マンションオーナーになるには?その方法や注意点をわかりやすく解説

マンションオーナーになるには、物件の種類や購入方法の選び方、資金計画、管理の手間など、事前に知っておくべきポイントが数多くあります。
安易に始めると、思わぬリスクやトラブルにつながることもあるでしょう。
マンションオーナーになるための具体的なステップから、始める前に押さえておきたい注意点まで、初めての方にもわかりやすく解説します。
この記事の目次
マンションオーナーとは
マンションオーナーとは、分譲マンションの一室または一棟を所有し、それを賃貸することで収入を得る投資家のことです。
単に不動産を所有するだけでなく、入居者の募集、賃貸契約の締結、家賃の徴収、物件の維持管理など、多岐にわたる業務を行う必要があります。マンションオーナーになることは、長期的に安定した収入源を確保する手段の投資として注目されています。
仕事内容
マンションオーナーの仕事は多岐に渡り、主に次のような業務を行います。
- 空室を埋めるための入居者募集
- 入居希望者の審査と賃貸契約
- 家賃の徴収と滞納管理
- 入居者からの問い合わせやクレーム対応
物件価値を保つための維持管理(共用部の清掃、設備の点検・修理など)も重要です。これらの業務はオーナー自身でもできますが、業務が多岐に渡り負担が多いため、専門の賃貸管理会社に委託するのが一般的です。
加えて、税金対策や確定申告などの経理業務もオーナーの仕事です。
平均収入
一般的にマンション経営を始める層は、ある程度の経済的な基盤を持っていると考えられます。
マンションオーナーとして不動産所得を得ている方に多い本業の年収帯としては、以下のような傾向が考えられます。
- 500万円以上:ある程度の自己資金を用意できる方や、購入できる金額は少額のものに限られます。
- 700万円以上:金融機関からの融資を受けやすくなる目安で、マンション投資の検討をはじめる収入と言えます。
- 1,000万円以上:より積極的に複数の物件を取得したり、高価格帯の物件に投資したりする層もいるでしょう。
ただし、上記はあくまで一般的な傾向であり、本業の年収が平均以下の方でも、自己資金をしっかり準備したり、収益性の高い物件を選んだりすることでマンションオーナーになることは可能です。
必要な資格・知識
マンションオーナーになるために必須の資格はありません。しかし、円滑な運営を行うためには、幅広い知識が求められます。
例えば、不動産売買の仕組み、賃貸借に関する法律、建築基準法、都市計画法などの関連法規の理解が必要です。金融に関する知識も重要で、不動産投資ローンの仕組み、金利の種類、返済方法を理解し、適切な資金計画を立てる必要があります。
税金に関する知識も欠かせません。不動産取得税、固定資産税、所得税といった、オーナーが支払うべき税金の種類や計算方法、節税対策を学ぶ必要もあります。
さらには、賃貸管理に関する知識も重要です。入居者募集、契約書作成、家賃徴収、トラブル対応、物件の維持管理など、具体的な管理業務の知識が求められます。
これらの知識は書籍やセミナー、不動産投資に関する情報サイトなどで学習可能です。しかし、必要な知識の幅が広いため、基本的には不動産会社や税理士などの専門家のサポートを受けながら賃貸経営を行うことになるでしょう。
マンションオーナーになるための7つのステップと注意点
マンションオーナーになるには、いくつかの段階的なステップを踏む必要があります。
各ステップを理解し、注意すべき点を把握することで、オーナーとしての第一歩をスムーズに踏み出せるでしょう。
1:収益が期待できるマンションを選定する
マンションオーナーへの第一歩は、将来的な収益が見込める物件を選定することです。
立地条件、築年数、物件の状態、周辺の賃貸需要などを多角的に分析し、長期にわたって安定した賃料収入を得られる可能性の高い物件を見極めましょう。
注意点:高利回りだけに踊らされない
- 徹底的な市場調査
周辺の類似物件の賃料相場、空室率、入居者のターゲット層(単身者、ファミリー層など)を詳細に調査します。
複数の不動産情報サイトや地域の不動産会社からの情報を収集し、客観的なデータに基づいた判断を行いましょう。 - 将来のポテンシャル
現在の賃料収入だけでなく、将来的な資産価値の変動要因も考慮に入れます。
再開発計画、駅の新設、商業施設の誘致など、エリアの将来的な発展が見込まれるかどうかは、重要な判断材料となります。 - 物件の管理状況
築年数だけでなく、これまでの修繕履歴や管理体制を確認します。管理が行き届いていない物件は、将来的に修繕費用がかさむリスクがあります。 - リスクとリターンのバランス
高利回りの物件は魅力的ですが、空室リスクや物件の老朽化リスクが高い場合もあります。自身の目的に合ったバランスの取れた物件を選びましょう。
2:資金計画を立てる
収益性の高い物件の目星がついたら、次に具体的な資金計画を立てる段階に入ります。マンションの購入には物件価格だけでなく、仲介手数料、登記費用、税金、火災保険料など、さまざまな初期費用が発生します。
また、将来的に発生する修繕費や家賃の下落リスクなども考慮しながら、長期的なシミュレーションを行います。
注意点:資金計画が甘いと資金ショートする可能性がある
- 初期費用の洗い出し
物件価格以外にかかる費用を確認します。諸費用には仲介手数料、登記費用、火災保険料、固定資産税清算金などが含まれます。 - 自己資金の割合
一般的に、不動産投資ローンを利用する場合でも、物件価格の1割から3割程度の自己資金が必要とされています。自身の資産状況を考慮し、無理のない範囲で自己資金を準備しましょう。 - ランニングコストの試算
物件取得後の管理費・修繕積立金、固定資産税、管理委託料などのランニングコストを試算します。これらの費用を考慮に入れたうえで、実際のキャッシュフローをシミュレーションする必要があります。 - 空室や家賃の下落リスクを試算
賃貸経営を行ううえで、空室リスクや家賃の下落リスクはつきものです。空室や家賃が下落した場合のシミュレーションを行います。
退去時の原状回復費用や突発的な修繕費も考慮しておくことで、余裕のある資金計画を立てられるでしょう。
3:金融機関に融資を申し込む
自己資金だけではマンションの購入資金が不足する場合、金融機関に不動産投資ローンを申込むことになります。金融機関は物件の収益性や担保価値、申込者の信用情報などを総合的に審査し、融資の可否や融資条件を決定します。
金融機関によって金利や貸し出し条件が異なり、条件によって資金計画も大きく変わるので、慎重に選ぶ必要があります。
注意点:金融機関を味方につけて有利な条件を引き出す
- 複数の金融機関を比較・検討
金融機関によって金利、融資期間、融資限度額、審査基準などが異なります。複数の金融機関から融資の条件を提示してもらい、比較・検討することが重要です。 - 資金計画を明確に伝える
金融機関に対して投資の目的、返済計画、物件の収益見込みなどを明確に説明することが、融資審査を有利に進めるうえで重要です。 - 無理のない返済計画を立てる
融資を受ける際は、将来的な金利変動や空室リスクなども考慮し、無理のない返済計画を立てることが重要です。
現実的で確実な計画を立てれば、金融機関から信頼が得られ、有利な条件で進めやすくなるでしょう。
4:重要事項説明を受け、売買契約を締結する
購入する物件が決定し、融資の見込みが立ったら、不動産会社から重要事項説明を受け、内容を理解したうえで売買契約を締結します。
重要事項説明書には物件の権利関係、法令上の制限、賃貸状況、管理状況など、購入判断に重要な情報が記載されています。
注意点:疑問点や不明点をそのままにしない
不動産会社の担当者からの説明を聞き、不明点や疑問点は遠慮せずに質問し、納得いくまで説明を受けましょう。
契約前に説明書類をもらって不明点を事前に確認しておくと、スムーズです。
- 物件の現況を確認する
売買契約は売主が同席する場合が多く、前所有者から細かい状況などを確認できます。
前所有者からは、書類上では説明されない内容も確認することが重要です。 - 専門的なアドバイスを求める
不動産の売買契約は複雑な法的要素を含むため、必要に応じて弁護士などの専門的なアドバイスを受けることも検討しましょう。
一棟マンションのように規模が大きく、権利関係が複雑な場合には特に注意が必要です。
5:融資の実行と決済を行う
売買契約締結後、金融機関との期間で融資契約を締結し、融資が実行されたら、いよいよ物件の決済を行います。
決済時には残代金の支払い、登記手続き、固定資産税などの精算が行われます。
注意点:決済ができないと違約金の可能性も
- 決済日のスケジュール調整
決済日は、売主、買主、不動産会社、金融機関、司法書士などが一堂に会します。関係者間でスケジュールを調整し、遅れないように準備しましょう。
期日までに決済ができないと、違約金が発生してしまう場合もあります。 - 必要書類の準備
決済期限に遅れないよう、必要な書類(本人確認書類、印鑑証明書、実印など)は忘れず準備しましょう。
6:賃貸管理会社を選定する
物件の取得が完了したら、賃貸管理会社を選定します。
賃貸管理業務は入居者の募集、賃貸契約の締結、家賃の徴収、物件の維持管理、入居者からのクレーム対応など、多岐にわたります。
信頼できる管理会社に委託することで、オーナーの手間を軽減し、安定した賃貸運営が期待できます。
注意点:管理会社は賃貸経営のビジネスパートナー
- 複数の管理会社から見積もりを取る
管理手数料、提供するサービス内容、得意な物件の種類などを比較・検討します。管理会社によって提供するサービスや手数料が異なる場合があります。 - 管理会社の実績を確認する
地域の賃貸市場に精通しているか、入居率は高いか、トラブル対応の実績があるかなどを確認しましょう。
管理会社によって得意・不得意があるので、自身のマンションの状況に合った管理会社を選定してください。 - 管理内容を確認する
管理委託契約書に記載されている契約期間、解約条件、管理手数料、業務範囲などを確認しましょう。
特に業務範囲が明確にされていない場合は、どこまでが契約内容に含まれるのか確認し、なるべく明文化してもらいます。 - コミュニケーションの取りやすさ
管理会社とのコミュニケーションが円滑に行えるかどうかも重要なポイントです。
7:管理委託契約を締結し、賃貸運営を開始する
選定した賃貸管理会社と管理委託契約を締結し、いよいよ賃貸運営を開始します。
管理会社が入居者の募集から管理業務全般を代行してくれるため、オーナーは定期的な報告を受けながら、賃料収入を得ることになります。
注意点:管理会社に任せきりにしない
- 管理会社との連携を密にする
定期的に管理会社と情報交換を行い、入居状況や物件の状態などを共有し、連携を強化しましょう。 - 入居者審査への関与
入居者の選定基準について管理会社と協議し、適切な入居者を選定することがトラブル防止につながります。 - 定期的なメンテナンスの実施:
入居者に快適な住環境を提供し、物件の価値を維持するために、計画的なメンテナンスを実施しましょう。 - 市場の動向を把握する
周辺の賃料相場や空室率などを定期的に確認し、必要に応じて賃料の見直しや設備の見直しを検討しましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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