アパート経営をやめたい!やめる流れや注意点を紹介
アパート経営を「やめたい」と考える状況はオーナーによって異なりますが、空室が増えて収益性が悪化し、負担に感じたときなどが考えられます。
アパート経営をやめる流れを具体的に紹介します。適切なタイミングで実行できるようにしましょう。
この記事の目次
アパート経営をやめたい!やめるタイミングかの判断基準
アパート経営をやめたいと考えたからといって、いま、やめるべきではないかもしれません。適切なタイミングかの判断基準を紹介します。
当初目標とした収益を達成しているか
アパート経営を始める際は、事前に収支計画を立てます。そのとき、どの程度の収益を目標にするのかを設定しているのが一般的です。
目標の収益を達成したときが、アパート経営を負担に感じてきた時期とマッチすれば、やめるのに適したタイミングといえるでしょう。
空室率や経営状態
- 空室率が高くなってきている
- 今後も新規の入居者が見込めない
上記に当てはまるときは、やめるタイミングといえます。
アパートを維持し続けると、修繕費や入居促進費用などの必要経費が年々増えてきます。特にアパートが古くなれば、多額の修繕費がかかるでしょう。
アパート経営の主な収益は、家賃収入です。収益が十分に発生しない状態でこれらの負担が続くと、近い将来にキャッシュフローがマイナスになることも想定されます。
損失が膨らむ場合は、当初目標としていた収益を達成できなくても、早めに損切をする決断が必要です。
アパートが高く売れそうか
満室状態のときで収益性が十分に高いアパートは、高く売れる可能性があります。
満室状態で売却するのは、もったいないように感じるかもしれません。しかし、価値が下がり始めた段階で、いざ売却しようとしても、安い価格でなければ売却できないかもしれません。
アパート経営では、いつ・どのように投資を終了するかの出口戦略によって最終的な収支が確定します。安く手放してしまうと、投資額を回収できないおそれがあります。
満室状態の投資物件は高利回りとして、資産価値が高い物件です。最も高値で売却できそうなタイミングで売却することも、賢明な選択といえます。
また、多少空室があっても、入居者が早く決まるようなよい物件であれば高値で売却できる可能性があります。
ローンが完済できそうか
アパート経営を始める際、ローンを組んで物件の建築や購入をする人がほとんどです。
ローンが残っているアパートを売る場合は、売却代金でローンを一括返済して抵当権を抹消するのが基本です。抵当権とは、ローンを支払えなくなったときに物件の売却代金で債務を回収する金融機関の権利です。
抵当権が付いたままの物件は、元の所有者が返済を滞ったときに差し押さえられるリスクがあるため、購入希望者から敬遠され、売却は難しいでしょう。
一方、ローンを完済しておけば、リスクが軽減されて売却できる可能性が高いため、アパート経営をやめるのに適したタイミングといえるでしょう。
ただし、ローンが完済すれば、今後は返済を気にせずに家賃収入を得ることも可能です。将来的な修繕費などを考慮して十分に収益が見込める場合は、アパート経営を続ける選択肢もあります。
アパート経営をやめる手順
アパート経営をやめる具体的な流れは、以下のとおりです。
- ローン残債を確認する
- 不動産会社による査定を受ける
- 入居者への対処方法を考える
- アパートの売却活動を行う
- 廃業届を提出する
- 公共料金の解除手続きを行う
それぞれについて詳しく解説します。
ローン残債を確認する
ローンが返済途中の場合は、アパートを売却する前に残債がいくらなのか確認しておきましょう。
売却代金でローンを完済できれば問題はありません。しかし、返済ができない場合は、自己資金でまかなったり、金融機関の許可を受けて任意売却をしたりする選択が必要です。また、やめるタイミングを遅らせる判断も必要かもしれません。
ローンの残債は、定期的に金融機関から送られてくる残高証明を確認できます。また、残高証明が不明な場合は、金融機関に問い合わせてみましょう。
不動産会社による査定を受ける
前述したとおり、アパートの売却代金でローンを完済できるかによって売却方法が異なります。
そのため、いくらで売れそうかの売却予想価格を確認しておきましょう。アパートなどの収益物件を取り扱っている不動産会社に相談して査定をしてもらうのがおすすめです。
入居者への対処方法を考える
アパート経営をやめるとき、最も重要なのが、入居者に対してどのように対処するかです。
アパートは、入居者が住んでいる状態でも売却することが可能です。満室であれば、高く売れる可能性があります。
しかし、アパートを解体して土地のみの売却を検討している場合、入居者が住んでいる状態でアパートを一方的に解体するわけにもいきません。
入居者全員に退去してもらってから廃業するのであれば、立ち退き料の支払いが必要です。また、退去を受け入れない入居者が出てきた場合は、トラブルに発展するおそれもあります。
アパートの売却活動を行う
アパートをどのように処分するのかをきめましょう。
主に、以下の2パターンのどちらかを選ぶのが一般的です。
- アパートと土地をいっしょに売却する
- アパートは解体して更地にしたうえで、土地のみを売却する
アパート経営をやめたい理由が空室率の増加や経営状態の悪化、老朽化などの場合は、そのまま売り出しても購入希望者が見つからないおそれがあります。更地にしたほうがターゲットが広がるため、売れる可能性が高いケースも考えられます。
廃業届を提出する
個人事業主としてアパート経営を行っている場合は、廃業届を税務署に提出する必要があります。提出期限は、経営をやめてから1カ月以内です。
また、廃業届と同時に、以下のような書類の提出が必要なケースもあります。
- 青色申告の取りやめ届出書
- 事業廃止届出書
詳しくは、国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」を確認しましょう。
公共料金の解除手続きを行う
当然ですが、アパート経営をやめたら、公共料金の契約解除が必要です。
電気やガス・水道など、また、それ以外にもインターネット回線などを契約していた場合は忘れずに手続きを行いましょう。
アパート経営をやめるときの注意点
アパート経営をやめるときに注意するポイントを紹介します。
入居者トラブルへの対応
アパート経営を廃業する際に最もトラブルとなるおそれがあるのが、入居者の立ち退きに関することです。
前述したとおり、入居者がいる状態のままで売却する場合はよいですが、土地のみで売却する選択肢もあります。
入居者からすれば、一方的に住まいから出ていってほしいといわれることが、納得できないかもしれません。うまく対応をしないと大きなトラブルに発展する可能性もあるため、注意が必要です。
もし入居者が、多額の立ち退き料を請求してくるなどの事態が起きた場合は、自分の力だけで解決することは難しいでしょう。弁護士などの専門家に依頼して入居者と交渉してもらうことも検討しましょう。
売却を依頼する不動産会社選び
アパートの売却を依頼する不動産会社選びにも注意が必要です。
不動産会社によって、得意な分野や物件は異なります。居住用と収益用の違いもありますし、戸建てに特化した会社もあります。アパートの取り扱い実績が豊富な不動産会社に相談しましょう。
また、アパート売却は、大手に相談するのがおすすめです。地域の情報に精通している中小もありますが、収益物件などの市場把握やノウハウが求められる物件は、やはり大手に分があるでしょう。
まずは、アパート売却が得意な大手不動産会社に相談してみましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鳥塚 正人
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