アパート売却の理由が知りたい!高く売るコツや注意点も
アパート経営は、安定した収入と不労所得をもたらす魅力的な投資方法です。賃料収入によりアパートオーナーは経済的な安定を受け取れます。
一方で、不動産ポータルサイトをみると、アパートが丸ごと売りに出されています。なぜ、オーナーに利益をもたらすアパートが売りに出されているのでしょうか。
アパートを売却する理由と、アパート売却を成功に導くための重要なコツ、そして失敗を避けるための注意点について詳しく解説します。
この記事の目次
アパートを売る理由にはどういったものがある?
アパートを売却する決断は、そのオーナーにとって重大なことです。そこには、さまざまな背景や理由があります。
アパート売却を検討するオーナーが直面する典型的な状況を紹介します。
老後の資金計画や相続
- 老後の準備資金(資産整理)
- アパートオーナーが高齢となり、介護施設への入居や老後の資金に充てるため、アパートを売却して現金を得ることを選ぶことがあります。
- 相続税対策
- 相続によってアパートを手に入れたが、相続税の支払いに現金が必要になり、売却を選択するケースがあります。
- 相続による分配
- 複数の相続人がいる場合、財産を公平に分けるためアパートを現金化し、その収益を分配することがあります。
金銭的なコストが負担になっている
アパート経営には多くの金銭的なコストが伴います。一般的に、アパート経営での金銭的なコストは、家賃収入の20%〜40%といわれています。
光熱費 | アパートの共用部分の照明や水道などの費用 |
---|---|
修繕費 | 建物や設備の老朽化に対応するための費用 |
リフォーム費用 | 入居者の入れ替わりの時などに必要となる改修費用 |
損害保険料 | 火災や災害などのリスクに備える保険料 |
賃貸管理手数料 | 管理会社に支払う管理手数料。家賃の5%が相場 |
仲介手数料 | 仲介会社に支払う手数料 |
特に、古くなった物件では維持管理に必要なコストがさらに増加します。しかし、新築時に比べて家賃は下落します。
理想はこれらの金銭的なコストを家賃収入で補いたいところですが、市場や物件の状況によっては、コストを家賃に転嫁できない場合もあります。
その結果、アパート運営が赤字になり、オーナーにのしかかる経済的な負担が、アパート売却の理由となります。
物件管理に手間がかかる
アパート経営は、その管理に相応の手間がかかります。特に自主管理オーナーともなれば、日常的な管理業務は時間と労力がかかるものです。
アパートの管理業務は多岐にわたります。主なタスクを紹介します。
入居者募集 | 空室を埋めるための広告や見学の対応 |
---|---|
契約管理 | 新規の契約の締結や更新、解約の手続き |
家賃管理 | 家賃の請求と集金、滞納時の対応 |
クレーム対応 | 入居者からの要望や不満への対応 |
メンテナンス | 修繕やリフォームの手配やその支払い |
共用部分の管理 | 清掃やごみ収集などの定期的なメンテナンス |
オーナーはアパートの管理をする際に、自己管理または管理会社への委託のいずれかを選ぶことができます。自己管理の場合、直接管理をすることで金銭的コストを抑えられますが、時間と労力が大きな負担となります。
専門の管理会社に委託する管理委託の場合には、オーナーの負担は軽減されますが、家賃収入の一部を管理会社に手数料として支払う必要があります。管理手数料は通常、家賃の5%が相場です。
特に古い物件の場合、管理の手間が増えるにつれて、その維持が経済的な負担や、心理的・体力的な負担となります。オーナーにとって、この管理負担はアパート売却の大きな理由となります。
ライフスタイルの変化
ライフスタイルがアパートを売却する理由となるケースもあります。
たとえば、転居や家庭の事情などで、居住地が変わることがあります。アパートの所在地と新しい生活圏が離れている場合、管理が難しくなり売却する理由となります。
また病気やけがなどで、以前のようにアパート経営に必要な時間や体力を割くことが難しくなった場合も売却する理由となります。
ほかにも、結婚や離婚などの家族構成の変化がある場合、新しい家族構成に合わせた居住地の変更、もしくは財産分割の必要性が、アパートを売却する理由です。
アパートの売却と築年数の関係
オーナーが、不動産会社から築10年以内でのアパート売却をすすめられるケースがあります。
安定収入が得られるうえに、相続税対策にもなるアパート経営ですが、なぜ不動産会社は10年以内でのアパート売却をオーナーにすすめるのでしょうか。
まず、アパートは築10年を過ぎると、資産価値が顕著に下落する傾向にあります。これは、建物や設備の経年劣化により、修繕や更新が必要になるからです。
不動産会社は不動産の専門家として、アパートが新築の魅力を保っている初期段階での売却をすすめます。こうすることで、建物の老朽化に伴う資産価値の下落を最小限に抑えることが可能になるからです。
これらの経済的な理由から、不動産会社はオーナーにアパートの売却をすすめ、オーナーのアパート売却の理由になります。
当然ながら、立地や収支の状況によってこの限りではありません。賃貸需要が高い地域では、築40年を過ぎた物件であっても、高利回りで稼働している物件もあります。
アパートを高く売るコツや注意点
アパートの売却を成功させるためには何が大切でしょうか。まずは物件の市場価値を最大化し、適切なタイミングで売り出すことがとても大切になります。
まずは、アパートは投資家が主な買主であるため、投資家が関心を持ちやすい情報の提供や、物件の魅力を高めることが必要です。
投資家にとって重要なのは、物件の収益性や管理状況です。これらの情報をまとめた資料を用意して、投資家が判断しやすいようにしましょう。
不動産市場は常に変動しています。売り出すタイミングを見極めることで、より良い条件での売却が期待できます。市場動向をチェックし、需要が高まるタイミングを狙いましょう。
アパートの所有期間で税金が変わる
アパートの所有期間が5年以下で売却する場合には注意が必要です。所有して5年以下で売却すると、不動産譲渡所得税が5年超保有するときよりも2倍になる可能性があるからです。
不動産の譲渡所得税とは、売却によって発生した利益に対して課される税金です。不動産譲渡所得税の中には所得税や住民税、復興特別所得税を含んでいます。
不動産譲渡税の税率は次の通りです。
所得税 | 住民税 | 計 | |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 (所有期間5年以下)※1 |
30.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 (所有期間5年超)※1 |
15.315% | 5% | 20.315% |
※1:売却した都市の1月1日より換算
※税率には復興特別税の2.1%相当が上乗せされています
参考:東京都主税局 土地・ 建物等の譲渡に係る所得税(国税)・ 住民税(地方税)
不動産譲渡所得税の計算方法は次の通りです。
譲渡所得 = 譲渡価格 -(取得費+売却費用)
ただし、この税金は利益が出たときのみに適用されるため、購入価格よりも売却価格が低い場合には課税されません。
また、相続でアパートを手に入れた場合、すぐに売却を検討するのも一つの手です。すぐに相続したアパートの売却を検討したほうがいい理由を紹介します。
- アパート経営は初心者には難しく、失敗のリスクが高いため
- 相続人に本業がある場合、アパート経営との両立が難しいため
- アパートの資産価値は年々低下してしまうため
相続の場合には、被相続人の所有期間を引き継ぐため、その期間が5年以上であれば、税金の面でも有利に売却を進めることができますので、売却を検討してみるのもいいでしょう。
最後に、所有期間が10年を超える場合の税金に関する一般的な誤解について触れておきます。
10年以上の所有期間で軽減税率の特例が適用されると考える方もいますが、この特例は、居住用目的で物件を利用している場合に限られます。
賃貸経営をしていたアパートの売却の際には、この特例は適用されないので、注意が必要です。
買い手との取引を断ったほうがいいケース
買い手との交渉では、価格や条件面で合意に至らない場合、売却を見送ることも重要な判断となります。不当に低い価格を提示された場合や、購入者の資金計画が不透明である場合など、リスクが高い取引は避けるべきです。
アパートの売却を任せる不動産会社の選び方
アパートの売却を成功に導くためには、信頼できる不動産会社を見つけることが重要です。不動産会社を選ぶ方法にはいくつかの方法がありますが、各方法にはメリットとデメリットがあります。ここでは、アパートの売却に適した不動産会社の見つけ方について解説します。
インターネットで探す
インターネットで不動産会社を検索することは、最も手軽な方法の一つです。多くの不動産会社が、インターネットでサービスを提供しています。
ただし、インターネット状の情報だけで判断するのではなく、口コミや評判、さらには国土交通省のネガティブ情報等検索サイトを利用して、信頼できる会社か確認することが重要です。複数の不動産会社に相談し、比較検討することをおすすめします。
実績が豊富な不動産会社に依頼する
アパートの売却は、一般的な家やマンションといった不動産とは異なった専門的な知識やノウハウが必要です。
実績が豊富で、アパート売却に得意な不動産会社に依頼しなければ、長期間売却できないだけでなく、不当な値下げや価格調整などが必要になってしまう可能性もあります。
アパート売却を依頼する不動産会社を選ぶ際には、その会社がアパート売却の実績・経験が豊富なのかについて、担当者に聞いて確認することをおすすめします。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典
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