不動産投資
2024.08.29

古いアパートのリノベーション費用を解説。効果はある?注意点も紹介

古いアパートのリノベーション費用を解説。効果はある?注意点も紹介

古いアパートをリノベーションすることで、空室の改善や家賃アップの効果があります。アパートをリノベーションするメリットや費用をお伝えします。

この記事の目次

古いアパート一棟をリノベーションする費用

アパート一棟のリノベーション費用は、建物の状況や規模、リノベーション内容によって大きく異なります。一般的な費用相場を把握し、予算計画を立てる際の参考にしてみてください。

一棟リノベーションで発生する工事箇所別の費用相場

アパートのリノベーションは、さまざまな箇所で工事が行われます。主な工事箇所別の費用相場を見ていきましょう。

外壁リノベーション

外壁塗装は建物の外観を改修するリノベーション工事です。費用相場は一般的な2階建てアパートで、約150万円〜300万円です。建物が大きくなれば、さらに高額になります。外壁はアパートの第一印象を大きく左右するため、重要な投資といえるでしょう。

居室内装リノベーション

各部屋の内装を改修する工事です。壁紙の張替えやフローリングの施工、設備の更新などが含まれます。1部屋あたりの費用相場は約20万円〜40万円です。

キッチンリノベーション

キッチンの改修は、入居者のニーズに大きく影響する重要な工事です。賃貸アパートに多い調理台・流し台・ガス台が分かれたセパレートタイプのキッチンであれば約15万円〜30万円。システムキッチンは約30万円〜80万円の費用がかかります。システムキッチンとは調理台やコンロ、シンクが一体となっているものです。

水回りリノベーション

水回りの改修も入居者の満足度に直結します。ユニットバスの設置や洗面台の交換、トイレの洋室化などです。浴室のリノベーション費用は約50万円〜150万円、洗面台の交換は約20万円〜30万円です。トイレの改修費用は約10万円〜20万円になります。

一棟まるごとリノベーションで発生する費用相場

一棟まるごとリノベーションを行う場合、上記の工事をすべて実施するため、かなりの高額になります。一般的な相場として、1戸あたり120万〜400万円程度です。つまり10戸のアパートであれば1,200万〜4,000万円の費用が必要になります。さらに外壁のリノベーションも加えると、1,300万〜4,300万円以上になるでしょう。ただし、これはあくまで目安であり、実際の費用は物件の状況や工事内容によって変動します。

古いアパートのリノベーション。効果はあるのか

古いアパートをリノベーションして、どのような効果が期待できるのでしょうか。ここからはリノベーションとリフォームの違いを解説しつつ、リノベーションのメリット、具体的な効果を紹介します。

リノベーションとは?リフォームとの違いも

リノベーション・リフォームはどちらも住宅の改修や改築時に用いられる用語です。リフォームが建築物を新築に近い状態に戻すことを指すのに対し、リノベーションは既存の建築物に工事を加え、より価値を高めることを指すことが多いです。一般的に、リノベーションのほうが工事の規模が大きくなりやすいです。リノベーションの具体例としては、以下のようなものがあります。

  • 間取りの変更
  • システムキッチンの導入
  • 二重窓の設置
  • 室内洗濯機置場の設置
  • ウォークインクローゼットの設置

これらの改修により、建物の機能性や快適性が大幅に向上し、入居者のニーズに合わせた住環境を提供できます。

リノベーションのメリット

古いアパートをリノベーションすることで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 入居率の向上
  • 家賃のアップ

入居率の向上

リノベーションにより物件の魅力が向上すれば、空室が改善されます。例えばニーズが高まっている設備で、競合物件があまり導入していない場合、導入することで入居率の向上が期待できます。全国賃貸住宅新聞では、半年以上の空室が、エアコンの設置後1週間で埋まった事例が紹介されています。

引用元:エアコンが初登場2冠【入居者に人気の設備ランキング2023 必須編】|全国賃貸住宅新聞

このように、リノベーションすることで入居率の向上が期待できるのです。

家賃のアップ

リノベーションにより家賃を上げることもできます。理由は多少家賃が高くても、設備が整っているアパートを求める入居者が多いからです。全国賃貸住宅新聞の調査でも、インターネット無料などの付加価値があると相場よりも家賃が高くても入居が決まることがわかっています。

引用元:ネット無料、首位独走【入居者に人気の設備ランキング2023 付加価値編】|全国賃貸住宅新聞

ただし、効果的なリノベーションを行うためには、入居者のニーズを正確に把握することが重要です。単身者とファミリーのどちらが多いかなど、地域の特性や需要を十分に調査しましょう。全国賃貸住宅新聞では毎年入居者に人気の設備ランキングが発表されるため、ニーズ把握に有効ですが、入居希望者に欲しい理由を聞くのも有効です。

空室が多いなら一棟まるごとリノベーションも効果的

空室が多い古いアパートの場合、一棟まるごとのリノベーションもおすすめです。一棟まるごとのリノベーションであれば、間取りを大きく変えたり、部屋の面積を変えたりもできます。需要の少ない2DKを、人気の高い1LDKに変更することで入居率が向上した事例もあるのです。また一棟リノベーションは、新築や建て替えと比較して比較的低コストで実施できるメリットもあります。

リノベーションのデメリット

リノベーションには多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。ここではリノベーションを検討する際に知っておくべき潜在的な問題点について解説します。

ニーズに合わない場合は費用をかけた分マイナスになる

リノベーションは大きな投資を伴いますが、その投資が回収できないリスクもあります。特に入居者のニーズを十分に調査せずにリノベーションした場合、費用をかけた分だけマイナスになる可能性もあるのです。たとえば単身者向けの需要が高い地域で、ファミリー向けの2LDKや3LDKのリノベーションを行っても、空室が続く可能性があります。リノベーションを行う際は、入居者のニーズを十分に調査することが重要です。

構造によってはできないリノベーションがある

建物の構造によっては、希望するリノベーションができないこともデメリットです。特に耐震性の問題や法規制の変更などにより、大規模な間取り変更や増築が困難な場合があります。リノベーションを計画する際は、事前に建物の構造や法的制約を十分に確認する必要があります。

リノベーションしても経営感覚がないと地獄を見る

リノベーションは物件の魅力を向上させる手段です。それだけで安定した経営が保証されるわけではありません。市場調査や資金計画、入居者募集、日々の管理などアパート経営には多くの業務が伴います。経営感覚がないと、リノベーションに多額の投資をしても期待した収益を得られないので気をつけましょう。

リノベーション後のサブリース契約は危険?

リノベーション後にサブリース契約を結ぶケースもあります。サブリース契約のメリットは以下の通りです。

  • 安定した家賃収入
  • 管理の手間が省ける
  • 空室リスクの回避

一方で以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。

  • 長期契約のリスク
  • 賃料減額のリスク
  • 収益性の低下

サブリース契約を結ぶ際は、契約内容を十分に理解し慎重に検討することが重要になります。

建て替えたほうがいいケース

リノベーションが必ずしも最適な選択肢とは限りません。以下のようなケースでは、建て替えを検討したほうがいい場合もあります。

  • 建物の老朽化が著しく、構造上の問題がある場合
  • 大規模なリノベーション費用が建て替え費用に近い場合
  • 耐震性能が著しく低い場合
  • 土地の有効活用が可能な場合

建て替えは多くの投資が必要になりますが、長期的に有利な選択肢となる場合もあります。ただし建て替え期間中の家賃収入がなくなることや、既存入居者への対応などは考慮しなければいけません。

売却したほうがいいケースもある

リノベーションや建て替えではなく、物件を売却したほうがいいケースもあります。たとえば以下のようなケースです。

  • 立地条件が悪化している
  • まとまった現金が必要になった
  • 高値で売却が期待できる
  • 管理の負担が大きい

アパート経営は労力も維持費もかかる

アパート経営は日々の管理業務や定期的な修繕など、労力や維持費がかかります。高齢化や健康上の理由で管理が困難になったり、相続で引き継いだものの経営ノウハウがなかったりする場合もあるでしょう。これらの理由でアパート経営の負担に耐えられない場合は、売却を検討してもいいでしょう。

売却は不動産会社選びが重要

アパートを売却する際は、信頼できる不動産会社選びが重要です。売却価格や売却期間などに影響します。以下の点を確認しましょう。

  • 地域の市場に精通しているか
  • 過去の実績
  • 手数料や経費
  • アフターフォロー

その上で複数の会社から査定を受け、最も信頼できる会社を選んでください。また不動産売却は税金面での影響も大きいため、税金面でのアドバイスも得られる専門家のサポートを受けることをおすすめします。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久

「一期一会」がモットーです。これまでの投資不動産の売却・購入・資産の入れ替えの実務を通じて得られた知見を、少しでも、皆様に、わかりやく、丁寧にお伝え出来たらと思っております。 著者の記事一覧はコチラ
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