アパート経営の地獄を避ける具体的な方法!成功する大家とは?
「アパート経営は地獄である」といった言葉を耳にする人も多いかもしれません。それは本当なのでしょうか。アパート経営が地獄であるといわれるのはなぜなのでしょうか。
具体的な理由やアパート経営を成功させるポイントについて解説します。
この記事の目次
アパート経営が地獄といわれる理由
アパート経営を検討している人がネット検索して調べると、「アパート経営は地獄を見る」という話を聞くことが非常に多いはずですが、アパート経営は本当に地獄なのでしょうか。
アパート経営で利益を出すことは可能です。しかし、やり方を間違えると非常に苦しい状況になります。
アパート経営は人任せにできるものではなく、オーナー自身が経営状況に関心を持ちながら進めるべきだといえるでしょう。自己責任で情報を収集し、リスクを管理することで成功に近づきます。
営業に騙されて安易に契約すると地獄
アパート経営を提案する不動産会社は大手メーカーから始まって大小様々な会社が存在します。この営業の甘言に騙されるようにして安易に契約すると、アパート経営は地獄のような結果になる恐れがあります。
たとえばサブリースにまつわるトラブルです。
サブリースは、不動産会社がオーナーのアパートを丸ごと借り上げ、借主に転貸します。運営・管理を任せられる点や家賃が保証される点がメリットです。
その反面、自主管理や一般管理より家賃収入が少なく、一定期間ごとに保証賃料が見直されることも多いため、賃料の大幅な減額により収益が悪化するリスクがあります。
しかし、そのようなデメリットをきちんと説明せずに強引にアパート建築や契約を迫る不動産会社も少なからず存在します。
積極的に空室対策を取らない会社や、立地が悪いにもかかわらずアパートを建築したことで、空室が発生し賃料減額を求められるケースなども散見されます。家賃収入が減ることで、月々のローンの支払いによって赤字経営になってしまうケースや売却したくても借金の残額を返済できる価格で売れず、アパート経営で地獄を見るのです。
サブリースは不動産会社の見極めが重要
もちろん、すべてのサブリース契約に問題があるわけではありません。健全な運営をしながら、オーナーも管理会社も入居者も満足している例は沢山あります。
サブリース契約で成功するには、サブリース会社選びが重要です。たとえば、国交省の賃貸住宅管理業者登録制度でチェックするなどして、信頼できる不動産会社を探しましょう。
安易な借り入れで地獄を見る
土地の所有者がアパートを建築する場合、土地を購入する必要がないため、アパート経営にかかる初期投資は建築費のみです。
しかし、土地購入から始めてアパート経営をする場合には、土地にかかる費用が上乗せされ、借入額が増大します。
このときに、アパート経営を勧める営業担当者から「弊社では〇〇銀行と提携しているため満額で融資を受けられます」「〇〇銀行の特別融資枠があり、ほかの金融機関より低金利で融資を受けられます」などのアプローチを受け、大きな額を借入をしてしまうケースがあります。
結果として、長期にわたる事業においての借入返済に負荷が生じたり、最終的には月々の返済すらできなくなってしまう例すらあります。営業担当者の甘言に乗せられて安易な借入をしないようにしましょう。
対策としては、
- 勧められた金融機関以外の金融機関数行にも融資打診をして、一般的な融資条件がどのようになっているのかを把握する
- アパート経営したときにどのくらいの利回りになるのか、黒字化までどのくらいかかるのかをシミュレーションする
- 預金金利と借入金利を照らし合わせ、一部自己資金投入する
などがあります。
安易な買い増しはしない
アパート1棟だけでは期待していた利回りや収益に届かない、という状況で、「管理戸数を増やせば母数が増えるから、事業が安定するのではないか」と安易に考え、アパートの買い増しをしたり2棟3棟と建物を建てたりするオーナーもいます。
アパート経営の基本は「そのアパート1棟のみでも事業が成り立っているかどうか」です。成り立っていないからといって安易に買い増しをすれば、借入返済額も増え、万が一立ち行かなくなったときに打つ手がなくなってしまいます。くれぐれも安易な買い増しはしないよう気をつけましょう。
利回りだけで築古アパートを選ぶと地獄
通常、築年数20年以上などの「築古アパート」は、新築と比べると価格が安いため利回りが高くなります。高利回りのアパートは、満室時であれば大きな利益を得られます。
「築20年でこの利回りなら儲かる!」と考えて、築古アパート購入に走る投資家もいますが、これについても注意が必要です。
築古アパートの場合、水回りなどの住宅設備が経年により劣化しており、故障や破損する可能性があります。購入後の修繕に予定外の費用がかかり、経営に悪影響が出る場合があります。
また、築古であるがゆえの入居率の悪さや、周辺に建てられる新築アパートと競合した折には競合に負け、結果的に家賃を下げざるを得ない、というような状況にもなる恐れがあります。
大学があるなど地域依存の物件は”移転”で地獄
「近くに大学があるから学生の入居需要が見込めそう」「企業が誘致されており流入人口ありそう」というような地域依存でアパート経営をすると、頼りにしていたものが移転することで地獄に陥ってしまうかもしれません。
特に、昨今の少子高齢化や企業の在宅ワーク推進により、場合によっては大学や大手企業ですら移転や撤退を実施するケースも少なくありません。
このような状況に陥らないためには次のポイントに気をつける必要があります。
- 大学、企業などの情報を常日頃からチェックしておく
- 経営するアパートの規模(戸数、間取り、専有面積)を十分検討し、大学や企業が移転したとしても問題なく経営できる内容になっているかを吟味する
- 定期的なエリアの市場調査を行う
安易な入居者選定
空室が埋まらず、長い間入居者が確保できないと、オーナーが不安のあまりに家賃を下げたり入居者選定の基準を緩めることがありますが、これも気をつけたほうがいいでしょう。
安易に入居者選定をした結果、家賃の滞納などの問題が起きる恐れがあります。
それだけではなく、隣室や上下階の入居者への迷惑行為などがあると、ほかの入居者が転居してしまうことすら考えられます。入居者選定基準は自分自身で決め、それを変えないようにしましょう。
アパート経営の成功率
アパート経営の成功率はどのくらいなのでしょうか。
信頼できるデータこそないものの、実際にはアパート経営の成功率は7割ほどといわれています。ただ、何をもって成功とするか、成功の定義は人それぞれです。
アパート経営における成功には、以下のようなものがあります。
- 利益が得られた(黒字になった)
- 持て余していた土地を活用できた
- 節税ができた
アパート経営の目的は多岐にわたるため、成功と失敗を一言で表すのは難しいといえます。
アパートオーナーの年収は増加傾向にある
アパートオーナーの年収は年々増加傾向にあります。
国税庁による申告所得税標本調査によると、アパートオーナーの平均年収(手取り)は平成30年で518万円、令和元年で521万円、令和2年で540万円、令和3年で542万円です。
何年で黒字化する?
実際にアパート経営をしたら、何年くらいで黒字化するかが気になるところです。一般的には、10〜15年程度が黒字化の目安となっています。
アパート経営での収入の考え方として、「キャピタルゲイン(建物の売却益)」「インカムゲイン(家賃収入)」という二つの収入がありますが、黒字化のシミュレーションの折には家賃収入であるインカムゲインにフォーカスしてシミュレーションをします。
アパート経営で地獄から抜け出す方法
成功率7割でリスクの少ないアパート経営ですが、場合によっては地獄を見る人もいます。地獄にしないためには次のポイントに注意が必要です。
- 市場調査を継続的に行う
- 適切な管理方法を選択する
- オーナー自身も空室対策する
- 収支シミュレーションを徹底して行う
- それでも地獄から抜け出せないなら売却を検討する
順に解説していきます。
市場調査を継続的に行う
アパートが建っているエリアの市場調査を継続的に行うようにしましょう。
アパートを経営し始めて以降も、エリアにはさまざまな変化が起きています。周りに新築アパートが建ったり、近くのコンビニエンスストアがなくなったりと、周辺環境が変わっていくことを意識し、所有しているアパートの市場価値を確認していく必要があります。
また、周辺の競合となる物件の設備などにも注目しましょう。たとえば、周辺で宅配ボックスを導入している物件が少ないのであれば、設置することで差別化ポイントになります。
適切な管理方法を選択する
アパートを経営するにあたっての管理方法は適切でしょうか。
安易にサブリース契約をした結果、不動産会社のいいなりになって、収益をあげるチャンスを失っている恐れもあります。場合によっては自分で管理したほうがよい、ということもあるかもしれません。
適切な管理方法の選択が重要です。
信頼できる不動産会社に管理を依頼する
適切な管理方法を選択するためにも、信頼できる不動産会社に管理を依頼するようにしましょう。
アパートを建てた施工会社に管理部門があるのであれば、そのまま管理も依頼していくのは安心感があります。
建物にトラブルが発生した場合に迅速な対応が期待できるからです。中古アパートを購入して経営をしているのであれば、地域の不動産会社の何社かに依頼し、管理内容と費用の見積比較をすると、納得できる管理会社に出会える可能性が高まります。
オーナー自身も空室対策する
空室対策を管理会社に丸投げしているオーナーもいるでしょう。空室についてはオーナーが関わって対策できます。
建物が古くて、周囲の物件についている設備がなかったり、清掃が行き届いていなかったりで、アパートの印象を下げていることが原因で入居者確保に苦戦している例は本当にたくさんあります。
オーナー自身がアパート経営を自分の事業と意識して、空室対策に取り組んでいくことが大切です。
収支シミュレーションを徹底して行う
アパート経営を始める前の収支シミュレーションはもちろんですが、アパート経営を始めてからも定期的に収支シミュレーションを行っていきましょう。
アパート経営を開始してからも、収支条件は変わります。当初の家賃設定との変動、修繕などにかかる経費の変動、借入金利の変動に気をつけて、当初のシミュレーション通りに経営できているか、できていないのであればどの部分を改善する必要があるかなど検討しながらアパート経営を進めましょう。
それでも地獄から抜け出せないなら売却を検討する
オーナーが自助努力し、管理会社や金融機関とも協議しながらアパート経営を進めていたのにもかかわらず、不幸にして地獄から抜け出せないというケースも残念ながら存在します。
このような場合には、売却も検討していく必要があります。
売却を検討するには時期やタイミングがありますが、それでも建物が古くなっていくことを考えると、早めの売却を検討したほうがいいということもあります。
適切なタイミングを見極め、必要となる判断をしていきましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典
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