アパート経営は副業で始められる?失敗した際の対処法も解説
アパート経営は副業で始めることも可能です。実際に会社員や公務員として働きつつ、副業としてアパートを経営している人もいます。
ただし、アパート経営には賃料の下落や空室率の増加など、失敗するリスクもあります。うまくいかないときの出口戦略についても考えておきましょう。
副業としてのアパート経営の始め方や、失敗した際の対処法について解説します。
この記事の目次
アパート経営者の40.6%は会社員
アパート経営というと、働きながらでは難しいというイメージがあるかもしれません。しかし、国土交通省の「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)」によると、アパート経営者の主な職業は以下の通りです。
主な職業 | 割合 |
---|---|
会社員 | 40.6% |
専業主婦(主夫) | 12.1% |
無職 | 10.9% |
会社経営・役員 | 10.4% |
農林漁業以外の自営業 | 7.5% |
パート・アルバイト | 5.8% |
公務員 | 3.9% |
フリーランス | 3.6% |
農林漁業 | 0.7% |
学生 | 0.2% |
その他 | 4.3% |
実はアパート経営者のうち、多くの割合を占めるのが「会社員(40.6%)」です。「会社経営・役員(10.4%)」と回答した人も含めれば、過半数に達しています。また公務員とアパート経営を両立している人も一定数おり、全体の3.9%です。
このように副業としてアパートを経営する人は多いことが、アンケート調査から分かります。
アパート経営は原則として副業にはならない
アパート経営に挑戦してみたいものの、就業規則で副業を禁止されている会社員の人もいるでしょう。また公務員は服務規律により、「営利企業の役員兼業」と「自営兼業」が禁止されています。
しかしアパート経営は会社員・公務員ともに、一定の範囲内であれば副業とはみなされない場合があるとされています。アパート経営が社会通念上「事業」として扱われるかどうかは、その事業規模によって判断されるからです。
国税庁の見解によると、アパート経営は室数が10室以上、戸建ての貸付は5棟以上である場合、原則として「事業」とみなされます。つまり貸与できる室数が10室未満のアパートを経営している場合、副業として所属先に届け出を行う必要はありません。
また公務員の場合は、一定の規模以上のアパート経営であっても、所轄庁の長などの承認を得ることで副業が認められる可能性があります)。
所属先のルールで副業を禁止されていても、アパート経営が可能なケースがあることを知っておきましょう。
副業でのアパート経営の始め方は?4つの流れで解説
ここでは、副業としてアパート経営を始める人向けに、やるべきことを4つの流れで解説します。
- 賃貸経営に必要な情報を収集する
- 自己資金の準備や資金調達をする
- 不動産会社に物件購入を相談する
- アパートの管理業務を委託する
賃貸経営に必要な情報を収集する
まずは賃貸経営に必要な情報を収集しましょう。
不動産投資では、物件価格に対する家賃収入の割合を表す表面利回り(グロス利回り)や、管理費や修繕費などのコストも含めた実質利回りなど、専門的な言葉が頻出します。インターネットやセミナー、不動産投資スクールなどの情報源から、賃貸経営の基本を学んでおくとよいでしょう。
なお国土交通省の「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)」によると、賃貸物件経営に関する知識の習得方法としてもっとも多いのが「インターネット(SNS等)による情報収集(30.2%)」、次いで「セミナーや不動産投資スクールへの参加(25.1%)」や「友人・知人からの情報提供(23.9%)」、「関連書籍や教材などの購入(19.8%)」となっています。
自己資金の準備や資金調達をする
次にアパートの購入に必要な資金調達をしましょう。
一般的に物件の購入費用に対する自己資金の割合は、約1~2割といわれています。不足する部分については、アパートローン(不動産投資ローン)などを無理のない範囲で利用し、調達するとよいでしょう。
主な借り入れ先としては、信頼関係のある「従前からの取引金融機関(33.7%)」が多く、不動産会社から紹介された金融機関のローンを利用する人も一定数います。
不動産会社に物件購入を相談する
資金調達の目処が立ったら、予算に合うアパートを探し始めましょう。物件探しの方法には、以下のようなものがあります。
- 不動産情報サイトで検索する
- 新聞・雑誌の広告をチェックする
- 不動産会社に相談する
条件に合ったアパートがなかなか見つからない場合は、不動産会社(不動産投資会社)に問い合わせることをおすすめします。不動産会社では、レインズ(不動産流通標準情報システム)などの情報に基づいて、インターネットで公開されていない物件を取り扱っているからです。
また不動産会社によっては、入居者の募集や物件の管理など、アパート購入後のアフターサポートにも力を入れています。アパート経営に初めて挑戦する人は、物件購入について不動産会社に相談しましょう。
アパートの管理業務を委託する
副業としてアパート経営を始める人は、物件の管理業務を管理会社(不動産管理会社)に委託するとよいでしょう。管理業務には、以下のようなものがあります。
- 賃料などの集金
- 家賃督促
- 賃貸借契約の更新
- 敷金精算・原状回復
- 入居者からの苦情対応
- 清掃
- 建物・設備の維持管理や点検、修繕
- 入居時の契約支援(契約時の管理内容の説明など)
- 修繕積立金の管理
- 空室対策
本業の仕事をしながら、アパートの管理業務をすべて1人で行うのは困難です。自分自身でできることをのぞいて、信頼できる管理会社に委託することをおすすめします。
不動産会社(不動産投資会社)によっては、投資物件の紹介だけでなく、アパートの管理業務にも対応しているケースがあります。物件探しからその後の管理まで、ワンストップで依頼することが可能です。
副業でのアパート経営がうまくいかないときの2つの対処法
アパート経営にはリスクも伴います。特に副業としてアパートを経営する場合、本業の仕事をしながら入居者の募集や物件の管理をしなければなりません。入居者とのトラブルや空室率の増加といった問題に直面し、アパート経営をつづけられなくなるケースもみられます。
副業でのアパート経営がうまくいかないときの対処法は2つあります。
- 自主管理から委託管理に切り替える
- 出口戦略としての売却も視野に入れる
アパートを自主管理している人は、委託管理への切り替えを検討しましょう。国土交通省の「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)」によると、経営するアパートを「すべて自ら管理している」人の割合は、わずか18.5%です。全体の約8割のアパート経営者が、管理業務の一部または全部を管理会社に委託しています。
「空室がなかなか埋まらない」「入居者とのトラブルが多発している」といった問題も、賃貸経営の専門家である管理会社なら解決できる可能性があります。
アパート経営をやめたい、これ以上続けられないと感じたら、出口戦略としての売却を検討するとよいでしょう。仲介手数料や印紙税などの費用はかかるものの、売却による利益によって赤字を補填できます。
そのほか、アパートの建て替えや、リフォーム・リノベーションによる資産価値向上といった選択肢もあるため、不動産会社の担当者に相談するとよいでしょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由
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