アパート経営の大問題!老朽化したらリノベーション?建て替え?
経営しているアパートが老朽化したら、どのように対処したらよいのでしょうか。そのまま放置していると、住む人が減っていき、収益性が低下していくのは間違いありません。
アパートの老朽化に直面したとき、オーナーが選ぶ選択肢を解説します。
この記事の目次
アパートの老朽化を示すサインをチェック!
アパートが老朽化してきたとき、どのような兆候があらわれるのでしょうか。老朽化を示すサインを紹介します。
外壁の劣化
アパートの老朽化は、外壁をチェックすることでわかります。
ひび割れ
ヘアークラックと呼ばれる幅0.3mm以下のひび割れであれば、さほど問題ありません。しかし、幅0.3mm以上や深さが0.5mm以上あるひび割れは、建物の構造部分にまでひびが起きているおそれがあります。
また、横方向のクラックは雨水が侵入しやすく、雨漏りの原因になるため注意が必要です。
チョーキング
チョーキングとは、外壁を指で触ったときに、白い粉がつく現象のことです。白い粉は外壁の塗膜が劣化して、塗膜表面が粉状になって発生します。
外壁が防水性能を失っている状態のため、さらに劣化が進む可能性があります。
カビやコケの発生
チョーキング現象が起こっている外壁や日当たり、風通しが悪いアパートの外壁には、カビやコケが発生しやすくなります。
外壁にカビやコケが発生している場合は、外観の印象が悪く入居率に影響するでしょう。
屋根、屋上の劣化
屋根や屋上は見る機会がなかなかないため、劣化に気づきにくい場所です。屋根や屋上に損傷があれば、劣化しているサインといえます。屋上にはシート防水を施していることが多いため、ひび割れや膨れがあれば劣化が進んでいると考えてよいでしょう。
また、屋上は排水にも注意が必要です。排水口が落ち葉やゴミでふさがっていることがあります。ゲリラ豪雨のような短時間に集中して雨が降ると、屋上に水が溜まってしまうため注意しましょう。
設備の劣化
浴室やトイレといった水回りの設備の故障が増えたら、アパートが老朽化しているといえます。修理できない場合は交換する必要があり、部屋数が増えると費用も高額になります。
また、見た目でわかりにくいため、なかなか気づきにくいのですが、水道の配管の劣化が原因で水漏れが発生することもあります。配管が詰まって給排水に問題が生じた場合は、高額の修理費用がかかるでしょう。
築30年がアパートの寿命の目安
アパートの構造によって異なりますが、木造であれば法定耐用年数は22年です。ただし、法定耐用年数は税制上定められた年数で、減価償却の目安にするためなので、実際の寿命をあらわしてはいません。
しかし、木造のアパートは法定耐用年数の22年を過ぎた築25〜30年あたりから、建物の劣化の進行が早くなります。
築30年を超えたアパートは、老朽化が進んでいると考えてほうが無難でしょう。
老朽化したアパートにはリスクがある
老朽化したアパートは、アパート経営において実際にどんなリスクがあるのか解説します。
空室が長引き、家賃収入が低下するリスク
アパート経営には空室がつきものですが、老朽化すると新しい入居者が集まりにくくなります。近隣の新築アパートや築浅アパートを入居者が選び、空室の期間が継続してしまうかもしれません。
老朽化したアパートは外観や内装、間取りが需要と合っておらず、水回りの設備も古くなっているため、家賃を下げるなどの対策が必要になるでしょう。
空室が長引いたり家賃を下げたりすると想定より収入が低下し、利回りが低下する原因になります。
修繕費用が増加するリスク
アパートの老朽化が進むと、水回りの設備の修理や交換などの修繕費用が増加します。空室が増加して収入が減っている状態だと、外壁や屋根、屋上などの修繕ができないこともあります。
必要な修繕ができないと空室がさらに増加し、家賃収入が低下するため、アパート経営が悪循環に陥るかもしれません。
耐震性の低さによる安全面の不安リスク
アパートは経年劣化によって、耐震性が低下します。雨漏りによる柱や梁など構造部分の腐食や、シロアリ被害で耐久性を失っている場合などは、耐震補強工事が必要になることもあります。
また、1981年6月以前に建てられたアパートは、旧耐震基準の建物のため注意が必要です。震度6〜7程度の地震で倒壊しない新耐震基準と違い、旧耐震基準は震度5程度の地震で倒壊しない低い基準となっています。
近年、地震が増加していることもあり、旧耐震基準のアパートは、対策なしで新しい入居者を集めるのは難しいでしょう。
資産価値が低下するリスク
アパートの売却価格は、立地条件や築年数などの条件に加え、アパート経営で重要な利回りが大きく影響します。老朽化で空室が増加したり、家賃収入が減ったりすると資産価値が低下してしまうでしょう。
また、築年数が古いアパートの場合、融資が受けづらい傾向にあります。購入するにはある程度の自己資金が必要になり、購入する人が限られるため売却が難しくなります。
老朽化したアパートの選択肢
老朽化したアパートを放置して、何も対策しないと入居率の低下につながります。そのため、アパート経営を続けるには、できるだけ早く対処する必要があります。
対策にはリノベーション、建て替え、売却などの選択肢がありますが、それぞれにメリット、デメリットがあるため注意が必要です。
それぞれの特徴を理解し、どれが一番適しているか検討しましょう。
アパートのリノベーションをする
リノベーションとは間取りを変更したり、新たな付加価値をつけたりして、アパートの価値を高める方法です。
2DKを1LDKに変更、3点ユニットバスを浴室・トイレ別に変更などの間取り変更や、オートロックの導入、オール電化への変更などが考えられます。
メリット
リノベーションのメリットは、老朽化したアパートの見た目や内装を見違えるほど変化させられることです。老朽化したアパートの外観や古い設備が原因で入居率が低下している場合、有効的な方法といえるでしょう。
近隣の競合物件やニーズを調査して、効果的なリノベーションを行えるよう検討してください。
デメリット
外観や内装が新築のような見た目になっても、構造躯体は変わりません。旧耐震基準のアパートはリノベーションしたあとでも、耐震性の不安が残ります。
リノベーションと同時に耐震補強工事をする場合は、多額の費用がかかるため注意が必要です。
アパートを建て替える
老朽化したアパートを解体し、新しく建ててしまうのもひとつの方法です。旧耐震基準であれば新耐震基準で建て替えられるため、大地震の不安も軽減できます。
また、新築アパートになるため、築年数の古さから避けられることもないでしょう。
メリット
いまの入居者のニーズに合わせたアパートにできるため、建て替えたあとは安定した入居率と収益を期待できます。耐震性や耐久性の不安も解消されるため、アパートの立地条件に問題がなければ、土地を手放すことなく有効活用できるでしょう。
デメリット
建て替えるには、現在の入居者に退去してもらう必要があります。入居者に対して立ち退き交渉を行い、すべての入居者から同意が得られなければ建て替えられません。立ち退き交渉には時間と労力、費用がかかります。
また、老朽化したアパートの解体費用、新築を建てる費用、立ち退き費用を合わせると多額の費用が必要です。
アパートを売却する
さまざまなことを検討し、対処する必要のあるアパート経営から手を引くのもよいでしょう。アパートは入居者がいたとしても、オーナーチェンジ物件として売却できます。
アパートを売却して得た資金をもとに新しいアパートを購入し、アパート経営を続けることも可能です。
メリット
アパートの売却は、もっとも手軽にできるのが最大のメリットです。不動産会社に売却を依頼するだけで済みます。リノベーションや建て替えなどの費用や、打ち合わせなどの時間や手間がかかりません。
アパート経営の立て直しに悩むことなく、問題を解消できるでしょう。
デメリット
老朽化したアパートは、期待するような価格で売却できないかもしれません。特に入居率の低下しているアパートなら、不動産投資家であれば避けたいと考えるでしょう。
少しでも高く売却したいと考えたら、空室を埋めるなどの改善が必要です。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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