アパート経営で失敗する原因4選。対策と失敗際の対処法を解説
投資の側面を持つアパート経営では、最初の物件選びや運用方法を誤ってしまうと、失敗するおそれがあります。
では、アパート経営で失敗する原因や理由にはどのようなものがあるのでしょうか。失敗を未然に防ぐ対策や、もし失敗してしまった場合の対処法についても紹介します。
この記事の目次
アパート経営が失敗する原因・要素4選
アパート経営はさまざまな要素から失敗につながることが多いです。
そもそも赤字になってしまうと事業として成り立ちません。そのため、これからアパート経営をする方は事前に失敗する原因を理解しておきましょう。
ここでは代表的な失敗例を4つ紹介します。
利回りだけでは物件を判断してしまった
投資物件を選定する際のひとつである、利回りだけで物件を選んでしまうと、赤字になってしまう可能性も高まります。
利回りとは、投資資金に対して1年間で資金回収できる割合を示し、数値が高いほど収益性が高いことを意味します。
たとえば利回りが10%の場合、10年間で投資資金を回収できるということです。
しかし、価格の安い物件ほど利回りが高くなるため、高利回りの物件は立地が悪いケースや老朽化している物件が多く、入居者から人気のない物件となる傾向にあります。その結果、現在の入居者が退去してしまった後、新たな入居者を確保するのが困難となり、家賃収入が得られず赤字となってしまうことが考えられます。
さらに売却したくても立地が悪く、リフォームに多額の費用がかかってしまうため、購入希望者が見つからないという事態にもなりかねません。
このように、利回りだけで投資物件を選定するのは、失敗につながる原因になる可能性があります。
空室期間が長く収入が低くなった
空室期間が長いということは、得られる家賃収入が減ることを意味します。アパート経営をする方の多くは金融機関からの融資を受けて投資しますが、空室が発生すると返済原資が不足する可能性も高まります。
特に、アパート経営は2月3月の繁忙期を逃すと、新たな入居者を見つけるまでに時間がかかるケースが少なくありません。その結果、空室期間が長くなり、借入返済を自己資金で対応することになったという失敗例もあります。
金融機関の返済に圧迫された
金融機関からの借入額が高額となり、毎月の返済に圧迫されたというケースも多いです。前述したとおり、アパート経営を始める方の多くは金融機関からの融資を利用します。
始める際の自己資金の割合を抑え、借入額が多くなると、毎月の返済額も高額になってしまいます。空室が発生した時に、返済できなくなる可能性も高まるでしょう。
また、日本ではいまだに量的緩和政策が続き、低金利が続いていますが、メガバンクなどは住宅ローンの金利の引き上げを発表したため、今後アパートローンなどの金利も高まることが予測できます。しかし家賃収入は増えないため、返済に圧迫される方も増える可能性が高いでしょう。
リフォーム費用がかさんだ
アパートは老朽化すると定期的なリフォームが必要です。しかし、毎月積立をしていなかったためにリフォームができず、劣化していく一方となった失敗例もあります。
劣化すると退去者が増えるだけでなく、新たな入居者の確保が困難になります。入居者がいなければアパート経営は成り立たないため、定期的なリフォームができる費用を用意しておくことが重要です。
失敗を防ぐアパート経営のポイント3選
アパート経営を失敗しないために注意すべき3つのポイントを紹介します。
エリアのマーケティング調査を行う
投資する物件のエリア調査を行います。具体的には以下のポイントについて調べましょう。
- 需要があるエリアかどうか
- 需要のある間取り
- 相場家賃
投資する物件のエリア調査では、高い入居率を維持するためにも、賃貸需要があるのかを調べます。たとえば大学や商業施設、大手企業の工場社員がターゲットとして見込まれるなどがポイントです。
また、需要のある間取りについても調べましょう。大学付近でアパート経営を行う場合、2LDKや3LDKなどのファミリー層のアパートを経営しても入居者を確保するのは困難です。
需要に合った間取りを選び、相場家賃をチェックし、入居者を確保できるアパートであるかを経営する前にチェックすることが大切です。とはいえ自身で調査するのは難しいため、エリア周辺の不動産会社などに確認してみましょう。
出口戦略を決めておく
アパートは築古になるほど、買い手から魅力のない物件となるため、出口戦略である売却タイミングを考慮しておくことが大切です。
アパートは古くなるほど、リフォーム費用などのコストがかかります。リノベーションして入居者を確保することも可能ですが、日本人は新しいものを好む傾向にあるため、築浅物件のほうが人気が高まってしまいます。
もちろん家賃差などで競合アパートと差別化もできますが、事前に出口戦略を考慮しておくことで、古くなる前に高値で売ることもできます。
修繕費用を積立しておく
アパート経営は、老朽化に伴うリフォームだけでなく、給湯機が壊れたり、エアコンが壊れたりなど、急な出費が発生する可能性が高いため、毎月一定金額の修繕費用を積立しておくことも大切です。毎月得られる家賃収入から一定金額を積立しておくことで、イレギュラーな支出にも対応できます。
積立金の目安は、経営しているアパートの規模によって異なります。
エアコンや給湯機などは10年に1度の交換が必要で、1世帯あたり20万円前後の費用がかかります。さらに、将来的に外壁や屋根塗装など、数百万円単位の費用が発生することを踏まえて計算しましょう。
具体的な金額に関しては、相談している不動産会社へ確認してみましょう。
アパート経営に失敗したときの対応策
もし、アパート経営に失敗したときにはどのような対策があるのでしょうか。ここでは3つの方法を紹介します。
即座に売却する
アパート経営を行っていたものの、入居者が見つからずに家賃収入が得られない物件となってしまった場合、即座に売却するのもひとつの方法です。
もちろん収益性が低い物件は安い価格で売却することにもなりますが、「固定資産税ばかりかかる」などの負の財産をいつまでも持っている必要性がありません。そのため安値になったとしても売却を選ぶことも対応策のひとつとなります。
競合物件との差別化を図る
アパートの入居者が確保できない状態が続いた場合、競合物件との差別化を図ることが大切です。
具体的には、「リノベーションしてデザイナーズ物件にする」「ペット可物件にする」などが挙げられます。
また近年では、スマートフォンやAIの普及からIoT賃貸にしている方も見受けられます。外出先でもスマートフォン1台で家の中の状況確認や鍵の施錠確認、照明のオンオフなど、防犯面としての役割もあるため、女性からの人気も高まっています。
一般的にアパートの差別化は家賃の値下げなどが挙げられますが、近年では付加価値のある物件の人気も高いため、他にはないアパートにするのも有効な対策方法です。
専門家である不動産会社へ相談する
アパート経営に失敗した際は、専門家である不動産会社へ相談しましょう。不動産会社は物件の入居者あっせんのための対策を考えているため、よいアドバイスがもらえる可能性が高いです。
アパート経営は十人十色であり、それぞれ物件によって対策方法が異なります。そのためアパート経営の経験が少ない方にとって、どの方法がベストな対応策であるのか判断するのが困難です。しかし専門家である不動産会社に相談すれば、正しい対応方法をアドバイスしてくれるでしょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久
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