収益物件は売れない?オーナーチェンジ物件が売却されにくい理由と対処法
収益物件の売却を考えている方の中には、「オーナーチェンジ物件が売れにくい」という噂を聞いて迷っている方もいるかもしれません。
しかし、収益物件を売り出すと3カ月程度で買い手が見つかることも多く、オーナーチェンジ物件だから売れないということはありません。
ただし、所有している物件の立地や価格によっては、なかなか売れない可能性もあります。
収益物件がすぐに売れない理由とその対処法について分かりやすく解説します。
この記事の目次
収益物件が売れない場合の主な理由
まず最初に、オーナーチェンジ物件とは、すでに入居者がいる物件の所有者(=オーナー)だけが変わることです。
収益物件と同じ意味で使用されており、購入することで家賃収入がすぐに得られる、入居募集の手間がかからない、などのメリットがあります。
そのため、オーナーチェンジ物件は人気の収益物件といえるでしょう。
しかし、収益物件でも以下のような要素があると売れにくくなります。
【オーナーチェンジ物件を売れにくくする5つの要素】
- 物件の築年数が40年以上
- 物件の立地条件が良くない
- 入居率が低く利益を上げにくい
- ランニングコストがかかる
- 収益物件の売却価格が高すぎる
どれも重要な要素ですので1つずつ詳しく解説していきます。
物件の築年数が40年以上
物件全般にいえることですが、やはり築浅物件は売りやすく、築年数が経っている物件ほど売れにくくなります。
したがって、収益物件であっても築年数があまりに古いとすぐには売れないでしょう。
売りにくくなる年数の目安は一般的に25年〜40年前後といわれています。
40年以上経過している収益物件の場合、買主は「オーナーチェンジすることで、リフォームなどの費用を自分が負担しないといけないのではないか」と警戒されてしまいます。
また、築年数が40年以上経過している物件は旧耐震基準で建てられていることが多く、修繕・維持費がかかる、金融機関の融資条件が厳しくなる、価格の下落が懸念されるなどのデメリットがあるため売れにくくなります。
物件の立地条件が良くない
収益物件が立地条件の良くない場所に建っている場合は売れにくくなるでしょう。
賃貸物件を探すときと同様に、立地条件は収益物件の価値を決める重要な要素だからです。
したがって、駅から遠い、近くにスーパーマーケットやコンビニなどがない場所となると、収益物件を探している方に「立地条件が良くないから購入を見合わせよう」という心理が働くかもしれません。
ただし、立地条件の良さは人によって異なるため生活に便利な繫華街の近くではなく、多少不便でも周囲に建物がなく静かな場所のほうが良いという方もいます。
入居率が低く利益を上げにくい
入居率が低い物件では、オーナーチェンジ物件としてのメリットを活かしづらいので敬遠される原因になります。
入居率が低い状態で購入すると、新しいオーナーは入居募集をかけなければならず手間とコストがかかるからです。
そのため、 収益物件の入居率を少しでも上げてから売却するなど、投資家や地主などの目線で考えることが大切です。
ランニングコストがかかる
収益物件の内装がひどく汚れていたり傷んでいたりすると、買主の修繕費や維持費がかさんでしまいます。
そもそも収益物件は、家賃から清掃費や修繕費、賃貸管理費などを引いた金額が利益となるため、ランニングコストが家賃を上回ってしまうと意味がありません。
ランニングコストが高くなることが予想される物件は、オーナーチェンジ物件の良さがなくなってしまうので、なかなか買い手が見つからないでしょう。
収益物件の売却価格が高すぎる
投資用でマンションを所有している方などは、収益物件の売却価格をできるだけ高くしたいと考えがちです。
一方、収益物件を探している方は、購入後の収支を綿密にシミュレーションしています。
そのため、競合となる周囲の物件と比較して売却価格(購入価格)が高額だと、設備や立地条件などに魅力がない場合は購入を見送られることがあります。
収益物件の一般的な売却期間の目安
収益物件の売れにくさは、どのように判別すればよいのでしょうか。
そこで目安となるのが、公益財団法人東日本不動産流通機構が公表している「首都圏不動産流通市場の動向」です。
上記の資料の2023年度版(2024年4月18日公表)に「登録から成約に至る日数」というデータがあり、以下の表にまとめました。
ちなみに、「登録」とは不動産会社が物件を開始したときであり、「成約」とは物件の売買契約が締結されたときのことです。
年度 | 中古マンション | 中古戸建住宅 |
---|---|---|
2021 | 72.1日 | 95.2日 |
2022 | 73.0日 | 79.0日 |
2023 | 82.6日 | 87.1日 |
地域や市場の動向によって売却期間が変わる可能性がありますが、中古マンションと中古戸建住宅では、どちらも約70〜90日前後かかっていることがわかります。
つまり、収益物件は売り始めてから大体2、3カ月で売れるのが一般的というわけです。
したがって、収益物件の所有者は、物件を売りに出してから3カ月以上経っても売れなかった場合、「売れていない」と考えて何かしらの対処を講じたほうがよいといえます。
収益物件を売却しやすくするための対処法
「売れない」あるいは「売りづらい」収益物件(オーナーチェンジ物件)をできるだけ早く売る方法が全くないわけではありません。
収益物件はそもそも購入するメリットがある物件ですので、改善策を行うと売れやすくなるからです。
状況に合わせて対応できる対処法を6つご紹介します。
【収益物件を売却しやすくするための対処法】
- 収益物件が売れないときは価格を見直す
- 建物を解体して土地として売る
- 仲介している不動産会社を変更してみる
- オーナーチェンジ物件を得意にしている会社に買い取ってもらう
- 収益物件の空室率を改善する
- 物件の魅力を高める
収益物件が売れないときは価格を見直す
物件が売れない場合は値下げする、という方法が有効になるのは、売れない収益物件でも同じです。
早く売却したい場合は、売却価格を平均的な価格より安価に変更することが推奨されています。
もちろん闇雲に値下げしてしまっては、所有者の利益が損なわれるだけです。
値下げするときは市場動向や周辺の物件価格を調べるなどして、問題ない範囲で設定しましょう。
建物を解体して土地として売る
築年数があまりに古い場合は、建物を解体して更地にしてしまうのも一つの方法です。
例えば、投資用のマンションを更地にすることで新築の一戸建てを求めている買主にもアピールすることができます。
ただし、収益物件には基本的に入居者がいるので、いくら築年数が古くてもオーナーの都合で工事を行うことは難しく、立退きをお願いして拒否される可能性もゼロではありません。
そのため、入居者が全員退去できる算段がついた上で、建物を解体して更地にする準備を始めましょう。
売買仲介を依頼している不動産会社を変更してみる
収益物件を取り扱っている不動産会社は多数ありますが、すべての会社が収益物件の売買を得意としているわけではありません。
そのため、「物件がなかなか売れない」と感じたら、仲介してくれる不動産会社を変更してみてはいかがでしょうか。
先ほど解説したとおり、収益物件の売却目安はおおむね2、3カ月程度のため、この期限を目安に不動産会社の変更を検討することも有効です。
ただし、仲介依頼中の途中解除はトラブルになることがあるので、不動産会社を変更する際は契約内容を事前に確認しましょう。
収益物件を探している買主を探して買い取ってもらう
収益物件の売却を不動産会社に任すのではなく、自分で探してみるのもよいでしょう。
チラシなどを作成すると時間やコストがかかってしまいますが、知人や友人に声をかける程度であれば気軽に行えます。
ただし、不動産会社との契約によっては自分で買主を探すことができない場合があります。
売主が自分で買主を探せるのは 一般媒介契約と専任媒介契約で、専属専任媒介契約の場合は基本的に買主を自分で見つけることはできないので注意が必要です。
収益物件の空室率を改善する
収益物件に空室がある場合、空室を埋めて入居率を高めることで、購入希望者に魅力のある物件だとアピールできます。
また、入居率を高めることで賃貸収入が増えるので、買主の購入意欲を高めることにもつながります。
ただし、入居率を高めるためにフリーレントを行ったり、礼金や敷金をなくしたりすると、所有者の利益が減ってしまうため注意しましょう。
物件の魅力を高める
収益物件は入居者がいるため頻繁にリフォームやリノベーションはできませんが、入居者がいても修繕や設備の更新は可能です。
住居の内装工事ではなく共用部分の内装を変えたり、外装工事を行ったりするのもよいでしょう。
エントランスや外壁の塗装を新しくするだけでも物件の魅力は高まり、買主の印象を高めることができます。
収益物件を売却するときは事前に戦略を練って準備をしよう
「オーナーチェンジ物件は売却しにくい」という意見もありますが、売れない理由を改善することで収益物件でも売却が可能になります。
築年数が経ち物件としての魅力が低下してしまうと、どんな物件でも売れにくくなるものです。
しかし、少し工夫次第で収益物件の魅力を取り戻すことはできます。
具体的な売却の戦略を知りたい場合は、不動産会社に相談してみましょう。
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