大家を辞めたい人や廃業する人が増えている?その理由や上手な辞め方を解説
賃貸経営は、土地の有効活用方法や資産運用として長い間人気でした。しかし、経済状況の変化や地域の需供のバランスなどにより、「大家を辞めたい」と考える方が増えているようです。
大家業は通常の投資や副業と異なり、辞めたいからといって即廃業するのは難しいケースもあります。大家の廃業が増えている理由や上手な辞め方を解説します。
この記事の目次
大家業を辞めたい・廃業を選ぶ理由
はじめに、大家を辞めたいと考え、廃業を選ぶ主な理由について見てみましょう。大家が廃業を選ぶ理由を知れば、うまく大家業を続けていくためのポイントも見えてくるかもしれません。
入居者がいなくなった
少子高齢化や都市圏への人口集中によって、現地方を中心に人口の減少が続いています。
それに伴い、地域によっては賃貸物件の需要も減りました。
特に、若い世代が首都圏や大阪などの大都市に出ていきやすい地域は、賃貸物件の需要が減りやすく、経営が成り立たなくなる場合もあるでしょう。また、賃貸物件に一定の需要はあるけれど、所有している物件が古すぎたり居住に不便な場所に建っていたりしても、入居者がいなくなりやすいです。
物件の老朽化
賃貸物件が経年によって老朽化すると、建て直しや大規模修繕が必要です。
常に部屋が満室で、建て直しや大規模修繕をしても費用が回収できる見込みがあれば修繕する価値もあるでしょう。
しかし、入居者が今後減少する可能性が高い場合は、更地にして売却したほうがよいケースもあります。また、近年は銀行をはじめとする金融機関が個人の不動産投資用物件への融資の審査を厳しくしがちです。
そのため、「物件を修繕したり建て直したりしたいが、資金の確保ができない」といった理由で廃業するケースもあります。
サブリース契約の打ち切りを打診された
大家業は所有している物件に入居者が見つからなければ続けられません。
そのため、サブリース業者と契約して空き家リスクを回避していたケースもあります。しかし、サブリース業者は恒久的に家賃を保証してくれるわけではありません。理由があれば、家賃の減額や契約の更新を打ち切りたいと大家に申し出る場合もあります。
サブリース業者のサポートなしに大家を続けられない場合、それをきっかけに大家を廃業するケースもあるでしょう。
大家自身の高齢化
大家の中には、物件の管理を自分自身で行っているケースもあります。
自分で物件の管理を行えば管理費などが節約でき、入居者とのコミュニケーションも取れます。その一方で、自分で清掃業者やリフォーム業者を手配したり、不動産会社に仲介を依頼したりしなければなりません。
高齢になるほど、この手間がおっくうになって廃業を決意するケースもあります。また、高齢の大家が亡くなって子どもが物件を相続したが、自分で物件を管理できず廃業を決意することもあるでしょう。
ローンを払い終えた
ワンルームマンション投資など、所有している物件が少ない大家の場合、所有している物件のローンを払い終わったら、物件を売却したほうが利益の出るケースもあります。
その場合は、大家を廃業して物件を売却する方も多いでしょう。
大家を上手に辞める方法
大家を辞める場合は、タイミングが大切です。タイミングを誤ると余計な手続きや費用が発生するおそれもあります。
大家を上手に辞めるポイントや注意点を紹介します。
大家を上手に辞めるタイミング
大家を上手に辞めるタイミングを見極めることで、手間や費用が最低限で済ませることができます。
空室が発生している(全室空室)
所有している物件に入居者がまったくいないときが、大家を辞めるベストなタイミングです。
所有している物件に入居者がいる場合、大家都合で退去を求めるなら、入居者の同意と立ち退き料が必要です。立ち退き料は家賃の6カ月~1年分が相場なので、入居者が多いほど大家の経済的な負担が大きくなります。
なお、入居者ごと物件を買い取りしてもらえれば、立ち退きを求めずに済みます。しかし、物件の状態によっては入居者がそのままだと買い手がなかなか現われないケースもあるでしょう。
物件に入居者がゼロ、もしくはひとりくらいのときは、大家を辞めるタイミングです。
ローンを完済した
物件のローンが残っている段階で大家を辞めると、収入がなくなった状態で返済続けなければなりません。別で自宅のローンを組んでいる場合は、二重ローンとなって経済的な負担が増します。
ですから、ローンを完済した、もしくは数十万円~100万円程度の負担でローンを完済できる場合が、大家を辞めるベストタイミングです。
ただし、入居者がいる場合は無理に立ち退いてもらうのは難しいです。ローンを完済し、入居者が退去するタイミングが最高の辞めどきといえます。
賃貸物件を相続した
親や兄弟から賃貸物件を相続したときも、大家を辞めるベストタイミングです。
入居者がいる場合でも、大家が変わった場合は立ち退き料を払わずに済む可能性があります。また、入居者も「大家が亡くなったのならしょうがない」と立ち退きに納得してくれやすいでしょう。
ただし、入居している方が高齢者ばかりだったり、引っ越しできる賃貸物件が近くになかったりする場合は、入居者が立ち退きに応じないケースもあります。
親が高齢になり、賃貸物件が残される可能性が高い場合は、親が元気なうちに大家業を続けるかどうか話し合っておくとよいでしょう。
立ち退き期間を年単位で設ければ、入居者も新しい物件を探しやすいです。
よい条件で賃貸に出している物件や土地が売れた
土地の価格は、さまざまな条件で変化します。
たとえば、新しく駅ができたり周辺の開発が進んだりすると、土地の価格が急騰する可能性もあります。そのようなときに買い手が現われれば、物件のローンが残っていたり入居者がいたりしても、大家を辞めるベストタイミングです。
売却費用でローンを完済できたり、立ち退き料を支払ったりできます。
物件の状態によっては、新しいオーナーがそのまま賃貸経営を続けてくれる可能性もあるでしょう。そうなれば、入居者が立ち退く必要もなく、大家もスムーズに辞められます。
物件売却時にローン残債はどうなる?
物件売却時にローンが残っている場合は、基本的に売却したお金で残債を相殺します。残債より高く物件を売却できないと、オーナーが残りの残金を負担しなければなりません。
そのため、物件を購入・建築してからまだ年月が経ってないケースや、リフォームしてすぐなどは大家を辞めないほうがよいでしょう。
なお、ローンの借り換えを利用する方法もありますが、ローンの返済額が高額になりすぎると、生活に行き詰まるおそれもあります。物件を新たに建てたり大幅にリフォームした直後に理由があってどうしても大家を続けられなくなった場合は、サブリース会社にサポートしてもらったり、管理会社に管理を任せたりしたほうがメリットが大きなケースもあります。
大家を辞めるなら早期に不動産会社に相談
大家を辞めても物件や土地が残されていれば、固定資産税が発生します。
家賃収入で固定資産税を払っていた場合、廃業すれば別のところから固定資産税の費用を捻出しなければなりません。
また、物件を壊して更地にした場合、固定資産税は跳ね上がります。そのため、大家を廃業するなら土地の売却も検討しましょう。
早めに不動産会社に相談し、時間をかけて買い手を探してもらいます。物件が新しければ、大家業を引き継いでくれる業者や個人が出てくるかもしれません。ローンが残っていても、売却した費用で相殺できればスムーズに廃業できます。
まずは、賃貸物件の売却を得意とする不動産会社を探し、相談してみましょう。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
飯野一久
Other Articles その他の記事を見る
一覧はコチラ本コラムに関する注意事項
本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。本コラムは、その正確性や確実性を保証するものではありません。その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。いかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。