アパート売却にかかる費用を徹底解説。費用を抑える売却方法も紹介
アパート売却にはどのような費用が発生するのでしょうか。
アパート売却時にかかる費用を解説するとともに、費用を抑える工夫やポイントについても紹介します。
この記事の目次
アパート売却にかかる費用
アパート経営を行っていると、うまくいかない場面に遭遇し、「売却」を検討することもあるでしょう。
アパートを売却する際には、さまざまな費用が発生します。それぞれの項目が何を意味し、それぞれどの程度の金額が必要かを理解していないと、「売れたのはよいが、手元に残る金額が想定より少ない」という事態も発生します。
主な費用項目である仲介手数料、預かり敷金と賃貸管理の違約金、解体費用、その他費用について詳しく解説します。
仲介手数料について
アパート売却時に最も大きな費用となるのが仲介手数料です。仲介手数料は、不動産会社が売主を仲介して買主を探すための報酬で、売却価格に応じて計算されます。
仲介手数料の上限は売却価格によって決まっており、高額なアパートを売却する場合には、この手数料も大きな額になる可能性があります。そのため、適正な手数料が請求されているか確認することが重要です。
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 売却価格 × 5%(+消費税) |
200万円超、400万円以下 | 売却価格 × 4%+2万円(+消費税) |
400万円超 | 売却価格 × 3%+6万円(+消費税) |
なお、2018年法改正により、400万円以下の物件取引については、現地調査費用を加算できます。この場合、仲介手数料の上限は18万円です。
預かり敷金などの扱い
入居者がいる状態でアパートを売却した場合、「入居者と旧オーナー」間の契約などは新オーナーに引き継がれます。
旧オーナーが入居者から敷金を預かっている場合は、その返還義務も新オーナーに引き継がれます。具体的には、預かっている敷金が旧オーナーから新オーナーに引き継がれます。ただし、実務上は、新オーナーが支払う売却代金から預かり敷金などが控除され、清算するのが一般的です。
管理会社への違約金
多くのオーナーは、家賃の集金代行などを管理会社に委託しています。新オーナーとしては、今までの管理会社から自分のなじみの会社に変更したいと思うかもしれません。
現在の管理会社との契約に、「中途解約の場合の違約金条項」がある場合、違約金が発生します。実例として、半年分の家賃を請求されたケースがあるようです。契約内容を事前に確認しておきましょう。
解体費用とその相場
築年数の経過したアパートを売却する際は、買主は古い建物は希望せず、結果として解体による費用が発生する場合があります。
解体費用は解体する建物の規模や材質、地域などによって大きく異なりますが、一般的には数百万円から数千万円です。
特に、アスベスト規制の強化により、解体作業には専門的な知識と設備のほかアスベストの検査料や飛散対策費なども必要なため、解体費用総額は近年大きく増加しています。
その他必要な費用
上記のほか、以下のような費用も考えておく必要があります。
項目 | 説明 |
---|---|
印紙税 | 売買契約書に「売買価格に応じた印紙」を貼付する |
登録免許税 | 抵当権の抹消などがある場合、司法書士を通じて支払う |
譲渡所得税 | 売却により利益が生じた場合、所得税の納税が必要 |
消費税 | 免税業者の場合は支払い不要だが、インボイス対応で課税業者になる場合は納税が必要 |
ローンの繰上償還手数料 | 金融機関に対して支払う |
アパート売却時に受け取れる代金
売却時には売却代金だけでなく、さまざまな精算金を受け取れるケースもあります。具体的には、固定資産税の精算金、管理費・修繕の精算金、そして保険の残存期間分が解約金になることがあります。これらは一見小さな額に思えますが、合計すると大きな金額になることもあるため、しっかりとチェックしましょう。
固定資産税の精算金の計算方法
固定資産税はその年の1月1日現在の所有者に課税されるため、年の途中に売買する場合は、旧オーナーが支払うその年の固定資産税を、新オーナーと按分する必要があります。
具体的には、精算は売却年の固定資産税を売却日までの日割りで計算し、その金額を新オーナーが旧オーナーに支払います。
旧オーナーは受け取った清算金を自身の利益にはせず、固定資産税を納税する必要があります。
管理費・修繕の精算金とその取り扱い
旧オーナーが、管理費や修繕積立金を受け取っているが、その受取日と売却契約日がズレている場合、清算するケースがあります。
ただし、管理費や修繕積立金は毎月払いが多く、ズレていたとしても最大30日で、金額も小さいことが多いことから、清算しない例も見られます。
保険の残存期間分が解約金になるケース
アパートに火災保険などの保険がかけられている場合、特に長期保険を付しており残存期間が長く残っている場合、解約金が受け取れることもあります。ただし、引き渡し日までは旧オーナーに責任がありますので、あまり早く解約してはいけません。
しかし、新オーナーとしても火災保険などは必要な場合なので、保険をそのまま継続してオーナー間で代金清算することも実務として多く見られます。
ちなみに、アパートの建物そのものを補償する火災保険にはオーナーが加入し、各部屋の家財を補償する火災保険には入居者が加入するのが原則です。
アパート売却費用を抑えるなら買取という方法も
売却費用を抑える方法のひとつに、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」があります。
買取は不動産会社などが直接買主となるため、仲介手数料を省略できるメリットがあります。また、売却までの手続きがスムーズに行えるため、スピーディーな売却が期待できます。
ここでは、買取と仲介売却の違い、築年数が経過したアパートの買取メリット、そして立ち退き交渉が必要なケースでの買取の利点について詳しく説明します。
買取と仲介売却の違い
買取は不動産会社が直接アパートを購入する方法で、仲介手数料が発生しません。また売主は、買主との売買交渉や入居者への立ち退き交渉が不要で、スピーディな売却が可能です。
しかし、買取価格は市場価格よりも低くなることが多いため、買取を選ぶか仲介を選ぶかは、売却の緊急度合いや想定売却価格によるところが大きいです。
築年数が経過したアパートの買取メリット
特に、築年数の経過したアパートでは解体費用が発生する可能性がありますが、買取の場合はその費用を抑えられます。前述のとおり、解体費用は近年高額化しているので、この点はメリットです。
それに対し買取を行う不動産会社は、解体後に新たな建物を建てて再度賃貸業を行うことを見込んでいます。そのため、解体費用を含んだ価格で買取価格を提示することが多いです。結果として、売却価格は安くなりがちですが、売主の手間は大きく減少します。
立ち退き交渉が必要なケースでの買取の利点
入居者がいる場合の立ち退き交渉も、買取の場合は不動産会社などの買取業者が行ってくれるため、売主の手間を省けます。
立ち退き交渉は時間と手間がかかるだけでなく、うまく交渉できないと売却計画が大きく遅れるおそれがあります。このようなリスクを避けるためにも、入居者がいる場合には買取が有効な選択肢となるでしょう。
アパート売却にはさまざまな費用が発生しますが、知識を持って適切な選択をすれば、費用を抑えられます。売却を考えている方は、まずは信頼できる不動産会社に相談してみることをおすすめめします。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由
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