不動産投資
2024.10.29

アパート経営は30年後にはどうなっている?継続可能なアパート経営の重要ポイント

アパート経営は30年後にはどうなっている?継続可能なアパート経営の重要ポイント

アパートは古くなると入居者が集まりにくく、空室などに悩まされる可能性があります。アパート経営で30年後も安定収入を得るためには、立地や設備、資金繰りが重要です。
アパート経営で30年後に発生する問題や、長期にわたり安定収入を得るためのポイントをお伝えします。

この記事の目次

アパート経営は30年後も安定収入を得られる?

アパート経営は、入居者から支払われる家賃収入によって収益を得る経営方法です。アパートを建築してまもない新築であれば入居者は集まりやすいですが、古くなると入居者が集まりにくくなり、家賃も値下げせざるを得ない事態も発生するでしょう。

では、アパート経営は30年後も安定収入を得られるのでしょうか。安定収入を得るための重要なポイントについて詳しくみていきましょう。

アパート経営で収入を得るポイントは立地・設備・資金繰りの3点

アパート経営で長期にわたり安定収入を得るためには、アパートの立地・設備・資金繰りが重要です。まず、アパートの立地にはどのような入居者ニーズが存在するのかをあらかじめ調べておく必要があります。

また、入居ターゲット層にとって便利な設備をアパートに整えると長期的に入居することにつながります。

そして、アパートを購入するにあたって資金の調達方法や、管理を委託するのか否かなどの資金繰りをどのようにするのかによってキャッシュフローが大きく変わるでしょう。このように、立地・設備・資金繰りの3点を綿密に計画することで安定的に収入が得られます。

30年後も安定収入を得るためには長期的な資金計画が重要

アパート経営で30年後も安定収入を得るためには、長期的な資金計画の策定が重要です。新築当時は満室経営できても、20年後、30年後となると空室率が上昇し、当初と同様の家賃収入が得られるとは限りません。

また、経過年数に応じて、建物本体や設備の修繕も必要になります。これらをふまえ、空室率を考慮しながら継続して収入を得る対策を検討しましょう。たとえば、一見需要がなさそうな駅近ではない住宅街の立地でも、大きな病院が最寄りにあれば普段から通院する高齢者にニーズがあります。

また、高齢者は一度入居すると長く入居してくれるため、安定収入につながります。このように、入居者ニーズに合致したアパート経営ができると20年、30年先も安定収入が実現できるでしょう。

アパート経営の30年後に発生する問題と対策

下記はアパート経営を行ううえで30年後に発生する可能性が高い問題(一例)です。

  • 建物の老朽化で空室や修繕費に悩まされる
  • 金利の上昇に悩まされる
  • 相続で家族が悩まされる
  • 周辺環境の変化に悩まされる
  • 30年後のアパートは売却か建て替えを行う

アパート経営を始める段階で、把握しておくと慌てずに対応できるでしょう。

ここでは、それぞれの問題と対策について解説します。

建物の老朽化で空室や修繕費に悩まされる

アパートは建築してから次第に老朽化するため、空室率の増加や修繕費の高額出費に悩まされる可能性が高いです。空室リスクの対策としては、賃貸ニーズの高い立地を選んで経営開始することがおすすめです。

そのためには、不動産会社選びが重要になります。また、修繕費は建物本体が10年、室内設備が10〜15年の周期で発生するため、計画的に資金準備しておくことが大切です。

参考:国土交通省 民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック

金利の上昇に悩まされる

アパートの購入資金について、ローンを利用した場合、返済期間中に金利が上昇して返済額が増額する可能性があります。ローンの金利には変動金利と固定金利があり、変動金利は短期プライムレートをもとに半年に一度金利が見直され、借入時よりも金利が上昇すると返済額が増えます。

相続で家族が悩まされる

アパート経営を行っている途中で経営者が亡くなった場合、相続が発生するため家族が悩んでしまう可能性があります。相続が発生するとアパートの経営者は相続人に移行し、アパート経営を続けるのか否かを相続人の間で決定します。

アパート経営を継続する場合は家賃収入もありますが、建物・設備などの修繕や入居者の管理も引き継がれることになるでしょう。反対に、アパート経営をやめる場合は残った建物の売却もしくは解体などの費用負担があります。

そのため、相続人にもしものことがあった際にはアパート経営をどうするのか生前に話し合い、あらかじめ準備できることは済ませておきましょう。

周辺環境の変化に悩まされる

アパートの周辺環境は30年経過すると、大きく変化する可能性が高いでしょう。たとえば近年は、少子化の影響で大学のキャンパスが郊外から都心へ移行したりしているため、学生の単身者がメインの立地では空室リスクが伴います。

そのため、周辺環境が変わってきたタイミングで大規模な修繕や建て替えなど対応するのも一つの案といえます。長期にわたりアパート経営をしようと考えている場合は、入居者ニーズが変化していくことを頭に入れておきましょう。

30年後のアパートは売却か建て替えを行う

アパートを建築してから30年経過したら、売却もしくは建て替えを行う必要があるでしょう。建築から10年経過後からアパートの修繕箇所が増える点や入居者ニーズが変化する点からみても、新築時と同様の収入を得ることは困難といえます。

そのため、アパート経営を継続していくのであれば、築古になったアパートを売却し新たな物件を購入する選択肢が考えられます。

他にも、既存のアパートを解体し、建て替えするのも方法の一つです。いずれにしても多額の費用が新たに発生するため、一部でも自己資金でまかなえるよう蓄えが必要であることも、アパート経営を始める際の計画に策定しておきましょう。

アパート経営の10年後に発生する問題

ここまで、アパート経営で30年後どのような問題を抱えるのか、その対策方法についてみてきました。

長期的な資金計画を策定するうえで、アパート経営の10年後に発生する可能性が高い問題についても考慮する必要があります。主に、下記の2点が10年後に発生する可能性のある問題として挙げられます。

  • 給湯器の交換など大規模修繕が始まる
  • 募集家賃を上げるのは難しくなる

それぞれの問題について詳しくみていきましょう。

給湯器の交換など大規模修繕が始まる

修繕箇所 修繕方法 修繕周期(目安)
屋根・屋上 防水塗装 10年
外壁 塗装・シーリング打替 10年
鉄部・非鉄部塗装 塗装 10年
給湯・風呂釜 修理・交換 10年
エアコン 修理・交換 10年
浴室設備 修理・交換 15年
厨房設備 修理・交換 15年
洗面化粧台 修理・交換 15年
トイレ 修理・交換 15年

アパートは建築してから10年が経過すると、給湯器やエアコン等の機器交換が必要になります。他に、建物の外壁や防水塗装などの建物本体の修繕も、10年を目安に発生する可能性があります。

特に、外壁の修繕は足場の建設など大掛かりな修繕となり、費用も高額になるでしょう。これらの修繕を行うことで、老朽化した設備は改善し、快適に過ごせる居住空間になります。入居者が集まるきっかけとなるため、定期的な修繕が必要でしょう。

募集家賃を上げるのは難しくなる

アパートは新築であれば、周辺の相場より高めに家賃を設定したとしても入居者が集まりやすいでしょう。しかし10年経過すると、建物の老朽化や入居者ニーズの変化から、当初の募集家賃では入居者が集まりにくくなります。

また周辺に競合他社の新しいアパートが建設されると、募集家賃を下げざるを得なくなるでしょう。いったん値下げした募集家賃は後に上げるのは困難です。よって、キャッシュフローのバランスを考慮しつつ、周辺家賃相場をみながら募集家賃を調整しましょう。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典

小田急グループの総合力を活かしながら、これまで幅広く不動産実務を経験して参りました。現在は、本社営業センターの責任者を務めております。私たちの発信が人生100年時代の選択肢を広げるきっかけになれれば大変うれしく思います。 著者の記事一覧はコチラ
お問い合わせ

メモアイコン Other Articles その他の記事を見る

一覧はコチラ
アパート経営でかかる固定資産税は?計算方法や軽減措置について解説
不動産投資 2024.10.29
アパート経営でかかる固定資産税は?計算方法や軽減措置について解説

TERAKO編集部 小田急不動産 鳥塚 正人

アパート経営で青色申告はすべき?必要な手続きや忘れた場合のリスクを紹介
不動産投資 2024.10.29
アパート経営で青色申告はすべき?必要な手続きや忘れた場合のリスクを紹介

TERAKO編集部 小田急不動産 飯野一久

アパート経営は副業で始められる?失敗した際の対処法も解説
不動産投資 2024.10.29
アパート経営は副業で始められる?失敗した際の対処法も解説

TERAKO編集部 小田急不動産 横溝 浩由

本コラムに関する注意事項

本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。本コラムは、その正確性や確実性を保証するものではありません。その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。いかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。