アパートの売却相場はいくら?調べ方や高く売れるタイミングを紹介
アパートの売却では、市場の動向を把握して、適切なタイミングを見極めることが成功させるコツです。
いくらで売れるかは、地域や築年数、物件の条件によって異なります。少しでも高く売るために、アパートの売却相場を知っておきましょう。
この記事の目次
アパートの売却相場
アパートの売却相場を、地域別・築年数別でそれぞれ紹介します。
ただし、平均の数値のため、あくまでも目安として考えましょう。アパートの入居率や管理状況など、さまざまな要素で売却価格は変わります。
地域別の売却相場
不動産投資と収益物件の情報サイト「 健美家(けんびや) 」の「収益物件市場動向四半期レポート 2023年4月~6月期」によると、健美家に登録された一棟アパートの地域別の平均価格は以下のとおりです。
2022年 1月~3月 |
2022年 4月~6月 |
2022年 7月~9月 |
2022年 10月~12月 |
2023年 1月~3月 |
2023年 4月~6月 |
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全国 | 7,257 | 7,330 | 7,668 | 7,756 | 7,927 | 7,935 |
首都圏 | 7,623 | 7,746 | 8,132 | 8,252 | 8,511 | 8,517 |
東北 | 4,383 | 4,095 | 4,884 | 4,708 | 4,801 | 4,927 |
信州・北陸 | 4,124 | 4,091 | 4,421 | 4,115 | 4,602 | 4,735 |
東海 | 5,809 | 5,782 | 5,982 | 6,097 | 6,238 | 6,124 |
首都圏と地方では売却相場にかなりの差があることがわかります。
また、一棟アパートの売却相場は、四半期ごとに上がっています。全国が7,935万円、首都圏が8,517万円で、2023年4月〜6月時点が一番高い価格です。
ただし、実際に成約した売却価格とは差がある可能性があります。
築年数別の売却相場
不動産投資と収益物件の情報サイト「 健美家(けんびや) 」の「収益物件市場動向四半期レポート 2023年4月~6月期」で、地域別に健美家に登録された一棟アパートの価格を見てみましょう。
2022年 1月~3月 |
2022年 4月~6月 |
2022年 7月~9月 |
2022年 10~12月 |
2023年 1月~3月 |
2023年 4月~6月 |
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全国 | 築10年未満 | 10,405 | 10,322 | 10,748 | 10,917 | 11,317 | 11,480 |
築10年~ | 8,086 | 8,290 | 8,327 | 8,081 | 8,550 | 8,352 | |
築20年~ | 5,268 | 5,217 | 5,413 | 5,359 | 5,328 | 5,455 | |
1都3県 | 築10年未満 | 10,817 | 10,701 | 11,134 | 11,306 | 11,822 | 12,013 |
築10年~ | 8,426 | 8,886 | 9,120 | 8,797 | 9,406 | 9,091 | |
築20年~ | 5,696 | 5,666 | 5,932 | 5,915 | 5,855 | 6,013 | |
東京23区 | 築10年未満 | 13,168 | 12,271 | 12,783 | 12,793 | 13,556 | 14,247 |
築10年~ | 9,923 | 10,587 | 10,899 | 11,086 | 10,990 | 11,287 | |
築20年~ | 8,374 | 8,255 | 8,461 | 8,336 | 8,109 | 8,522 | |
名古屋市 | 築10年未満 | 8,031 | 7,801 | 7,870 | 7,815 | 7,723 | 7,724 |
築10年~ | 7,392 | 6,766 | 6,920 | 6,926 | 7,096 | 7,054 | |
築20年~ | 5,685 | 5,372 | 6,027 | 5,906 | 8,203 | 7,194 | |
仙台市 | 築10年未満 | 7,597 | 6,835 | 8,115 | 8,058 | 7,748 | 8,363 |
築10年~ | 9,820 | 6,928 | 5,960 | 8,108 | 7,101 | 7,278 | |
築20年~ | 3,518 | 3,484 | 4,053 | 3,597 | 3,624 | 3,889 |
築10年未満のアパートに比べ、築20年以上の築古アパートではアパート価格の低下が見られ、平均して5,000万円以上も売却相場が下がる結果となりました。
ただし、実際に成約した売却価格とは差がある可能性があります。
アパートの売却価格を左右する要因
アパートなど不動産の売却価格を左右する要因として、立地や間取りなどが挙げられますが、アパートでは以下の3点にも注目しましょう。
- 経済状況
- 入居率
- 共用部分の管理状況
経済状況
物価が上がるインフレーション(インフレ)の状態になると、アパートを含めた不動産全般の価値が上昇します。
インフレになるとその国の通貨価値が下がり、通貨価値保全のため、実物資産である不動産を保有したいといった流れが生まれるためです。
その結果、不動産の需要が高まり、不動産価値の上昇につながります。
入居率
入居率は、その物件が入居者に需要があるのか、収益を出せるのかを表しており、アパートの売却相場を大きく左右します。
そのため、不動産会社の査定でも入居率はひとつのチェックポイントになっており、入居率が高いほうが価格交渉などで優位に立てます。
共用部分の管理状況
共用設備や共用部分の管理状況は、アパート価格を決める際に重要なポイントです。
具体的には、清掃が行き届いているか、駐輪場の防犯対策をしているかなどが挙げられます。また、給湯器が故障していたり、外装工事が必要だったり、設備面で不具合が懸念されると売却価格は下がってしまいます。
アパートは、新築から約15年で不具合の件数が増える傾向にあります。大規模修繕時期の前に売却をして、あらかじめ費用を抑える手段も有効な方法といえるでしょう。
アパートの売却相場を知る方法
地域別や築年数別にアパートの売却相場を紹介しましたが、条件によって価格は左右されます。自分が所有する物件に近い条件のアパートの売却相場を調べてみましょう。
具体的な方法は、以下の3つです。
- 土地総合情報システムを利用する
- ポータルサイトで調べる
- 不動産会社に無料査定を依頼する
条件別に調べることで、より具体的にいくらで売れそうかの想定ができます。
土地総合情報システムを利用する
国土交通省の「土地総合情報システム」では、自分の地域で取引された不動産の価格がわかります。
以下の手順でアパートの売却相場を調べられます。
- 「土地総合情報システム」のページを開く
- 時期・種類・地域を入力して検索タブをクリックする
- 取引事例一覧が表示される
種類は「土地と建物」を選びます。
表示された取引事例から、自分が所有するアパートと面積や築年数など似ている物件を確認しましょう。用途は「共同住宅」に絞って見るとよいでしょう。
ポータルサイトで調べる
不動産投資のポータルサイトで売り出されている価格を確認すれば、ある程度の相場がわかります。たとえば、健美家、SUUMO、アットホームなどがあります。
検索方法は物件種別、エリア、条件など入力していけば、自分のアパートと似た物件の価格を見ることが可能です。
ただし、ポータルサイトで確認できるのは現状の売り出し価格で、実際に取引される価格は約10%低い金額だと考えましょう。
不動産会社に無料査定を依頼する
前述したように、類似物件の取引実績や売り出し価格を確認する方法もありますが、まったく同じ条件のアパートはありません。
より正確に価格を確認するためにも、不動産会社に無料査定を依頼するのがおすすめです。
ただし、査定価格はあくまでも「売れるであろう価格」であると理解しておきましょう。
また、不動産会社によって取り扱っている物件の種類は異なります。居住用の一戸建てに特化した会社に査定を依頼しても、正確な結果が出るかはわかりません。
アパートの知識が豊富な不動産会社を探して査定を依頼しましょう。
アパートをできるだけ高く売るコツ
アパートを高く売るコツは、以下の6つです。
- 高い入居率を維持する
- 状態がよく魅力的な物件にする
- トラブル要因を排除する
- 質のよい広告をする
- 高く売れるタイミングを見極める
- アパート売却が得意な不動産会社に依頼する
高い入居率を維持する
アパートは、できるだけ満室に近い状態にしてから売りましょう。入居率が高い物件は買主や不動産会社からの需要が高く、よい条件で売却できる可能性が高いです。
満室であれば売りやすいのは当然ですが、空室があると、それを理由に買主から値下げ交渉に持ち込まれることもあります。
しかし、空室を埋めるために無理に家賃を下げて満室にしても、利回りが下がってしまうため、売却価格や売却できる可能性が下がってしまいます。
このような場合、フリーレントや契約時に家具をプレゼントするといった方法で入居を促し、家賃の水準は保ったまま入居率を上げることも検討しましょう。
状態がよく魅力的な物件にする
状態がよく魅力的な物件とは、「そのままでも住める状態」で「ほかの物件にない魅力のある」物件を指します。
魅力のある物件とは定期検査の記録がある、風通しがよい、間取りや設備の充実などが挙げられます。
全面リフォームなどをする必要はありません。魅力をまとめて買主や不動産会社にうまくアピールできれば、高い売却価格を期待できるでしょう。
トラブル要因を排除する
入居者と、部屋の明け渡しや家賃滞納などのトラブルがあると、売却価格にも影響があります。
買主にとっては、直接的な収益や将来のトラブル要因になるため、購入を避けたり、売却価格の値下げを要求されたりします。
トラブルの要因になる問題は長引かせず、管理会社や弁護士と相談して一刻も早く解決しましょう。
質のよい広告をする
複数のポータルサイトに掲載したり、レンズに登録したりして、質のよい広告を行えば、アパートを高く売れる可能性が上がります。
売れるまでに時間がかかってしまうと、希望の価格よりも大幅に値下げをして売ることになってしまいます。
つまり、質のよい広告は早く売ることにつながり、早く売れることは高く売れる可能性が高いということです。
高く売れるタイミングを見極める
アパートは、以下のようなタイミングで売却できれば利益が出やすいでしょう。
- 購入後5年を超えたタイミング
- 大規模修繕時期の到来前
購入後5年を超えたタイミング
法人ではなく個人事業主が対象ですが、物件の保有期間によって、譲渡所得に対してかかる税金が大きく異なります。保有期間が5年以下で売却すると約40%、保有期間が5年を超えると20%の税率です。
つまり、5年以下の保有で売却をしてしまうと税金が高くなってしまいます。そのため、アパートを購入して5年を超えたら、売却タイミングのひとつといえます。
大規模修繕時期の到来前
アパートは築15年から20年ほどたつと不具合が目立ってきます。
アパートの規模で変わってきますが、外壁塗装など100万円単位でかかることはザラにあります。修繕費用がかさむ前に売却してしまうのも戦略のひとつです。
特に、修繕の積立ができていない場合や、長期で物件を保有する気がないのであれば、大規模修繕前に売却を検討しましょう。
アパート売却が得意な不動産会社に依頼する
結論からいうと、比較的大手の不動産会社に売却を依頼するのがおすすめです。
アパートのような収益物件の売却は、居住用の物件と比べて、より専門的な知識やノウハウが必要です。そのため、資金力や顧客力が優れている大手のほうがアパート売却に向いているといえます。
不動産会社選びで迷ったら、まずは大手のアパート売却実績が豊富な不動産会社に相談しましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
鈴木 和典
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