築古アパートを買取で売るときの注意点と高く売るためのポイントを紹介
アパートを買取で売却する際、できるだけ高値で売りたいと考えるのは当然のことです。しかし、アパートを少しでも高く売るためにはいくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
アパートを買取で高く売るための具体的な方法を解説していきます。売主ができる工夫を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
アパート買取の仕組み
アパートを売却する方法には、主に「仲介」と「買取」の2つがあります。アパートを売却するまでの手順はそれぞれ以下のとおりです。
仲介の手順 | 買取の手順 |
---|---|
1.不動産仲介会社と契約を結ぶ 2.販売活動を行い買主を探す 3.内覧に対応する 4.買主と価格交渉を行う 5.双方が売買条件に合意をする 6.売買契約を結ぶ |
1.不動産会社に査定を依頼する 2.提示された査定額に合意する 3.売買契約を結ぶ |
仲介では、不動産仲介会社に依頼をして買主を探してもらいます。買主が見つかったら、内覧対応をして価格交渉を行います。その後、売買に関する条件を取り決め、双方が合意をすれば売買契約の成立です。
仲介では、内覧のための準備や調整を購入希望者が現れるたびに行う必要があります。また、仲介会社に依頼して売買が成立した場合、一般的には仲介手数料が発生します。
一方、買取は、アパートのオーナーが不動産会社に直接アパートを売却する方法です。不動産会社に依頼をして、提示された条件に同意すれば売買契約が成立します。
買取では、仲介における内覧や価格交渉といった工程がありません。そのため、売主の時間的な負担が軽減されます。
早期売却ができる
アパート買取では、不動産仲介会社を介さずに売却ができるため、現金化までの期間を短縮できます。
アパートを仲介で売却する場合、不動産仲介会社を通して買主を探します。すぐに見つかることもありますが、内覧や交渉の過程で売買契約に至らないケースも多いでしょう。物件の立地や価格、築年数などの条件が合わない場合、買主が見つかるまでに長い時間を要することもあります。
そのため、仲介での売却は、売却までに数ヶ月から半年以上かかることもあり、時間的な負担が大きいと言えます。
一方、買取では買主がすでに決まっているため、内覧の準備や日程調整が必要がありません。不動産会社が物件の価値を査定し、売主の希望に沿った価格で迅速に売買契約を結ぶことができるので、売却までの期間を大幅に短縮できます。
さらに、買取であれば、アパートの老朽化や空室の状態に関わらず、現状のまま売却できるメリットもあります。リフォームや修繕に時間やコストをかける必要がないため、早いタイミングで現金化が可能です。
このように、時間的な制約がある場合や、できるだけ早く現金化する必要がある場合には、アパート買取は適した選択肢といえるでしょう。
築年数の古いアパートも売れる可能性がある
築年数の古いアパートは、経年劣化による設備の不具合や建物の損傷も発生しやすいため、新築物件に比べて空室リスクが高く、入居者を見つけるのが困難です。
また、長年の入居者とのトラブルや、物件に関する法的な瑕疵(かし)の問題を抱えているケースもあり、アパートの売却にとって大きな障壁になります。
しかし、アパートの買取であれば、買取後は、不動産会社が必要なリフォームを施し、物件の価値を高めた上で再販します。不動産会社が物件の状態や課題を把握した上で、適切な価格で直接購入してくれるため、築年数の古いアパートでも売却の選択肢が広がるのです。
仲介手数料がかからない
アパートを売却する際、多くの所有者が不動産仲介会社を利用します。仲介会社は、物件の広告や買主探し、契約の手続きなどを代行してくれる代わりに、売却価格に基づいて算出される仲介手数料を請求します。仲介手数料の目安は、物件価格の約3%で、アパートの売却価格が高くなるほど上がっていきます。
しかし、アパート買取サービスを利用すれば、この仲介手数料を支払う必要がありません。買取は、不動産会社が直接所有者から物件を購入する方法であり、仲介会社を介さないためです。この手数料分を売主が負担する必要がないため、売却にかかるコストを大幅に節約できます。
アパート買取の注意点
アパートの買取による売却方法は、売主に多くの利点をもたらしますが、無視できない注意点も存在します。主な注意点は以下の通りです。
- 売却価格よりも相場よりも低くなる
- オーナーチェンジの手続きが必要
ここでは、これらのアパート買取の際の注意点について詳しく解説します。
売却価格が相場価格よりも低くなる可能性がある
アパートの買取でとくに気を付けたいのが、売却価格が相場よりも低くなる可能性があることです。アパートを買取で売却する場合、不動産会社は物件を購入した後、利益を上乗せして再販売します。
つまり、相場価格で買い取ったのでは、利益を乗せられないため、買取価格を60%から80%程度に設定しているのです。
たとえば、相場価格1,000万円のアパートを買取で売却する場合、600~800万円程度での買取がされることが多いでしょう。
ただし、買取にはこの価格差を補うだけのメリットがある場合もあります。老朽化が進んだアパートや、長期間売れ残っている物件などは、仲介での売却が難しいケースがあります。そのような場合、多少の価格差があっても、買取で確実に売却できるというメリットは大きいと言えます。
アパートの買取を検討する際は、売却価格が相場よりも低くなるというデメリットを理解した上で、物件の状態や売却の緊急性などを総合的に判断することが重要です。状況によっては、買取が最良の選択肢となる場合もあるでしょう。
家賃滞納などがあると査定額が下がる
アパートを売却する際、入居者の家賃滞納の有無を確認し、解消することが重要です。滞納があると不動産会社からの査定額がさがる可能性があるためです。
家賃の管理を管理会社に任せきりにしていると、オーナーが家賃の滞納に気づいていないこともあります。そのため、売却前に管理会社と連携し、滞納の有無を確認しておきましょう。もし滞納がある場合は、管理会社と相談しながら、適切な対策を講じることが大切です。
アパート買取の流れ
アパートの買取は、築年数が経過した物件でもスムーズに現金化を実現できる方法です。買取には複数のステップがあり、それぞれを理解することが成功への鍵となります。以下に、アパート買取の基本的な流れをご紹介します。
査定申込み・現地調査
まず最初に、買取を希望する不動産会社に査定を申し込みます。申し込みは電話やオンラインフォームを使用することが一般的です。査定を申し込む際に準備する書類は以下の通りです。
- 不動産の登記簿謄本(謄本)
- 固定資産税評価証明書
- 賃貸借契約書
- 建築確認書および完了検査証明書
- 間取り図
- リフォーム履歴(ある場合)
これらの書類は、物件の価値を判断するための重要な情報源となり、査定額の算出に影響します。物件をより正確に、そして公正に査定してもらうためにも、これらの書類を事前に準備しておくことが推奨されています。
申し込み後、不動産会社は物件の現地調査を実施し、アパートの状態や周辺環境などを詳細にチェックします。
金額交渉・契約締結
現地調査の結果を基に不動産会社が買取価格を提示します。依頼人はこの査定書をもとに売却の可否を決定します。提示された買取金額に満足できれば、売却手続きへと進み、条件の調整後に売買契約を結びます。
しかし、提示された買取金額に納得がいかない場合はどう対処すればよいでしょうか。
不動産買取では、提示された金額に納得がいかないことは珍しくありません。このような場合、金額の交渉を試みるのも一つの方法です。買取業者もビジネスを展開しており、価格交渉は一定の範囲内で想定しています。物件の特徴やメリットを強調し、より良い価格を提示してもらえるよう交渉を試みましょう。
物件引渡し・売買金額受領
物件引渡しと売買金額の受領は、不動産買取の最終段階です。売買契約が実行される重要な手続きとなります。この段階では、以下の手順が一般的に行われます。
1.最終確認
売買契約の締結後、物件の引渡し前に物件の最終確認が行われます。この最終確認では、物件が契約書に記載された状態にあるかどうかを、買主と売主双方が確認します。不具合がある場合は、この段階で指摘し、解決策を協議します 。
2.残代金の精算
物件の最終確認が無事終了した後、買主は残代金を支払います。この際、手付金や事前に支払った金額を差し引いた金額が支払われます。支払いは、大抵、売主の指定する銀行口座に振り込む形で行われます。
3.諸費用の支払い
残代金の支払いと同時に、固定資産の清算金、賃借人から預かった敷金、また取引に伴う諸費用の精算が行われます。これらの費用は、取引の規模や物件の種類によって異なります。
4.物件の引渡し:
財務的な取引が完了した後、物件の鍵と共に、実際の物件が買主に引き渡されます。この時点で、物件に関するすべての書類も買主に渡され、物件の所有権が買主に移ります。
物件引渡しと売買金額受領の手続きは、売主と買主の両方にとって重要です。この手続きを通じて、物件の売買契約が実際に実行され、物件の所有権が正式に移転します。
確定申告・納税
アパートを売却して売却益が生じた場合、その年の翌年に所得税の確定申告が必要です。たとえば、アパートを2023年11月30日に売却し、売却益が100万円生じた場合、2024年2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。
譲渡日とは、売買契約に基づき資産を買主に引き渡した日のことです。譲渡契約の効力が発生した日を譲渡日として申告することも可能です。
消費税に関しては、個人が売却する場合でも課税対象となることがあります。特に、事業用不動産の建物部分の売買は課税対象ですが、土地部分は非課税です。
個人が売主の場合、居住用不動産の売買は課税対象外となりますが、売主が事業者である場合には課税対象となることもあります。2年前の課税対象収入が1,000万円以下であれば、消費税の納税義務は免除されます。
売却時の消費税額の設定や、売買価格の内訳については、仲介業者や税理士、管轄の税務署に相談することが重要です。
また、納付額が決定した後、税金を期限内に納税することが非常に重要です。利用可能な納税方法は税金の種類によって異なり、クレジットカードやバーコード決済を利用することができる場合もあります。
最適な納税方法を選択することで、手数料を節約し、納税プロセスをより効率的に行うことが可能です。自身の状況に合わせた最良の方法を選び、納税の準備をしましょう。
アパートを買取で高く売るためのポイント
アパートの買取では、市場価格の60%〜80%程度での売却が一般的です。これは主に、不動産会社が購入した物件に利益を上乗せして再販売する必要があることと、リスクを管理するために買取価格を低く設定することが一因です。
しかし、アパートをより高く売却するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
- 最低限の修繕をしておく
- 適切なタイミングで売却する
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
以下では、これらのポイントを詳しく解説します
最低限の修繕をしておく
物件の状態を良好に保つことは、買取価格に直接影響を与えます。特に、簡単な修繕や物件の清掃は、見た目を改善し、買取価格を高める可能性があります。
しかしながら、修繕に際しては、その費用対効果を慎重に評価する必要があります。たとえば、水回りの補修や壁の塗り替えなど、比較的低コストで行える修繕は、買取価格向上に寄与する可能性があります。
一方で、大規模なリノベーションのように高額な改修は、必ずしも買取価格の上昇に直結しない場合が多いのが実状です。投資とリターンのバランスを考慮して、必要最低限の修繕に留めるようにしましょう。
適切なタイミングで売却する
売却タイミングを適切に選択することはとても重要です。賃料収入と売却価格のバランスを見て、利益が最大になるタイミングを選択する必要があります。経済状況や周辺環境の変化、そして築年数がアパートの売却価格に大きく影響するため、これらを考慮してタイミングを判断します。
また、売却価格に影響する要素として、入居率、契約内容等、立地条件などが挙げられます。事故・事件の有無や物件の状態も価格に影響するため、これらを把握しておくことが重要です 。
複数の不動産会社に査定を依頼する
アパートの買取相場を調べ、複数の不動産会社に査定依頼をすることもポイントとなります。不動産会社によって査定方法が異なるため、複数から査定額をもらうことで、より高く売却するための交渉材料になります。
早めの売却活動を心掛けることで、市場動向が良い時期に売却することができます。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典
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