不動産投資
2024.12.24

賃貸物件は入居者がいる場合でも売却可能?高値で売る方法と契約時の注意点

賃貸物件は入居者がいる場合でも売却可能?高値で売る方法と契約時の注意点

賃貸物件は入居者がいる場合でも売ることができます。

入居者がいる場合の売却方法や、賃貸物件を売却するメリット・デメリットなどを詳しく解説します。

この記事の目次

入居者がいる賃貸物件の売却方法

入居者がいる状態で賃貸物件を売却する場合は、主に下記の4つの方法があります。

  • オーナーチェンジをして物件を売却する
  • 入居者に物件を売却する
  • 立ち退いてもらい空き家や更地にして売却する
  • 物件を分割し区分所有として売却する

それぞれの方法について詳しくみていきましょう。

オーナーチェンジをして物件を売却する

入居者がいる賃貸物件を売却する方法として、オーナーチェンジをして物件を売却する選択肢があります。オーナーチェンジとは、入居者がいる状態で賃貸物件の所有者が変わる取引方法です。

入居者にとっては家主が変わるものの、転居することなく住み続けられます。また、買主にとっても一から入居者を募る必要がないので、すぐに家賃収入を見込めるのがメリットです。ただし、入居者から預かっている敷金や管理ルールなどを売主から引き継ぎがきちんとされなければ入居者とのトラブルにつながりかねないため、注意が必要です。

入居者に物件を売却する

賃貸物件にすでに入居している人に物件を売却するのも、賃貸物件を売却する方法の一つです。入居者が購入する意思がある場合は、売り出すことが可能です。退去や立ち退き料などの必要がないうえ、買主である入居者も住環境を変える必要がありません。

一軒家など入居者が限られるケースでは、入居者に物件を売却する方法も検討の余地があります。物件を気に入ってくれていて、長年賃貸契約を結んでいる入居者であればそのまま物件を買い取ってもらう提案がしやすいでしょう。

立ち退いてもらい空き家や更地にして売却する

賃貸物件にいる入居者に立ち退いてもらい、空き家や更地にして売却する方法もあります。賃貸物件が老朽化していて建て替えが必要な場合や、賃貸物件がほぼ空室状態の場合は入居者に立ち退いてもらいます。

ただし、正当な理由がなければ入居者に対し強制的に立ち退きさせることはできません。立ち退いてもらって空き家や更地にする場合は、入居者に十分な説明と立ち退き料を支払います。立ち退き料は一般的に6カ月程度見積もっておくと良いでしょう。

物件を分割し区分所有として売却する

アパートやマンションなどであれば、物件を分割して区分所有として売却することも可能です。アパートやマンションなどは一棟を買い取ってくれるオーナーを探すのはなかなか難しいでしょう。

しかし、一部の物件を区分所有してもらうのであれば、買主にとっても初期費用が抑えられるので売却しやすくなります。空き部屋を分割して区分所有として売却すれば、他の入居者は今まで通り変わりなく住み続けられます。

ただし、後々アパートやマンション全体を売却する際は区分所有者にも承諾してもらう必要があるため、留意しましょう。

賃貸物件を売却する場合のメリットとデメリット

賃貸物件を売却する場合には、メリットやデメリットが存在します。

これから賃貸物件を売却しようと考えている人は、メリット・デメリットを踏まえたうえで売却を検討するとより良い取引につながるでしょう。賃貸物件売却のメリット・デメリットについて詳しくみていきましょう。

賃貸物件を売却した場合のメリット

賃貸物件を売却した場合のメリットには、主に下記の3つが挙げられます。

  • 賃貸物件の固定費や修繕費などの費用がかからなくなる
  • 売却した代金が手に入り、それを元手に新たな不動産物件を購入できる
  • 入居者がいる状態であれば買主にすぐ収益化できることをアピールできる

賃貸物件は、固定資産税などの固定費や老朽化などによる建物の修繕費はオーナーが負担します。賃貸物件を売却すると、これらの費用がかからなくなるでしょう。また、売却によって得た売買代金は、次の新たな不動産物件を購入する際に充てることができます。

そして、オーナーチェンジであれば入居者がいる状態で売買が行われるため、入居者を募ることなく、すぐに収益化できます。

賃貸物件を売却した場合のデメリット

賃貸物件を売却した場合のデメリットとしては、下記の3つが挙げられます。

  • 賃貸物件を立て直したり空き家で売却する場合は、入居者に承諾を得る必要がある
  • 入居者の立ち退きが必要な場合は、立ち退き料などの費用が発生する
  • 想定よりも安価で売買が成立する可能性がある

賃貸物件を立て直したり、空き家で売却したりする場合は、入居者に立ち退いてもらわなくてはなりません。売主に正当な理由がない限り、入居者を強制的に立ち退いてもらうことは困難です。

そのため、売却予定の半年〜1年ほど前から入居者に対し、売却のため立ち退きが必要になることを事前に通知し、承諾してもらう必要があります。そして、オーナーチェンジの場合は安価で取引されることが多いです。理由としては内覧が困難であり、投資目的の顧客に限定されるためです。

入居者がいる状態で賃貸物件を売買する際の注意点

入居者がいる状態で売却するときに売主が注意すべきこととして、下記の3点に注意が必要です。

  • オーナーが変更する場合は入居者に通知する
  • 立ち退きで揉める可能性がある
  • オーナーチェンジの場合は敷金の精算を行う

それぞれの注意点について詳しくみていきましょう。

オーナーが変更する場合は入居者に通知する

オーナーチェンジで賃貸物件を売却する場合は、入居者に対しオーナーが変更になる旨を通知する必要があります。

入居者にとってはオーナーチェンジによって家賃を支払う相手が変わるだけでなく、部屋で何か故障などが発生した際に通知する先がどこになるのかをあらかじめ知る必要があるからです。売買契約が行われたタイミングで入居者に伝えるようにしましょう。

立ち退きで揉める可能性がある

賃貸物件の売却により入居者の立ち退きが必要な場合は、立ち退きで揉める可能性があります。長年居住してきた入居者などは立ち退きに反対することがあります。特に事前の通知や、立ち退きに関して十分な説明がなければ揉めることもあるでしょう。

賃借人を保護する目的の法律として、借地借家法があります。借地借家法では、賃貸借に関する権利や契約の更新、解約、存続期間などについて定められています。

民法よりも優先的に適用される特別法になっているため、強制的に立ち退きを強要されることは借地借家法により原則禁止です。

そのため、入居者へ立ち退きが必要な時期の半年〜1年ほど前から十分な説明が必要でしょう。

オーナーチェンジの場合は敷金の精算を行う

オーナーチェンジにより賃貸物件を売却する場合は、入居者に対し敷金の精算を行う必要があります。そもそも敷金とは、家賃滞納時の保証金や退去時の原状回復費用に補填(ほてん)されるため、これらの費用が発生した場合は入居者の退去時に差し引いて返金することになります。

しかし、オーナーチェンジによりオーナーが変わった場合は、旧オーナーと新オーナーとの間で敷金の精算が行われます。

敷金の精算では、売買の金額を調整することで買主に売主が預かっている敷金を引き継ぎます。

賃貸物件を高く売るためのポイント

賃貸物件を売却するなら、少しでも高く売りたいでしょう。賃貸物件を高く売るためにはいくつかのポイントがあり、主に下記の3つを抑えておくと良いでしょう。

  • 賃貸物件の入居率を高めておく
  • エリアの相場を確認しておく
  • 賃貸物件の売買の実績がある会社に依頼する

賃貸物件の入居率を高めておく

賃貸物件を高く売るためには、入居率を高めておくと効果的です。購入を検討している買主は入居率や利回りを重視しているはずで、少しでも収益が得られる物件を購入したいと考えているためです。

収益を得るためには入居率が高い物件が選ばれています。売却を検討する前に保有している賃貸物件の入居者を募ったり、時期的に入居者が多い時期に売却したりするなどタイミングを見計らって売却すると良いでしょう。

エリアの相場を確認しておく

賃貸物件を売却する前に事前準備として、賃貸物件が立地しているエリアの売買取引から相場を確認しておくと良いでしょう。

なぜなら、あらかじめ相場を頭に入れておくことで適正な価格で売買取引ができるからです。相場よりも高値で売却しようとすると買い手がつかず、長期間にわたり売却できないことがあります。

また、オーナーチェンジによる売却では相場よりも安価で取引されることもあるでしょう。いずれの場合でも周辺エリアの相場を把握しておくことで、希望の金額で売却することにつながるため、確認しておきましょう。

賃貸物件の売買の実績がある会社に依頼する

賃貸物件を高く売るためには、賃貸物件の売買実績が豊富な不動産会社に依頼することをおすすめします。不動産会社といっても、得意な取引は不動産会社によって異なります。

賃貸物件はオーナーチェンジや物件の分割による区分所有者の変更など特殊な取引方法も多いため、専門的な知識や賃貸物件の相場などが求められるでしょう。これまでに賃貸物件の売却で実績のある不動産会社に依頼すると安心して取引できます。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久

「一期一会」がモットーです。これまでの投資不動産の売却・購入・資産の入れ替えの実務を通じて得られた知見を、少しでも、皆様に、わかりやく、丁寧にお伝え出来たらと思っております。 著者の記事一覧はコチラ
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