古いアパートを相続したらどうする?5つの選択肢や活用法を解説
古いアパートを相続したオーナーにとって、経営を続けるのは大きな負担です。アパート経営を続ける気がない場合、売却という選択肢もあります。
古いアパートの活用方法として5つの選択肢を丁寧に解説します。
この記事の目次
古いアパートをどう活用する?5つの選択肢を解説
古いアパートを相続したオーナーにとって、活用するのは大きな負担です。特に賃貸住宅の空き家の7割が築20年以上である現状を考えると、さらに負担が大きくなることがわかります。
古いアパートの活用方法について、経営を続ける場合と続けない場合について解説します。
アパート経営を続ける場合
アパート経営を続ける選択をした場合、下記の3つの方法があります。
- アパートを建て替える
- 改修せずに家賃を下げる
- 改修して家賃を維持する
それぞれ解説します。
アパートを建て替える
アパートを建て替えることは、古いアパートの問題を根本から解決する効果的な方法です。
最新の設備や耐震基準を満たした建物になるため、入居者の安全性や快適性が大幅に向上し、新築物件として高い家賃設定が可能となります。
ただしデメリットもあり、多額の初期投資が必要です。アパートの建設には多額の費用がかかりますし、建物を取り壊す費用も高額です。
アパートを建て替える場合は団信信用生命保険への加入をおすすめします。
団信信用生命保険に加入すると、ローンの返済中に契約者に万が一のことがあった場合、ローン残高がゼロになります。
アパートの建て替えは、立地条件が良くて将来的な需要も見込める地域なら特に効果的でしょう。現在の建物の老朽化が著しく、修繕では対応できない場合などにもおすすめです。
建て替えたい場合は、総合的にメリット・デメリットを理解し、慎重に判断しましょう。また、サブリース契約は避けるようにしてください。安定した収入が得られるように思えますが、保証賃料の減額など長期的に不利な条件になることが多いです。
改修せずに家賃を下げる
改修せずに家賃を下げるのは、最小限の投資で収益を維持するための方法です。この方法のメリットは、初期投資が不要ですぐに対応できることや低価格帯の需要を取り込めることです。
反面、収益性の低下や建物の老朽化、入居者の質が低下する可能性があります。
これらの問題に対処するには物件管理の徹底と迅速な修繕対応で建物を維持していくこと、入居者の審査を丁寧に行いトラブルを防ぐこと、周辺相場を定期的に確認し適切な家賃設定を心がけることが重要です。
改修せずに家賃を下げる方法は、資金的な余裕がない場合や短期的に空室を埋める必要があるときに適しています。また将来的に建て替えや売却を考えていて、それまでのつなぎとして運用していく場合にも有効な方法といえるでしょう。
改修して家賃を維持する
改修して家賃を維持する方法は、適度な投資で物件の価値を保ちつつ、安定した収益を目指す戦略です。この選択肢のメリットは、物件の競争力を維持できること、現在の家賃水準を保てる可能性が高いこと、そして入居者の満足度向上につながることです。
一方、ある程度の多額の投資が必要であり、改修工事中は一時的に収入が減少するというデメリットもあります。
これらの課題に対処するには、費用対効果の高い改修箇所に優先的に対応し、段階的に改修を行うことも重要です。特に水回りは物件選びの決め手になることも多いため、優先的に改修したいです。
この方法は、建物の基本構造に問題なく、内容や設備の更新だけで競争力が回復する場合や、立地はいいが建物が古いため空室が増えている場合に効果的です。
中長期的にアパート経営を続ける意思がある場合にも、適した選択肢といえるでしょう。
アパート経営を続けない場合
アパート経営を続けないことを選択した場合、下記の二つの方法があります。
- 駐車場経営を始める
- アパートを売却する
それぞれ解説します。
駐車場経営を始める
アパートを取り壊して、次の活用法を決めるまでの間、駐車場経営を行うというものです。
駐車場経営は、特に都市部や交通の便が良い地域で有効な活用方法です。駐車場には利用時間分の料金を支払う「コインパーキング(時間貸し)」と1カ月単位で契約する「月極駐車場」の2種類があります。
駐車場経営のメリットは、運営コストが比較的低いことです。またアパート経営と比べて管理の手間が少ないのも魅力的です。
反面、アパート経営と比べて収益性が低くなりがちなことや、需要が立地に大きく左右されるデメリットもあります。
需要の課題に対処するには、周辺の駐車場需要をしっかり調査し、月極と時間貸しを組み合わせるなど柔軟な運営方法を検討することが重要です。
駐車場経営は、アパートの老朽化が進み、建て替えや大規模改修費用が捻出できない場合、また管理の手間を減らしたい場合には、特に適していると言えます。
アパートを売却する
アパート経営を続ける意思がない場合、売却を選択するのが賢明です。特に相続でアパートを取得したものの、経営のノウハウや意欲がない場合は、売却を真剣に検討すべきです。
売却のメリットは、一括で資金化できることや、経営の負担から完全に解放されること、さらに相続税の納税資金として活用できることなどが挙げられます。
一方、将来的な資産価値の上昇の可能性を逃すことや、譲渡所得税などの税金面での注意が必要といったデメリットもあります。
対処するには、税理士に相談し税金面での最適な売却方法を検討することが重要です。
アパートの売却は、経営に興味がない場合や、相続税の納税のため現金が必要な場合、また物件の立地や状態から今後の資産価値の上昇が見込めない場合に適した選択肢です。
売却は不動産会社選びが重要
アパートを売却するとき、不動産会社選びが重要です。よい不動産会社を選ぶことで、適正価格での売却やスムーズな取引が可能になるからです。
不動産会社選びの注意点は、下記の2点です。
- 買取保証がある不動産会社を選ぶ
- 実績や評判を確認する
適切な不動産会社を選ぶことで、古いアパートの売却をスムーズに進められるでしょう。
買取保証がある不動産会社を選ぶ
買取保証サービスを提供している不動産会社もあります。
買取保証は、一定期間仲介での買手がつかなかった際に不動産会社が直接買い取るものです。仲介より売却価格が下がるものの、確実に売却可能なメリットがあります。
買取保証のある不動産会社を選ぶことは、アパート売却を確実かつ迅速に進めるために有効な手段です。
実績や評判を確認する
不動産会社の実績や評判を事前に確認するのは非常に重要です。
確認するべきポイントは、過去の取引実績やお客様の声、業界での知名度などです。インターネットで調べるだけでなく、実際に複数の不動産業者に相談することが効果的です。
契約前には必ず重要事項説明を受け、不明点は徹底的に確認しておきましょう。
古いアパートの効果的な空室対策・リノベーション
古いアパートの空室対策とリノベーションは、アパート経営を継続するために重要です。
効果的な改修で物件の魅力を高めることで、入居率を向上させられます。まず地域の特性や需要を考慮し、ターゲットとなる入居者イメージを明確にしましょう。学生なのか、社会人なのか、家族なのかなどより具体的にイメージするのがおすすめです。
ただしリノベーションに費用をかけ過ぎないように注意してください。適切な改修戦略が競争力を維持し、安定したアパート経営を実現させます。
以下、具体例を紹介します。
水回りは清潔感アップで明るい印象に
古いアパートで特に重要になるのが水回りです。時代遅れの設備は、可能な限り最新のものに交換しましょう。予算がある場合でも、清潔感を出せる箇所から優先的に取り組んでください。
たとえば浴槽表面をコーティングしたり、トイレを入れ替えたりするのが効果的でしょう。ほかにも木目調のシートを壁に貼ったり、大きめの鏡を設置したりするのがおすすめです。
清潔感をアップさせ明るい印象にすることで、入居者に好印象を与えられます。
外国人をターゲットにする
古いアパートの入居者対策として、外国人をターゲットにするのも効果的です。外国人の入居者は物件に清潔感があれば、日本人ほど築年数を気にしません。
また単身用の築古アパートにある3点ユニットにも抵抗感がない人が多いため、外国人入居者は理想的です。
ただし、文化の違いには注意が必要です。実際にトラブルが起こることを心配する人も多いですが、一緒に経験したり受け入れる体制を整えたりすることが大切です。
外国人の入居者を受け入れ、トラブルを最小限に抑えつつ、空室対策として有効に機能させられるでしょう。
アパートのオーナーを続ける場合は経営感覚が必須
古いアパートの活用方法には建て替えや改修、家賃減額、用途変更、売却などさまざまな選択肢があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、状況や特性に応じて最適な方法を選んでいきましょう。
アパート経営を続ける場合は、オーナー自身が経営感覚を持ったうえで勉強する必要があります。アパート経営は、適切に行えば大きな収益をもたらす可能性がありますが、高いリスクも伴います。経営を成功させるには、市場調査や厳密な財務計画が必要です。
アパートを経営するうえでやることは多いですが、管理会社任せにせず一つずつ対処しましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由
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