不動産投資
2024.08.29

アパートの空室が埋まらない原因は?空室対策や賃貸経営を改善するポイントについて紹介

アパートの空室が埋まらない原因は?空室対策や賃貸経営を改善するポイントについて紹介

アパートの空室が埋まらないと、家賃収入は減少する一方で、経年劣化により管理費や修繕費の負担ばかりかかってしまいます。そのようなときは、周辺エリアの相場よりも家賃設定が高くないか、建物や設備の老朽化が進んでいないかなど、賃貸経営の問題点を見直すとよいでしょう。

この記事の目次

アパートの空室が埋まらない3つの原因

厚生労働省が2019年に行ったアンケート調査によると、賃貸住宅の家主の15.7%が「所有する賃貸住宅の空室管理」に不安を感じていました(※)。同様の問題で悩みを抱えている場合は、アパートの空室が埋まらない原因について知り、賃貸経営を見直しましょう。

※参考:国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)

アパートの空室が埋まらない場合、以下の3つの原因が考えられます。

  • 周辺エリアの相場よりも家賃が高い
  • 建物や設備の老朽化が進んでいる
  • 物件情報が入居希望者に周知されていない

以下で詳しく解説します。

周辺エリアの相場よりも家賃が高い

家賃設定が周辺エリアの相場よりも高すぎる場合、入居希望者に敬遠され、空室が埋まりにくくなります。

近年は、インターネットの不動産ポータルサイトなどを活用し、物件探しをする方が増えてきました。ほとんどの不動産ポータルサイトでは、ユーザーが家賃などの条件を指定し、希望に合う物件を検索できる仕組みになっています。周辺エリアの相場に基づいて、適切な家賃を設定することで、物件情報がユーザーの目にとまりやすくなります。

ただし、家賃を下げてもアパートの管理費や修繕費は変わりません。短期的には入居者が増えたとしても、中長期的には管理費や修繕費がかさみ、収益の減少につながる恐れがあります。

アパートの賃貸借契約では、一般的に借主(入居者)の権利の方が強いとされるため、一度下げた家賃を元に戻すのは困難です。短期的な空室対策だけでなく、中長期的な収支バランスの観点から家賃を見直すとよいでしょう。

建物や設備の老朽化が進んでいる

建物や設備が老朽化しており、見た目からはっきり分かるような状態の場合も、入居希望者の減少につながります。

特に、内見において、アパートの見た目は入居希望者の判断に大きく影響するポイントです。外観が古びていたり、内装が汚れていたりすると、内見後に断られやすくなります。

築年数が比較的浅い物件でも、適切な管理や修繕を行っていない場合、築年数以上に古く見えてしまう可能性があります。建物の劣化状況や設備の耐用年数などを考慮しながら、計画的にリフォームを行うとよいでしょう。

物件情報が入居希望者に周知されていない

入居者を募集する際の宣伝方法に問題があり、空室が解消されないケースも考えられます。物件情報が広く周知されていなければ、そもそも入居希望者が集まらないからです。

特に、経費節減のため、自主管理でアパートの入居者募集を行っている方の場合は、どうしても宣伝の手段が制限されます。例えば、入居希望者が利用する不動産ポータルサイトは、原則として不動産会社しか物件情報を掲載できません。

家賃設定が適切で、築浅の物件であるにもかかわらず空室が埋まらない場合は、入居者募集について不動産会社に相談するとよいでしょう。

アパートの空室が埋まらないときの対策は?

アパートの空室が埋まらないときの対策は、次の通りです。

  • 内見時の印象がアップするようなリフォームをする
  • 入居希望者に人気の設備を導入する
  • 長期入居者に対するインセンティブを用意する

次で詳しく見ていきましょう。

内見時の印象がアップするようなリフォームをする

アパートの老朽化が進んでいる場合は、空室対策の一環としてリフォームを検討しましょう。内見時の印象がアップするような場所にポイントを絞ってリフォームすると、費用対効果が高まります。

例えば、壁紙・クロスが古くなっている場合は、新しいものに張り替えるだけでも部屋の印象が明るくなります。予算上、全面張り替えが難しい場合は、「トイレだけ」「キッチンだけ」など、優先順位を決めてリフォームするとよいでしょう。

リフォームが完了したら、物件写真を忘れずに再撮影してください。その際に、リフォーム完了済みであることも合わせて伝えておくとよいでしょう。

入居希望者に人気の設備を導入する

設備が古くなっていたり、不具合が発生していたりする場合は、設備の交換を検討しましょう。その際に、古い設備と同じものに取り替えるのではなく、入居希望者から人気が高いものを導入することで、よりアパートの魅力を高められます。

なお以下の表の通り、単身者向けのアパートか、ファミリー向けのアパートかによって、人気のある設備が異なる点に注意が必要です。

アパートの種類 賃貸住宅の人気設備の例
単身者向け 無料インターネット、高速インターネット、オートロック、宅配ボックス、浴室乾燥機、独立洗面所、システムキッチン、防犯カメラ、24時間利用可能なゴミ置き場、ウォークインクローゼットなど
ファミリー向け 無料インターネット、高速インターネット、オートロック、宅配ボックス、浴室乾燥機、24時間利用可能なゴミ置き場、ウォークインクローゼット、追いだき機能、システムキッチン、ガレージなど

長期入居者に対するインセンティブを用意する

アパートの空室対策として、長期入居者に対するインセンティブを設ける方法も効果的です。特に、アパートの契約が切れるタイミングで特典やプレゼントを用意すると、入居者が賃貸借契約を更新し、長く住んでくれる可能性が高まります。

例えば、長期入居者への特典の例として、以下のようなものが考えられます。

  • 雑貨・アメニティ
  • 食品・グルメ
  • 商品券・ギフトカード
  • 家具・家電
  • 更新料の減額
  • 不用品回収・ハウスクリーニングの割引

それでもアパートの空室が埋まらない場合の選択肢

それでもアパートの空室が埋まらない場合は、以下のような選択肢もあります。

  • リノベーションによりスマートホーム化する
  • 出口戦略としてアパートの売却を検討する

以下で詳しく解説します。

リノベーションによりスマートホーム化する

1つ目は、大規模なリノベーションにより、アパートの魅力を高めるという選択肢です。リノベーションとは、傷んだ場所を修繕するリフォームに対し、物件の資産価値を高めるための住宅工事を意味します。

リノベーションには多額の費用がかかるため、不動産会社などと相談しながら、近隣の競合物件と差別化できるような改修を施すことが大切です。

特に、近年は「スマートホーム」の需要が高いとされています。スマートホームとは、“子育て世代、高齢者、単身者など、さまざまなライフスタイル/ニーズにあったサービスをIoTにより実現する新しい暮らし”を意味する言葉です(※)。

※出典:経済産業省「「スマートホームの安心・安全に向けたサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」を策定しました

例えば、設備をセンサーで自動制御したり、スマートフォンで遠隔操作したりする仕組みを導入した住まいが当てはまります。リノベーションによってアパートをスマートホーム化すれば、賃貸住宅市場における競争力を大きく高められるでしょう。

出口戦略としてアパートの売却を検討する

2つ目は、アパートの買い手を探し、売却するという選択肢です。

アパートは入居者がいない間も、管理費や修繕費、さらには毎年の固定資産税などのコストがかかります。空室対策を行っても入居希望者が現れない場合は、出口戦略として売却を検討するのもよいでしょう。

アパートを売却するメリットは以下の通りです。

  • 売却によって一時的に大きな収入を得られる
  • アパートの管理や修繕のための出費がなくなる
  • 「なかなか空室が埋まらない」という不安から解放される
  • 現状有姿(現在のままの状態)での買い取りが一般的
  • 不動産会社によっては、入居者がいる状態でも買い取り可能
  • 築年数が古い物件も売却できる可能性がある

このように空室がなかなか埋まらない場合は、アパートの売却も選択肢の一つです。買い取り価格を少しでも高くしたい方は、アパートの売却に強く、取引実績が豊富な不動産会社を選ぶとよいでしょう。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典

小田急グループの総合力を活かしながら、これまで幅広く不動産実務を経験して参りました。現在は、本社営業センターの責任者を務めております。私たちの発信が人生100年時代の選択肢を広げるきっかけになれれば大変うれしく思います。 著者の記事一覧はコチラ
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