副業でマンション経営を行う利点と欠点!会社員・公務員がすべき対策とは?
「働きながら副収入を得たい」「将来への備えとして資産形成をしたい」。そんな思いから、マンション経営を“副業”として始める会社員・公務員が増えています。
しかし、マンション経営は物件選びや管理の手間・空室リスクなど、メリットばかりではありません。事前の知識や準備次第で、成功と失敗の差は大きくなります。副業としてマンション経営を行う利点と欠点をわかりやすく整理しつつ、特に会社員・公務員が注意すべきポイントや対策についてわかりやすく解説します。
この記事の目次
マンション経営が副業に該当するケース
マンション経営が副業に該当するのは、主に収益目的で一定の規模以上の賃貸マンションを経営する場合です。
例えば、賃料収入を得る目的で入居者を募集し、複数の部屋を賃貸しているケースなどです。
会社員は、勤務先の就業規則により副業としてみなされる基準は異なるでしょう。公務員の場合、会社員よりも副業としてみなされる基準が厳しくなり、人事院規則や各種法令などで定められます。
アパート経営との違い
マンション経営とアパート経営には、以下のような違いがあります。
| マンション経営 | アパート経営 | |
|---|---|---|
| 経営規模 | 主に1室~複数の部屋を経営 | 主に1棟全体を経営 |
| 初期費用や維持管理費 | 低い | 高い |
| 空室リスク | 高い | 低い |
| 収益性 | 低い | 高い |
会社員や公務員の場合、マンション経営では1棟のうち1室~複数の部屋を経営するケースが多いでしょう。土地などにアパートを建築するケースでは、1棟全体を経営するのが一般的です。
賃料収入の主軸となる室数が違うため、収益性はアパート経営のほうが高い傾向にあります。一方で、初期費用や維持費用を抑えながら副業として始めやすいのがマンション経営のメリットです。
会社員・公務員がマンション経営を行うメリット
会社員や公務員がマンション経営を行うときは、本業との両立や節税面などでさまざまなメリットがあります。
ここからは、具体的なメリットについて解説します。
本業と両立しやすい
会社員や公務員がマンション経営をする場合、管理運営は不動産会社に委託するのが一般的です。会社員や公務員には、通常、固定的な就業時間が定められています。
不動産会社に委託すると、入居者の募集や対応、設備の維持管理なども依頼できるため、本業の就業時間以外を柔軟に使用しながら経営を続けられるでしょう。
マンション経営は、ある程度賃料収入や必要となる支出が安定しているのも会社員や公務員が副業しやすい理由のひとつです。
株式投資やFXの場合、短期間で価格が変動するため常に市場の値動きを注視し続けなければなりません。マンション経営では、資金や収支計画に沿って事業を進められるため、本業に集中しやすくなるでしょう。
融資の審査で信用性の高さが評価される
マンション経営を始めるときは、一般的に高額な初期費用がかかるため金融機関から融資を受けるケースが多くなります。融資の審査では、安定した収入の有無が重視されます。
安定した収入のある会社員や公務員であれば、信用性が高く評価されるため審査に通りやすくなり、金利面などで優遇される可能性もあるでしょう。
節税対策になる
マンション経営をするときは、以下のような税制上の優遇措置などを受けられる可能性があります。
所得税や住民税の節税
賃料収入にかかる所得税は、家賃収入から経費を差し引いた不動産所得に税率を乗じて計算します。会社員や公務員の場合でも、給与以外の所得が年間20万円を超えたときは確定申告を行う必要があります。
確定申告で青色申告を適用できれば所得税が最大65万円控除されるため、節税につながるでしょう。
固定資産税や都市計画税の節税
固定資産税や都市計画税は、毎年1月1日に固定資産を所有している方へ以下のように課税される税金です。
| 種類 | 税額 |
|---|---|
| 固定資産税 | 固定資産税評価額×税率1.4% |
| 都市計画税 | 固定資産税評価額×税率0.3% |
賃貸住宅は「住宅用地」に該当するため、「非住宅用地」と比べて以下のように課税額が軽減されます。
| 「住宅用地」の軽減措置 | |
|---|---|
| 固定資産税 | ・200㎡以下の部分:固定資産税評価額の1/6に軽減 ・200㎡超の部分:固定資産税評価額の1/3に軽減 |
| 都市計画税 | ・200㎡以下の部分:固定資産税評価額の1/3に軽減 ・200㎡超の部分:固定資産税評価額の2/3に軽減 |
相続税の節税
不動産を相続する場合、相続税の基礎となる課税遺産総額は、遺産の評価額から基礎控除などを差し引いて計算します。
マンションが建築されている土地は「貸家建付地」となり、何も建っていない「更地」より評価額が8割程度まで低く評価されます。
預貯金などの資産を事前にマンション経営に使用して相続すれば、課税遺産総額が抑えられるため、節税になるでしょう。
会社員・公務員がマンション経営を行うデメリットと対策
会社員や公務員がマンション経営を行う場合、デメリットもあります。ここからは、具体的なデメリットとその対策について紹介します。
初期費用が高額だと回収に時間がかかる
マンション経営は、立地条件や室内の設備にもよりますが、初期費用として数千万円ほどかかるケースが珍しくありません。また、以下のようなリスクがあります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 空室リスク | 入居者がいないため家賃収入がなくなる |
| 家賃滞納リスク | 入居者が家賃を滞納する |
| 損壊リスク | 災害や老朽化などにより建物が損壊する |
初期費用が高額になり、経営リスクが大きくなるほど、回収までにかかる期間も長くなります。
空室リスクの対策:地域エリアのニーズと物件を合致させる
地域エリアのニーズと合致していない場合、空室リスクは高くなります。例えば、立地は都心部の通勤圏内か、近隣に学校や商業施設はあるか、最寄り駅までは徒歩何分かかるかなど、現地調査が必要です。
その地域で賃貸マンションを探す入居希望者の人物像を設定し、希望者が魅力的に感じる間取りや設備を用意します。
地域エリアのニーズや訴求方法は、個人で調べるのが難しい場合もあるため、不動産会社に相談しましょう。
家賃滞納リスクの対策:家賃保証会社との契約を必須にする
入居者から申し込みがあった場合、事前に収入や信用情報などを参照して調査を行いましょう。
ただし、入居審査時には問題がない場合でも、失業や病気などにより家賃の支払いが滞るケースは珍しくありません。入居の際に家賃保証会社との契約を必須にすると、滞納時の家賃を立て替えてくれるため安心です。
災害リスクの対策:保険に加入し、修繕積立金を準備する
地震や火災などにより建物が損壊した場合、修繕費用が必要です。修繕費用は高額になるケースが少なくないため、地震保険や火災保険などに加入して事前に対策をしておきましょう。
建物の損壊は災害だけでなく、経年劣化により生じるものもあります。老朽化した建物では、家賃を下げなければ入居希望者が集まらず、収益の悪化につながるリスクもあるでしょう。
日頃から管理やメンテナンスを行い、将来的な修繕費を積み立てておくと、急に高額な修繕費用が発生したときにも対応できます。
副業禁止の規則に抵触するリスクがある
以下のケースでは、副業禁止の規則に抵触するリスクがあります。
- 会社員:就業規則に抵触する場合
- 公務員:国家公務員法や地方公務員法に抵触する場合
公務員は、守秘義務や職務専念義務などの理由により、原則として副業や兼業が禁止されています。
会社員の場合でも、勤務先の就業規則によっては副業を禁止しているケースもあるでしょう。副業を始めるときは、本業の規則を事前に確認しておくことが重要です。
対策:会社員は勤務先の就業規則を確認する
会社員の場合、副業が認められているかどうかは勤務先の就業規則によります。
副業を自由にできる会社がある一方で、全面的に禁止しているケースや、事前に許可を得たときのみ可能と定めているケースもあるでしょう。
許可が必要な場合、例えば遺産相続や生前贈与によりマンションを取得したときは比較的認められやすい傾向にあります。
違反とみなされると厳重注意や処分などがくだされることもあるため、事前に確認しておきましょう。
対策:公務員は法令で定められた要件の範囲内で行う
公務員は、営利目的での企業や団体への勤務、営利目的による私企業の経営などが禁止されています。
一方で、すべてのケースで副業が禁止されるわけではありません。マンション経営では、以下の要件を満たすと副業が認められます。
- 5棟10室未満である
- 劇場や映画館、ゴルフ練習場などの娯楽集会、遊技などの設備を設けていない
- 賃料収入が年額500万円未満である
- 賃貸する部屋を旅館やホテルなどの用に供しない
- 管理業務を管理会社に委託している
参考:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
規則を遵守しないと処分を受けるリスクもあるため注意しましょう。
マンション経営の知識習得に時間を取られる
マンション経営は本業の就業時間以外で柔軟に行えるのが魅力ですが、安定的な収入を継続して得るには知識の取得が必要です。
例えば、以下のような知識がマンション経営を行ううえで必要となります。
- 収益性の算出
- 入居者を集めるためのマーケティング
- 不動産売買契約や賃貸契約、建築基準法などの関連法規
- 空室対策
- 地域ニーズの調査
- 個人事業主としての税務や会計
知識の取得に時間がかかると大きな負担となり、本業に影響するかもしれません。
対策:不動産会社によく相談する
知識を得るには書籍やインターネットなどで情報収集する方法もありますが、ゼロからスタートする場合、まずは専門家に相談するのがおすすめです。
不動産会社にはマンション経営の豊富な知見があるため、相談してアドバイスを受けるとよいでしょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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