マンション経営の年収は500万円以上?平均収入の内訳と稼ぐコツを解説

マンション経営をする方の年収(所得)は、年間50万円〜500万円以上と非常に幅広いといわれています。
なお、マンション経営のみの平均年収を示す公的なデータは現状ないため、この記事で紹介する数値は「不動産賃貸業全体(マンション・アパート・戸建て・駐車場など)」の平均値です。
マンション経営を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
マンション経営するオーナーの年収と内訳
マンションを経営するオーナーの年収は、家賃、個数、入居率などさまざまな要素によって変動します。
家賃以外にも収入として換算されるお金があるため、まずは内訳を知ることが大切です。この章ではマンション経営における年収の基本情報を解説します。
マンション経営における平均年収
国税庁の「申告所得税標本調査」では、不動産所得の金額を公表しています。ただし、戸建賃貸、アパート、駐車場経営も含むため、「マンション経営」だけの数値ではありません。
マンション経営のみを切り出した統計は公表されていないため、あくまで賃貸経営全体の平均値ですが、1つの指標として参考にできるでしょう。
「申告所得税標本調査」によると、不動産所得者の平均所得および平均税額は以下のように推移しています。
年代 | 平均所得金額(千円) | 平均税額(千円) |
---|---|---|
平成25年分 | 5,117 | 645 |
平成30年分 | 5,181 | 650 |
令和3年分 | 5,427 | 672 |
令和4年分 | 5,425 | 668 |
令和5年分 | 5,471 | 676 |
平成25年分および平成30年分と比較すると、不動産所得者の平均所得は大幅に増加していることがわかります。
なお上記の金額は不動産の賃貸経営による収入総額ではなく、収入から必要経費を差し引いた所得です。
収入と所得は別物であり、マンション経営の成否を考える上では収入ではなく所得を重視すべきだということを覚えておきましょう。収入と所得の違いについては後述します。
マンション経営で得られる年収の内訳
マンション経営で得られる年収の内訳として以下の例が挙げられます。
- 家賃収入
- 駐車場代・駐輪場代
- 共益費
- 礼金
- 更新料
このうち最も比率が高いのは家賃収入です。マンション経営で安定した収入を得るためには、家賃収入を最大化するための対策が必要といえます。
マンション経営の利益は所得で考える
「マンション経営における平均年収」で少し触れたように、マンション経営の成否を考える上で重視すべきなのは所得です。
所得とは収入から必要経費を差し引いた額で、マンション経営の利益と呼べるものです。所得税の金額は、所得からさらに所得控除を差し引いた課税所得を用いて計算します。
仮にマンション経営による収入が平均を上回るものであっても、必要経費の額が多ければ手元にお金が残りません。収入も大切な指標ではありますが、利益を考える際は所得の方を重視しましょう。
マンション経営における必要経費の例
マンション経営で発生する主な必要経費として以下の例が挙げられます。
- 管理委託料
- 仲介手数料
- 修繕費
- 広告宣伝費
- ローンの利息部分のみ
- 租税公課(登録免許税や印紙税など)
- 減価償却費
前述のように、所得税の課税対象となるのは収入ではなく課税所得です。収入から差し引く必要経費の額が多いほど所得が減り、所得税の額も少なくなります。
すなわちマンション経営にかかる税額を最小限にするためには必要経費を漏れなく計上し、収入から差し引ける金額を増やすことが大切です。
ちなみに、所得税や住民税などの税金は必要経費として認められませんが、固定資産税や都市計画税であれば経費として計上できます。
マンション経営で目指すべき年収の目標
マンション経営で得られる収入はさまざまな要素によって左右されますが、まずは平均年収などのわかりやすい金額を目標とするのが良いでしょう。その上で、目標額を稼ぐために何が必要なのかを検討していきます。
この章ではマンション経営で年収500万円を稼ぐことを目標に、各項目の計算方法を解説します。
マンション経営の年収シミュレーション
今回は以下の例を用いて、マンション経営の年収シミュレーションを行います。
- マンション1部屋の購入にかかった金額:2,000万円
- 表面利回り:年5%
上記の場合、1部屋の年収は2,000万円 × 5%=100万円です。1部屋の経営だけでは年収500万円には届かないため、部屋数を増やし年収を上げる必要があります。
年収500万円以上を稼ぐのに必要な戸数
今回の例では1部屋あたりの年収が100万円のため、年収500万円以上を稼ぐのに必要な戸数は500万円 ÷ 100万円=5部屋となります。
表面利回りが5%の想定ですので、利回りが高ければ5部屋より少ない部屋数でも問題ありませんが、低い場合はより多くの部屋数が必要です。
マンション経営に必要な費用の目安
今回用いた利回りは表面利回り、すなわちコストを考慮していない数値です。
手取りの目標を年500万円以上とする場合、経費も考慮した上で改めて必要な戸数を計算する必要があります。
マンション経営における必要経費の目安は、一般的に家賃収入の15〜20%程度です。すなわち今回の例の場合、年間の必要経費の金額は1部屋あたり100万円 × 20%=20万円程度となります。
必要経費を踏まえて、手取り年500万円以上を達成するために必要な戸数は以下の通りです。
- 500万円 ÷(100万円-20万円)=6.25部屋 ※小数点以下切上げで7部屋
ただし、必要経費の金額は実際にマンション経営を始めないと正しく把握できません。そのため事前の年収シミュレーションでは、表面利回りを用いるのが一般的です。
投資用ローンの返済期間
1部屋2,000万円のマンションを5部屋購入する場合に必要な資金は1億円、7部屋の場合は1億4,000万円です。
これほどの高額を自己資金のみで用意するのは難しいため、不動産投資ローンを利用することになるでしょう。
不動産投資ローンの返済期間は20〜35年が目安です。ローンの返済期間が長いほど1回あたりの返済額が少なく済みますが、利息を支払う期間が長いと返済総額は高額になります。
最初から年収500万円以上を実現するのは難しい
マンション経営のシミュレーション結果をまとめると、以下のようになります。
- 1部屋の年収は100万円、必要経費を引いた手取りは80万円程度
- 年収500万円以上を稼ぐために必要な戸数は5部屋、手取り500万円以上の場合は7部屋
- マンション5部屋購入する場合に必要な資金は1億円、7部屋の場合は1億4,000万円
実際のところ、マンション経営の開始段階で上記の条件を満たすのは難しいでしょう。前述の購入費用を自己資金だけで用意するのは難しいため、投資用ローンを利用する必要があります。
しかし、マンション経営の実績がない場合は高額の融資を受けられる可能性は低く、5部屋または7部屋の購入資金を用意するのは現実的ではありません。
マンションの購入費など初期費用も考慮して、少しずつ目標に近づけるとよいでしょう。
マンション経営の開始直後に目指す年収の決め方
マンション経営の開始直後に高額な目標設定を達成する可能性は低いため、無理のない範囲で年収を定めることが大切です。
これからマンション経営を始める段階であれば、投資用マンションの購入に充てられる資金から逆算して年収を考えるのがよいでしょう。
上記の例の場合は1部屋2,000万円なので、ローンと自己資金あわせて4,000万円を用意できるのであれば、2部屋が購入可能です。
1部屋の年収目安が100万円のため、2部屋あわせて年収200万円が期待できます。
もちろん、年収の目標額から購入する部屋数を考えるのも1つの手段です。ただし、先に年収の目標額を考えるのであれば、経営に必要な部屋数や資金を計算し、実現可能かを検討しましょう。
マンション経営で得られる年収を最大化するテクニック
最後に、マンション経営で年収を最大化するためのテクニックを4つご紹介します。
立地の良いマンションを選ぶ
マンション経営による年収内訳のうちメインとなるのは家賃収入です。すなわちマンション経営で稼ぐためには、高額の家賃収入が見込めるマンションを選ぶのが理想といえます。
高額の家賃収入を見込めるマンションの代表例は、立地の良いマンションです。立地が良いとされる場所として以下の例が挙げられます。
- 駅からのアクセスが良い(徒歩10分以内が目安)
- 交通の便が良い
- スーパー、ドラッグストア、病院など生活に関連する施設が充実している
- 近くに交番がある、街灯が多いなど治安の面で安心できる
- 周辺に繁華街や嫌悪施設(ゴミ処理場や墓地など)がない
エリアに合ったターゲット設定する
マンション経営では、エリアに合わせたターゲット設定を行うことも大切です。マンションが位置するエリアで需要がある層をターゲットにすることで、効率的・効果的なマーケティング施策をとれる可能性が高くなります。
反対に、エリアとターゲット設定が合わなければ賃貸契約の獲得が難航する恐れがあります。
例えばファミリー層に人気のエリアで単身者をターゲットに設定しても、ターゲットのニーズに合わず賃貸契約につながりにくいでしょう。
まずはマンションの周辺エリアがどの層に人気であるかを調査し、エリアに合ったターゲットを設定した上で営業活動をしましょう。
空室率を下げるための対策をする
たとえ複数戸でマンション経営をしても、入居者がいなければ収入を得られません。マンション経営で年収を最大化するためには、空室率を下げる対策も必要です。
空室率を下げる対策として以下の例が挙げられます。
- 競合物件の条件を確認し、必要に応じて家賃を調整する
- 最新の設備を導入し住みやすい部屋にする
- 壁、床、水回りなど視認性の高い部分をきれいに保つ。必要であれば部分リフォームを実施する
新規の入居希望者を集めることも大切ですが、退去率を下げるために入居者の満足度を高めることもポイントです。
自己資金は多めに用意する
自己資金を多めに用意することが、マンション経営による年収の最大化につながる理由は以下の2つです。
- ローンによる借入額が少ないため利息も少なくなり、収入から差し引く必要経費を抑えられる
- 自己資金が多いほど高額な物件の購入がしやすくなる、もしくはローンを利用しなくても複数戸の購入が可能
自己資金とローンをあわせて高額の資金を用意できれば、購入できる部屋数が増えるため、額面と手取り両方で年収アップが実現するでしょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典
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