不動産投資
2025.08.28

オーナーチェンジ物件のデメリットとは? 投資のメリットと注意点を紹介

オーナーチェンジ物件のデメリットとは? 投資のメリットと注意点を紹介

オーナーチェンジ物件は、すでに入居者がいるため購入後すぐに家賃収入を得られる点が魅力です。しかし、入居者トラブルや予想外の修繕費の発生など、オーナーチェンジ物件ならではのデメリットも少なくありません。

不動産投資を安定して続けるには、こうしたリスクを理解し、購入前に確認すべきポイントを押さえることが大切です。オーナーチェンジ物件のデメリットと注意点について詳しく見ていきましょう。

この記事の目次

オーナーチェンジ物件の基礎知識

まずは、オーナーチェンジ物件とはどんな物件なのかを理解しましょう。

オーナーチェンジ物件とは、マンションやアパートなどの賃貸物件を入居者がいる状態で売買することです。物件の所有者が変更になりますが、前のオーナーと入居者が結んだ賃貸借契約は引き継ぐことになります。

通常の賃貸物件との違いは以下の通りです。

  • 売買されるタイミングで入居者がいる
  • 購入後すぐに家賃収入を得られる
  • 前オーナーの賃貸借契約を引き継ぐ必要がある

「不動産投資を始めたい」と考えている人は、通常の賃貸物件との違いを理解することで、自身に最適な物件かどうか判断できるでしょう。

オーナーチェンジ物件に投資した場合のデメリット

オーナーチェンジ物件は通常の賃貸物件と異なる特徴があります。この特有のデメリットを理解せずに購入してしまうと、想定していなかったリスクを抱えてしまうかもしれません。

オーナーチェンジ物件のデメリットについてわかりやすく解説していきます。

購入前に内見を行うのが難しい

デメリットの1つ目は、「購入前に物件の内見が難しいこと」です。

オーナーチェンジ物件の場合、すでに入居者がいるため内見の実施が難しく、物件の状態を書類や外観から推測するしかありません。

室内を確認しないで物件を購入するリスクは以下の通りです。

  • 室内や設備の不具合が確認できない
  • 日当たりや生活音が確認できない
  • 構造上の欠陥がある可能性がある

通常の物件であれば確認できる不備でも、オーナーチェンジ物件の場合、確認できない可能性があります。

内見できないときの対策として、修繕履歴や周辺環境を十分に確認しましょう。また、借主の同意が得られれば内見できるケースもあるため、気になる部分があったときは相談してみましょう。

自分で入居者を選ぶことができない

デメリットの2つ目は、「入居者を自分で選べないこと」です。

オーナーチェンジ物件は、入居者がいる状態で旧オーナーから引き継ぐため自身で入居者を審査できません。家賃滞納歴やトラブルの有無など、入居者の質が悪いと以下のようなリスクを抱えることになります。

  • 家賃を滞納される可能性がある
  • 騒音やゴミ出しなどで近隣とトラブルを起こす
  • 原状回復の費用負担が大幅に発生する

契約違反などをしていない限り、入居者を強制退去させることはできません。そのため、入居者を自分で選べないことに対して、大きな不安を感じる方もいるでしょう。

トラブルを防ぐには、購入前に管理会社や売主を通じて、家賃の入金状況や過去のトラブル履歴を確認する必要があります。

前オーナーの契約内容を引き継ぐことになる

デメリットの3つ目は、「前オーナーと結んだ契約内容を引き継ぐ必要があること」です。

オーナーチェンジ物件では、契約条件(賃料、契約期間、敷金など)を引き継ぐことになります。入居者と前オーナーが契約した家賃が相場より安く設定されていても、一方的な変更はできません。

以下は賃貸借契約に含まれる主な内容です。

  • 家賃・共益費・敷金
  • 契約期間
  • 更新条件・中途解約の条件
  • 禁止事項
  • 修繕特約
  • 原状回復の範囲

入居者との契約内容は収益性に直結します。内容を把握しないまま購入すると、思ったほど収益が出ないと後悔する可能性があります。

事前に、賃貸借契約の内容を確認して不利な条件がないか、購入後に安定して利益が出るかを確認しましょう。

長期間所有すると修繕費用がかかる

デメリットの4つ目は、「長期間所有すると修繕費用がかかること」です。

オーナーチェンジ物件は中古物件のため、築年数が古い場合は購入後すぐに劣化が見つかるかもしれません。前述したように、内見できないことで室内にある設備の不具合や劣化に気づかず、購入後に交換が必要なケースもあります。

以下は不動産投資において修繕費がかさむ一例です。

  • 高額な設備の交換費用
  • 入居者退去時の原状回復費用
  • 外壁や屋根の修繕
  • マンションの大規模修繕費用

これらのコストを想定していないと、想定以上の修繕費が発生しキャッシュフローが悪化する可能性があります。

オーナーチェンジ物件では築年数だけでなく、長期修繕計画や過去の修繕履歴を確認することで、将来の出費を予測し資金計画を立てることが大切です。

不動産取得により税金の支払いが発生する

デメリットの5つ目は、「不動産取得により新たな税金の支払いが発生すること」です。

オーナーチェンジ物件に限らず、不動産投資を始めると家賃収入を得られる一方で、継続的に税金を納める義務が生じます。

不動産を新たに取得すると以下の税金が発生します。

  • 固定資産税
  • 都市計画税(地方税)
  • 所得税
  • 住民税
  • 不動産取得税

税金負担を考慮せずに収支計画を立てると、手元に残る利益が大きく減ってしまいます。不動産を購入する前に、発生する税金を確認して収支計画を立てましょう。

オーナーチェンジ物件に投資するメリット

オーナーチェンジ物件特有のデメリットがある一方で、メリットも存在します。

デメリットを避けつつメリットを最大限に生かすことができれば、オーナーチェンジ物件は不動産投資として有効な選択肢となるでしょう。

すぐに家賃収入が得られる

オーナーチェンジ物件の最大のメリットは、入居者がいる状態で購入するため、家賃収入を得られる可能性があることです。

通常の賃貸物件や新築物件の場合は、入居者が見つかるまでの間は空室のため家賃収入が得られません。購入と同時に安定収入が見込める即時性は、不動産投資の初心者にとって大きな安心材料です。

  • 購入初月からキャッシュフローがプラスになる
  • ローン返済の持ち出しを最小限に抑えられる
  • 空室期間の不安なく、安定したスタートが切れる

このように、堅実なスタートを切りたい方にとって、非常に大きな選択肢となるでしょう。

入居者を募集する手間が省ける

入居者を探す手間とコストがかからない点も、オーナーチェンジ物件ならではのメリットです。

通常の賃貸物件の場合、広告掲載や内見対応、入居審査、契約手続きといった多くの業務が発生します。しかし、オーナーチェンジ物件では、これらの手続きが一切不要です。

物件購入と同時に入居者がついているため、時間と費用の両面でコスト削減が見込めます。サラリーマンなど副業で不動産投資をしている方にとっては、効率的に賃貸経営を始められるでしょう。

初期費用を安く抑えられる

オーナーチェンジ物件は、通常の物件購入と比較すると初期費用を抑えられる傾向にあります。

初期費用を抑えられる理由は以下の通りです。

  • 売却価格が相場より安価に設定されることがある
  • すでに必要な設備が設置されている
  • 購入直後のリフォームやクリーニング費用が不要
  • 入居者募集のための広告費が不要

「購入前に内見ができない」といった買主側の制約がある場合、売主が売却価格を相場より割安に設定しているケースがあります。

また、購入直後にリフォームやハウスクリーニング、広告費がかからない点はメリットといえるでしょう。

これらの理由から、物件購入時にかかるトータルコストを削減することが可能です。初期費用を抑えて不動産投資を始めたいと考えている方に、オーナーチェンジ物件はおすすめです。

投資用ローンに通りやすくなる

オーナーチェンジ物件は、金融機関の「投資用ローン」審査に通りやすいといわれています。すでに入居者がいるため空室のリスクが低く、金融機関としても安定した家賃収入が見込めると考えているからです。

以下に、投資用ローンの審査に通りやすい傾向にある理由をまとめました。

  • 物件の購入時点ですでに収益が確定している
  • 賃貸経営を行った実績を提示できる
  • 具体的な収支計画を提示できる
  • 金融機関が返済リスクを低いと判断しやすい

金融機関の融資を有利に進められることは、これから不動産投資を始める方にとって大きなメリットです。ただし、賃貸物件の収益性が低い場合は融資を断られるケースがあります。

オーナーチェンジ物件に投資するときの注意点

不動産投資における注意点を見過ごしてしまうと、「通常の賃貸物件を購入すればよかった」と後悔する可能性があります。

最後に、オーナーチェンジ物件に投資する際の注意点について見ていきましょう。

賃貸の需要がある物件か確認する

購入する前に、長期的に安定した需要がある物件なのか必ず確認しましょう。今の入居者が退去した際、新たに入居者が獲得できないと家賃収入が入らなくなり、赤字が発生することになるからです。

賃貸需要がある物件かどうかを調査するには、以下のポイントを確認するとよいでしょう。

  • 築年数
  • 競合物件の空室率
  • 家賃の妥当性
  • 立地の利便性
  • 賃貸需要の持続性

仮に購入時には満室だったとしても入居者はいずれ退去するかもしれません。次の入居者をすぐに見つけるための施策を早めに準備しておくと、継続的な家賃収入が見込めます。

オーナーチェンジ物件は現在得られる利益だけでなく、今後も利益を維持できるかという視点で考えることが重要です。

運営状況に問題がないか確認する

エリアの賃貸需要だけでなく、物件の運営状況を確認することも重要です。修繕履歴はもちろん、想定外のリスクを防止するために入居者トラブルや現在の契約内容、修繕計画なども確認してください。

運営面でのリスクを防止するために、以下の項目をチェックしておきましょう。

  • 家賃台帳(滞納履歴、遅延履歴など)
  • 敷金・礼金・更新料
  • 解約期間の設定条件
  • 修繕履歴の確認
  • 管理委託会社の契約内容(手数料、解約条件など)
  • 保証会社加入の有無(サービス内容、保証条件など)

物件の運営状況が健全な状態であると判断できると、安心してオーナーチェンジ物件に投資できます。投資としての安定性とリスクを見極めるためにも、信頼できる不動産会社を見つけて投資を進めていきましょう。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由

誠実がモットー。これまでのお客様との出会いが投資不動産領域での私自身の見識を高めることに繋がっており、お客様への感謝を胸に、いかに皆様のお役に立てる情報を発信できるかが重要と思っております。こんなことをもっと知りたい等、お気軽にお声掛けいただけると嬉しいです。 著者の記事一覧はコチラ
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