アパート売却のおすすめタイミングを解説。時期の見極め方や判断基準を説明
アパートの売却に適したタイミングについて紹介します。
アパートの売り時の考え方をはじめ、1年を通じてのおすすめ売却時期や売却を検討しているのであれば早く進めたほうがよい理由についても解説します。
この記事の目次
今は売り時なのか。アパートの売却タイミングの見極め方
アパートの売却時期を見極めるのは非常に難しいです。
「今価格が上がっているから売却するのはもう少し後にしよう」と考えていると、いつのまにか価格が下落している可能性もあります。そもそもどのような時期に売却を考えればよいのでしょうか。
不動産の価格は右肩上がりの時に売却する
国交省が発表している「不動産価格指数」を見ると、日本の不動産価格は2013年から右肩上がりに上昇しています。
不動産価格指数とは、取引された不動産の価格の動向を示したものです。データからくみ取れるとおり、年々上昇していることから、不動産価格が高い状態であることがわかります。
もちろん不動産価格指数は平均値のため、物件によって価格差は生じますが、指数が高いうちに売却するのもひとつの方法です。
残債から検討する
ローンを利用してアパートの建築や購入をした方は、残債を考慮して売却タイミングを見極めましょう。
アパートを売却する際はローンを完済する必要があります。一般的には、売却代金でローンを完済し、残りを利益とします。
しかし、残債より売却利益のほうが低い場合、預金からローンを支払う必要があります。そのため、売却する際はローンを完済できるほどの価格で売れるのかを確認することが大切です。
ただし、売却時にはさまざまな費用が発生します。次で詳しく説明しますが、その費用も考慮しましょう。
売却時にかかる費用
残債だけでなく、売却時にかかる費用も考慮する必要があります。具体的には、以下の項目が売却時に発生します。
- 仲介手数料
- 不動産会社に売却の仲介を依頼する際の費用「売却代金の3%+ 6万円」に消費税を課税した価格。
- 契約印紙代
- 売買契約書に添付する印紙代。売買代金によって変動するが、数万円から数十万円程度
- 抵当権抹消登記費用(ローンがある場合)
- ローン借入した時に設定した抵当権を抹消する登記。数万円程度
- 譲渡所得税(売却利益が発生した場合)
- 売却利益が発生した時に課せられる税金。所有してから5年以内に売却した場合は売却利益に対して30%、5年以上であれば15%の税金が課せられる。
- その他の費用
- 土地の状況によって課せられる費用。境界画定費用や立ち退き費用など
上記の費用を算出し、残債と合算して完済できるかがポイントです。残債だけに着目せず、売却時にかかる費用を考慮したうえで利益が出る場合は、売却を検討してもよいタイミングです。
1年を通してアパートを売却するのにおすすめの時期はある?
アパートの売却をする際は、タイミングが重要です。タイミングを間違えると、「想定価格より安い」「売れるまでに時間がかかった」という可能性も高まります。
とはいえ、すでに売却を検討している方もいるでしょう。1年を通じてアパートを売却するのにおすすめの時期はいつなのでしょうか。
4月~5月前後
アパートの売却をするベストなタイミングのひとつは、4月〜5月だと考えられています。
アパートを売却する際、価格や買い手が見つかるかどうかには、入居率が大きく影響を与えます。入居者がいないアパートを購入しても、すぐには家賃収入が得られないうえ、入居者確保のための広告費などが発生します。
3月~4月は、新生活が始まる学生や新入社員が多くアパートに入居し、空室率が低いため、売却しやすい傾向にあります。ただし3月は入退去の時期でもあるため、4月〜5月のほうが安定します。もちろん入居率が高ければ時期は関係しないため、ひとつの目安として認識しておきましょう。
築年数がきりのよい時期
アパートを売却する際は、築年数に着目するのもひとつの方法です。
投資検討者は、インターネットでアパートの売り物件を探す際、「5年以内・10年以内・15年以内」などのきりのよい数字で検索できます。所有しているアパートが9年10カ月などであれば、10年になる前に売り物件として掲載したほうが買い手が見つかりやすくなります。
そのため、所有しているアパートの完成日は確認しておきましょう。完成日がわからない方は、建築確認申請済書や登記簿謄本などで確認できます。
所有期間が5年以上となったタイミング
1年間の中で、アパートの所有期間が5年以上となったタイミングで売却すると、譲渡所得税を抑えられます。
所有期間が5年未満の場合は、売却利益に対して30%の税率ですが、5年以上の場合は15%で済ませることができます。たとえば、売却利益が1,000万円の場合、150万円もの納税額が異なります。そのため、5年のタイミングである方はぜひ所有期間を意識しておきましょう。
アパートの売却は、できるだけ早い段階がおすすめ?
アパート売却は残債などを考慮する必要がありますが、できるだけ早く検討することが大切です。
売却の早期検討をおすすめする3つの理由を紹介します。
家賃下落する前に売却する
2013年に三井住友トラスト基礎研究所が発表した「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」を確認すると、3年目以降は毎年1%前後の家賃下落が発生していることがわかります。
家賃収入が下がると、利回りが低下してしまうため、買い手が見つかりにくくなります。利回りとは、投資した金額を1年間で回収できる割合を指します。たとえば、利回り10%の中古アパートであれば、10年間で投資金額を回収できます。しかし、家賃が下がっている場合、利回りが低下するため購入希望者の間口は狭くなります。
家賃8万円で10世帯のアパート | 家賃9万円で10世帯のアパート | |
---|---|---|
売却希望価格 | 9,600万円 | 9,600万円 |
年間家賃収入 | 960万円 | 1,080万円 |
利回り | 10% | 11.25 % |
上記の表のように、家賃が高いほうが高利回りとなるため、購入されやすくなります。利回りを合わせるためには売却希望価格を低くするしかないため、結果として利益が減ることにもなるでしょう。そのため、家賃下落幅が大きくなる前に早期に売却することが大切です。
金利の上昇により返済額が圧迫される
金利の上昇により返済額が高くなると、買い手が見つからない可能性もあるため、早めに売却したほうがよいでしょう。
世界各国で利上げが行われている中で、日本はいまだに低金利が継続しています。その結果、為替にも大きな影響を及ぼしており、今後金利の上昇が見込まれます。実際にメガバンクは、住宅ローンの金利の引上げを発表しました。
もちろんアパートを購入する際は事業用ローンという別の金融商品ですが、日本銀行が発表している「長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降」を確認すると、ここ数カ月は金利の基準となるプライムレートが上昇しています。
金利が上昇すると、借入返済額も高額となる一方、家賃は年々下落していきます。収益性が低くなる懸念があるため、早めに売却を検討したほうがよいでしょう。
アパートは早めに売却したほうがよい
アパートを含めた不動産の売却期間は不動産会社に依頼してから3〜6カ月前後要するといわれています。もちろん物件によっては、数年売れていないアパートも存在します。
売却までの期間が長くなると、家賃下落や金利の上昇などのリスクがあり、買い手が見つからない状態や思っていたより利益が出なかったというケースにつながりかねません。そのため、いち早く不動産会社へ売却査定を依頼することをおすすめします。
この記事を書いた人
TERAKO編集部
小田急不動産
横溝 浩由
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