アパートの売却に消費税はかかる?かかるケースと注意点を解説
アパート売却時の消費税は、課税事業者かどうかによって異なります。
アパート売却時に消費税がかかる条件や、消費税の負担を軽減する方法について詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
アパートを売却したら消費税はかかるのか
アパートを売却する際に消費税がかかる条件は分かりにくく、多くのオーナーが迷う点です。結論から言えば、アパートの売却に消費税がかかるかどうかは「売る人の立場」や「売却する資産の種類」によって異なります。
ここでは、アパート売却における消費税の課税条件や納付の流れ、土地と建物の違い、そして費用ごとの扱いについて順に解説します。
アパート売却時に消費税がかかる条件とは
アパート売却で消費税が発生するのは、課税事業者が売却する場合です。
個人のオーナーでも、前々年の課税売上高が1,000万円を超えているなどすれば課税事業者となり、消費税が課されます。反対に、課税売上高が1,000万円を下回る場合は免税事業者として扱われ、原則として消費税の納税義務は生じません。
また不動産取引に関して、以下のものは課税売上にあたりません。
- アパート、住宅の貸付(期間1カ月以上)
- 土地の売却
- 更地の貸付
たとえば前々年にアパートの賃貸収入を得て、前年も賃貸収入があり当年にアパートを売却し5,000万円を得た場合、消費税の支払いは不要です。ただし2年後に課税事業者となります。
消費税の計算の際は、建物部分の売却価格に対して10%の消費税を加算します。たとえば建物価格が2,000万円であれば、消費税は200万円となります。ただし課税対象となるのは「事業用」として保有しているアパートであり、自分が居住している不動産を売却する場合は非課税です。
消費税の納付手順
通常、消費税は税務署への確定申告を通じて納付します。個人事業主は翌年の3月15日が申告期限となります。
納付方法は税務署の窓口や口座振替、クレジットカード決済など、さまざまな選択肢があります。
納付時の注意点
納付期限内に消費税を支払わないと、延滞税がかかります。延滞税は納付する税額に一定の割合を乗じて計算します。
納付期限をきちんと把握し、余裕を持って手続きを進めましょう。
建物と土地の消費税の違い
アパートの売却では建物部分のみが課税対象で、土地部分は非課税です。消費税法上も課税対象外と明記されています。
そのため、売却価格を設定する際には、建物と土地の価格を明確に区分することが重要です。たとえば、土地が3,000万円、建物が2,000万円で合計5,000万円のアパートを売却する場合、消費税がかかるのは建物の2,000万円部分のみです。
アパート売却にかかる費用ごとの消費税
アパートを売却する際は、仲介手数料や司法書士報酬、登録免許税などさまざまな費用が発生します。
不動産会社への仲介手数料や司法書士への報酬には消費税が課されます。一方で、登録免許税や印紙税といった税金は非課税です。
アパート売却での消費税負担を軽減することはできる?
アパートの売却では、建物部分に消費税が課される場合がありますが、一定の条件を満たすと税負担を軽減できる制度があります。
ここでは、簡易課税制度の仕組みや適用条件、注意点を分かりやすく解説します。
簡易課税制度
アパートの売却で課税事業者に該当する場合、建物部分に対して消費税が発生します。ただし一定の条件を満たせば、納める消費税の負担を軽くできる制度があります。それが「簡易課税制度」です。
通常の課税方法に比べて計算手続きが簡単で、納税額が少なくなるケースもあります。
簡易課税制度を利用できる条件
簡易課税制度を利用できるのは、前々年の課税売上高が5,000万円以下の事業者です。制度を利用するには、事前に「簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります。
提出期限は、制度を利用したい課税期間の開始前日までです。たとえば、2026年1月1日から適用したい場合は、2025年12月31日までに届出を行う必要があります。
期限を過ぎると、その年は原則として簡易課税を適用できないため注意が必要です。また原則2年間は変更できません。
パート売却で消費税を支払うときの注意点
アパート売却時に消費税が発生する場合、納税のタイミングや税率の適用など、いくつかの重要なポイントを理解しておくことが大切です。
特に法人や個人事業主としてアパート経営をしている場合は、申告や納付の手続きが複雑になりやすいため、事前準備が欠かせません。ここでは、アパート売却で消費税を支払う際に確認しておきたい3つの注意点を紹介します。
消費税の発生は建物のみ
アパート売却において消費税が発生するのは「建物部分」のみであり、土地は非課税です。
土地は社会的な資産移転を促す目的で、消費税法上も非課税と定められています。そのため、売却契約書を作成する際には、建物と土地の価格を明確に区分しておく必要があります。
この区分があいまいだと、税務上のトラブルにつながることもあるため注意が必要です。仲介を依頼する不動産会社や税理士に相談しながら、根拠のある価格設定を行うことが望ましいでしょう。
心配なら消費税に詳しい不動産会社に相談
消費税の計算や申告は複雑です。特にアパート経営を行う個人事業主の場合、「課税事業者に該当するかどうか」の判断があいまいになりやすい点にも注意が必要です。
こうした場合は税理士や、税理士と提携する不動産会社へ相談するのが安心です。税務面のサポートや専門家との連携体制が整っているため、スムーズな取引が期待できます。
不動産会社を選ぶ際は売却の実績も確認しましょう。売却実績の多さは会社の実力を判断するうえで重要です。実績が多いほどノウハウが社内に蓄積されており、希望に合う条件で売却できる可能性が高まります。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久
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