンションの所在地が離れている場合、移動の時間やコストも発生します。

マンションを一棟買いした場合、保有する部屋数は多くなりますが、管理する物件自体は一棟です。全部屋の管理を行うという点では手間はかかりますが、移動は最小限で済みます。

投資におすすめの10億円一棟マンションの条件

10億円の一棟マンション買いには多くのメリットがあるとはいえ、高額の初期投資が必要でありリスクがあるのも事実です。一棟買いしたマンションで賃貸経営を成功させるため、なるべくリスクの低いマンションを購入するのが理想です。

投資をおすすめできる10億円一棟マンションの条件を紹介します。

ファミリー向けのマンション

マンション一棟買いをするのであれば、ファミリー向けのマンションを選ぶのがおすすめです。おすすめする理由として以下の3つが挙げられます。

  • 間取り・設備、治安などを重視する傾向のため、駅から多少離れていても入居者を確保できる可能性が高い
  • 単身者に比べて入居期間が長い傾向のため、長期にわたり安定した家賃収入を得られる
  • 賃料水準や入居ターゲットが明確なため、収支シミュレーションを立てやすい

高額のマンションで賃貸経営をするのであれば、安定した家賃収入の獲得を最優先に考える必要があります。入居者の性質やニーズの傾向上、単身者向けマンションよりもファミリー向けマンションの方が安定性は高めです。

将来的に再開発されるエリアにある

これから10億円のマンションを一棟買いするのであれば、将来的に再開発されるエリアにある物件を選ぶのがおすすめです。

10億円のマンションを一棟買いする場合、ローンによる借入額も高額になり、返済期間も長くなります。数十年といった長期間の賃貸経営を続けることが大前提のため、将来的な需要や資産価値の変化まで考慮する必要があります。

将来的に再開発されるエリアのマンションは、再開発に伴い地価が上昇する可能性が高いのです。周辺施設が充実することで入居希望者が増える可能性や、長期にわたり入居を続けてもらえるケースもあるでしょう。

【中古物件の場合】共用部分が綺麗なマンションを選ぶ

中古マンションを一棟買いするのであれば、共用部分が綺麗なマンションを選びましょう。

たとえば、ゴミ捨て場が散らかっている・分別がされていない場合は、ルールが適切に運用されていない状況と判断できます。また、共用部分に私物が放置されている状態も適切とはいえないでしょう。

ルールを守らない入居者が1人でもいればトラブルのリスクが高くなります。問題のある入居者が原因で他の住民が退去してしまい、家賃収入が大きく下がることもあります。

賃貸では、無断転貸のような大きなトラブルが起きた場合を除き、強制退去を命じることはできません。そのため、中古マンションの場合は、トラブルの懸念がある物件を選ばないようにすることが大切です。

入居者トラブルのリスクを判断するために、共用部分のチェックは欠かせないといえます。ただし、共用部分だけで物件の良し悪しを完全に判断するのは難しく、修繕履歴や管理状況などもあわせて確認する必要があります。

10億円規模となると不動産投資の判断が難しいため、マンション投資の実績がある不動産会社に相談し、客観的な視点で検討するとよいでしょう。信頼できる不動産会社に相談することで、結果的にリスクを抑えることにつながります。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由

誠実がモットー。これまでのお客様との出会いが投資不動産領域での私自身の見識を高めることに繋がっており、お客様への感謝を胸に、いかに皆様のお役に立てる情報を発信できるかが重要と思っております。こんなことをもっと知りたい等、お気軽にお声掛けいただけると嬉しいです。 著者の記事一覧はコチラ
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