老朽化したアパートの売却方法!最適なタイミングや売却の手続きを解説
「老朽化が進んで空室ばかり…」「修繕費や税金が重くのしかかる…」そんなお悩みを抱えていませんか。
長年アパート運営をされてきた方や、相続で急に物件を譲り受けた方など、老朽化したアパートの管理は簡単ではありません。空室率が上がる一方で利益は出にくく、維持管理の負担も大きくなりがちです。
「このまま持ち続けて大丈夫だろうか」「売却するなら今がいいのか」と悩んでいる方も多いでしょう。本記事では、老朽化したアパートを売却する最適なタイミングや手続きの流れをわかりやすく解説します。
この記事の目次
老朽化しているアパートの特徴
老朽化したアパートを売却するには、アパートがどれくらい劣化しているかを正確に判断し見極める必要があります。
アパートの劣化の状態は売値を算出する目安にもなります。それだけでなく、売却に向けてより高く売るための対策を練るためや、手続きをスムーズに進めるためにも知っておかないといけません。
老朽化したアパートの特徴について解説します。
- 空室が多く新しい入居者が入る予定もほとんどない
- 構造部位が経年劣化により強度が落ちている
- 修繕・修理費用が高くなり収益を圧迫している
空室が多く新しい入居者が入る予定もほとんどない
老朽化したアパートは新しく入居を希望する方がほとんどいなくなり、空室率が高まります。
現在の需要に合わない外観、内装や間取りで周辺にある同条件の賃貸物件に比べると見劣りするためです。住宅設備も旧型のモデルであることが多いのも特徴です。
賃貸サイトの物件紹介において見栄えも悪く、住居を探している方が住んでみたいと思える魅力が少なくなってしまいます。
構造部位が経年劣化により強度が落ちている
築年数の長いアパートは、経年劣化により耐震性が低下していきます。特に木造のアパートは構造で重要な部位である柱や土台が、シロアリによる被害でボロボロになる可能性が高くなります。
また、雨漏りが発生し事後処理が不適切な場合、水分を含んだ木材が腐食してしまい、本来必要な構造強度が発揮できません。
日本は地震の発生率がとても高い国ですので、主要な構造部材について強度不足のアパートでは安心して住めません。
修繕・修理費用が高くなり収益を圧迫している
アパートの老朽化が進むと設備の故障が頻繁に発生し、外壁や屋根の修繕・修理費用など年ごとに上昇します。
住宅設備に不具合が出たと入居者より連絡が入れば、迅速に対応することが求められ修理代金も高くかかります。複数社に相見積もりをして、検討している時間はありません。
築年数が長くなればなるほど屋根や外壁からの雨漏りが発生し、数百万円規模の費用がかかります。また、地震や台風などの天災にもアパートが部分的に破損しやすくなり、予期しない高い修繕費用がかかります。
老朽化したアパートを売却するタイミングとは?
老朽化したアパートの収益向上のための方法として、建て替えやリノベーションすべきか、売却すべきかというお悩みはよく耳にします。
各々の方法とも良い点、悪い点はありますが、次の3つタイミングは売却を選択したほうが良いタイミングです。
- 周辺エリアの人気が下がり収益の悪化が著しいとき
- 減価償却が終了して税負担が増えるとき
- 築年数が40年以上を超えているとき
周辺エリアの人気が下がり収益の悪化が著しいとき
老朽化したアパートを売却するタイミングの1つ目は、周辺エリアの人気が下がり収益の悪化が著しいときです。つまり、入居率が低下して新しい入居者の見込みもほとんどない場合です。
時代とともに都市の再開発が行われるなど、街自体が新陳代謝しますので人気エリアも変化し続けます。人気のなくなったエリアの老朽化したアパートは家賃を落としても、新しい入居の申し込みは期待できません。
また、築年数がたてばたつほど、賃貸紹介サイトなどでは検索されにくくなります。賃貸物件の検索時に、検索条件で足切りされアパートの存在を知ってもらえる機会も減ってしまいます。
アパート本体の仕様も時代遅れになり、入居を避けられ空室が増える要因になります。退去者が発生しても、新しい入居者がすぐには見つからず、空室が徐々に増えることで収益が低下します。
築年数が長いとその分、設備機器の故障の発生率も上がり対応することで当初予定していた収益も見込めなくなります。
減価償却が終了して税負担が増えるとき
老朽化しているアパートの売却を考える重要なタイミングの2つ目は、減価償却の期間が終了し支払う税金が増えるときです。
減価償却とはアパートの固定資産(購入費用)を、使用年数に応じて経費として分割計上できる会計上の処理のことです。活用の仕方によって節税効果も期待できます。
減価償却の期間は法定耐用年数により決まっており、建築物の構造の種類によって年数が違います。
構造種別 | 法廷耐用年数 | |
---|---|---|
木造 | 22年 | |
鉄骨造 | 骨格材肉厚3mm以下 | 19年 |
骨格材肉厚3mm超え4mm以下 | 27年 | |
骨格材肉厚4mm超え | 34年 | |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
築年数が40年以上を超えているとき
築年数が40年以上を超えているときも老朽化したアパートを売却するタイミングになります。40年前に建てたアパートはいくら丁寧にメンテナンスをしても、建物本体の劣化や損傷を免れることは不可避です。
耐震性に関しても1981年以前の旧耐震基準で建てられており、安心して住める住居としての役割もございませんので売却する目安になります。
ただし、築年数が40年を超える老朽化したアパートは、立地条件が良い場合を除き、一般的に売却が困難です。解体するなど、土地として売却する選択肢も視野に入れましょう。
老朽化したアパートを売却する方法
老朽化したアパートを売却する方法は複数あり、アパートの築年数によって優先する売却方法が異なります。
修繕工事やリフォームして価値を高めてから売却する
築30年以下の老朽化したアパートの場合、効果的な売却方法は、リフォームや修繕を通じて資産価値を高めることです。具体的には、以下のような方法が有効です。
- 外壁の再塗装
- 屋根の葺き替え工事
- 設備の更新
- 間取りの修繕工事
築30年以下のアパートは構造種別によっては耐用年数を過ぎていますが、十分に売却が可能です。
売却前にアパート全体の劣化状況を確認し、修理できる部位は修繕工事を、内装に関してもリフォーム工事を実施します。購入後にすべき工事を事前に行うため、買手の負担も大幅に減らせ、さらに好印象も与えられます。
老朽化したアパートの資産価値を事前に高めれば、査定価格より高値で売却できる可能性も高まります。
ただし、工事費用をかけ過ぎると売却完了後に赤字になってしまう可能性もあります。
収益が出る範囲を見極め、価値が上がりやすい部分のみ工事するなど工夫が必要です。
アパートを解体し更地にしてから売却する
特に築40年を超える老朽化したアパートは、解体工事を自身で依頼し、土地を更地にしてからの売却がおすすめです。
40年以上も建っている建物は、ほとんどの場合で傷みが激しく価値はほぼありません。
買手からしてもアパート本体に魅力を感じて購入するというよりは、アパートが建築されている土地に価値を見出す場合がほとんどです。
また、引き渡し後、建て直しのため老朽化したアパートを解体します。ですので、更地にして売却に出すほうが売れやすく、しかも資産価値を高くなる傾向もあります。
ただし、解体を依頼する業者の選定は慎重に行う必要あり、最低でも2~3社から見積もりを入手し検討してください。また、それぞれの解体業者の工事範囲も明確にしておきましょう。
不動産会社や開発業者などに買い取ってもらう
不動産会社や開発業者など資本が大きい専門企業に買い取ってもらうことも、老朽化したアパートを売却する手段のひとつです。
不動産の専門会社に手数料などの費用を支払う必要はありますが、契約さえ締結が済めば現状のままで売却が可能です。アパートの老朽具合や入居者の有無に関わらず売却できる場合が多いので、すぐに資産を現金化できます。
また、買取の最大のメリットは、売主が負うべき契約不適合責任の免除です。
契約不適合責任は、仲介によるアパート売却後に契約書の記載内容と物件状況に相違が発生したときに売主が背負う責任です。
売主が劣化の状況を把握していなくとも、売却後の一定期間はアパートを修理する必要があります。あまりにも契約書との相違が大きいと契約解除や損害賠償の訴訟などを受けることもあり得ます。
ただし、不動産会社や開発業者が提示する買取価格は市場の売却価格より2~3割程度ですが低くなります。老朽化したアパートのリフォーム費用や入居者に対する交渉、退去時の費用などを不動産会社が対応するためです。
ですが、築年数に関係なくスピード感を持って売却をしたい方、退去に関する入居者とのやり取りが面倒な方に向いている方法です。
老朽化したアパートを売却する手順と必要書類
実際に老朽化したアパートを売却するときの手順の流れと必要な書類を解説します。
こちらの内容はアパート売却の一般的なパターンに絞って記載しておりますので、基礎知識と考えてください。
実際のアパート売却では建物や土地の所有条件、銀行からの借り入れ状況など、一棟ごとに条件が異なってきます。
老朽化したアパートの売却を考えている方は、この基礎知識をもとに改めて専門家に相談のうえ、売却を進めてください。
不動産会社にアパートを売却する流れ
不動産会社にアパートを売却する主な流れは、次のとおりです。
1:信頼できる不動産会社を探す
老朽化したアパートの売却意思が固まったら、買主と仲介してくれる信頼できる不動産会社を見つけましょう。インターネットなどを利用し同時に多くの会社をリサーチし、検討することが重要です
2:アパートの査定を依頼する
不動産会社が数社に絞れたなら、次はアパートの査定を依頼しましょう。不動産会社がどれくらいの売却価格を提示してくるか、楽しみな部分でもあります。
しかし、提示価格の高い低いだけでなく仕事の丁寧さなどいろいろな角度から、信頼できる不動産会社を判断しましょう。
3:媒介契約を不動産会社と締結する
仲介を任せられる不動産会社を決めた後は、媒介契約を締結します。媒介契約は3種類あり、自分の希望に合う契約形態を選択しましょう。
4:不動産会社で買主を探す
媒介契約の締結が済めば、あとは不動産会社の仲介のもと買主を紹介してもらい、諸条件の調整などを売買契約に向けて話を詰めていきます。
5:不動産会社が仲介のもと買主と売買契約を締結する
不動産会社の仲介により無事に買主が決まったなら、買主本人とアパートの売買契約の締結をします。売主と買主、双方の不動産会社の4名で行うことが一般的です。
6:売却金額の決済と物件の引き渡しの実行
売買契約時に決めた売却金額の決済日と引き渡し日に滞りなく手続き完了すれば、老朽化したアパートの売却が完了します。
7:売却益に対して確定申告が必要
老朽化したアパートの売却益には、以下の4つの税金がかかりますので、売却した年度の確定申告はお忘れなく行ってください。
- 印紙税
- 登録免許税
- 手数料にかかる消費税
- 譲渡所得税、住民税
アパートを売却する際に必要になる書類
老朽化したアパートを売却する際に必要になる書類を一覧表にして記載します。書類が必要になる手続きは大きく分けて以下の2つです。
- アパートの売買契約を締結するとき
- 金額の決済、アパートを引き渡すとき
本人確認書類 | 顔写真付きの身分証明書、運転免許証など |
---|---|
実印 | 行政に登録している印鑑 |
印鑑証明書 | 実印として登録されている証明書 |
登記済権利証
または登記識別情報 |
不動産を登記した際に法務局から発行される権利証 |
固定資産税納税通知書 | 税務署から送られてくる固定資産税の金額が載っている |
境界確認書・測量図 | 引き渡し後に土地の境界線のトラブル回避のための資料 |
建築図面
建築確認済証・検査済証 |
建築基準法に適合していることを証明できる書類 |
賃貸借契約書 | 入居者と賃貸契約時に取り決めた内容が記載ある |
アパート管理委託契約書 | アパートの管理会社との取り決めがわかる書類 |
検査証・修繕工事記録 | 故障箇所と修理の方法が記載、修繕予定の確認 |
本人確認書類 | 売買契約時に一度提出しておりますが、売却金の決済時にも必要な場合が多い書類です |
---|---|
実印 | |
印鑑証明書 | |
登記済権利証 または登記識別情報 |
|
固定資産評価証明書 | 固定資産税の日割り計算を行うのに必要 |
司法書士への委任状 | 司法書士によるアパートの所有権の移転登記を委任 |
ローン残高証明書 | ローンの残債がある場合 |
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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