不動産投資
2024.06.28

アパート経営は何年で元が取れる?黒字化しやすいタイミングも

アパート経営は何年で元が取れる?黒字化しやすいタイミングも

アパート経営で元が取れた状態(黒字化)とは、家賃収入が借入金の残債を上回った状態です。何年で元がとれるかは、建物やエリアで変わるものの、10年から15年といわれています。

アパート経営で元が取れるのがいつ頃になるのかを把握しておけば、所有するアパートをどのように運営していくのか明確化できます。

この記事の目次

アパート経営における黒字化とは?

そもそも、アパート経営において「黒字化している」とはどのような状態でしょうか。

単年度での黒字化は初年度から実現しやすいです。新築のアパート経営は利益率が高く、年間の管理費や税金、借入返済金の合計よりも家賃収入額のほうが多くなりやすいためです。

ただ、黒字化の一般的な定義は、「家賃収入から経費やローンの返済額、税金を差し引いたキャッシュフロー(手元に残るお金)が初期投資額を上回った状態」です。家賃収入のストックが借入金の残債を上回った状態ともいえます。

キャッシュフローは物件を建築もしくは購入したときの価格や家賃設定、諸経費によって変動します。結果として、黒字化までの年数も立地と物件によって変わるのですが、一般的に10年から15年程度といわれています。

アパート経営は何年で元が取れる?

前述の通り、アパート経営で元を取るのに10年から15年が目安といわれていますが、本当なのでしょうか。

また、10年と15年では5年間の幅があるのですが、この幅は小さくないと感じる人も多いでしょう。この年数差は何が要因で起きるのでしょうか。これらについて詳しく見ていきます。

元を取るまでの期間は建物とエリアで変わる

アパート経営で「元を取る」ためには、できる限り初期投資額や経費、税金を抑えつつ、手元に残るお金を増やすことを考えなければなりません。

つまり、できるだけ安くて経営コストのかからない建物を、高い家賃設定が期待できるエリアで手に入れれば、早めに元を取ることが可能です。

このように考えると元を取るまでの期間は、手に入れる建物がどのような状態にあり、どこに建てられているのかで差がでてくるでしょう。

また、もともと所有していた土地に建物を建てる場合と、土地から購入してアパート経営を始める場合とを比較すれば、初期投資額に土地購入資金が上乗せされているかどうかの違いがでるため、所有地か購入地かで元が取れるまでの期間が変わります。

元を取るには何年かかる?計算方法も解説

実際に元を取るには何年かかるのかは、アパート経営において検討しておくべき重要なテーマです。

概算であったとしても、シミュレーションしておくことが大切です。

元を取るためには何年かかるのかを計算する計算式を覚えておきましょう。

計算式は次のとおりです。

黒字化年数=アパート建築の総工費・購入費 ÷ (想定家賃収入-経営にかかる諸経費)

当てはめて考えてみましょう。

アパート建築総工費が5,000万円、年間想定家賃収入が500万円、諸経費が100万円であった場合、5,000万円÷400万円=12. 5年となり、大体12年目を過ぎたあたりには元が取れる計算です。

家賃収入だけでなく売却益も考慮する

アパート経営には「キャピタルゲイン」「インカムゲイン」という、二つの収入源があります。

前項で説明した家賃収入は「インカムゲイン」にあたり、アパート経営での主たる目的となります。

一方、「キャピタルゲイン」と呼ばれる、アパートそのものを物件取得時よりも高く売ることで売却益を手にする方法もあります。

キャピタルゲインについては、社会情勢や経済情勢に大きく影響されるところがあり、売却の時期やタイミングを見極めていくのは非常に難しいといわれていますが、時期を逃さず建物そのものを売却できれば、大きな利益を手にすることも可能です。

本当に10年で黒字?具体的な黒字化シミュレーション

一般的には10〜15年で黒字化できるといわれるアパート経営ですが、本当に実現できるのでしょうか。具体的な黒字化シミュレーションを見てみましょう。

この場合はインカムゲインだけにフォーカスしたシミュレーションです。

前項の内容の場合、アパート総工費5,000万円、家賃収入年間500万円、経費100万円のときに12.5年で黒字化というシミュレーションが可能です。

経費は年間家賃収入の20%で算出していますので、経費割合も同じで考えていきましょう。

アパート総工費が同じ5,000万円であったとき、10年で黒字化を目指すのであれば、家賃収入は625万円以上、経費125万円以下です。

この̪シミュレーションを実現できるかどうかは、立地条件として高い家賃設定でも入居可能なエリアかどうかと、高い入居率でアパート経営できるかによって決まるといっても過言ではありません。

どちらにしてもアパート経営は立地次第ということです。

元が取れないなら売却したほうがいい場合も

インカムゲインにフォーカスしてシミュレーションし、黒字化するのに15年以上かかる物件を所有している場合には、キャピタルゲインにフォーカスを変えて、アパートそのものを売却したほうがいいケースもあります。

売却については時期やタイミングもあるため、知識と経験豊富な不動産会社と相談しながら検討を進めたほうがいいでしょう。

木造や軽量鉄骨造の建物は、償却期間が短い分、次に購入する人が長期の融資を受けられなかったり、そもそも次の購入希望者が見つけられなくなる恐れがあるので注意してください。

アパート経営の黒字化は不動産会社選びが重要

アパート経営を黒字化できるかどうかは、アパートの立地と入居状況次第です。キャピタルゲイン、インカムゲインを意識しながらアパート経営を進めつつ、最良の時期でのアパート売却を検討することも大切です。

インカムゲインに関係する入居状況や家賃設定、キャピタルゲインに関係する国際情勢や経済事情をチェックしつつ、アパート経営を最良のタイミングで売却することを考えるのであれば、パートナーになってくれると信頼できる不動産会社選びが大切です。

アパート・マンション経営のメリット

ともすれば経営リスクばかりが取りざたされているため、「アパート・マンション経営なんてやるものではない」「いい話なんてほとんどない」と考えている人は少なくありません。

しかし現実には、わざわざ土地から仕入れてアパート・マンション経営をしている投資家もたくさんいます。

アパート・マンション経営のメリットとは何でしょうか。

アパート経営のメリット!どんな人におすすめ?

アパート経営のメリットとはどんなものがあるのでしょうか。また、どのような人がアパート経営をするとメリットが感じられるのでしょうか。

次のような人はアパート経営のメリットが得やすい人と考えられます。

アパート経営するのに好立地な土地を所有している人

アパート経営は、そのアパートが建っている「立地」にすべてが左右されるといっても過言ではありません。

賃貸経営市場として適正かどうかを調査し、適正と判断できる土地を所有しているならアパート経営はおすすめです。

特にそのような土地を所有しているのであれば、その土地は資産評価も高く、毎年高額の固定資産税・都市計画税を納税する負担が大きい土地であるケースがほとんどです。

アパート建築により土地にかかる税金を軽減でき、かつ家賃収入が入ってくるのであれば、アパート経営の大きなメリットを得られます。

損益通算を行い、赤字を生み出す必要がある人

会社役員や医師、弁護士などの高所得者は、課税される税金の負担が大きくなります。

所有している株式の譲渡益などでさらに所得が増大した場合、損益通算を行わないと多額の税金を納税しなければならなくなります。このように、赤字を生み出し税金の負担を軽減しなければならない人にとって、黒字化するまでのアパート経営は効果的です。

アパート経営は儲からない?

アパート経営をしている人でも「アパートは儲からない」「何しているのか分からない」というようなことをいう人は少なくありません。

アパートの利回り平均はほかの土地活用よりも高い

アパート経営以外でも土地活用の方法はあり、建物を建てて運営する手法としては、テナント貸しや介護施設運営などの方法があります。

しかしテナント貸しの場合、実質利回りは3.8%程度。介護施設運営の場合、実質利回りは2.5%程度が相場で、一般的なアパートの実質利回り(4〜6%程度)より低いです。

建物を建てて運営する手法の中では、アパート経営の利回り平均はほかの土地活用よりも高くなります。

アパートオーナーの年収

令和4年申告所得税標本調査のデータによると、アパートオーナーの平均年収(手取り)は令和3年で542万円、令和2年で540万円、令和元年で約521万円、平成30年で約518万円と、増加傾向にあります。

きちんと経営することで十分な利益を上げられますが、アパート経営で失敗しやすい人もいます。不向きなままアパートを経営すると、利益が出ないばかりか地獄を見るケースもあります。

アパート経営で失敗しやすい人

ミドルリスク・ミドルリターンで土地活用ができるアパート経営ですが、それでもうまくいかない例がないわけではなく、中には自己破産に至る例もあります。

アパート経営で失敗しやすい人はどのような人なのか、解説していきます。

市場調査を怠るなど経営感覚がない

前述の通り、アパート経営を成功させるための最も大切なポイントは「立地」です。

好立地エリアのアパートは、古くなってもその利便性から入居希望者が激減することはありません。一度入居したら長く住んでくれたり、退去があったとしてもすぐに次の入居者が決まるなどで空室期間が短いまま運営できます。

建物はどこかに持っていけないので、初期の計画段階での市場調査を怠るなど、経営感覚がない人はアパート経営で失敗する恐れがあります。

節税だけを目的に始めるなどゴールが曖昧

郊外で農地を多く所有している地主が、大手建設会社の営業トークをうのみにして、相続税や固定資産税の節税対策を目的にアパート経営を始める例があります。

都心部では、医師や資産家が同様に節税目的でアパート経営を始める例があります。

このように節税だけを目的にアパート経営を始めると、最終的に何が達成できたらアパート経営が成功するのかというゴールが曖昧になります。

アパート経営は事業の一つであることを忘れず、自分の事業に関心を持ってアパート経営を行っていく意識が必要です。

黒字化しないアパートは売却も考える

「いろいろシミュレーションしてみたけれど、うちのアパートは黒字化が難しそうだ」と感じている人は、思い切って売却を検討する必要があります。

どんな事業であっても、赤字のまま運営を続ければ、運営している人には経済的にも精神的にも肉体的にも負担がかかるものです。

そもそも赤字経営は不健全なものなのですから、難しいと判断した場合は次の手段に移るべきです。

知識と経験が豊富な不動産会社を探して売却の意思を伝え、早期にアパートを手放してキャピタルゲインを手に入れることを考えていきましょう。木造や軽量鉄骨造の建物の場合、建物の償却期間が短いため、築年数が10年を超えてくると売りにくくなる傾向にあります。

売却にはタイミングが重要になりますので、将来的に売却する可能性があるのであれば、今すぐではなくても不動産会社に声かけをしておくと安心できます。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由

誠実がモットー。これまでのお客様との出会いが投資不動産領域での私自身の見識を高めることに繋がっており、お客様への感謝を胸に、いかに皆様のお役に立てる情報を発信できるかが重要と思っております。こんなことをもっと知りたい等、お気軽にお声掛けいただけると嬉しいです。 著者の記事一覧はコチラ
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