不動産投資
2024.01.30

アパート経営の大問題!老朽化したらリノベーション?建て替え?

アパート経営の大問題!老朽化したらリノベーション?建て替え?

経営しているアパートが老朽化したら、どのように対処したらよいのでしょうか。そのまま放置していると、住む人が減っていき、収益性が低下していくのは間違いありません。

アパートの老朽化に直面したとき、オーナーが選ぶ選択肢を解説します。

この記事の目次

アパートの老朽化を示すサインをチェック!

アパートが老朽化してきたとき、どのような兆候があらわれるのでしょうか。老朽化を示すサインを紹介します。

外壁の劣化

アパートの老朽化は、外壁をチェックすることでわかります。

ひび割れ

ヘアークラックと呼ばれる幅0.3mm以下のひび割れであれば、さほど問題ありません。しかし、幅0.3mm以上や深さが0.5mm以上あるひび割れは、建物の構造部分にまでひびが起きているおそれがあります。

また、横方向のクラックは雨水が侵入しやすく、雨漏りの原因になるため注意が必要です。

チョーキング

チョーキングとは、外壁を指で触ったときに、白い粉がつく現象のことです。白い粉は外壁の塗膜が劣化して、塗膜表面が粉状になって発生します。

外壁が防水性能を失っている状態のため、さらに劣化が進む可能性があります。

カビやコケの発生

チョーキング現象が起こっている外壁や日当たり、風通しが悪いアパートの外壁には、カビやコケが発生しやすくなります。

外壁にカビやコケが発生している場合は、外観の印象が悪く入居率に影響するでしょう。

屋根、屋上の劣化

屋根や屋上は見る機会がなかなかないため、劣化に気づきにくい場所です。屋根や屋上に損傷があれば、劣化しているサインといえます。屋上にはシート防水を施していることが多いため、ひび割れや膨れがあれば劣化が進んでいると考えてよいでしょう。

また、屋上は排水にも注意が必要です。排水口が落ち葉やゴミでふさがっていることがあります。ゲリラ豪雨のような短時間に集中して雨が降ると、屋上に水が溜まってしまうため注意しましょう。

設備の劣化

浴室やトイレといった水回りの設備の故障が増えたら、アパートが老朽化しているといえます。修理できない場合は交換する必要があり、部屋数が増えると費用も高額になります。

また、見た目でわかりにくいため、なかなか気づきにくいのですが、水道の配管の劣化が原因で水漏れが発生することもあります。配管が詰まって給排水に問題が生じた場合は、高額の修理費用がかかるでしょう。

築30年がアパートの寿命の目安

アパートの構造によって異なりますが、木造であれば法定耐用年数は22年です。ただし、法定耐用年数は税制上定められた年数で、減価償却の目安にするためなので、実際の寿命をあらわしてはいません。

しかし、木造のアパートは法定耐用年数の22年を過ぎた築25〜30年あたりから、建物の劣化の進行が早くなります。

築30年を超えたアパートは、老朽化が進んでいると考えてほうが無難でしょう。

老朽化したアパートにはリスクがある

老朽化したアパートは、アパート経営において実際にどんなリスクがあるのか解説します。

空室が長引き、家賃収入が低下するリスク

アパート経営には空室がつきものですが、老朽化すると新しい入居者が集まりにくくなります。近隣の新築アパートや築浅アパートを入居者が選び、空室の期間が継続してしまうかもしれません。

老朽化したアパートは外観や内装、間取りが需要と合っておらず、水回りの設備も古くなっているため、家賃を下げるなどの対策が必要になるでしょう。

空室が長引いたり家賃を下げたりすると想定より収入が低下し、利回りが低下する原因になります。

修繕費用が増加するリスク

アパートの老朽化が進むと、水回りの設備の修理や交換などの修繕費用が増加します。空室が増加して収入が減っている状態だと、外壁や屋根、屋上などの修繕ができないこともあります。

必要な修繕ができないと空室がさらに増加し、家賃収入が低下するため、アパート経営が悪循環に陥るかもしれません。

耐震性の低さによる安全面の不安リスク

アパートは経年劣化によって、耐震性が低下します。雨漏りによる柱や梁など構造部分の腐食や、シロアリ被害で耐久性を失っている場合などは、耐震補強工事が必要になることもあります。

また、1981年6月以前に建てられたアパートは、旧耐震基準の建物のため注意が必要です。震度6〜7程度の地震で倒壊しない新耐震基準と違い、旧耐震基準は震度5程度の地震で倒壊しない低い基準となっています。

近年、地震が増加していることもあり、旧耐震基準のアパートは、対策なしで新しい入居者を集めるのは難しいでしょう。

資産価値が低下するリスク

アパートの売却価格は、立地条件や築年数などの条件に加え、アパート経営で重要な利回りが大きく影響します。老朽化で空室が増加したり、家賃収入が減ったりすると資産価値が低下してしまうでしょう。

また、築年数が古いアパートの場合、融資が受けづらい傾向にあります。購入するにはある程度の自己資金が必要になり、購入する人が限られるため売却が難しくなります。

老朽化したアパートの選択肢

老朽化したアパートを放置して、何も対策しないと入居率の低下につながります。そのため、アパート経営を続けるには、できるだけ早く対処する必要があります。

対策にはリノベーション、建て替え、売却などの選択肢がありますが、それぞれにメリット、デメリットがあるため注意が必要です。

それぞれの特徴を理解し、どれが一番適しているか検討しましょう。

アパートのリノベーションをする

リノベーションとは間取りを変更したり、新たな付加価値をつけたりして、アパートの価値を高める方法です。

2DKを1LDKに変更、3点ユニットバスを浴室・トイレ別に変更などの間取り変更や、オートロックの導入、オール電化への変更などが考えられます。

メリット

リノベーションのメリットは、老朽化したアパートの見た目や内装を見違えるほど変化させられることです。老朽化したアパートの外観や古い設備が原因で入居率が低下している場合、有効的な方法といえるでしょう。

近隣の競合物件やニーズを調査して、効果的なリノベーションを行えるよう検討してください。

デメリット

外観や内装が新築のような見た目になっても、構造躯体は変わりません。旧耐震基準のアパートはリノベーションしたあとでも、耐震性の不安が残ります。

リノベーションと同時に耐震補強工事をする場合は、多額の費用がかかるため注意が必要です。

アパートを建て替える

老朽化したアパートを解体し、新しく建ててしまうのもひとつの方法です。旧耐震基準であれば新耐震基準で建て替えられるため、大地震の不安も軽減できます。

また、新築アパートになるため、築年数の古さから避けられることもないでしょう。

メリット

いまの入居者のニーズに合わせたアパートにできるため、建て替えたあとは安定した入居率と収益を期待できます。耐震性や耐久性の不安も解消されるため、アパートの立地条件に問題がなければ、土地を手放すことなく有効活用できるでしょう。

デメリット

建て替えるには、現在の入居者に退去してもらう必要があります。入居者に対して立ち退き交渉を行い、すべての入居者から同意が得られなければ建て替えられません。立ち退き交渉には時間と労力、費用がかかります。

また、老朽化したアパートの解体費用、新築を建てる費用、立ち退き費用を合わせると多額の費用が必要です。

アパートを売却する

さまざまなことを検討し、対処する必要のあるアパート経営から手を引くのもよいでしょう。アパートは入居者がいたとしても、オーナーチェンジ物件として売却できます。

アパートを売却して得た資金をもとに新しいアパートを購入し、アパート経営を続けることも可能です。

メリット

アパートの売却は、もっとも手軽にできるのが最大のメリットです。不動産会社に売却を依頼するだけで済みます。リノベーションや建て替えなどの費用や、打ち合わせなどの時間や手間がかかりません。

アパート経営の立て直しに悩むことなく、問題を解消できるでしょう。

デメリット

老朽化したアパートは、期待するような価格で売却できないかもしれません。特に入居率の低下しているアパートなら、不動産投資家であれば避けたいと考えるでしょう。

少しでも高く売却したいと考えたら、空室を埋めるなどの改善が必要です。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
後藤 悦史

難解なイメージのある投資不動産の取引について、『わかりやすく』お伝えすることにこだわってます。不動産投資は、それぞれ置かれている状況、ご事情やご希望条件によりゴールへの道筋が異なります。皆様にとって最適な道標を描くヒントとなれるような情報発信を心がけます。 著者の記事一覧はコチラ
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