不動産投資
2025.08.28

マンション一棟買いの利回り目安 | 不動産投資のリスクやシミュレーション例

マンション一棟買いの利回り目安 | 不動産投資のリスクやシミュレーション例

マンション一棟買いで成功するかどうかは、ほぼ「利回り」で決まります。広告に記載された表面利回りを鵜呑みにすると、諸経費や空室率によって実際の収益が期待よりも低くなることがあります。

利回りの目安や表面利回りと実質利回りの違い、簡単な計算方法など重要なチェックポイントを解説します。利回りについての理解を深め、一棟買いをすべき物件と避けるべき物件を見極めましょう。

この記事の目次

マンション一棟買いの重要指標。「利回りとは」

利回りとは投資した金額に対して得られるリターンの割合を示す数値です。利回りはマンション一棟買いに限らず、不動産投資における重要指標の1つといえます。

まずは、利回りの基本情報についてわかりやすく解説します。

利回りって何?

利回りとは投資した額に対するリターンの割合です。マンション一棟買いを始めとした不動産投資の場合、年間の家賃収入を不動産の購入にかかった費用で割った数値が利回りとなります。

利回りの種類

マンション経営において考えるべき利回りとして以下の3種類が挙げられます。

  • 表面利回り
  • 実質利回り
  • 想定利回り

それぞれ詳しく解説します。

表面利回り

表面利回りは年間の家賃収入を不動産の物件価格で割った数値です。一般的に、不動産の売却価格とともに利回りとして記載されている数値は、この表面利回りです。

計算方法が単純かつ購入前の段階でも計算しやすいため、3種類の利回りの中で最も利用されています。ただし、表面利回りは賃貸経営にかかる諸経費を考慮しないため、マンション運営で実際の利益と乖離がある点には注意が必要です。

実質利回り

実質利回りは、年間の家賃収入から賃貸経営にかかる諸経費を差し引いて、不動産の購入金額で割った数値です。不動産の売買価格だけでなく購入時に発生した諸経費も含まれます。

各種コストを考慮するため現実的な利回りを算出できる点がメリットです。ただし、実際に発生する経費は賃貸経営を始めなければわかりません。そのため、不動産購入の段階では正確な実質利回りを計算することは難しいでしょう。

実質利回りは不動産購入の前よりも、賃貸経営を開始した後の経営分析などで用いるのが一般的です。

想定利回り

想定利回りは複数戸の不動産で賃貸経営を行う場合に、物件が満室と仮定して割り出した数値です。年間を通して満室だった場合、家賃収入を不動産の物件価格で割ると想定利回りとなります。

不動産で賃貸経営をした場合の利回りの最大値ともいえます。不動産のサイトに掲載されている表面利回りが、想定利回りで計算していることがあるのできちんと確認しましょう。

利回りの計算方法

続いて、不動産投資における一般的な利回りの計算方法を紹介します。

表面利回り

表面利回りの計算式は以下のとおりです。

年間の家賃収入÷物件価格×100=表面利回り(%)

年間の家賃収入として「1年を通して満室と仮定した場合の家賃収入」を用いると、前述した想定利回りを割り出せます。

実質利回り

実質利回りの計算方法は以下のとおりです。

(年間の家賃収入-年間の必要経費)÷(物件価格+購入時に支払った諸経費)×100=実質利回り(%)

年間の必要経費として以下の例が挙げられます。

  • 管理会社に支払う手数料
  • 広告宣伝費
  • ローンの利息部分
  • 保険料
  • 固定資産税・都市計画税
  • 減価償却費

物件の購入時に支払った諸経費の例は以下のとおりです。

  • 仲介手数料
  • 不動産取得税
  • 登録免許税、印紙税などの租税公課
  • 司法書士への報酬(不動産登記を委託した場合)
  • ローン保証料
  • 融資事務手数料

前述したように、必要経費の具体的な金額は実際にマンション経営を始めなければわかりません。また、実質利回りの計算時に必要経費をどこまで含めるか決まりもないため、計算方法によって多少のズレが生じる可能性があります。

マンション一棟買いの利回り相場

マンション一棟買いの表面利回りの目安は、新築マンションで3〜5%といわれています。利回りはさまざまな条件によって左右されるため一概にはいえませんが、物件選びの際は表面利回り3〜5%程度を1つの基準にするのがよいでしょう。

とはいえ前述したように、諸経費を考慮しない表面利回りと、諸経費を計算に含める実質利回りでは全く違う数値になります。

そこで今回は、以下の条件を用いて各種利回りのシミュレーションを行います。

  • 物件価格:2億円
  • 購入時の諸経費:2,000万円(物件価格の10%)
  • 築年数:新築
  • 戸数:10戸
  • 年間の家賃収入:1戸あたり96万円 満室時960万円
  • 年間の諸経費:192万円(満室時の家賃収入の20%想定)

表面利回りと実質利回り、それぞれの具体的な計算結果を確認しましょう。

参考:一般財団法人 日本不動産研究所|不動産投資家調査

表面利回りのシミュレーション

まずは表面利回りの場合です。今回は入居率90%、すなわち10戸中9戸が埋まっていると仮定して計算します。

今回の設定の場合、表面利回りは以下のとおりです。

(1戸あたりの年間の家賃収入96万円×9戸)÷物件価格2億円×100=4.32%

利回りの分子は家賃収入であるため、入居率が下がり家賃収入が減れば利回りも低くなります。

実質利回りのシミュレーション

続いて実質利回りのシミュレーションです。表面利回りと同じく、すなわち10戸中9戸が入居済みと仮定して計算します。

今回の例における実質利回りは以下のとおりです。

{(1戸あたりの年間の家賃収入96万円×9戸)-年間の諸経費192万円}÷(物件価格2億円+購入時の諸経費2,000万円)×100=約3.05%

前述した表面利回りは4.32%ですので、実質利回りと比較すると約1.27%の差があります。このように、諸経費を考慮した実質利回りは表面利回りと差があることがわかります。

想定利回りのシミュレーション

最後に想定利回りのシミュレーションです。想定利回りは賃貸物件を満室と仮定して計算するため、計算方法はシンプルです。

今回の設定で計算する場合、想定利回りは以下のようになります。

満室時の年間の家賃収入960万円÷物件価格2億円×100=4.8%

結果は4.8%と一番高い数値となっていますが、想定利回りはあくまで満室の状態で計算しています。1つでも空室が発生すると数値が下がるため、あくまで目安と考えるとよいでしょう。

マンション一棟買いの投資リスクと対処法

マンション一棟買いで投資をするにあたって、利回りは物件選びの基準の1つになると説明しました。

しかしマンション一棟を購入するとさまざまなリスクがあり、期待していた利回りと実際の利回りに大きな差が生じてしまうケースも多くみられます。

この章ではマンション一棟買いの投資リスクと対処法について詳しく解説します。

初期投資や修繕費が高額になる

マンション一棟買いは、区分マンションやアパートの一棟買いと比較すると、物件価格がどうしても高額になります。また、物件としての資産価値が高い分、修繕費も高額になる傾向です。

結果として、以下のような事態に陥る可能性が高いのです。

  1. 初期投資に高額な資金を用意する必要がある
  2. 高額のローンを組んだことで毎月の返済負担が重くなる
  3. 初期投資を取り戻すために入居率を高めようとする
  4. オーナーの運営負担が過大になる
  5. 急な修繕が発生したことで高額の支出が発生する
  6. ローンを返済できなくなりマンション一棟を売却する

失敗しないための対策として以下の例が挙げられます。

  • 無理のない金額のマンションを選ぶ
  • 事前に入念な資金計画を立てる
  • 返済負担が重くなりすぎないようなローンを組む
  • 修繕積立金はできるだけ多く用意する
  • なるべくキャッシュの余裕をもたせる

そもそも初期投資として、必要な金額が高額すぎる物件を選ばないことが大前提といえるでしょう。高額のマンションからは大きなリターンが得られる可能性があるとはいえ、初期投資の段階で無理をし過ぎるのはおすすめしません。

修繕費については修繕積立金を活用するのが効果的といえます。また、突発的な支出に備えて、常に資金には余裕がある状態を保つのが理想です。

災害時の被害を分散できない

複数の地域で賃貸経営をしていれば、災害発生時の被害を分散できます。一方、マンション一棟買いの場合、災害時の被害を分散できません。

対象のマンションが災害による被害を受けた場合、高額の修繕費が発生する恐れや、家賃収入が止まってしまうリスクもあります。

理想は、そもそも災害による被害が起こりにくい物件を選ぶことです。新耐震基準を満たした物件やハザードマップで災害リスクが低そうな物件を選びましょう。

とはいえマンション一棟買いをする以上、災害時の被害の分散は不可能です。災害による被害を最小限に抑えるため、地震保険や火災保険への加入は必須といえます。

戸数が多いので空室リスクを抱えやすい

マンション一棟での投資は戸数が多いため、どうしても空室リスクを抱えやすいのが難点です。空室が多いほど収入が下がりやすく、資金繰りの悪化や生活費の圧迫などの可能性が高くなります。

空室率を下げる、すなわち入居率を上げるための対処法として以下が挙げられます。

  • ターゲット層に合う広告宣伝の手法をとる
  • 競合物件の調査を行い、必要であれば家賃の調整をする
  • 共有部分、壁、床、水回りなど目立つ部分をきれいに保つ
  • 修繕・苦情対応・入居者のフォローを積極的に行う

マンションの入居者を集めるための施策と同時に、退去を防ぐための対応も積極的に行うのが理想です。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
二本松 敏

小田急グループの総合力を活かしながら、これまで幅広く不動産実務を経験して参りました。現在は、本社営業センターの責任者を務めております。私たちの発信が人生100年時代の選択肢を広げるきっかけになれれば大変うれしく思います。 著者の記事一覧はコチラ
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