不動産投資
2024.01.30

アパートでも任意売却は可能?利用するメリット、流れを解説

アパートでも任意売却は可能?利用するメリット、流れを解説

ローンを組んでアパート経営をしていたものの、思うようにいかないことがあります。しかし、アパートを売却してもローンを完済できなければ、赤字経営を続けることになるでしょう。ローンの返済に滞るほど、アパート経営に行き詰まったら、任意売却などの方法を検討することになります。

一般的な住宅と同じように、アパートでも任意売却はできるでしょうか。アパートの任意売却について解説します。

この記事の目次

アパートでも任意売却はできる?

一般の居住用の住宅ではなく、賃貸収入を得るためのアパートであってもローンの支払いが難しいときには、任意売却をすることが可能です。

アパートの任意売却について、まずは基本的なことから解説します。

入居者がいる場合はどうなる?

アパートに入居者が住んでいたとしても、オーナーチェンジ物件として任意売却ができます。しかし、オーナーチェンジ物件の任意売却をする場合は、入居者のことを考慮する必要があります。

賃貸契約の内容は基本的に新しいアパートのオーナーに引き継いでもらい、家賃の振込口座を変更するなどの手続き関係も滞りなく完了させる必要があるでしょう。

また、以前の賃貸契約によって入居者の権利は守られているため、新しいアパートのオーナーが家賃の値上げを提案しても、入居者は応じる必要はありません。

競売にはどんな不利益がある?

競売とは支払いの滞ったローンを回収するために、金融機関が裁判所のもとで不動産を売却する手続きのことをいいます。

競売物件は購入者にさまざまなリスクがともなうため、相場より大幅に安い価格で落札されます。さらに、競売の情報は新聞やインターネットで公表されるため、知人や近所の人に知られる危険性があるでしょう。

また、競売は裁判所主導の公的な手続きとなるため、もともと締結していた賃貸借契約の内容が引き継がれないこともあり、入居者に不利益が生じます。

家賃を値上げされたり、規約の変更を求められたりするほか、最悪のケースだと立ち退きを要求されることもあります。入居者のことを考えるのであれば、競売は避けたほうがいいでしょう。

任意売却をしたあとはどうなる?

任意売却をしたあともローンの残債があるため、支払い続ける必要があります。ただし、金融機関によっては返済期間を延ばすなど、返済条件を変更してくれることもあります。そのため、任意売却後の返済計画を、金融機関へ相談することをおすすめします。

任意売却をすると自宅はどうなる?

自宅を所有している人がアパートなどの投資物件の任意売却をする場合、自宅の取り扱いは、残債の状況と金融機関の考えによって異なります。

たとえば、任意売却によってアパートなどの投資物件のローンをほぼ返済し、残債の具体的な返済計画を金融機関に対して示せるなら、売却せずに済むこともあるでしょう。

しかし、ローンの残債も残っている状況で、具体的な返済計画を示せない場合や誠意がないと金融機関に思われた場合などは自宅の売却を求められることがあります。

任意売却とは?わかりやすく解説

一般的な不動産取引と比べると、任意売却はあまりなじみのない売却方法です。しかし、返済の滞ったローンの返済をするために行うものですから、間違いなく進めるため、正確に把握しておく必要があります。

任意売却とはどういった不動産取引なのか、基本的なことやメリット、デメリットについて解説します。

任意売却とは

任意売却とは、ローンの支払いができなくなったときに、金融機関の了承を得て、条件つきで不動産を売却することをいいます。任意売却により、物件を競売にかけられる前に、一般的な不動産取引で売却することが可能です。競売を避けるための売却方法といえるでしょう。

任意売却をしたあとも引き続きローンを返済する義務はありますが、金融機関に相談して返済期間を延ばすなどの対応をしてもらうこともできます。

任意売却のメリット・デメリット

任意売却を利用するときは、どういったメリットとデメリットがあるのか把握することが大切です。任意売却のメリットとデメリットを紹介します。

メリット

任意売却は通常の不動産売却と細かな手順は異なりますが、基本的な売却方法は同じため、相場に近い金額で売却できる可能性があります。通常の売却と同様、契約日や引き渡し日も金融機関に相談しながら決められます。

また、競売のようにインターネットや新聞に情報を公開されることがないため、周囲に事情を知られることがありません。

デメリット

任意売却をするときはローンを滞納しているため、金融機関の事故者情報に登録され、ブラックリストに載ることになります。新しくローンが組めず、クレジットカードの契約もできなくなることは覚悟しておく必要があるでしょう。

金額や期間によって異なりますが、一般的には5~7年はブラックリストから消えないため注意が必要です。

任意売却ができないケース

任意売却は、金融機関の了承が得られれば必ずできるものではありません。任意売却ができないケースを見ていきましょう。

売却が期日に間に合わない

任意売却も通常と同じように、不動産会社に売却を依頼して、購入者を探してもらいます。しかし、期日までに売却が完了しないと、そのまま競売にかけられてしまうため注意が必要です。

買い手がつかない

任意売却物件の場合は、契約不適合責任が免責になっていることが多く、購入者にリスクがあるため敬遠されがちです。契約不適合責任とは、アパートに何らかの不具合や欠陥があった場合に負う責任のことです。

立地や築年数などアパートによって条件はさまざまですが、買い手がつかないケースがあることは認識しておきましょう。

自治体から差し押さえが入る

固定資産税などの税金を滞納している場合は、自治体から物件を差し押さえされることがあります。こういった状態だと金融機関が任意売却に了承していても、売却できないため注意しましょう。

任意売却を利用する流れ

それでは実際にアパートの任意売却をするには、どのような手続きが必要か見ていきましょう。

金融機関から催促状が届いたら、現状を把握する

ローンの返済を滞納して金融機関から催促状が届いたら、残債を確認し、売却価格の相場を調べてみましょう。投資物件サイトで類似物件を調べ、アパートの売却金額でローンの完済ができるか判断します。

アパートの売却金額で残債を完済できそうになければ、金融機関に任意売却の相談をしてください。

金融機関に任意売却を相談する

現状の把握ができたら、ローンを借りている金融機関に任意売却の相談をします。ローンの返済条件を見直し、返済を継続できそうであれば任意売却を認められる可能性は低くなります。

ローンの残債が多くてアパートの売却資金でも完済できそうにないのなら、任意売却が認められるでしょう。

任意売却をすることに決めたら、ローンを借りている金融機関に任意売却に関する申請書を提出します。申請書には、売却を依頼する不動産会社を記入する必要があるため、任意売却の経験がある複数の不動産会社にアパートの査定を依頼し、信頼できる会社を選定しましょう。

アパートを査定する

不動産会社の担当者が実際にアパートを訪れ、アパートの物件情報や市況などを考慮し、査定します。査定金額が出たら、査定結果をもとに金融機関と相談して売り出し価格を決定します。競売と異なり自分の意見を主張できますが、金融機関を納得させる必要があります。

売り出し価格に対して金融機関の了承が得られない場合は、先に進めないため注意しましょう。

不動産会社と媒介契約を締結する

アパートの売り出し価格が決定し、金融機関から任意売却の許可が得られたら、不動産会社と媒介契約を締結します。3〜6カ月の売却期間がかかることが一般的ですが、競売にならないように、できるだけ早い売却が望ましいでしょう。

売買契約を締結する

任意売却の場合も通常のアパートと同様の売却活動が行われます。購入者が見つかり、条件等合意できれば、売買契約を締結します。

決済、引き渡しをする

売買契約締結後、準備が整ったら残金を決済して、アパートを引き渡します。

アパート売却の流れは、通常の売却と変わりませんが、任意売却の場合はローンの支払いは残ります。金融機関に相談して、返済期間を延長するなど返済条件を見直してもらい、月々の負担を減らしてもらいましょう。

アパートの任意売却を成功させるコツ

競売になると著しく安い価格で売却することになるため、任意売却の承認が得られたら、確実に売却させることが大切です。アパートの任意売却を成功させるコツを紹介します。

任意売却が得意な不動産会社に依頼する

任意売却は、通常の不動産売却と流れや方法は変わりませんが、専門的な知識や経験が必要です。不動産会社選びが、任意売却を成功させるカギといっても過言ではないでしょう。

経験豊富な不動産会社であれば、金融機関が任意売却の許可を出してくれる可能性が高くなります。

早めに相談して、早めに動く

任意売却を成功させるためには、早めに動くことが先決です。金融機関から催促状が届いたら、すぐに現状を把握し、相談しましょう。

現在滞納していない場合でも、先々支払いが厳しくなることがわかっている場合は、ローンを滞納する前でも金融機関に相談してください。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典

小田急グループの総合力を活かしながら、これまで幅広く不動産実務を経験して参りました。現在は、本社営業センターの責任者を務めております。私たちの発信が人生100年時代の選択肢を広げるきっかけになれれば大変うれしく思います。 著者の記事一覧はコチラ
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