一棟マンションの査定で重視される10項目と売却価格を上げるポイント
一棟マンションの査定結果は、稼働率(空室率)や立地など多くの要因によって左右されます。そのため、査定前に価格を上げるポイントを押さえておけば、一棟マンションの魅力を最大限にアピールでき、よりよい条件での売却が期待できるでしょう。
一棟マンションの査定で特に重視される10項目を明らかにしつつ、売却価格を上げるための実践的なポイントを紹介します。
この記事の目次
一棟マンションの需要が高まる理由
一棟マンションは、安定した収益を見込める投資物件として注目されています。
国土交通省の不動産価格指数(商業用不動産)によると、都市部を中心に一棟マンションの需要は依然として高い状況です。特に、東京都・大阪府・愛知県の三大都市圏では、投資家や法人の購入意欲が増加しています。
不動産価格指数(商業用不動産)
画像引用:国土交通省「不動産価格指数」
売却を検討する際には、このような市場動向を把握することが重要です。ここでは、一棟マンションの需要が高まる理由について解説します。
安定した収益性
一棟マンションは複数住戸から賃料収入が得られるため、空室リスクが分散され、安定した収益を得やすいのが特長です。
複数の入居者から収入源を確保することで、欠損リスクを軽減できます。
都市部の人口増加
三大都市圏に代表される日本の主要都市では人口の集中が続き、住宅需要は安定傾向にあるため、
一棟マンションの価値が維持されやすくなっています。
再開発プロジェクト
都市再開発プロジェクトが進行するエリアでは、不動産の将来的な価値上昇が見込まれるため、
一棟マンションの需要が強くなります。
低金利政策
政府による低金利政策が続いているため、不動産投資に対する資金調達が比較的容易なことから、
投資家の関心は高まっています。
節税政策
一棟マンションの購入は、減価償却費による控除を活用した節税対策として利用できます。
特に高所得者にとっては、所得税や相続税の節税手段として有効な方法です。
資産の安定性
不動産は実物資産として、インフレ時にも資産価値を保ちやすいことで知られています。
現金や株式と比べて安定した資産運用ができる投資であるため、一棟マンションは安定資産として高い魅力を持っています。
高い売却価値
一棟マンションは、個別の住戸を売却するのに比べて一度にまとまった資金を得られるため、
売却時の価値が高くなります。
特に一棟マンションの場合には、不動産投資家が高値で購入してくれるケースもあります。
マネジメントの効率性
一棟マンションでは一元管理が可能なため、運営やメンテナンスを効率的におこなえます。
また、管理会社に管理を委託することで、オーナーの手間を軽減することも可能です。
このような要因を背景に、一棟マンションの売却を成功させるには、最新の市場動向を踏まえて売却戦略を練ることが重要です。
一棟マンションの査定で重視される10項目
一棟マンションの査定においては、複数の要素が考慮され、総合的に価格が判断されます。
ここでは査定の際、重要視されるポイントを紹介します。
- 稼働率(空室率)
- エレベーターなどのメンテナンス費用
- サブリース契約の有無
- 物件の立地
- 建物の状態と築年数
- 周辺の賃貸市場
- 近隣環境と治安
- 土地の広さと形状
- 法律や規制の遵守状況
- 再開発計画の有無
稼働率(空室率)
稼働率(空室率)は一棟マンションの収益性を直接反映する、もっとも重要な要素です。
稼働率が高いほど安定した収入を見込めるため、査定価格は高くなります。
反対に稼働率が低い場合は収益性に不安が生じ、査定価格は低くなります。稼働率を向上させるには、適切な入居者選定や物件のメンテナンスが不可欠です。
エレベーターなどのメンテナンス費用
エレベーターや共用部分などのメンテナンス費用も、査定に影響する要素です。設備の老朽化を放置している場合、多くの修繕費用がかかるため査定価格は低くなります。
反対に、設備が新しく定期的にメンテナンスがおこなわれている場合は、資産価値が維持されやすく査定価格は高くなります。
サブリース契約の有無
査定時には、サブリース契約の条件やその信頼性が評価されます。
サブリース契約を締結している場合は一定の賃料収入が保証されるため、投資家の家賃収入が担保されます。
ただし、サブリース契約の内容によっては、賃料保証が途切れるリスクや契約解除のリスクに対する考慮が必要です。
物件の立地
立地は売却査定に影響を与える、重要な要素のひとつです。
駅や商業施設、学校や病院などの近隣環境が良好なら、査定価格は高くなります。特に都市部や再開発エリアの物件は、高評価を受けやすい傾向にあります。
建物の状態と築年数
建物の状態や築年数も査定に影響を与えます。
築浅の建物や見た目、ユニバーサルデザインなどの多様性に配慮したリフォームが施されている場合、査定価格も高くなります。
反対に老朽化が進んでいる場合には、修繕費用を考慮した査定がおこなわれます。
周辺の賃貸市場
周辺の賃貸市場も、査定に影響を与える重要な要素です。
賃貸需要が高いエリアでは、一棟マンションの収益性は高く評価されます。また、近隣の賃貸物件の家賃相場や空室率も査定に影響を与えます。
近隣環境と治安
物件周辺の環境や治安も、査定に影響を与える重要な要素です。
治安がよく住みやすい地域にある物件は入居者を確保しやすいため、査定価格にプラスの影響を与えます。
土地の広さと形状
土地の広さや形状も査定に影響します。
広い土地や整形地は多目的に利用できるため、評価が高くなる傾向にあります。
法律や規制の遵守状況
建物が法律や規制を遵守しているかどうかも、重要な査定ポイントです。
査定時には、違法建築や建築基準法に抵触する部分がないかを細かくチェックします。
再開発計画の有無
周辺エリアでの将来的な再開発計画の有無も、査定の際には十分に考慮されます。
再開発計画があると、将来的に物件の価値は上昇する可能性があるため、査定価格は高くなる場合があります。
一棟マンション(収益物件)の査定方法
一棟マンション(収益物件)の査定には、主に3つの方法が用いられます。
各方法の特徴とメリット・デメリットについて解説します。
原価法
原価法は、建物の建築費用や土地の購入費用をもとに査定をおこなう方法です。
建築費用には、建物の構造や使用材料、工事費用などが含まれます。土地の購入費用は、周辺の土地価格や市場動向を参考に算出されます。
原価法は、物件の現在価値を正確に把握するに有効ですが、収益性を直接反映しない方法であるため、ほかの方法と併用して査定するのが一般的です。
収益還元法
収益還元法は、物件が将来的に生み出す収益を勘案し査定をおこなう方法です。具体的には、年間収益を割引率で割ることで現在価値を算出します。
割引率には、投資リスクや市場動向が反映されます。
収益還元法は、投資物件の収益性を評価するのに適しており、投資家にとって重要な指標となり得る方法です。
取引事例法
取引事例法は、過去の類似物件の取引価格をもとに査定をおこなう方法です。この方法では、周辺地域で売買された一棟マンションの価格を参考にすることで、市場価値を把握します。
現在の市場動向を反映しやすいため、現実的な査定価格を導き出すのに有効な方法です。
ただし、適切な比較物件が近くにない場合や、市場の流動性が低いエリアの場合、正確な査定は難しくなります。
一棟マンションの売却価格を上げるポイント
一棟売却マンションをできるだけ高値で売却するには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
ここでは、売却価格を上げるポイントについて解説します。
物件価値の最大化
物件の価値を最大化するには、査定の前に内装や設備のリフォーム、リノベーションを施すことが有効です。特に、キッチンやバスルームなどの水回り設備を最新にすることで、物件の価値を高められます。
また、外観の補修や共用部分のメンテナンスも忘れずにおこなうことが大切です。
稼働率の向上
売却価格を上げるには空室を減らし、稼働率を高めることが重要です。
短期間で入居者を見つけるために、賃貸条件を見直し、魅力的なキャンペーンを実施することが重要です。
契約賃料の見直し
賃料が適正価格に設定されているかをチェックし、必要に応じて見直しを検討することも収益性向上のポイントです。
効果的な広告活動
物件を売却する際には、効果的な広告活動が欠かせません。
不動産会社と連携し、オンライン広告やオープンハウス(予約なしで見学できる家)などを活用して、広く買い手を募集することが成功の鍵です。
また、物件の魅力を伝えるため、詳細が分かる写真撮影や物件情報の提供も重要です。
売却タイミングの選定
不動産を売却するタイミングも売却価格に大きな影響を与えます。そのため、市場の動向を把握し、需要が高まる時期を見計らって売却活動を進めることが重要です。
低金利かつ経済が好調な時期や、再開発がおこなわれているエリアでは、高値で売却できる確率が高まります。
一棟マンションの売却実績がある不動産会社に相談する
一棟マンションの売却には専門的な知識と、不動産会社の確かな実績が必要です。一棟マンションの売却実績がある不動産会社に相談することで、適切な査定価格や売却戦略が立てられます。
また、税務面でのアドバイスを受けることで、売却後の手取り額を最大化することも可能です。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久
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