不動産投資
2023.11.30

アパート廃業手続きの方法や売却パターンを徹底解説

アパート廃業手続きの方法や売却パターンを徹底解説

開業時と同様に、アパートの廃業には各種手続きが必要です。

また、アパートの廃業手続きを行う際は、物件をどのように売却するかの戦略も重要です。満室にして収益性を上げてから売りに出したり、古いアパートなら更地にして土地だけで売却したりするパターンもあります。

アパートの廃業について、具体的な手続きの方法や期限、物件の売却方法を紹介します。

この記事の目次

アパート廃業手続きの方法

アパートを廃業する際に必要な各種手続きについて解説します。

廃業届の提出先と期限

アパートの開業時には開業届を提出しているため、廃業時には「廃業届」の提出が必要です。廃業から1カ月以内に納税地を管轄する税務署で手続きを行います。

「廃業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」は国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」からもダウンロードできます。

なお、廃業届の期限を守らなくても罰則などはありません。ただし、事業を廃業したことが税務署には伝わらないため、課税関係の通知がそのまま届き続けることになり、無用なトラブルが発生する可能性がないとはいえません。そのため、早めに手続きをしておきましょう。

提出方法は税務署に直接持参するほかに、郵送で送付もできます。いずれにしろマイナンバーカードあるいはそれに準ずる2種類の書類が必要です。郵送の場合はマイナンバーカードの両面をコピーして同封します。

廃業届の記入で注意するポイント

国税庁が提示している「書き方」によると、廃業届の記入のポイントは以下のとおりです。

廃業届の記入で注意するポイント 廃業届の記入で注意するポイント

引用:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」を加工

①所得の種類
  • 事業所得のある事業を2以上行っている場合は「全部」or「一部」廃業を選択(一部の場合は廃業する事業()内に記入)
  • アパート経営を事業として行っている場合、廃業届の所得の種類は「不動産所得」にチェックする
②開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
  • 青色申告の届出をしている場合には「青色申告の取りやめ届出書」の欄に「有」、していない場合には「無」を選択
  • 消費税の課税事業者の届出をしている場合には「事業廃止届出書」の欄に「有」、していない場合には「無」を選択
③給料の定め方 従業員がいる場合、日給・月収などの区分を記入
④給料等の支払の状況 従業員がいる場合には、届け日現在で全員が納税すべき税額がない場合には「無」、それ以外は「有」を選択

廃業届以外の提出書類

廃業届以外にも、事業者によっては提出が必要な書類があります。以下に提出書類と提出が必要な事業者について表にまとめました。

廃業手続きで提出が必要な書類
提出書類 対象 期限 書類のダウンロード
所得税の青色申告の取りやめ届出書 青色申告の承認を受けていた事業者 青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日まで 国税庁「所得税の青色申告の取りやめ届出書
事業廃止届出書 消費税の課税事業者 すみやかに 国税庁「事業廃止届出書
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 給与の支払を行っている事業者 廃止の事実があった日から1カ月以内 国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書 予定納税を行っている事業者
  • 第1期分および第2期分:その年の7月1日から7月15日まで
  • 第2期分のみ:その年の11月1日から11月15日まで
国税庁「令和5年分所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書
事業開始(廃止)等申告書(個人事業税) 個人事業税を納めている事業者 事業の廃止の日から10日以内 書式は納税地による

注意点としては、個人事業税だけは地方税のため、事業開始(廃止)等申告書(個人事業税)の提出先は税務署ではなく県税・都税事務所です。

その他必要な手続き

アパートの廃業手続きで、事業廃止の手続きと合わせて忘れてはならないのが公共料金やインターネットなどの解約です。

  • 電気
  • ガス
  • 水道
  • インターネット
  • ケーブルテレビ

「解約を忘れていて何カ月も不要な基本料金が引き落とされていた」ということがないように、契約しているものがすべて解約できているか確認しましょう。

廃業理由から考えるアパートの売却パターン

アパート経営を辞めたい理由によってアパートを手放す方法にもいくつかパターンがあります。

そのままオーナーチェンジ物件として売却する

収益と関係なくアパート経営が負担になったことが理由で廃業する場合は、そのままの状態でオーナーチェンジ物件として売却するのがひとつの選択肢です。

新しいオーナーに物件をまるごと売却し、アパート経営を譲渡して業務を引き継ぎます。入居者の負担もなく、そのままアパートを有効に活用してもらえるのがメリットです。

売却先の見つけ方としては、以下のような方法があります。

  • 不動産会社に依頼して新たにアパート経営を行いたい投資家を探す
  • 近隣で同じくアパート経営をやっている仲間がいれば声をかけてみる

十分な収益が出ているなら収益性を上げてから売却する

これまでの家賃収入で目標の収益を達成したため、出口戦略としてアパートの価値があるうちに早めに廃業を検討するケースもあります。その場合、収益性をさらに上げてから売却するのもひとつの方法です。

投資用不動産の利回りには、満室時の収入で計算する表面利回りと、現在の家賃収入で計算する実質利回りがあります。表面利回りだけでなく、実質利回りも高いほうが高い価格で売却できる可能性が上がります。

あと少しで満室になるようなら、以下のような対策をして空室を埋めたほうが結果的に利益が出るかもしれません。

  • 家賃を少し下げる
  • フリーレントや礼金0にして初期費用を抑える

また、リフォームや外壁塗装などを行って、物件の状態をよくして売却する方法もあります。費用をかけて対策を行うべきか迷う場合は、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

古いアパートなら更地にして売却する

アパートが古くなり、空室や修繕費の増加を理由に廃業を決めるオーナーもいるでしょう。

古いアパートは、そのまま売りに出しても買主が見つからないケースもあります。買主からすれば、購入後にリフォームなどの手間をかける必要があるためです。

その場合、建物を解体して更地にし、土地だけで売却する方法があります。解体には費用がかかるものの、更地なら活用の選択肢が広がるため購入希望者も増え、売却できる可能性が高いでしょう。

アパート廃業手続きの前にすべきこと

アパートを売却して廃業するには、事前に綿密な計画を立てる必要があります。実際に廃業手続きを行う前にすべきことを紹介します。

まずは不動産会社へ相談する

アパートの売却を検討している場合、まずは経験豊富な不動産会社への相談がおすすめです。

不動産会社では市場動向や物件の評価、周辺の需要や相場だけでなく、廃業手続きについても案内してもらえます。

また、自分で調べただけではわからない、あるいは判断できないアパートの状態に合わせた具体的なアドバイスを提供してくれるでしょう。

売却するかどうか迷っている場合でも、相場や現状を知っておけば判断の手助けになります。

入居者を退去させる場合には十分な期間を取る

古いアパートで入居者が少なく、入居率を上げるより退去させたほうが売却しやすいと判断した場合、入居者に対して立ち退き交渉を行う必要があります。

立ち退きにおいて注意したいのが、賃貸借契約において入居者の権利が強い点です。そのため、以下の2つが必要です。

  • 1年から6カ月前までに更新拒絶の通知
  • 立ち退きの正当事由

正当事由のひとつには、アパートの老朽化もあります。築50年を過ぎているアパートの場合、1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準の可能性が高く、地震による倒壊の危険性から立ち退きの正当事由となり得ます。

しかし、正当事由があったとしても、一般的には立ち退き料が必要です。築年数の経過した建物も例外ではなく、引っ越し代と初期費用として家賃のおよそ半年分の立ち退き料を支払うのが一般的です。

また、交渉成立までや入居者が次の引っ越し先を探すまでの時間もかかります。トラブルにならず円満に退去してもらうためには十分な期間を取りましょう。

アパートの売却戦略を立てる

アパートの廃業が決定したら、物件の売却戦略を立てましょう。古いアパートでも収益性が高いならオーナーチェンジ物件として、空室が多いなら費用をかけても解体して更地として売却したほうがよいでしょう。

また、立地によっては売却ではなく、アパートを建て替えたり、土地をほかの方法で活用をしたりする選択肢もあるかもしれません。

売却するにしても、売り出し価格の設定や周辺の不動産市場の調査、広告宣伝の方法や売り出しのタイミングなど、戦略によって売却価格も変わってきます。

アパートの売却実績が豊富な不動産会社と協力して、十分な事前準備をしたうえで最適な戦略を立て、できるだけ高い金額での売却を目指しましょう。

この記事を書いた人

著者写真 TERAKO編集部
小田急不動産
佐藤 元則

小田急グループの総合力を活かしながら、これまで幅広く不動産実務を経験して参りました。現在は、本社営業センターの責任者を務めております。私たちの発信が人生100年時代の選択肢を広げるきっかけになれれば大変うれしく思います。 著者の記事一覧はコチラ
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