古いアパートのおすすめ活用法は?入居率を改善する空室対策も紹介
古いアパートは築年数が経過するほど入居率が低下し、安定した家賃収入を得るのが難しくなります。
しかし、入居者の減少が止まらない場合でも、空き部屋をレンタルスペースやトランクルームとして貸し出すなど、発想を転換することで新たな収入源を生み出す方法があります。
今回は、入居率改善につながる施策から、空き部屋の有効活用アイデア、さらには売却の選択肢まで、さまざまな対策を紹介します。
この記事の目次
アパートの入居率が低下したときの空室対策
アパートの入居率が低下したときの主な空室対策を3つ紹介します。
- 周辺地域の相場を調べ、家賃設定を見直す
- 計画修繕やリノベーションを実施する
- 住宅セーフティネット制度に登録する
周辺地域の相場を調べ、家賃設定を見直す
空室が長期間埋まらない場合は、周辺地域の家賃相場を調べてみましょう。近隣のアパートやマンションと比べて高すぎる家賃設定が原因で、入居者が減少している可能性もあります。
ただし、家賃を下げすぎると収入が減少し、赤字が増えるリスクもあるため注意が必要です。
家賃相場を調べる場合は、地元の不動産会社に相談するか、不動産流通推進センターが公表している統計データを参照するとよいでしょう。
計画修繕やリノベーションを実施する
古いアパートの空室が増える原因のひとつが、建物や設備の老朽化です。特に外観が劣化していると、入居希望者に悪い印象を与える可能性があります。
計画修繕やリノベーションを実施することで、近隣のアパートやマンションに対する競争力が高まり、入居率の改善につながります(※)。
修繕工事の種類 | 特徴 |
---|---|
計画修繕 | 外壁や屋上防水のリフォームを実施し、建物を長期的かつ良好に維持管理すること |
リノベーション | 外観デザインの改修や居室の間取り変更を行い、居住水準や性能を向上させること |
ただし、リフォームやリノベーションには多額の費用がかかるため、費用対効果の高い場所に絞って行うことが大切です。
たとえば、入居者からの人気が高い宅配ボックスや無料インターネット設備を設置することで、空室対策につながるでしょう。
※参考:国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック 事例編」
住宅セーフティネット制度に登録する
入居希望者が増えない場合は、入居条件を緩和するという選択肢もあります。
特に近年は高齢者や低額所得者、障害者、外国人など、住宅確保要配慮者の賃貸需要が高まっています。住宅確保要配慮者の受け入れにより、空室率の改善が期待できるでしょう。
令和6年の通常国会では、住宅セーフティネット法が改正され、住宅確保要配慮者に住まいを提供する大家さんへの支援体制が強化されました(※)。
住宅セーフティネット制度に登録することで、改修費用の補助や、家賃低廉化に向けた補助のほか、入居者が死亡したときの残置物処理の支援を受けられます。
※参考:国土交通省「住宅セーフティネット制度」
古いアパートの活用方法4選
古いアパートの活用方法は、リフォームやリノベーションだけではありません。近年は
空いた場所や物件を利用者と共有(シェア)する「スペースシェア」に注目が集まっており、アパートの空き部屋も有効活用されています。
ここでは、古いアパートを活用するアイデアを4つ紹介します。
- 空室をレンタルスペースとして貸し出す
- トランクルーム事業を始める
- 託児所や保育所を誘致する
- 建物を取り壊して駐車場にする
空室をレンタルスペースとして貸し出す
1つ目は、アパートの空室をレンタルスペースとして貸し出す方法です。たとえば、会議室やパーティールーム、レンタルオフィス、コワーキングスペースなどの用途が考えられます。
近年は余分なものを持たず、家の限られたスペースを効率よく使う「スペースパフォーマンス(空間対効果)」を意識する方が増えたことから、時間貸しのレンタルスペースの需要が高まっています。
居住用の物件としては需要が低い部屋でも、レンタルスペースに改装することで、新たな利用者の獲得につながるでしょう。
トランクルーム事業を始める
2つ目は、アパートの1階部分などでトランクルーム事業を始める方法です。トランクルームとは、個人や企業が物品を預けるためのスペースを貸し出すサービスを指します。
従来は広い土地にコンテナを設置する屋外型のサービスが主流でしたが、近年は店舗やオフィスビルの空きスペースを生かし、トランクルームに改装する屋内型のサービスも増えてきました。
古いアパートをトランクルームに改装する場合は、床の耐荷重を向上させるため、補強工事が必要なケースがあります。また木造アパートでは、床下にカビやシロアリが発生している可能性があるため、床下点検も実施するとよいでしょう。
託児所や保育所を誘致する
3つ目はアパートの一室を改装し、託児所や保育所を誘致する方法です。女性の就業率の上昇にともない、1~2歳児の保育利用率が年々増えていることから、今後も一定の需要が期待できるでしょう。
地方公共団体(自治体)によっては、待機児童の解消を目的として、賃貸物件を保育所に改修する事業者に対し補助金を交付しています。たとえば、京都市の「賃貸物件による保育所整備事業」の場合、賃貸物件の改修整備にかかる費用の最大4分の3まで補助を受けられます(※)。
※参考:京都市「賃貸物件による保育所整備事業に関する補助金交付要綱」
建物を取り壊して駐車場にする
4つ目は古いアパートを取り壊し、駐車場経営を始める方法です。駐車場には時間貸しのコインパーキングと、月単位で契約を結ぶ月極駐車場の2種類があります。
駐車場経営はアパート経営と比べ収益性で劣りますが、月々のランニングコストが低いとされています。自動料金精算機を設置すれば、管理の手間もほとんどかかりません。
ただし、アパートを取り壊し空き地にするには1坪あたり3~10万円程度の解体費用がかかります。たとえば、延べ床面積が60坪のアパートの場合、解体費用の目安は180~600万円です。
鉄筋コンクリート造(RC造)など、アパートの構造によってはさらに多くの解体費用がかかる可能性もあります。また入居者が残っている場合は、立ち退き交渉が必要になることも知っておきましょう。
アパート経営をそのまま続けるよりも売却すべきケース
アパート経営をそのまま続けるのではなく、売却すべきケースもあります。たとえば、アパートの築年数が30年を超えている場合や、大規模修繕工事の時期が近づいている場合は、出口戦略としての売却を検討しましょう。
築年数が30年を超えている
築年数が30年を超えると、アパートやマンションの売却価格は大きく下落するとされています。
たとえば、東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(参照2023年)」によると、築26~30年の中古マンションは平均3,672万円で取引されているのに対し、築31~35年の物件では2,356万円となっています。
築年数が経過するほど売却価格は下がるため、アパートの売却を検討している方は早めに不動産会社へ相談しましょう。
大規模修繕工事の時期が近づいている
大規模修繕工事の時期が近づいている場合も、アパートやマンションの売却に適したタイミングです。マンションを例に挙げると、全体の約7割が12~15年の周期で大規模修繕工事を実施しています(※)。
大規模修繕工事では、屋根や屋上、外壁などの工事を一度に行うため、多額の修繕費用がかかります。今後、アパート経営を続けるかどうか迷っている場合は、大規模修繕工事を実施する前に売却を検討しましょう。
※参考:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」
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