アパートローンが払えないときの対処法|物件を手放す決断も必要?
アパート経営を始めるとき、ほとんどの方はローンを組んで物件を購入します。
しかし、経済的な状況や予期せぬ出来事が重なり、ローンの支払いが困難になることもあります。
アパートローンが払えないときの対処法を詳しく紹介します。リスクを理解したうえで、どういった方法を選ぶかを検討しましょう。
この記事の目次
アパートローンが払えないことによるリスク
アパートローンが払えないと、所有しているアパートを失うおそれがあります。また、自己破産といった深刻な影響を引き起こすかもしれません。
アパートローンが払えないことによるリスクを詳しく解説します。
アパートの競売による喪失
アパートローンの支払いが滞ると、金融機関からの信用度が低下し、将来の借入や金融取引に影響を及ぼすおそれがあります。
それだけではなく、遅延や未払いが積み重なれば金融機関は債務不履行とみなし、アパートを差し押さえて競売にかけることがあります。
競売は、金融機関が債権を回収するための最終手段として行われるものです。裁判所主導のもと物件を強制的に売りに出し、その代金を返済に充てます。
せっかく購入したアパートを失ってしまうだけではありません。競売では市場価値よりも低い価格で売却されることが多いため、残った債務を返済できないおそれがあります。
自己破産のおそれ
アパートローンの支払いに困難が続くと、自己破産の申請を検討するでしょう。特に、競売にかけられたあとも多額の債務が残っているケースではほかに選択肢がありません。
自己破産は、借金を返済する手段が限られた状況において、借金を一部または全部免除する手続きです。
しかし、自己破産を申請すると信用履歴にその情報が記載されます。これにより、将来の信用スコアや貸付申請に影響が及ぶ可能性があります。もう一度アパート経営をするのが難しいのはもちろん、新たなローンを組んだり、クレジットカードを作成しようとしても審査に通りません。
アパート経営を継続したい場合は、競売や自己破産に陥る事態は避けなければいけません。
アパートローンが払えないときの対処法
アパートローンを払えないときの対処法は主に3つあります。
金融機関との交渉
アパートローンの支払いなど、オーナーが直面する経済的な課題に対処するには、金融機関との交渉が有効な手段です。うまくいけば、現在の経済状況に適応した返済計画を再構築できるでしょう。
たとえば、アパートローンの返済期間を再調整して月々の支払いを軽減したり、利率の見直しによって支払い負担を抑えられたりできる可能性があります。
仮に、以下の条件の場合で考えてみましょう。
- 借入金額:8,000万円
- 返済期間:15年
- 金利:2.0%
毎月の返済額は約51万円ですが、返済期間を5年延長して20年にした場合、毎月の返済額は約40万円です。
また、アパートローンの元本の支払いについて、一時的な猶予期間をもらう方法もあります。返済能力が一時的に低下している場合や、特定の状況によって返済が難しいと判断された場合に利用されるケースがあるでしょう。アパート経営を立て直すという理由であれば、金融機関も応じてくれる可能性があります。
数カ月間で立て直せる場合は、元本支払いの猶予を検討してもよいでしょう。しかし、支払い猶予後に返済額が増加したり、信用スコアに悪影響を及ぼしたりするおそれがあるため、慎重に検討する必要があります。
なお、紹介した方法は短期的な対処としてはよいですが、長期的に見ればよい解決方法とはいえません。
予算の見直し
アパート経営における予算の見直しも重要です。収支のバランスを再評価し、無駄な支出を削減すれば、毎月の返済額を確保する余裕が生まれるかもしれません。
たとえば、外壁の劣化を放置して構造まで影響が及んだ場合、修繕にかかる費用は高額です。定期的に手入れをしているほうが、トータルの出費を抑えられる可能性があります。
また、家賃の見直しや空室率の削減などの収益向上策を導入し、経営の安定を図ることが可能です。
ただし、これらの見直しはすぐに取り組めるメリットがありますが、アパートローンの返済財源を確保できるほどの大きな効果はないかもしれません。
アパートの売却を検討する
アパート売却によって得られた資金でローンを完済する方法です。
アパートローンの支払いができないような経営状態を継続しても、債務が増加し、問題が深刻化する可能性があります。
そのため、支払いに困難を感じたら長引かせずに行動することが大切です。早い段階で売却を検討すれば、将来的なリスクを回避するチャンスがあるでしょう。
ただし、売却代金でローンを返済できない場合は、任意売却を行いましょう。
任意売却を行う
任意売却は、ローンを完済できないアパートを金融機関の許可を得て売却する方法です。
任意売却は一般の市場で売却できるため、競売よりも高く売れるメリットがあります。
ただし、アパートローンの支払いが滞った事実は記録されるため、できるだけ一般の売却でアパートを高く売り、ローンを完済するべきでしょう。
思い切ってアパートの売却を検討するべき
アパート経営においてアパートローンの支払いが困難となった場合、思い切ってアパートの売却を検討するのは賢い選択です。
アパート売却によって得られるメリットや、売却を進めるときのポイントを紹介します。
将来のリスク回避
前述したとおり、アパートローンの支払いが滞ると、競売や自己破産などのリスクが高まります。
一般の市場で売りに出せば、競売よりも高く売れるため、売却代金で債務を精算できる可能性があります。そのため、自己破産に陥る事態は避けられるかもしれません。
新しい投資に切り替えることも
アパートを手放す決断は、新たなスタートを切るチャンスでもあります。
無理に収益率の悪いアパートで経営を続けていても、赤字が膨らむだけです。アパートの売却代金でローンを完済できる場合は、残った資金で収益率の高い物件を取得するのもひとつの選択肢です。
精神的な負担軽減
アパートローンの支払いができない状態は、オーナーにとって精神的なストレスが大きいでしょう。毎月の返済に不安を感じながら生活することで、健康や家庭生活にも影響を及ぼすおそれがあります。
アパートを売却してしまえば、ローンの返済負担が軽減されるだけでなく、維持管理や入居者対応などの業務を負担もなくなります。
負担を軽減し、新たなスタートを切れば、精神的な安定も取り戻せるかもしれません。
専門家のアドバイスを受ける
アパートのような収益物件の売却は、自宅の売却などよりも専門的な知識が求められます。
不動産会社の担当者や法的アドバイザーと協力して、適切な価格設定や売却戦略を立てることが重要です。専門家の知識と経験を活用すれば、スムーズに売却を進められるでしょう。
売却するべきかを悩んでいる場合でも、アパートローンの支払いが難しい状況に直面した際は、選択肢のひとつとして早めに検討する必要があります。
まずは、アパートの取り扱い実績が豊富な大手の不動産会社に相談するのがおすすめです。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由
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