不動産投資
2024.09.30

複数のマンション所有で得られる税金のメリットとデメリットを解説

複数のマンション所有で得られる税金のメリットとデメリットを解説

マンションを複数所有すると税制面などでメリットが多いものの、デメリットも把握したうえで検討することが重要です。

マンションを複数所有するメリットやデメリット、買い増しのタイミングを解説します。

この記事の目次

マンションを複数所有すると税金面などでメリットがある?

ここではマンションを複数所有する場合のメリット面についてまとめて見ていきます。

マンションを複数所有する税金面のメリット

まずは税金面におけるメリットです。

青色申告特別控除(65万)を受けられる

マンション経営から得られる利益(所得)を不動産所得といい、所得税などの税金が発生しますが、この種類の所得は青色申告特別控除の適用を受けることができます。

この特別控除は、マンション経営で認められる一般的な経費の他に、最高65万円の所得控除を受けられる制度です。

マンションを10室以上所有すると事業規模にできます。不動産の貸付を事業規模で行っている場合は55万円(一定の要件を満たせば65万円)の青色申告特別控除を受けられます。

参考:国税庁 青色申告特別控除[令和6年4月1日現在法令等]

例えば不動産所得が350万円だったとした場合は税率が20%で控除額42万7,500円なので、350万円×20%-42万7500円で、27万2500円の所得税がかかります。

青色申告特別控除で65万円の控除を使うと、350万円-65万円=285万円が課税対象となり、この数字を国税庁の税率表に当てはめて計算すると285万円×10%-9万7500円=18万7500の所得税に抑えられます。

税率は所得の数字が大きくなると増え、小さくなると税率も下がる超過累進課税となっているので、所得の数字を計算上小さくできれば、その分所得税額も下げられます。

不動産の貸付が事業規模でない場合は、最高10万円までしか青色申告特別控除を受けられません。

配偶者や子どもへの給与を経費にできる

不動産の貸付を事業規模で行っている場合は、配偶者や子どもに専従者として働いてもらうことで、給与を経費に計上できます。

青色事業専従者給与の仕組みを利用することで、家族に支払った給与を経費算入できます。

参考:国税庁 はじめてみませんか? – 青 色 申 告

回収不能な家賃を必要経費にできる

不動産の貸付を事業規模で行っている場合は、月々支払われるはずの家賃について何らかの事情で回収が不能となった場合、一定の計算により必要経費に算入できます。

マンションを複数所有する税金以外でのメリット

次にマンションを複数所有する税金以外のメリットを見てみましょう。

収益倍増や複利効果

投資対象の物件が増えればそれだけ収入のチャンネルが増えますから、収益倍増の効果が期待できます。

また複数物件を所有するとそこから上がってくる利益を再投資することで、利益を雪だるま式に増やす複利効果が望めます。

空室や災害のリスクを減らせる

賃貸経営には空室や災害のリスクがつきまといます。

複数の物件を所有していれば、仮に一つの物件で空室が続いたり災害が起きてしまっても、他の物件からの収益でカバーできます。

マンションを複数所有することの税金面などでのデメリット

マンションを複数所有することのデメリットを見てみましょう。

収入が増えるほど所得税も高くなる

収入が増えればその分多くの所得税を払うことになります。日本では高所得なほど税率が上がる累進課税制度を採用しています。

マンションを複数所有し家賃収入が増えるほど、段階的に税率が上がっていきます。

税負担を下げるには経費項目を上手く使うのが鍵ですが、慣れていない人は経費項目の種類が多いことで混乱してしまうかもしれません。

例えば経費の一つに減価償却費があり、これは建物などの対象不動産について、毎年少しずつ経費に計上できるものですが、仕組みが複雑で分かりにくいのが難点です。

独学で学んだり、勉強会に参加して知識を付けるようにしてください。

売却の際はマンションごとに税金がかかる

まとまったお金が必要になれば、所有する物件を売って現金化することもできます。

ただし不動産を売って得られた利益には税金がかかるので、売却代金がすべて手元資金になるわけではありません。

自己居住用不動産の場合は譲渡所得から特別に3000万円を控除できる施策がありますが、収益物件の場合はこれが使えません。

その代わりに特定事業用資産の買い替え特例といって、事業用資産を買い買え場合にかかる税金を先延ばしできる制度があります。

物件売却の際にはこうした税金面について、専門家に相談することをおすすめします。

個人事業税に注意

マンション経営が上で見た事業的規模で行われている場合、個人事業税の課税対象になります。

個人事業税には事業主控除が使えるので押さえておきましょう。

事業主控除は年あたり290万円で、収入がこれ以下であれば個人事業税はかかりません。

不動産所得から事業主控除を引いた後にまだ数字が残っていれば、そこに5%の税率をかけて個人事業税額を求めることができます。

複数所有すると毎月のローン返済額も大きくなる

投資物件を購入する際には、ローンを利用することが多いと思われます。

利用するローンの額が増えればそれだけ返済にかかる負担も大きくなるので、返済に支障が出ない範囲に抑えられるよう綿密な計算が必要です。

返済負担が大きいと判断した場合、金利が低く条件が良いローンに借り換えを検討することもできますが、諸費用や手数料がかかり増しになることに留意します。

空室のリスクもある

投資対象のマンションを複数持つ場合、上手く回せれば収益が倍増しますが、活用が上手くできないと空室リスクも倍増することになります。

慎重に検討したい!マンション買い増しのタイミングと注意点

ここでは投資対象のマンションを買い増すタイミングと注意点を見ていきます。

まずは最初の物件の収益を安定させる

買い増しは焦る必要はありません。

まずは最初の物件で運用に集中し、安定した収益を上げられるように注力します。

これにより不動産投資のノウハウを十分吸収すると同時に、次の再投資に回す準備金を確保します。

最初の物件で収益が安定し、マンション投資に慣れてきた頃が買い増しを検討すべきタイミングだと言えます。

借り入れに頼り過ぎない

マンションを買い増す際にも、ほとんどのケースでローンを利用するかと思いますが、自己資金が十分に無いと返済リスクが高まります。

生活資金を除いた投資に回せる自己資金が十分に貯まるまで、焦らず待つ姿勢を持ちましょう。

融資の打診は経営状態が良いときに

ローンを利用する場合は、できるだけ経営状態が良いタイミングで打診するのがおすすめです。

銀行は必ず財務諸表を確認しますから、収益が安定しキャッシュフローも順調な時期に話を持っていくと有利です。

融資を受けるためにも、収益性のある物件を選ぶこと

そして重要なのは収益性や資産価値が高い物件を選ぶことです。

物件選びに失敗すると投資資金の回収ができなくなるだけで無く、ローンの返済も焦げ付きが生じる危険があります。

金融機関も融資の際に物件の収益性を重視するので、収益性や資産価値が高い物件を選択しましょう。

好立地の優良物件を買うには不動産会社選びが重要

優良物件を掴めるかどうかは相談する不動産会社にかかっています。

信頼できる不動産会社を探すには、複数の手段を組み合わせて複合的に絞り込んでいくのがセオリーです。

  • ウェブ検索
  • 知人や大家仲間からの紹介
  • セミナーなどの受講
  • 書籍など

など探す手段はいくつかあるので、広く情報を集めましょう。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由

誠実がモットー。これまでのお客様との出会いが投資不動産領域での私自身の見識を高めることに繋がっており、お客様への感謝を胸に、いかに皆様のお役に立てる情報を発信できるかが重要と思っております。こんなことをもっと知りたい等、お気軽にお声掛けいただけると嬉しいです。 著者の記事一覧はコチラ
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