女性の不動産投資が増えている理由とは?向いている人の特徴と注意点
一般的に、女性は結婚や出産、育児などライフスタイルの変化が大きいため、早い段階から資産形成を意識する人が増えています。中でも不動産投資は比較的安定した収入を得やすく、長期の資産づくりに向いているため注目されている方法です。
一方で、働き方やライフイベントの影響を受けやすいからこそ、事前に知っておきたいポイントも少なくありません。不動産投資に向いている人の特徴や注意するポイントなどを分かりやすく解説します。
この記事の目次
女性の不動産投資家が近年増加している理由
近年、女性の不動産投資家が増加傾向にあるといわれています。まずは、女性の不動産投資家が近年増加している理由として考えられる要素について解説します。
ライフスタイルの変化に影響されづらい
女性の投資家が増えている理由の1つとして、不動産投資がライフスタイルの変化に影響されづらいことが挙げられます。
ライフスタイルの変化により、多くの女性は収入が変動しやすいのが現状です。特に出産・育児では産休や育休を取得することで、どうしても収入が下がってしまいます。
育児や家庭を優先するためにフルタイム勤務をやめて、時短勤務やパート勤務に切り替える女性も少なくありません。
不動産投資は一度軌道に乗れば行うべき作業は少なく、毎月安定した収入を得られます。ライフスタイルが変化する中でも安定した収入を得られる方法として、不動産投資は注目されているのです。
女性向けの融資制度がある
女性の不動産投資家が増えている理由として、女性向けの融資制度があるため始めるハードルが低いという点も挙げられます。
投資を始めるには不動産購入のために高額の資金が必要ですが、住宅ローンは利用できません。住宅ローンは居住用不動産を対象としたローンであり、投資用不動産は対象外のためです。
不動産投資でローンを利用する際は、不動産投資ローンや事業者向けの融資を利用することになります。
例えば、日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」では、女性および35歳未満または55歳以上の人を対象とした融資です。日本政策金融公庫の通常の融資に比べて低い利率が適用されます。
参考: 新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)|日本政策金融公庫
ほかにも、みなと銀行の「女性経営者応援ローン」やきらぼし銀行の「女性活躍応援融資Lady Go!」など、女性向け融資制度は多数存在します。こうした背景から、女性の不動産投資への参入が広がりを見せている状況です。
育休中も収入を得ることができる
近年、女性の育休取得率は8割を超えており、出産や育児で利用するのが一般的です。しかし、
育休を取得するとどうしても収入が下がってしまい、家計に影響を及ぼすおそれがあります。
一方、不動産投資をしていれば育休中も安定した収入の獲得が可能です。育休中の経済的な不安を抑えるために、早いうちから不動産投資を行う女性が増えていると考えられています。
平均寿命の長さから資産形成の重要性が高い
少子高齢化の進行に伴い、老後に備えた資産形成を意識する人は男女ともに増加傾向です。そして、資金形成の手段として不動産投資は高い人気を誇っています。
厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、男性の平均寿命は81.09歳、女性の平均寿命は87.13歳です。平均寿命の長さを考えると、女性の方が老後に必要となる資金が多いといえるでしょう。
以上のことから、資産形成の一つとして不動産投資に注目する女性が増えています。
不動産投資に向いている女性の特徴
不動産投資を行う上で必須の資格やスキルはありませんが、向き不向きが存在するのは事実です。不動産投資に向いている女性の特徴を3つご紹介します。
ライフプランを見据えて考えられる
不動産投資の計画を立てるにあたって、ライフプランを見据えて考えられる人は不動産投資に向いているといえます。
不動産投資はライフスタイルに関係なく安定した収入を得ることができますが、ライフスタイルの影響が全くないわけではありません。プライベートが多忙な時期は不動産投資のための時間を確保できず、空室率を改善する対策やトラブル対応などができない可能性が高いのです。
空室が続けば家賃収入が減るため、十分な貯蓄を用意せずにいると、産休や育休のタイミングと家賃収入が減少する時期が被ったときの影響が大きくなってしまいます。
女性も出産や育児など、ライフイベントに伴う収入変動が発生するため、将来を見据えた計画を立てることが大切です。
堅実にリスク管理ができる
不動産投資は投資と事業どちらの観点からみても、比較的安定した収入を得やすい手法といえます。しかし、空室リスクや家賃下落リスク、修繕リスクなど注意するべきリスクが多いのも事実です。
リスク管理が不十分の場合、入居者のトラブルや状況の変化により多大な影響を受けるおそれがあります。「不動産投資をすれば安定した収入を得られる」という楽観的な経営ではなく、堅実にリスク管理をできる人であれば、不動産投資に向いていると考えられます。
不動産市場を学ぶ意欲がある
不動産市場は変化が激しく、少し前には最適といえた手法が通用しなくなるといったケースも珍しくありません。ニーズの変化や法律・税制の改正などさまざまな要因によって影響を受けます。
また、不動産投資で失敗した事例の多くは、事前の準備不足や見通しの甘さが原因です。不動産市場について十分な情報を集めていれば防げた失敗もあります。
不動産投資で安定した収入を獲得するためには、不動産市場についての勉強が欠かせません。変化が激しい市場のため、一度勉強して終わりではなく学び続ける姿勢も必要です。
以上の理由から、不動産市場を学ぶ意欲があり、学び続けることが苦ではない人に不動産投資が向いているといえるでしょう。
女性が不動産投資をするときに注意すべきポイント
最後に、女性が不動産投資をするときに注意すべきポイントを紹介します。投資を始めたい方はぜひ参考にしてみてください。
収益額によって扶養から外れる可能性がある
現在配偶者の扶養に入っている女性の場合、不動産投資の収益額によっては扶養から外れる可能性がある点に注意が必要です。
扶養には「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類が存在します。それぞれ扶養から外れる条件は以下の通りです。
- 税法上の扶養:年間合計所得が58万円を超える
- 社会保険上の扶養:年収が130万円以上
扶養から外れると所得税や社会保険料(国民健康保険料および国民年金保険料)を自分で支払う必要があります。支出が増えることだけでなく、国民健康保険や国民年金への加入手続きが必要なため注意が必要です。
確定申告を行う必要がある
女性に限った話ではありませんが、不動産投資によって一定以上の所得が発生した場合は確定申告を行わなくてはいけません。
以下のいずれかに該当する場合は、不動産投資について確定申告を行う必要があります。
- 勤務先で年末調整を受けている給与所得者で、給与所得以外の所得が20万円を超える
- 給与所得者ではなく、年間の所得の合計が48万円を超える
- 損益通算により他の所得と相殺する場合
確定申告の受付期間は翌年の2月16日から3月15日(土日祝の場合は翌平日)です。期日を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税などペナルティの対象になるため注意してください。
不動産投資の確定申告は経費計上や減価償却の判断など専門的な作業が多く、慣れないうちは時間がかかるでしょう。少しでも疑問や不安があれば、不動産会社や税理士などの専門家に相談するのが安心です。
妊娠中・育休中・育休明けなどは融資審査に通りにくい
前述のとおり、女性向け融資制度が増えたことで資金調達の選択肢が広がり、不動産投資を始めるハードルが下がっています。
しかし、妊娠中・育休中・育休明けは、収入減や勤務形態の変化により、融資審査に通らない可能性があります。主な理由は以下の3つです。
- 妊娠中・育休中は給与が減るため「返済原資不足」と判断されることがある
- 出産や育児の影響により、事業計画書の内容に沿った経営が難しいと判断されるおそれがある
- ライフスタイルの変化に伴う転職や退職が、審査において信用度を下げる場合がある
多くの金融機関は、直近1〜3年の属性(所得・勤務形態)で審査するため、ライフスタイルの変化が影響を及ぼすことが考えられます。しかし、丁寧な状況説明や復職証明で通過するケースもあります。
不動産投資を始めるときは、なるべく余裕を持って早いうちから始めるとよいでしょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典
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