不動産投資
2023.12.25

アパートが売れないのはなぜ?原因と対策を詳しく解説

アパートが売れないのはなぜ?原因と対策を詳しく解説

アパートが売れない原因には様々なものがあります。

その原因はひとつではなく、築年数や入居率、価格設定などさまざまなどあらゆる要因が複雑に関係しています。物件の条件だけでなく、依頼する不動産会社が不適切なケースもあるでしょう。

アパートが売れない原因を見極めて、それぞれに合った対策をしましょう。

この記事の目次

アパート売却は6カ月以内を目標に!

アパートの売却にかかる期間は個別のケースによって差があります。早ければ売り出してすぐ、買い手がなかなか現れない場合は1年以上かかることもあります。

ただ基本的には、収益物件であるアパートは自己居住用の物件よりも売却に時間がかかる傾向にあると理解しておきましょう。

理由のひとつは、自己居住用物件と違ってアパートの買い手は投資目線で購入の検討が必要なためです。利回りの想定などさまざまな要素が関わっており、資金調達の面でもハードルが高くなるという事情があります。

つまり、市場で買い手を探す難易度は自己居住用物件よりも高いといえるでしょう。

そのため、自己居住用物件は売り出してから約3カ月の期間を目安に売却を進めるケースが多いですが、アパートは6カ月以内に売ることを目標に計画を立てるとよいでしょう。

もちろん、早めに売却が実現できればそれに越したことはありません。売り出し期間が長引けば「売れ残り物件」のイメージが付いてしまい、見込み客から余計に敬遠されてさらに売れにくくなります。

アパートが売れないことには、必ず原因がある

アパートを売りに出したけど想定より市場の反応が薄いなら、売れない原因の精査が重要です。原因によって取るべき対策も違います。

原因1:築年数が古い

アパートに限らず、築年数が古くなると不動産はどうしても売れにくくなります。

さらに、収益物件であるアパートの場合は、さらに売れにくくなる事情があります。

アパート経営では減価償却費として一定の経費計上が可能で、これにより税金面で有利になります。

減価償却は、法定耐用年数が過ぎると経費計上が認められなくなります。木造アパートの場合耐用年数は22年とされており、それ以降は減価償却が認められません。

購入する側としては減価償却ができない物件はそれだけ利益を圧迫することになるため、購入に慎重になります。

つまり、築年数が古いアパートの場合は、以下2つの面で売れにくいといえます。

  • 入居者が見つかりにくい
  • 減価償却ができなくなる

原因2:入居率が低い。空室が多い

入居率が低く、空室が多い物件も市場では敬遠されます。購入を考える側から見ると購入後に収益を上げられるか不安だからです。

アパート経営に特化した不動産会社に直接買取を依頼できれば、その専門性を生かして入居率を回復させられるかもしれません。

しかし、一般の不動産投資家などが買い手候補の場合、現状で入居率が悪いと敬遠されるのが普通です。

原因3:売り出し価格の設定が間違っている

売れない原因でよくあるのが、売り出し価格の設定ミスです。

通常、物件の売り出しに際しては、不動産会社が適正な売り出し価格の算定を行います。しかし、アパートの取り扱いに明るくない不動産会社が担当してしまうと価格設定にミスが出ることがあります。

アパートの価値は周辺のライバル物件と比較した相対的評価も大きく関係します。

築年数や想定利回りなどの条件が似た物件が近くにある場合、買い手は当然両者を比較します。

その他の条件が同じであれば当然価格は安いほうがよいわけで、価格設定がうまくできないと客はほかのライバル物件に流れてしまいます。

また、当初の価格設定が適切だったとしても、売却期間が長引くと周辺のライバル物件の売り出し情勢が変わり、知らない間に割高な設定になっていたという例もあります。

原因4:不動産会社との相性が悪い

不動産の売却は戸建てやマンション、アパートなどその物件の種類に応じて強みのある不動産会社に依頼するのが鉄則です。

たとえば、アパートの売却を居住用のマンションが得意な不動産会社に依頼しても、買い手探しに時間がかかったり、買い手が付かずに売れ残ってしまったりするおそれがあります。

また、不動産会社の担当者も人ですから、相性の良し悪しがあります。コミュニケーションにストレスを感じてしまう場合は、スムーズに売却を進めるのは難しいでしょう。

原因5:契約の種類が適切でない

アパートを売却するための仲介を依頼する際、契約には以下の3種類があります。

  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約

専属専任媒介契約と専任媒介契約は1社だけに依頼できる契約です。一方で一般媒介契約は複数の不動産会社と契約できます。

どれを選ぶかは不動産会社と協議しながら最終的に売主が決めますが、媒介契約の種類によって売却がうまく進まないおそれがあります。

せっかくアパートの取り扱いが得意で買い手探しがうまい不動産会社に依頼するのに、他社へ重ねて仲介の依頼ができる一般媒介契約にすると、不動産会社側のやる気を削いでしまい売却が進みにくくなるかもしれません。

逆にアパートの取り扱いが得意でない所で専属専任媒介契約、もしくは専任媒介契約の契約形態にしてしまうと、ほかの不動産会社には相談できなくなるため、八方ふさがりとなることもあります。

アパートが売れないときの対策

アパートが売れないのにはさまざまな原因がありますが、適切な対策を取ることで売れる可能性があります。

売却時期を見越してタイミングを調整する

相続などで予期せず手にしてしまったアパートだと難しいかもしれませんが、可能であればアパート経営は売却時期を最初から見据えておき、早めに行動を始めましょう。

前述したように、アパートは減価償却が可能な法定耐用年数が残っているかどうかが、売れやすさに影響を与えます。

すでに年数が経過してしまっている場合はほかの対策が必要ですが、早めに売却を検討するのが望まれます。

入居率をできるだけ上げておく

買い手に魅力的に見せるため、先だって入居率を上げておくと有利になります。

入居者が決まりやすいように敷金や礼金をなくす、家電プレゼントなどのおまけを付けるなどの工夫が有効です。

ただし、容易な家賃の引き下げは避けましょう。家賃の引き下げは利回りが悪くなり、買い手側としては魅力が落ちてしまいます。

価格設定を適宜見直す

図らずも売却期間が長引いてしまったら、適切な時期に価格設定を見直し、周辺のライバル物件と比較して見劣りしないように調整しましょう。

ただし、値下げによってアパート経営全体の収支バランスが取れなくなってしまうおそれもあるため、慎重に行う必要があります。

契約の種類を見直す

現在、不動産会社と一般媒介契約を結んでいる場合は、専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約への切り替えも検討しましょう。

専属専任媒介契約や専任媒介契約は1社だけに売却を依頼する契約です。不動産会社からすると、買い手を見つければ仲介手数料が確実に手に入るため、より積極的に売却活動を行ってくれる可能性があります。

不動産会社を変える

思い切って売却を依頼する不動産会社を変更するのも有効な手段です。

購入の相談自体が少なく、オーナーの疑問や質問にも自信を持って答えてくれないような場合は、アパートの取り扱いが得意ではないのかもしれません。また、アパート売却の実績が豊富でも、不得意なエリアの可能性もあります。

その場合は見切りをつけて他社に乗り換えを検討しましょう。

アパートの売却は大手不動産会社に依頼しよう

前述したとおり、アパートが売れにくい原因には築年数や現状の入居率などがあります。しかし、このようなオーナーサイドの事情があっても、価格設定などで十分な魅力を出せれば見込み客にアピールできます。

この販売戦略こそ、仲介する不動産会社の腕の見せ所です。つまり、不利な物件でもアパートに強い不動産会社が味方につけば売却を実現させられます。

収益物件であるアパートの売却は、居住用物件よりも専門的な知識や経験が求められ、市場動向をつぶさに捉える力が求められます。

地元中心の中小の事業者では十分な対応が望めないことが多いため、全国展開している不動産会社に相談してみるのがおすすめです。

また、アパート経営を考える投資家は自分で住むわけではないため、遠方の物件も購入対象として考えます。そのため、全国にいる投資家を見つけるには、やはり全国展開する不動産会社が適任でしょう。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
後藤 悦史

難解なイメージのある投資不動産の取引について、『わかりやすく』お伝えすることにこだわってます。不動産投資は、それぞれ置かれている状況、ご事情やご希望条件によりゴールへの道筋が異なります。皆様にとって最適な道標を描くヒントとなれるような情報発信を心がけます。 著者の記事一覧はコチラ
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